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★☆★ きまぐれストロベリーカフェ ★☆★

〜 千頭 貴行 バッドえんでぃんぐ 〜
(貴行の声…上田 祐司)



卒業式も無事終わった校庭で…
話をしている苺と梨香。

《この部分は、『梨香 えんでぃんぐ』をご一読ください》

「いい、そーゆー数学的世界な日常の刺激はいらないっ。」
激しく首を横に振る苺。


〜・〜・〜・〜・ここまでは、全エンディング共通・〜・〜・〜・〜


そんな苺を見て、梨香は微笑んだ。
「ふふ、そうね。
きっと、こっちの刺激の方が、楽しめるのではないかしら。」
「こっちって?」
「お迎えが来ているわよ。」
「え?」
「それじゃあ、私は帰るわ。またね、苺ちゃん。」

「あ、うん。って、え、ちょっと、梨香!?」
「後ろ、振り返ってごらんなさい。
待たせてはだめよ。」
梨香の言葉に、校門の方を振り返る苺。
「後ろって……あ。」
そこには、バイクにちょっともたれかかって苺を待つ
貴行の姿があった。
「よー。卒業おめでとーさん。」

いつも通りクールに微笑む貴行。
「ありがと。…わざわざお祝いに来てくれたの?」
苺は、うれしそうに貴行に駆け寄った。
「んー……それもあるけどよ。」
「うわ、ホントにそうだったんだ。」

「そのわざとらしー驚きはナンなんだ。」
「なるべくわかりやすく、驚愕を表してみました。
…いや、その、ゴメン。
祝いに来てくれるなんて、少しも予想してなかったんだよ。」
「確かに祝いに来たけどよ、どっちかっつーとついでなんだよな。
じつは、他に用事があんだよ。
ちっと来てくんねぇ?
ココじゃ、落ち着かねぇし。」
そう言って、頭をかく貴行。
それは、いつもストレートにものを言う貴行には珍しい態度だった。
「いいけど…用事?なんかあったの?」
「あったって言えばあったっつーか……
とにかく、ココでするよーな話じゃねぇよ。
時間はそんなにかかんねぇから。行くぜ。」
「あ、うん。」


― 公園 ―

どことなく殺風景な公園の中を、並んで歩く苺と貴行。
周りの木々を眺めながら、苺が言った。
「3月になったばっかじゃ、まだ桜どころか他の葉っぱも出てないかあ。
色のない公園って、ちょっとさみしいんだよね。
卒業式の日くらい、色とりどりになってくれてもいいのに。」
「ムチャだろ、そりゃ。卒業式が3月下旬とかのガッコじゃ、
桜咲いてたりするらしーぜ。」
「3月下旬まで学校行くのもなあ。
私立とかだと、卒業式の日取りもけっこう違うもんね。」
「まーな。オレは高校卒業してねぇから、
そのヘン忘れたけどよ。」
「あ、そっか。
……で、用事ってなーに?」
話題を変えようと、そう苺が切り出した。
「ああ……。
ロードレースのレーシングチームから誘いがあったんだ。」
すごい話のわりには、暗い表情の貴行…。
「レーシングチームって……
ええっ、レーサーになるの!?」
「レーサーじゃねぇよ。メカニック。」
「メカニック……。バイクを調整とかする人のほう?
へぇぇ……すごいじゃん。
あ、それじゃ、バイトは……。」
「ああ、全部やめた。バイクレース関係の仕事するっての、
オレの夢だったんだ。
勝手に家飛び出して勝手なコトして、
そんなオレが言うのもナンだけどな。
でも……だからこそ、このチャンスは逃したくねぇんだ。
勝手なコトしてきたからこそ、自分の夢くらいは、
ちゃんと実現させてぇんだよ。」
「じゃあ、うちのバイトもやめちゃうんだ。
まあ、でも、しょーがないよね。
夢に一歩近づけるなら、それってすごいことだし。」
「んで……、わがままついでにもうひとつ。
今のオレ、たぶん夢に立ち向かうのが精一杯なんだよな。
正直、他のコトに意識を向けてる余裕ってモンがねぇんだ。
だから…悪いけど、
クリスマスのアレ(告白)は撤回させてくれ。
そーしねぇと、たぶんあんたに、よけいなイヤな思いさせるよな。
たぶん、あんたのコトが重荷になる。
それに、チームの拠点もココじゃねぇんだ。
飛行機で片道2時間以上か?
我ながら勝手なコト言ってるってのはわかってるけどよ。
でも、それでもコレに賭けてぇんだ。
わかってくれとは言わねぇよ。
ただ、あんたの前からいなくなるって、
それだけは許してくれよな。」


〜 千頭 貴行 バッドえんでぃんぐ おわり 〜

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