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季節を抱きしめてのバッドエンディング (14)


麻由を自分の部屋に泊まらせた主人公。
ある夜、麻由に異変が起きると直感し、急いで帰宅する。

アパートの自宅部屋の窓から灯りが漏れている。


(よかった……ボクの部屋に灯りが点いている)
(麻由はちゃんとボクを待ってくれていたんだ、何事もなく……)

主人公「ただいま……」

(!)

部屋には誰もいない。
床には、トモコが主人公にくれた、尻尾の飾りのついたキーホルダーが落ちている。
尻尾の部分が無惨に引きちぎられている。

(いったい、なにがあったというのだろうか?)
(部屋に残された、ボクがトモコからもらった尻尾のキーホルダーの無惨な姿……)

(そして麻由もいなくなっていた……)


(……そして数日間が瞬く間に過ぎていった……)

悲恋桜の下に佇む主人公。

(ボクの周りで変わったことといえば、春の終わりが近づいたこと……)
(そして、トモコというガールフレンドがいつの間にか遠い存在になっていることくらいだ……)

(……変わらないこと……)
(それは癒されることのないボクの心と、まだ咲かぬ悲恋桜にいつまでも春が来ないことぐらい……)


Bad:14 ちぎられたキーホルダー編



季節を抱きしめてのバッドエンディング (15)


(……あの雨の日から一週間が過ぎた……)

悲恋桜の下に立ち尽くす主人公。

(……あの日、ボクはトモコを抱いた……)
(……けれど、心の中では違う女性の影を追っていた)
(きっとトモコもその事を感じていたのかもしれない……)
(それでもトモコはボクを慰めてくれる……)
(……こんなボクでもやさしくしてくれる……)

(……でもボクは……)
(まだあの子の事が忘れられないでいた……)
(ボクの心に思い出という形で眠る〈麻由〉という女性の幻影を……)

(あの〈麻由〉はどこに行ってしまったのだろうか……)
(その思い出の作った、心に残る大きく黒い穴はいつまでも変わらないままなのだろうか……)
(いまだに春の気配を見せない悲恋桜のように)


Bad:15 そしてボクは一人編



季節を抱きしめてのバッドエンディング (16)


(……麻由も見つけられず、トモコモいなくなってしまった)
(……なぜボクの周りから、みんな去ってしまうのだろう……)
(それはボク自身に問題があるというのだろうか?)
(……桜の樹がなにかを答えてくれるわけではない……)

悲恋桜の下で悲嘆に暮れる主人公。

(気がつくと、この悲恋桜のそばで一日をすごすのが最近のボクの日課になってしまった)


そんな主人公を、トモコが遠くから見つめている。

トモコ「……さよなら……」

トモコが立ち去る。


(……来年こそはいいことあるといいなあ……)


Bad:16 トモコ去る編
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