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季節を抱きしめてのバッドエンディング (11)


麻由を自宅に泊めた主人公。
ある晩、トモコに呼び出される。
トモコに会いに行った主人公だが、部屋に残した麻由を忘れきれず、帰ろうとする。

主人公「……ゴメン……」
トモコ「待って!」

駆け出した主人公を、トモコが後ろから抱きとめる。

トモコ「……行かないで……」
主人公「トモコ……」

そんなトモコを振り切り、主人公はバイクで走り去る。

主人公「ゴメン!」

トモコ「……バカ……」


帰宅した主人公。
しかし部屋には誰もいない。

主人公「……麻由……?」

(……そこには麻由の姿はなかった……)
(ただ雨の音だけが、ボクの空ろな心の中でこだましているだけだった……)
(そして雨は音もなくやみ、再び静かな夜が訪れたのだった……)


(結局、その晩は麻由を探し出す事はできなかった……)
(そしてあくる日も麻由は見つからなかった……)

(……そしてボクはふと思った)
(麻由は本当にここにいたんだろうか? 本当に記憶喪失の子だったのだろうか?)
(いや、間違いなく麻由は僕の部屋にいた。その事だけは紛れもない事実だ……)

(……もう一度会いたい……)
(……麻由に会いたい……)


悲恋桜の下に佇む、年老いた主人公の姿。

(もうあれから何年いや何十年経った事か……)
(ボクは、あの時の思い出を追いかけたまま年を取ってしまった……)

(そして今年も春がやってきた……)
(そしてこの場所に僕は来てしまった……)

(麻由……あの子はいったいなんだったのか?)
(ボクの思い出が見せた幻影だったのか?)


(ああ……なつかしい……暖かさだ……)
(麻由の笑顔のような……)


Bad:11 もうボクは若くない編
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