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(ラストに至るまでのあらすじ)
時は平安時代。大江山に巣食う鬼・朱点童子の手によって京は壊滅していた。
源太とお輪という2人の強者は大江山に討伐に向かうが、源太は騙し討ちに遭い殺され、お輪は生死が知れず、2人の間に生まれた子供の復讐を恐れ朱点はその子に短命種絶の呪いをかけた。
常人の数倍の早さで成長し2年も経たず死に至り、そして種絶の呪いのため人間と交わり子を残すことが出来ない。神々はそれゆえその一族の当主となった子供に「交神の儀」という形で手助けをし、子を残させることにする。
かくして、一族の者たちはいつか短命種絶の呪いが解ける日を信じて朱点童子打倒のため、その短き人生を激しく生きることとなった。
時は過ぎて大江山で朱点童子を倒すが、その体から一族の者達に助言を与えていた少年・黄川人(きつと)の姿が現れる。
彼は大江山に都があったことや彼の両親の辿った末路、そして自分が朱点童子と呼ばれていた鬼の中に閉じ込められていたことを語り、復讐の念を吐き出す。そう、真の朱点童子は黄川人であったのだ。それと共に新たなる鬼討伐の戦いも始まろうとしていた。
朱点童子がそれぞれの迷宮に残した7本の髪を倒した時、京の近くに「地獄巡り」と呼ばれる迷宮が現れた。地獄を模したその迷宮の奥に進撃する一族の者達。この戦いに勝利することが呪いから解けると信じて…

(本文)
 地獄巡り・修羅の塔最上階。
 かつて初代当主の父・源太と共に大江山に朱点童子討伐に向かい、生死不明となった初代当主の母・お輪の姿が見える。
お輪「あッ…
   おまえたちは… まさか…」
 その時、どこからともなく笑い声が聞こえてくる。
 一族の仇敵・朱点童子だ!
朱点「やあ、久しぶり!
   長きイバラの道を 自ら選び
   ここまでやって来た 君たちの意気地、
   いやあ 実にすばらしい!
   その地道な努力に 敬意を表し、
   今日は特別に ボクたちの秘密を
   ひとつ教えてあげるよ
   君たちが今まで 倒してきた鬼や
   魔物たち、なかなか手ごわかったろ?
   同じ術を 使う奴までいた…
   偶然だと 思うかい!?
   クククク… さあ紹介しよう!
   その強さの源だ!!」
 そう言って朱点童子は、お輪の髪を引っ張り無理やり起き上がらせた。
朱点「京を滅ぼす ボクの夢のために
   いろんな鬼や 魔物を
   いっぱい 産んでくれた…
   我らが 母さんだ!!」
お輪「うッ……」
 お輪は呻くが、朱点童子はふざけた態度で、
朱点「おやぁ…?
   ボクの母さんが 君たちの
   知り合いの誰かに 似てたかな?
   アハハハハハ、ハハハ…
   さーてと、母さんの前だ、
   今日は イイとこ見せないとな!
   い〜く〜ぜえッ!!」

 そして朱点童子及び八ツ髪との戦いが始まる。
 朱点と八ツ髪の連携攻撃に苦しめられるも、結束力は一族のほうが上手だった。どちらかが倒れるとあっさりと戦いは終わった。まるで何かを予感させるように…
 戦いの後にお輪を縛っていた鎖は自然に切れ、お輪は倒れる。
 一族はお輪の元に駆け寄り、彼女を囲む。

お輪「ありがとう…
   やっと 終わったんだね…
   朱点から ふたつの呪いの話を
   聞かされてからは
   毎日が地獄だった…
   朱点を倒すために (初代当主名)を生んだこと
   何度後悔したか、できるなら
   代わってやりたかったよ…
   でもあたしたちは 死ねないから…
   それにいつか こんな日が来るって
   心のどこかで 期待してた…
   ああ… 信じてよかった!
   よーく 顔を見せとくれ!」
 この戦いに参戦していた一族の者達の顔が映し出される。
お輪「あッ………………
   そっか……、そうだよね……
   あたしの (初代当主名)は
   もう この世にはいないんだね…
   あたしったら バカだね、
   頭では わかってたつもりなのに…
   そっか…… そうだよね、
   だから代わりに おまえたちが
   ここに いるんだもんね
   そうだよね…………
   でもおかげで…………
   自分の血を分けた 子孫の
   こんなに 立派な姿を
   見ることができた!
   いつか うちのヒトや(初代当主名)に
   あの世で 会ったとき、
   胸を張って 報告できる!
   本当にありがと…
   今日まで よく頑張ったね」
 その時、どこからともなく朱点童子の笑い声が高らかに響き渡る。
朱点「いいねェ、生き別れた母親と
   その子孫の 感動のご対面!
   あぁ… 泣かせるねェ
   ちょっと くさかったけど、
   幕間の寸劇としては 悪くなかったよ
   さーてと、役者も揃ったところで…
   第2幕の始まり、始まりィ!」
 何の冗句か拍子木が鳴らされる。
 一族の者達は朱点童子の声の出所を探すが、
朱点「こっちだよォ!」

 気付くとお輪の足元の地面から両手が出現し、お輪の脚を広げる。
お輪「あッ…」
 黒い影がお輪の中に入り込む!
お輪「ギャあああああ…!!」
 お輪は倒れ腹は臨月の妊婦のように脹らむが、そこから朱点童子の声が。
朱点「へへ…
   ここは あっかくていいや」
 取り憑いた朱点童子、ふざけた口調で一族の者を挑発する。 
朱点「さあ、どうだ!?
   ボクを殺せば、
   この女も一緒に お陀仏だわよン
   あーら、どーしたの?
   かかってこないのかしら?
   じゃ、こっちは勝手に 戦闘準備を
   させてもらうゼ、へへへ…
 そしてその姿は巨大な悪鬼・阿朱羅に変貌するが、お輪の顔だけは胸のあたりに残っていた。
 朱点の顔が現れ、またもふざけた口調で、
朱点「弱点は ここだわよ
   さッ、遠慮なくグチャグチャにして〜ン」
 その時お輪が目覚め、決意を込め叫ぶ。
お輪「斬れッ!
   この鬼を殺してッ!!」
朱点「そんなひどいコト言うなよ、
   母さん…
   ふたりで力を 合わせてさあ!
   こいつらを ぶち殺してさあ…!
   その後でまた、
   優しく抱いてくれよ、母さん…
   ボクのこと、
   愛してるって 言ってくれよォ……」
お輪「は、早く!! 迷うなッ!! ヤれッ!!」
朱点「みんなで 地獄に堕ちようよ!
   ねッ、母さん…」
 そして飛び掛ってくる阿朱羅。最後の戦いが始まる!

 お輪が自分の力を与えたおかげで先ほどの戦いの傷は全快したが、阿朱羅は猛攻を加えてくる。
 しかし一族の者達も、これでこの戦いを終わらせるため、そして一族に掛けられた短命種絶の呪いから解放されるため、全ての力を振り絞って各々の得物を振るい、一族の者が閃いた奥義を迷い無くその身に叩き込む!
 長い戦いの果て、ついに阿朱羅も倒れる!

 全ての戦いが終わった後、赤ん坊の元気な泣き声が聞こえ、お輪が赤ん坊を抱いていた。服も先ほどまでとは異なり、まるで女神のようだ…
お輪「おぉ、よしよし
   いいコだね
 赤ん坊は笑い始める。
お輪「…ありがと、もう大丈夫よ
   ほら見て、うふふ…
   この子、誰だかわかる?
   そう、あの子よ!
   たぶんこれが ホントの姿!
   これなら 神様も気づきゃしない
   それに母親の元へ 帰るのを
   誰も止められやしないよ
   それでも ウダウダ
   難癖つけるようなら…
   あたしが 神様のケツに
   一発ずつ 蹴りィ入れてやる!!
   ……もういいのよ
   みんな、チャラでいいのよ
   だって、ほら、フフ…
   こんなに かわいいんだよ!
 赤ん坊の姿になった朱点童子は再び泣き出す。
お輪「おぉ、よしよし
   いい子、いい子…
   直に 母さんのところへ
   連れてって あげるからね
 赤ん坊の朱点は安心して眠りだす。
お輪「悲しまなくていいのよ
   子供たちが ひとりでしっかりと
   歩いて行くのが 確かめられれば…
   人間(ひと)は いつだって
   死を 受け入れられるんだから
   そりゃ、血を分けたおまえたちの
   行く末を ずーっと見ていたいけど…
   それは 誰にもできない
   でも… あたしは信じてるわ!
   おまえたちなら、どんな悲しみも
   必ず越えてゆく!
 そして、お輪たちの姿は光となって天に昇ってゆく。
お輪「大丈夫!
   おまえたちの 子供たちも、
   その子供たちも…
   大丈夫よ!!!!
   元気でね!」
 お輪の声が消えると共に、青空が広がっていた。

(一族の者達の紹介、スタッフロールを経てメッセージが出ておしまい)

−俺の屍を越えてゆけ・完−

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