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街 〜運命の交差点〜のエンディング (雨宮桂馬 その1)
しおりと二人で資料室へ戻ると、まっ先にヌマさんが笑顔で出迎えてくれた。
「桂馬、お手柄だ。よくやったぞ!」
「ボク、なんだかヘンな気持ちだ。ちっとも事件が終わったような気がしない。だって、犯人のジェロニモさえ、まだ捕まっていないし、ヤツが本当にあれをやったのかどうかだって、まだホントのところは何ひとつハッキリしたワケじゃないんだ」
「はは……その調子では、まだ知らんらしいな」
ヌマさんは笑った。
「え……な、何のコトでせう?」
「ジェロニモは捕まったよ」
「え、ホントなの、ヌマさん!?」
桂馬よりも、しおりが大声を出した。
「はは、こんなことでウソをいってどうなる? ……鯨井がな、『カオス』にいたジェロニモを引っぱって来たんだ」
「そ……それで、ジェロニモは!?」
「ああ、犯行の大筋は認めたそうだ」
「ええッ!?……」
桂馬としおりは互いに見合った。
「桂馬クン……!」
「しおりさん……!」
「おいおい、抱き合うんなら外でやってくれよ。いくら年寄りでも、刺激の強すぎるのはかなわんからな」
「まッ、ヌマさんッたら!」
しおりが軽くにらんで、大笑いとなった。
「これで、終わりか……」
《廊下の自販機で桂馬がコーヒー牛乳を買う》
桂馬はコーヒー牛乳でひとり祝杯を上げた。
「思えば、長い戦いだった」
その勝利感に酔い痴れる。
「桂馬クン、このお祝いはまた後で改めてね」
しおりがやって来て、そっと声をかけた。
「え……えッ、そういうイミですか?」
「いった通りよ。今晩、時間あけといて」
クスッと笑って、しおりは去った。
《数日後、渋谷の街を巡回する桂馬》
「よォし、ヤルぞ、ヤルぞォッ!」
桂馬はがぜん力がわいて来た。
「けふも元気だ、コーヒー牛乳がうまい!」
オタク刑事走る!
完