ギルティギアのエンディング
ソル
ジャスティス:「……あの時と……あの時と同じ……。
またしても貴様に敗れるのか……『背徳の炎』よ!」
ソル :「……この世のギアは、一匹たりとも見逃すわけにはいかねぇからな」
ジャスティス:「貴様とて、ギアであろう!その額の刻印こそ、わが同胞の証!
何故……何故、私の命令を聞かぬ!?」
ソル :「何故ってのは、こっちのセリフだ。テメェの言うことを聞く義理が何処にある」
ジャスティス:「私は……壱号……完成形ギアの壱号だ。全てが完全故に、
私だけが……意思を持っていた。そして……いやだからこそ、
全てのギアを指揮する力を手に入れたのだ!私の命令は絶対のはずなのだ!!」
ソル :「完成形だからだ……。テメェの後に作られたシリーズは、意思を持ちうることの無い、
ある意味、真の完成形。だから、テメェの言う事を聞く」
ジャスティス:「何……?」
ソル :「プロトタイプがいるとは思わなかったのか?」
ジャスティス:「!!……クククそういうことか」
ソル :「ギアは、欲望で汚れた、人間達の意思から産まれた。だから、俺達が存在する限り、
また別の欲望を産む。今回のテメェの復活も、そんな、下らねぇ意思が実現させた」
ジャスティス:「……それで、ギアを……滅ぼすの……か?ギア……ギア・プロジェクト……
何か……懐かしい……な……遥か……以前……!?……そうか……そうか……
ククク……ソル……また……語り合おう……3人で……な……」
薄笑いともとれる表情で、孤高のギアは、息を引き取った。
ソル :「……ジャスティス……?……ああ……確かに、まだ絶対に叩いとかなきゃならねぇ
野郎がいる。俺達、ギアの産みの親……野郎だけはな!!」
そう言うと、ソルは血塗られたものを見る様に自らの手を見つめ、
目の前に横たわる犠牲者の冥福を祈った。
カイ
ジャスティス:「またしても……我は敗れるのか……」
カイ :「そうだ!悪しきが滅び逝くは世の常!!」
ジャスティス:「悪しき……?……貴様は、私を悪しきと呼ぶか。
しかし、私は、自らを存在させる為に、闘っているに、過ぎない……」
カイ :「……その為に人類を滅ぼすなど、そんな道理が通じると思うのか!?」
ジャスティス:「……見るがいい、この姿を。人を殺すことのみを目的に、人によって産み出された。
……私は兵器だ。人間にとっては、私の意思、私の心など、問題では無い。
私を利用するか、処分するかの、どちらかしか考えていない。……違うか?」
カイ :「……そんなことは……」
ジャスティス:「現に、こうして、私は彼奴の企みによって復活し……そして、貴様は、
この私を殺しに来ている……。……いずれにせよ、人間達が、
ワタシを否定していることには、変わりなかろう。しかし、私は生きなくてはならぬ。
自己を否定することだけは、避けねばならぬ。……では、私は、何が為に生きる?
私の存在する意義は、人を殺すこと。それは、私に……ギアに定められた、
行うべき正しい道義……正義だ」
カイ :「それは詭弁だ!!社会の調和と秩序の実現、それこそが神の願いであり、
正義であると、私は信じている!!それゆえ、もし何者かが……人や自然を愛し、
平和を望んで止まぬ人々の、ささやかな幸せすら奪うと言うのならば、
私は、命を懸けて、彼らを守る!!」
ジャスティス:「そうか……。ならば、私を産み出した男に、会ってみるがいい。あの男に会ってなお、
貴様は、その自らの信じる正義を語ることができるのか……?」
カイ :「な……何者だ、そいつは!」
ジャスティス:「……ククク……どうやら、滅びの刻が来たようだ……。だが、覚えておくがいい。
私が死んだところで、この世からギアは消えぬ……。あの男がいる限り……な……」
薄笑いともとれる表情で、孤高のギアは、息を引き取った。
カイ :「ま、待て!!……くっ……あの男……とは……?
私は正しいことをしていたのでは……ないのですか……?神よ……」
メイ
メイ :「僕の勝ちだね!」
ジャスティス:「……に、人間が、これ程の力を持つというのか……!?
……まさか、この子供は……ジャパニーズ!!?」
謎の声 :「おぉーっと!!それ以上、その口を動かすってんなら残り少ないオマエの寿命が、
光速で終わりを迎えることになるぜ!?」
ジャスティス:「……貴様は……?……そうか……。まだ、生き残りがいたとはな……。……ゴフッ!!」
そういうとジャスティスは息を引き取った。
謎の声 :「……忘れるんだ……オレ達のことはナ……」
メイ :「この声は……っ!?ジョニィーッ!!!みんなぁ!!」
ジョニー :「ヨウ!!ヨロシクしてたかい!?ベイベェ!」
メイ :「遭いたかった!!ずっと遭いたかったよー!!!……でも……どうして、ここに?」
ジョニー :「どうしてもこうしてもないゼ!このオレが、真面目にオリの内でジッとしてたのに、
気が付いたら、シャバですさまじい闘気が発生してっからヨ、これはコトだっつーんで、
慌てて飛び出してきたんだヨ」
メイ :「自力で?」
ジョニー :「オフコース!!オレにかかれば、どんな堅固な警備だろうとケツの穴だぜ(意味不明)!!」
メイ :「そ、それじゃ、何で、すぐに出てきてくれなかったのよーっ!?」
ジョニー :「悪かった、悪かった。そんなに怒るなヨ、ベイベェ。ちょっとの間くらい、
大人しくしてた方がいいと思っただけだゼ(……こいつぁ、警備のネェチャンが
ゲキマブだったから、なんて言った日にゃあ、殺されかねないナ……)」
メイ :「ところで、ジョニー?ジャパ……何とかって、何?」
ジョニー :「……!!……さ、さぁ?オレもよく判らんねぇナ?そ、そんなことより、久々のシャバだゼ!
御馳走は用意してあんだろうナ?!?」
クルー一同:「もちろん!!」
チップ
ジャスティス:「……何故、私は死なねばならぬのだ……?私はただ……生き延びるために……
闘っているだけに過ぎぬ……。人間よ……何故、私を殺す?」
チップ :「理由なんざ無ェ!目の前に、気にいらねェ奴が居れば、斬る……それだけの話だ」
ジャスティス:「……ただ、それだけの意思に……私は敗れたのか……?各々が持つ、生きるための
信条……それが正義であると……私は考える。他にどう思われようとも……な……
そして、貴様にとっては、それが……自らの正義……なのか……?」
チップ :「正義……?そんなもんは関係無ェ!師匠の仇討ちのために出場したはずが、
バケモン共に躍らされていた……それが胸くそ悪いってんだよ!!」
ジャスティス:「……フッ……故人への……想い……か。
兵器である……私には……縁のない……感……情……だ……な……」
そう言うと、ジャスティスは息を引き取った。チップは、横たわる、その哀しげな亡骸と、
周りが見えず、ガムシャラに荒れ、それをマフィアに利用されていた頃の自分とを、
重ねて見ていた。そして、この狂戦士もまた、一時の欲望に躍らされていた自分と、
大して変わらなかった、ということを悟ったのだった。
毅 :(復讐心に囚われるものは、大儀を見失うぞよ)
チップ :「……こんな、チャチな裏方も見破れなかったとは……師匠!!
オレは結局、バケモノ一匹の魂も救ってやれやしなかった……。
……チッ!オレも、まだまだ修行が足りねェな!」
ボルボヘッド
ボルボヘッド:「ふぅ……厄介な患者さんでしたが、今度こそ、皆さん、診察終了ですね」
ボルボヘッドの眼鏡に、崩れ落ちるジャスティスの姿が映り込んだ、その時、
「きゅ、救世主だ!!」
「すごい奴だ!」
「ありがとう、ありがとう!」
「世界は救われたんだぁ!!」
沸きあがる、狂喜乱舞の大歓声!!
ボルボヘッド:「何と!まだ、こんなに患者が残っていたのですか!?……仕方ありませんね。
病に悩む全ての人を、幸せにすることこそ、医師たる者の至福!!みぃ〜んな、
手術して、あげましやう!!イーヒヒヒヒヒヒヒ!!!」
しかし、世界を救った英雄とばかりに、心から彼を慕う民衆の歓声は、
在りし日の天才、DR.ボルボヘッドの記憶を、徐々に呼び覚ましていった。
ボルボヘッド:「こ……この声は……私を……呼ぶ声……?」
<……………………>
<……んせい?>
<……ねぇ、先生!>
<……先生……私、元気になれるのかな?……そうしたら、私……>
「私……?……私は何をした……?……あの娘に……何を……私は……殺した!!
メス……注射器……冷たくなっていく……身体……イ……イヒヒヒヒィ!!」
<先生!!!!>
<……先生、もういいの……。自分を……責めないで……。
みんなは、待ってるの。先生のこと、待ってるんだよ……>
「う……?うおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
ボルボヘッドは、苦悩の表情を浮かべ,闇夜へと姿を消して行った。
その後……凶器の殺人鬼ボルボヘッドが現れることは、二度と無かった。
ただ、神技の如き腕を持つ、流浪の闇医者の噂が、絶えることなく続いたと云う。