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忘却の城の最上階にて、ソラは見事にマールーシャを倒す事が出来た。 散り散りとなるマールーシャはソラに向かって
手を伸ばそうとするが、最終的に花びらと供に散りながら消滅した。 そしてソラは何も残さないまま、振り向きもせず歩き去った。

マールーシャが生み出した空間の部屋から出たソラ。 彼が出た後、ドナルドダックとグーフィーは急いで扉を閉めた。
そしてソラはキーブレードをその扉に向かせ、先から光線を撃ち出した。 扉に命中した後、鍵をかけた音がし、
光に包まれた扉はその場から姿を消した…。

ソラ「大丈夫か、リク。」
彼はリクのレプリカに振り向き、様子を伺った。
リク=レプリカ「リクじゃない。 偽物だ。 いつどこで、なんのために生まれたかも思い出せない。
         消えずに残っているのは、おまえとナミネのことだけさ。 そいつも嘘の記憶だけどな。」

グーフィー「ねえ、ナミネ。 リクの記憶を元に戻す方法はないのかい?」
ナミネ「それは---」
リク=レプリカ「俺に構うな。 もう、いいんだ。」
彼は悲しそうにそう言い、その場から離れようとした。

ソラ「待てよ!」
しかしソラの掛け声により、リクは途中で足を止めた。
ソラ「偽物だとか、そんなのもう関係ないって! ここにいるおまえは、他の誰でもない。 おまえだけの心を持ってるんだろ。
    おまえの思い出はおまえだけのものなんだから、大切にしろよ!」
励ますかのように彼はリクにそう言うが、まだ切なそうにもリクは彼に振り向いた。

リク=レプリカ「ソラ、おまえは優しいな。 おまえの気持ちは本物だって、偽物の俺でもわかるよ。 それだけでいい。」
最後に切なそうな笑みをしながら、再びその場から離れた。
ソラ「リク!」
彼はもう一度リクを呼びかけたが、それでもリク=レプリカは歩き進んだ。 暗いホールの中へと…。

ソラ「あいつ---」
歩き去るリクを見て切なそうに見送るしかないソラ、ドナルドとグーフィー。 最後にドナルドはナミネに振り向いた。

ドナルド「僕たちの記憶は戻る?」
ナミネ「うん。 思い出せなくなっても、記憶が消えたわけじゃないから。」
グーフィ「どういうこと?」
ナミネ「過去をひとつ思い出すと、一緒に別の記憶もよみがえって---やがていろいろ思い出してくでしょう?
     記憶はつながっているの。 たくさんの記憶のかけらが鎖のように連なって---人の心をつなぎとめてる。
     私の力は記憶を消すんじゃなくて、つながりをほどいて、つなぎ直すものだから、みんなの記憶は、
     消えてないよ。」
その後、ジミニー・クリケットはソラの肩に乗り上がった。
ジミニー「では、取り戻せるんだね。」
ナミネ「でもそれには、私が勝手につなぎ直した記憶の鎖を、いったんほどかないと。 それから心の奥にちらばった
     思い出のかけらを集めて記憶の鎖を元に戻すの。 時間かかると思う。 だけど、たぶんうまくいく。 ううん、
     たぶんじゃなくて、かならず。 今度は私が助ける番だから。」
ソラ「わかった。 ナミネに任せるよ。」

ジミニー「ん? ちょっと待った! この城での記憶の鎖をほどくと言ったね。 ということは---」
彼がそう問うと、ナミネは切なそうにジミニーに頷いた。
ナミネ「うん、ここで起きたことはみんな、思い出せなくなる。」
ソラ「ナミネのこともか!?」
ナミネ「ごめんね。 そうするしかないんだ。」
彼女がそう言った後、一瞬振り向いて、何歩か前へ進んだ。

ナミネ「ねえソラ、どちらかを選んで。 城での記憶をなくす代わりに、元の思い出を取り戻すか。 城での記憶を残す代わりに、
     大事な思い出をなくしたままか。」
ソラ「選ぶしか…ないのか?」
ナミネ「うん。」
彼女がそう返事すると、ソラは下を向き、考え始めた。 その間にもドナルドとグーフィーはお互い向き合い、不安の気持ちを
抱え始めた。 その後頭を上げ、自分の決意を言い出した。

ソラ「元に戻してくれ。」
彼の答えを聞いたナミネは、笑顔で彼に振り向いた。 しかしその笑顔は恐らく、作り笑いだと思われる。

ナミネ「うん、わかった! 嘘の思い出なんか、なくした方がいいもんね。 本当に大切な人のこと、ちゃんと思い出したいよね。」
彼女はそう言うが、後に切ない表情に戻る。
ナミネ「誰だって、そうだもんね。」




しばらくして、ナミネの案内により、ソラ達はある部屋に着いた。 その部屋は何もない真っ白な空間になっていて、
ただあるのは、部屋の中心に置かれてある大きなカプセルであった。

ドナルド「ここで眠っていれば記憶は戻る?」
ナミネ「大丈夫。 少し時間がかかるけど、私に任せて。」
グーフィー「でも目がさめたら、僕たちナミネを忘れてるんだよね。」
ドナルド「それじゃあ、お礼を言えないよ!」
その時、ソラの肩からジミニーが降りて来た。
ジミニ「それなら心配ない! ジミニーメモに記録しておこう。 『ナミネにお礼を言う』ってね。」
ドナルド「そっか、それだったら安心だ!」
グーフィー「じゃあナミネ、おやすみ。」
ナミネ「おやすみなさい。」
ドナルドとグーフィーはナミネに手を振り、自分達のカプセルへ歩き去った。

ナミネ「ソラも早く。」
ソラ「わかった。」
彼は頷き、自分のカプセルへ向かった。

ナミネ「私たち、嘘から始まったけど、ソラに会えて、ほんとによかったと思ってるよ。」
ソラ「うん、俺も。 ナミネに会えた時とか、名前を思い出せた時は、すごく嬉しかった。 あの時の気持ちは、嘘なんかじゃない。

ナミネ「さよなら。」
ソラ「さよならじゃないだろ! 目がさめたら、また会えるって。 そしたら今度は嘘じゃなくて、ちゃんとほんとの友達になれる。
   約束しよう、ナミネ。」
ナミネ「その約束も、忘れちゃうよ。」
ソラ「記憶の鎖はほどけても、記憶のかけらは消えないんだろ。 約束した思い出はかならず心のどこかに残る。
   そう思うんだ。」
ナミネ「そうだね。 じゃあ、約束しよっか。」
ソラ「ああ、約束だ。」

二人は最後に指きりをした。 いつか必ず再会出来ると言う約束をしながら…。 その後、ソラはカプセルの中に入った。

ナミネ「約束…か。」
彼女は自分の小指を見て、そう呟いた。

ナミネ「ソラの記憶のかけらたちは、心の闇に沈んでいて、ひとつひとつを探せないの。 でもソラには---
     大切な約束を交わしたかけがえのない人がいる。 それは君の光。 闇の中の光。 その人のことを思い出せば、
     闇に沈んでいた記憶が、みんなみんな戻ってくる。」
ソラ「大切な約束---」
ナミネ「ほら、あのお守り。 私の力でかたちは変わったけれど---ソラがあの人を思い出したら、本当の姿に戻ったでしょう?」

ソラは自分のポケットから何かを取り出した。 それは貝殻で出来た、星の形をしたお守り…。 彼がそれを手に持っている間に、
カプセルのシャッターが閉じた。




…辺りは暗い闇の中…。 闇の中にいるのは、手に持ったお守りを見続けるソラ。 その間にも闇の中から、あのナミネもいた。
彼は記憶を取り戻すために、目を閉じた。 彼の前に出てくるのは、光に包まれた数々の人物達…。 しかし、ソラは頭を振り、
更に記憶を取り戻すために再び目を閉ざした。

その後、リクの姿が見え、最後にもう一人の人物が現れた。 見覚えのあるショートな茶髪に青い瞳の少女…
彼にとっては本当に掛け替えのない存在…カイリだった。

ソラ「カイリ!」

彼がようやく彼女の名前を思い出し、彼女の名前を呼びかけると、カイリは彼に笑顔で頷いた。 そして彼女から光が現れ、
闇の空間を光に包ませた。 そこにいたのはカイリとリクだけではなく…レオン(スコール・レオンハート)、ユフィ・キサラギ、
エアリス・ゲインズブール、シド・ハイウィンド、ティーダ、ワッカ、そしてセルフィ・ティルミット…ソラの友達もいた。
忘却の城にいて以来、忘れられていた彼らの存在が、ようやくソラの記憶の中から蘇ったのだ。 そんな彼らの姿を見て、
思い出せたソラは、喜びの笑みを出した。

ソラ「みんな---」
彼が喜んでいた後、姿がかすりかけているが、ナミネの方へ振り向いた。 彼女が今まで傍にいた事を、ソラは気付いて
いなかったようだ。
ソラ「ナミネ!?」

ナミネ「大丈夫、ソラは私を忘れるけど---約束があるから、戻ってこられる。」
ソラ「約束したもんな。」
ナミネ「そう。 さっきの約束が、いつか私たちをつなぐ光になる。 だから、今は忘れても---」
ソラ「ああ。 絶対になくさない。」




スタッフロールが流れている間に、数々の映像が映りだす…。

黄昏に染まるデスティニーアイランドにて、カイリは一人、海の向こうを眺めていた。 その間に彼女の後ろには
いつものように楽しく遊んでいるティーダ、ワッカ、そしてセルフィーがいた。 しかしセルフィーは途中に立ち止まり、
海を眺め続けるカイリへ向かった。 カイリは手を胸にあて、セルフィーは不思議と心配そうにカイリを伺っていた…。

忘却の城にて、リク=レプリカは一人、孤独に暗いホールに歩いていた。 しかし彼は何かを感じ、途中で立ち止まった。
彼の前に現れたのは、黒いコートを着た赤髪の男…アクセルだった。 彼が現れた後、リク=レプリカに手を伸ばした…。

最後に未知なる世界…トワイライトタウンにて、一人の少年が歩いていた。 金髪に白い上着の少年…彼は一人、
町の中を歩いていた。 その間にも、三人の少年少女、ハイネ、ピンス、オレットとすれ違う。 すれ違った後、
金髪の少年は立ち止まり、彼らの方へ一瞬振り向く…。




スタッフロールが終わると、違う映像が映りだした…。

真っ白な部屋の中にある、長くて高い13本の椅子。 そこにはアクセルやマールーシャと同じ黒いコートを着た
6人の人物がいた。 しかしフッドのせいで、彼らの素顔が見えない…。

最後に忘却の城にて、ナミネはソラが入っているカプセルを見守っていた。 その中には、静かに眠り続けるソラの姿がいた…。




いつもの道

決まった言葉で別れ

決まった言葉で会う

二つの間にはいつも眠りがある

だからまた

いつもの言葉で別れよう

そして

君のいない世界で君の夢を見る

目が覚めたら

いつもの道で

いつもの言葉で会おう

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