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英雄伝説V―白き魔女―のエンディング

ラップじいさんと再会するクリスとジュリオ。
ジュリオ「あっ、ラップじいさんだ。」
ラップ「本当にごくろうじゃったのう。」
ジュリオ「ねえ、ラップじいさん。
     ラップじいさんって…。」
ラップ「なんじゃね。」
ジュリオ「………。
     ゲルドは…白き魔女は、
     この世界のために命を落としたけど、
     それで良かったのかなあ…。
     後悔なんかしてなかったのかなあ?」
クリス「それに仲間から裏切り者扱いされる道を
    自分から選んだわけでしょ?
    きっと辛かったと思うわ。」
ラップ「そうじゃのう。
    じゃがきっと辛いばかりではなかったさ。
    お前たちに聞くが、巡礼の旅はどうじゃった?」
ジュリオ「巡礼の旅?
     うん。始めはどうなるかと思ったけど、
     すっごく面白かったよ。」
クリス「たくさんの人にも巡り会えたし、
    素晴らしい思い出もたくさんできたわ。」
ジュリオ「ひどい目にも、ずいぶんあったけどね。」
ラップ「うむ。
    それと一緒じゃろう。
    人は辛い思いをしても、楽しいと思える心がある。
    だから一度でも幸せだと思える瞬間があれば、
    その人の人生は幸せだったのじゃよ。
    たとえ、それが死んだ後であってもな。
    白き魔女が残した道をお前たちが通ってくれた。
    ゲルドは後悔などしてはおらんさ。」
ジュリオ「クリス。ボクたちあの山のずっと向こうまで
     行ってきたんだね。」
クリス「うん。
    メナート、チャノム、アンビッシュ、
    ウドル、フュエンテ、ギドナ、それにオルドス。
    いろんな町や村があったわね。」
ラップ「世界はまだまだ広いぞ。」
ジュリオ「うん。
     今度旅をすることがあったら、
     大蛇の背骨の向こう側や
     ガガーブの向こうにも行ってみたいなあ。」
クリス「もし機会があれば異界にだって…。」
    私、ゲルドの生まれた世界を見てみたいわ。」
ラップ「よほど旅が気に入ったみたいじゃな。
ジュリオ「ラップじいさんは異界に行ったことだって
     あるんでしょ?」
ラップ「まあな。」
ジュリオ「どうして、そんなすごい人だってことを
     みんなに黙ってるの?」
ラップ「ほほう、そうきたか。
    いいかね、ジュリオにクリス。
    これからは修行を積んだ魔法使いが悪い竜を倒したり、
    腕っぷしの強い剣士が剣一本で国王になるような時代じゃない。
    それで事が収まるような単純な世の中では
    なくなりつつあるのじゃよ。
    これからは一人一人が自分の持つ才能を役立て、
    それぞれの暮らす場所で、みんなのためになるよう頑張る。
    そうでなくてはいけないのじゃ。
    そのためには伝説の英雄などというものは邪魔なだけじゃ。
    これからは大地に根をおろした力こそが必要なのじゃよ。
    ゲルドの心のようにな。」



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二つの旅があった。
昔、白き魔女と呼ばれる娘がティラスイールを旅した。
異界から来た魔女は孤独な巡礼を続け、一筋の希望の道を残した。


ガガーブの先に世界はなく、大蛇の背骨の果てにも、
世界はないと信じられていた時代の終わりに、
ジュリオとクリスは巡礼の旅をした。


二人は白き魔女の残した希望の道を通ってきた。
道は20年の歳月を隔てた今もそこにあった。


最大の災いラウアールの波。
二つの巡礼の旅は多くの人々の力に支えられ、
災いの波から二つの世界を救った。


ときにガガーブ歴992年。
ティラスイールに新世紀の足音が聞こえ始める
冬のことだった。



−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−



白き魔女と呼ばれる娘がティラスイールを旅した。
魔女の名はゲルドと言った。

                          THE END

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