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季節を抱きしめてのノーマルエンディング (1)


麻由を自宅に泊めた主人公。
ある晩、トモコに呼び出され、会いに行く。

(……もう言葉はいらなかった……)

(そして今ボクは、自分の本当の気持ちに気がついたのであった……)


帰宅する主人公。

(……トモコと別れ、部屋に戻ったボクは……)

主人公「麻由!」

部屋には誰もいない。

(……だが、そこに麻由の姿はなかった……)
(ただ雨の音だけが、ボクの空ろな心の中でこだましているだけだった……)
(そして雨は音もなくやみ、再び静かな夜が訪れたのだった……)


(……あれから何日が過ぎただろう……)

(麻由はボクの部屋からいなくなり、トモコと僕の関係は今までよりも少し進んだのかもしれない……でも……)
(……また麻由がボクの前からいなくなり、トモコになぐさめられる……か……)
(カッコ悪いや……)

大学の始業のチャイムが鳴る。

トモコ「おーい! 授業始まっちゃうよー!」
主人公「……今行く!」


(麻由が来てなにかが変わったのだろうか?)
(あの麻由という女の子は、本当にボクと一緒にいたのだろうか?)

(もしかすると、ボクが見たのは思い出の中に生きる、春という季節の見せた幻影だったのかもしれない……)


Nomal:1 トモコ雨の中



季節を抱きしめてのノーマルエンディング (4)


(……あの雨の日から一週間が過ぎた……)

(いつの間にか悲恋桜が花を咲かせていた)

(そしてボクにも本当の春が訪れた……やっと春が来たのだ……)
(トモコの想いの深さを知り、僕は誰を本当に大切にすべきなのかを知った)
(きっと〈麻由〉がいなかったら、ボクとトモコは友達以上恋人未満の煮え切らない関係を続けていたに違いない)

悲恋桜の下に、主人公とトモコ。

トモコ「あれ? いつの間にこんなに花が咲いたの、悲恋桜?」
主人公「ああ、春がやっと来たんだ。みんなに幸福を運んで……」
トモコ「な〜に一人で気取ってんのよ? ショートケーキもつけておごらせるわよっ!」
主人公「よしっ! 今日は天気いいから駅前まで歩くぞ!」
トモコ「ウソーッ! ねぇ、一時間はかかるわよ! もうすぐ学バスが来るって! どうしちゃったの? ねぇ! ちょっと待ってよ! ねぇっ!」


歩き出す主人公を、トモコが慌てて追いかけてゆく。


(トモコと新しい春を歩むボクがいる……)
(ボクは今、幸せの絶頂にいるのかもしれない)

(けれど……あの〈麻由〉はいったい、どこの誰なのか……その疑問だけがいつまでも心に残っていた……)


Nomal:4 ボクの春
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