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マ イ ネ リ ー ベ
優美なる記憶


◆◇◆ 石月ナオジ ◆◇◆

(CV 石田彰)

グッドエンディング



プレイヤーの名前は 「チョコ」 愛称は 「ミント」 を使用。


■□■□■ 1937年7月24日 ■□■□■

卒業式

〜 ここの部分は
「アイザック グッドエンディング」
を、ご覧ください。〜


チョコは、小走りに3人の元から離れ、
色とりどりの飲み物が並べてあるテーブルへ向かった。


□■□■ ここまでは全エンディング共通 ■□■□■


(えーっと、何飲もうかな?)
チョコが飲み物を選んでいた
その時…!

「お悩み中ですか?」

チョコがその声に振り返ると、
そこには、ナオジが立っていた。
やさしい笑みを浮かべて…。
「え?!ナオジ様!」
「あなたにお願いがあって来ました。
自分と一曲お付き合いしてもらえませんでしょうか。」
そっと手を差し出すナオジ。
「ええ、喜んで。」

昨夜、寮までチョコを送ってくれたナオジ。
ナオジは、ここのところ元気がなく、
顔色も優れない様子だった。
何より、いつもの穏やかな笑顔が影をひそめ、
チョコはずっと、
そんなナオジのことが気がかりでしかたがなかった。
ナオジが、昨日別れ際に残した言葉…
独り言と受け流して欲しい…そう前置きをして。

「うっそうとしているのです。
もがけばもがくほど、自分は自分の道を見失ってしまう。
自分は、祖国の為にこのクーヘン王国に来ました。
はじめはそれだけでよかった。
ただひたすらに知識を吸収する…。
それだけで自分は、自分の不安な気持ちを抑える事ができました。
でも…今は祖国と秤にかけても同じ位の…
いえ、もしかしたらそれ以上の未練というものが
この国に対して芽生えてしまいました。
でも、もう卒業です。
自分にとっては、決断の期限なのです。
ミント殿。
自分は、自分は…。」


それが、今日のナオジは、
昨夜とは打って変わった、
以前のやさしい笑顔に戻っていたものだから、
チョコは、安心すると同時に
…なにより、とてもうれしかった。
「今日は、すっきりしたお顔をされていますね。」
チョコの言葉に、ナオジはきっぱりとこう言った。
「ええ。迷いを断ち切りましたから。
まず、あなたにお礼を言わせて下さい。」
「え?」
「この2年間、不安で崩れそうになる自分を、
いつもあなたの笑顔が支えていた。
これは自分の思い込みですが、
自分はあなたに救われていました。」
「ナオジ様…。」
「でも、自分は一つの決心をしてここに来たのです。
それは、あなたをとても困らせてしまうものかもしれません。」
「決心?」
「ええ。感覚は切り離せても、
感情は…
心は切り離すことが自分にはできません。
だから自分は、今日、
あなたをさらいに来ました。」
「ナ、ナオジ様!?」
「夢の中の自分のように、後悔したくない。
あなたを手放したくない。
もう、二度と…離れたくないのです。
あなたを愛しています。」
「ナオジ様…。」

以前、図書館で話をした折、ナオジとチョコは、
似たような夢を、互いに見ていたことを知った。
それは…
愛し合いながら離れなければならなかった
ナオジとチョコの前世の悲しい記憶…。
運命によって引き裂かれ、
湖に沈んでゆく少女と
それを救うことが出来なかった青年。
ナオジは、幾度となく同じ夢を見、
なぜ、その少女をさらってしまわなかったのかと、
夢から覚めるたび後悔していたという。

「異国の地で不安はあると思います。
そして日本は今、ケイオスの中にあります。
しかし自分は、今度こそあなたを守ります。
この命を賭して。
自分に付いてきてくれませんか?」
「あ…あの…。」
「…………。」
自分の気持ちを、うまく言葉に出来ないでいるチョコの顔を、
ナオジはしばらく黙って見つめていたが、
やがて、ふんわりとチョコを包み込むような笑みを見せて言った。
「…やはり大胆すぎましたね。
あなたを驚かせてしまった。
…聞いてくれてありがとう。」
「え?」
「お別れする前に、自分の本心を伝えたかった。
いつかあなたがこの学園に思いを馳せたとき…
自分のような東洋人が居た、
という事を思い出してください。」
「わ…私…。」
「くす、なんて顔をなさっているのですか?
ラストダンスは、笑顔で終わりにしましょう。」
ナオジがにっこり笑って、再びステップを踏み出そうとした
その時…
「わ、私をさらってください!」
チョコは、やっと思いを口にすることができた。
「え?」
「私、辛くたってかまいません。
あなたに付いていきます!」
「…ミント殿…。」
「私も…離れたくない…。
前世のような思いは…もうイヤ…。」
チョコの頬につたう涙。

時を超え、今ふたたび巡り会った2人。
輪廻してもなお、赤い糸は
ナオジとチョコを
強く、かたく、結んでいた…。


ナオジもまた、
目を閉じて、溢れ出ようとする涙をこらえ、
そして、一言一言かみしめるように言った。
前世では言うことができなかった言葉を…今。

「ありがとう…。
悠久の時代を超えて…
やっと…
やっとあなたと結ばれる…。

あなたを大切にします。

永遠に…。」



優美なる
二年間の
記憶を胸に

あなたは
ローゼンシュトルツ
「薔薇の誇り」
と名付けられた
学園を卒業した

そして
二人は永遠に
一つの物語を
紡いでいく…



§ END §

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