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ファイアーエムブレム聖戦の系譜・エンディング(シグルド編)

 5章「運命の扉」のラストで、前半シナリオのエンディングでもあります。
 仲間が全員生存している前提でテキストを進めます。

(ここまでのあらすじ)
宰相レプトールの策略により、グランベル王国から「反逆者」の汚名を着せられた主人公・シグルド。シレジアに匿われていたが、ランゴバルト・レプトールを迎撃するためシレジアを出陣する。
ランゴバルトを討ち取った後、息子・セリスをオイフェたちに託しイザークへと落ち延びさせる。それは後に待ち受ける運命を予感してのことなのかは定かではない。
一方イード砂漠ではキュアン・エスリン夫妻が娘のアルテナと共に部下を引き連れ援軍に向かったが、トラバント率いるトラキア軍の奇襲でキュアン・エスリンは戦死し、ゲイボルグはアルテナと共にトラバントに奪われてしまう。
そして、レプトール率いるフリージ軍と対峙するが、後背のヴェルトマー軍が突如寝返り、フリージ軍に刃を向ける。シグルド軍はその隙を逃さず、仇敵レプトールを討ち取る。
ヴェルトマーの将軍・アイーダからアルヴィスの真意を伝えられ、凱旋式へと招待されるシグルド軍。それが未曾有の悲劇の始まりだとはシグルド軍の誰一人とて知らない…

 バーハラ城の前。グランベル軍の全軍がシグルド軍を出迎える。
 その中にはヴェルトマー公・アルヴィスの姿もあった。
アルヴィス「シグルドどの、晴れての凱旋、めでたいことだ」
シグルド「これはアルヴィス卿、わざわざお迎えいただきおそれいります。ところで、陛下はどちらに?」
アルヴィス「陛下はおもいご病気で、もはや身を起こすこともかなわぬ。よって、今では私が政務のすべてを代行している」
シグルド「そうだったのですか。それはお気の毒なことです。私のことでも、陛下にはずいぶんご心痛をおかけしました。後ほど王宮にまいり、おわびをいたします」
アルヴィス「それにはおよばぬよ」
シグルド「えっ?」
 驚愕するシグルドを前に、アルヴィスは冷酷に言い放つ。
アルヴィス「卿には反逆者としてここで死んでもらう。王に目通りはかなわぬ」
シグルド「な、なんと…アルヴィス卿、それはどういうことです!」
アルヴィス「ふふふ…いまごろ気づくとは、貴公も甘いな。貴公は父親のバイロン卿と共謀して、王家のさんだつを謀った。その事実になんら変わりはないのだよ。私は王女ディアドラの夫として、貴公を討伐せねばならぬ。シグルドよ、悪く思うなよ」
シグルド「王女ディアドラ!?……それは…」
アルヴィス「そうか、貴公はまだ知らなかったな。めいどのみやげに、わが妻をしょうかいしておこう。ディアドラ、来なさい」
 バーハラ城から、兵士に連れられて一人の女性が姿を現す。
 それは見紛うことのない、シグルドの妻・ディアドラであった。
 アグストリア北部・マディノ城の戦いに赴いていた時に行方知れずになっていたが、まさかここで再会するとは…
アルヴィス「ディアドラ、この男が君の父上を殺したバイロン卿の息子、シグルドだ。うらみ言の一つでも言ってやれ」
ディアドラ「この方が…シグルド…さま…」
シグルド「え? ディアドラ!?……まさか…」
ディアドラ「……なぜそのように…わたしを…」
シグルド「ディアドラ、そうだね! きみなんだね!!ああっ…」
ディアドラ「わたしを…ごぞんじなのですか……」
シグルド「きみは! きみは私の…」
アルヴィス「もういい。ディアドラ、下がっていなさい。この男は危険だ。反逆者として処罰しなければならない」
ディアドラ「でも…この方は…おねがい、もう少しお話を…」
アルヴィス「だめだ、おい誰か、姫を安全な場所へ!」
ディアドラ「待って! アルヴィス様…もう少しだけ…」
 ディアドラは兵士の手によってバーハラ城に連れ戻される。
 これが、シグルドとディアドラの最後の対面となった…
シグルド「ま、待て!! ディアドラ!!アルヴィス、頼む!あのひとは、私の…」
アルヴィス「もういい、何も言うな!よし、全軍に告ぐ。反逆者シグルドとその一党を捕らえよ。生かしておく必要はない。その場で処刑するのだ!!」
シグルド「アルヴィス! …きさま!!」

 周りを取り囲んでいたグランベル軍から炎の魔法・メティオがシグルド軍めがけて降り注ぐ。
 そしてアルヴィスが伝説の炎の魔法・ファラフレイムをシグルドに向け唱える。シグルドは愛する人との再会も束の間、非業の死を遂げる…
 他の仲間たちは、仲間や愛する者を守るために壮絶な死を遂げたのかどうかすら定かではない。

(画面はセピア色に変わる)

かくして、ひとつの時代は終わった

イザークへの遠征に端を発した
グランベルの動乱は
一人の若者を数奇な運命へと導き
そして、いくたの悲しい物語と共に
はかなくも消えた

戦い途上において、傷つき倒れた者

レンスターの王子、キュアン
その妻、エスリン
そしてシアルフィの公子、シグルド

また、最後まで
シグルドとともにありながら
バーハラでの戦いに敗れて、
生死不明の者

シアルフィの騎士、ノイッシュ
シアルフィの騎士、アレク
シアルフィの重騎士、アーダン
ドズルの公子、レックス
ヴェルトマーの公子、アゼル
イザークの王女、アイラ
ユングヴィの公女、エーディン
ユングヴィの弓騎士、ミデェール
ヴェルダンの王子、ジャムカ
ノディオンの王女、ラケシス
自由騎士、ベオウルフ
剣闘士、ホリン
盗賊、デュー
シレジアの王子、レヴィン
シレジアの天馬騎士、フュリー
旅の踊り子、シルヴィア
エッダの司祭、クロード
フリージの公女、ティルテュ
ユングヴィの公女、ブリギッド

若者達は、理想を求めて戦った
しかし、そのゆめもかなわぬまま
戦場に散った

彼らの戦いが
いったい何であったのか

そして、光は………

(第6章「光を継ぐもの」へ続く)

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