戻る TOPへ

ペルソナ2罪…エンディング…


シバルバーから普遍的無意識世界へワープさせられた達哉(主人公)、
栄吉、ギンコ、舞耶、淳の5人。死闘の末、グレートファーザー(ラストボス)を倒した後から…。

グレートファーザー「これほどまでとはな…。お前たちが育んだ力、しかと見届けた。よくやった。」
そう言って、姿を偽檀原(淳の父)に戻ったニャルラトホテプ。
そこへ一筋の光と共に、謎の仮面の人物、フィレモンが現れた。
フィレモン「父を演じ、情が移ったか?這い寄る混沌…。ニャルラトホテプよ。これで私の言ったことが理解できたはずだ。」
ニャルラトホテプ「フッ…、確かにこいつらならば、我等にとっても、良い観察結果をもたらすかもしれんがな…。」
ギンコが二人をきっと睨みつけて言った。
ギンコ「何をを言ってるの?…フィレモン!?」
フィレモン「我々は、人々の心の源、普遍的無意識の化身であり、表裏一体の存在なのだ…。我々はずっとここから人の営みを見てきた…。私は、強き心持つ者を導き、這い寄る混沌は弱き者を奈落へ引きずり込むために。全ては、矛盾を抱える人の心が、完全なものとして、進化することが出来るのか、その結果を見極めるためだ。諸君は、その可能性を示した。君たちのような人間が増えれば いつしか人は、己の存在意義を知る、完全な存在になれるだろう。」
舞耶「全部…全部…、あなた達が仕組んだことなの!?」
ニャルラトホテプ「『貴方』と云って欲しいものだな。こいつは、見ているのが関の山だが、私は違うぞ。」
と、そこへ突然、聖槍を持った教師・岡村真夜(通称・イデアル先生)が現れ、振り向いた舞耶の腹部を、その聖槍で貫いた。
舞耶「どうし…て…?」
と、その場へ倒れこむ舞耶。駆け寄る4人。達哉が舞耶を抱き起こし、ギンコが傷を治す魔法を唱え続けた。
栄吉「ちくしょう!!ギンコォ!!早く魔法でなんとかしろぉ…!!」
ギンコ「やってるよぉぉ!!でも、でも…血が止まんないんだよっ!!どうして…どうして…魔法が効かないのっ?!フィレモン!?」
泣き叫ぶギンコ。
フィレモン「ニャルラトホテプよ、貴様、このために聖槍の伝説を…。」
ニャルラトホテプ「かつて、その槍で貫かれたイエスの遺体からは、止めどなく血が流れつづけたそうだ。お前たち人間が、二千年も語り継いできた伝説…。『噂』だよ。致命傷なら、さぞかし効果もてき面だろう?」
達哉の腕の中で、苦しそうに息づく舞耶。
舞耶「私…忘れられる…より…もっと…哀れ…な…女が…わかった…わ…それは…人を…縛る…女…みんな…私のことは…早く…忘れなさい……。」
栄吉は激しく首を横振り、わざと笑いながら、
栄吉「や…やだな〜舞耶ネェ!!こ、今生の別れじゃあるまいし…。お、俺のデビューライブ、見てくれるんだろ?」
ギンコも涙を拭いて、
ギンコ「そ、そうだよぉ…。こんなの…すぐ治るよ!!服…汚れちゃったから、今度は私が選んであげる…。一緒に買い物行こ…約束ね…。」
と、笑って見せた。淳は舞耶の元にひざまづき、
淳「ぼ、僕のお気に入りの場所にも、みんなを招待するよ…!いろんな花が咲いていて…とても綺麗なんだ……。」
舞耶は少し微笑を浮かべ、
舞耶「あ…ありがとう…みんな…本当……逞しく…なった…よね…?ほら……そんなに泣いたら…ウサギ…さんに…笑われちゃう…ぞ……?」
ウサギ…それは舞耶が幼い頃から大切に持っていたお守りのマスコットのことだ。達哉は黙って、ただうつむいた。
舞耶「いい…?誰にも…自分で夢を…叶える権利が…あるわ……大丈夫…みんななら…しっかり…夢…掴むのよ……。」
そう云い終えて、舞耶は息絶えた。抱き寄せる達哉。
その様子を冷たい眼差しで、フィレモン・ニャルラトホテプ・イデアル先生は見ていた。
ニャルラトホテプ「クク…誰でも夢を叶える権利があるか…。最後まで幻想に浸り、自分と同じ名の女を捧げた。これが、この女の夢だ!!」
そういってニャヤルラトホテプは、イデアル先生を指差した。
ニャルラトホテプ「それに免じて、お前たち人間が望んだ滅びの夢を叶えてやろう!!」
ニャルラトホテプがそう叫んだ。

―…遥かなる大宇宙…。その中のひとつ地球。核爆発のようなうな焼けるようなオレンジの光の柱がそれを貫き、ビルも、山も、人も、車も、跡形もないほどに砕け散った……―。

ニャルラトホテプ「フハハハハハハハハハハハハッ!!お前たちはひとつ大きな事を学んだぞ。どうにも出来ないこともあるという世の理をだ!」
声高らかに笑いながら、ニャルラトホテプは続けた。
ニャルラトホテプ「私は、お前たち全ての人間の影だ。人間に昏き心がある限り、私は消せん。這い寄る混沌の、最後の試練を受け取れ!!」
そういってニャルラトホテプは再びグレートファーザーに姿を変えた。切りかかる達哉。しかし、その瞬間、ニャルラトホテプとイデアル先生は、光の中へ消えてしまった。ただ呆然とする4人。そんな4人にフィレモンがこう言った。
フィレモン「一つだけ、その現実を変える方法がある…。それは、諸君があの夏の日の夜、出会った事実を消し去ることだ…。彼奴が紡いだ悪しき因果の糸は全てあの日より始まっている…。その一点さえ消し去れば、このような悲劇の起きぬ、あの日から別れた、別の時間軸と世界が生まれるだろう…。」
あの夏の日の夜とは、まだ5人が幼かった頃、アラヤ神社の縁日で偶然5人が出会った、あの日のことである。
栄吉「そんなことが、出来るのか?…」
フィレモン「もともと人の心の中には、現実の流れを変える大きな力がある。シバルバーや水晶髑髏の幻想に頼らずとも、諸君の強い意志と行動こそが、唯一現実を変えるエナジーとなるのだ。そう…諸君が属する宇宙を生んだ力さえも諸君の心の力と同じもの…。この普遍的無意識の世界では、それが可能だ。」
淳「全てをリセットしろ…そういうことか……?僕たちの記憶や思い出…全てと引き換えに………。」
ギンコ「みんな…忘れちゃうってこと…!?そんなぁ…そんなのイヤだっ!!他に方法はないの!?」
フィレモン「彼奴の力が強いこの世界では方法はない。無意識に破滅を望む人々の昏き想いが彼奴の力の源だ…。彼奴を抑えるならば人そのものが変わらなければならない…。その新たな世界を君たちが創るのだ。」
淳「僕は…忘れない…忘れるものか…。」
栄吉「あたりめぇだ…忘れてたまるかょ…!!やろうがそこまで仕組んだッてんなら、乗ってやろうぜ…。これ以上、思い通りにならねぇって、教えてやる……。」
ギンコ「絶対…また会えるよね…?」
頷く淳と栄吉。達哉は黙って後ろを向いたまま、お守りにしているジッポのライターのふたをカチンと鳴らした。
フィレモン「では、自分があるべき姿を強く思い描きたまえ…。意志する力が諸君を新たな現在へと導くだろう。」
淳が、栄吉が、そして舞耶が光となってその場から消えていく…。足早にギンコが達哉に歩み寄り、キスをした。
ギンコ「おまじない…これできっと、達哉のこと、忘れないよ…。」
涙をこらえて微笑むギンコ。やがてギンコも光となり、消えた。
フィレモン「さて、しばしの別れだ。最後に言っておきたいことはないかね?」
フィレモンの言葉に、達哉は 振り向きざま思い切りフィレモンの顔面を殴った。(殴ると礼を言うの選択肢あり)するとフィレモンの仮面が外れ、あらわになったその顔は、達哉に瓜二つであった。
フィレモン「私は全ての人間の、意識と無意識の狭間に住まう者…私は君で、君は私だ……いつまでも、君の中で君を見守ろう。さらばだ……。」
達哉もまた光になり、消えた。

栄吉「いろいろあったけど、またもとの世界に戻ったら、今度こそバンドのメンバーに入れてみせっからな。男と男の約束だぜ!」

ギンコ「情人(チンヤン・・・愛する人の意)……、私を 忘れないで…大好きよ。」

淳「僕は忘れない、君のことも、みんなのことも。また会おう。そして今度こそ、舞耶姉さんを守るんだ。だから さよならは言わないよ。そのかわり…ありがとう…。」

そう言いながら、それぞれのあるべきところへと 運ばれていった…。


大宇宙……そこに先ほど破壊されたはずの地球が、青々と輝いている。

セブンス(七姉妹学園) 駐輪場
達哉がバイクの修理をしている。そこへ男子生徒がやってくる。
男子生徒「よう 達哉、冴子先生がお前の事探してたぜ?進路指導だって……なんだ?バイク、いかれちまったのかよ?」
バイクを見る男子生徒。
男子生徒「あーあ、だめだなこりゃ。お前、そんなに器用じゃないんだし、電車で帰れよ。じゃ、ちゃんと伝えたぜ。」
そういって立ち去る男子生徒。入れ替わりに達哉の担任、冴子先生がやってくる。
冴子先生「やっとみつけたよ、周防。もう逃がさないからね。さぁて、ぶっちゃけた話、あんた、もう進路は決めたの?」(うんかまだの選択肢有り)
冴子先生の言葉に、首を縦に振る達哉。
冴子先生「そう!今はそれだけ聞けば十分。その続きは明日の進路面談で聞くからね。」
そう言って冴子先生は行ってしまった。その様子を駐輪場の奥の自転車の陰から頬を赤らめてじっと見ている女子生徒がいる。ギンコだ。
ギンコの友人、麻美と未歩がそっと後ろからギンコに近づいてきた。
麻美「あら、リサ(ギンコの本名)、こんなところでなにしてんの?」
驚いたギンコは、
ギンコ「え、えーとぉ…、そ、そろそろ二人がくる頃かなぁって!!待ってたんだよ、やだなあ!!!」
と、おろおろしながら答えた。
未歩「あー、周防先輩だ〜。なんか最近、カッコよくなったよねー?」
遠くにいる達哉に気づいて未歩が言った。
ギンコ「そ、そうかな?なんか、変な頭じゃん?」
赤い頬をますます赤くしてギンコが言った。
ギンコ「ほ、ほら、そんなことより早くカラオケ行こうよ〜!三人でデビューすんでしょ?」
ギンコの言葉に頷き、立ち去る二人。その後ろを、達哉の方を振り返りながらギンコが追う。

スマルプリズン(栄吉が入り浸っているライブハウス)
栄吉と ケン他の二人の子分がバンドの練習をしている。4人は春日山高校に通っている。
栄吉「だー!!ダメー!!お前等音楽性ゼロ!!」
ケン「当たり前じゃねーすか。楽器なんて中坊んとき、笛吹いたのが最後なんだから…。」
頷く他の二人。そこへ栄吉の幼馴染の雅が、パンやジュースを持ってやって来る。
雅「精が出ますね。差し入れ、持って来ました。」
微笑む雅。
栄吉「おう、雅。いつもわりぃな。じゃ、休憩にすっかな。」
4人は雅の差し入れにぱくつく。
ケン「そうだ、ミッシェルさん(栄吉のあだ名)、セブンスの周防達哉って知ってます?なんでも、セブンス1のいけてる奴で、ルックスも女子の人気も申し分ないって話です。そいつ、誘ってみたらどうすかね?」
栄吉「知ってるか?雅?」
雅は、セブンスの生徒である。しかし、雅は首を傾げた。
栄吉「そうだなぁ、ちょうどメンバー探してたとこだし、会ってみっかなぁ。」

珠阯レTV局ロビー
ソファーに淳の母(女優)が腰掛け、傍に淳が立っている。
淳「良い演技だったよ、母さん。」
そういって、花を差し出す淳。
淳の母「ありがとう、淳。スイートピーね、これ?」
にっこり微笑んで受け取る母。
淳「進路…教育学部に決めたよ。父さんみたいな、教師になるんだ。」
淳の母「そう!父さんも喜ぶわ。腕によりをかけるから、今夜は 久しぶりに3人で食事をしましょう。それじゃ、母さん、もう少しかかるから、先に帰っててくれる?」
微笑みあい、頷く淳。


蓮華台の駅前。

栄吉と雅、ギンコ、ゲームの序盤パーティーにいた黛ゆきの、淳がそれぞれ別の方向から、何者かに導かれたごとく、集まるように現れる。そこへ、右からゆっくり達哉が歩いてくる。改札に差し掛かった時、慌てて走り出てきた舞耶とぶつかる達哉。しゃがんで散らばった荷物を拾い上げる二人。と、ウサギのマスコットを拾って、達哉が舞耶に渡そうとしたそのとき、出会ったことのないはずの二人は、どこか懐かしさに包まれて、しばし見つめ合う。

交差点の向こう側から、それを見届けたかのように、フィレモンの化身、黄色い蝶が都会の雑踏に飛び去ってゆく。 空・・・ビルの狭間に、飛行船が飛んでいる………。

スタッフロール

「ATLUS」の文字

(そして 最後に…)
「いつも きみのとなりに……」


 END

inserted by FC2 system