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遊戯王デュエルモンスターズGXの第1話


童実野町。1人の少年が走っていた。

彼の名は遊城十代である。

十代「うわあーっ、遅れる遅れる遅れる!! こんな大事な日に限って、電車が遅れるなんて。いや、エキサイティング!! これは俺に与えられた試練なんだ。があーっ、待ってろよ、デュエルアカデミア!!」

一方、遊戯(顔の公開なし)が歩いていたその時、十代が遊戯にぶつかりそうになる。

十代「うわっ、危ない!!」

案の定、十代は少年とぶつかってしまい、デュエルディスクとカードを落としてしまったのでそれを拾う。

十代「ごめん」

遊戯「君、デュエルをやるのかい!?」

十代「ああ、デュエルアカデミアを受験するんだ。えへへ、あ…あなたは」

遊戯「ラッキーカードだ。こいつが君のところに行きたがっている」

十代「え? あ、ありがとう」

遊戯「頑張れよ」

十代「はい。あ、あの…ありがとうございました」

遊戯は親指を立てて去る。

十代がもらったカードは『ハネクリボー』だった。

『クリクリ〜〜』

十代「え? あー、やっばーい!」

十代はカードをしまって再び走り出す。



遊戯を継ぐ者
TURN−01




ナレーション「その日、エリートデュエリストを要請する学園・デュエルアカデミアの実技試験が海馬ランドで開かれていた」

受験デュエルを見るのはクロノス・デ・メディチある。

『レッグル』が受験者・丸藤翔に攻撃する。

他でも試験デュエルが行われていた。

ナレーション「デュエルアカデミアの入学試験は筆記と実技に分けられている。筆記試験で先発された受験生だけが実技試験に進めるのだ」

一方、受験会場では時間が来たので締め切ろうとするが。

「待った――!!」

今の声に驚く試験管と受付係。

草村から十代が出てきた。

十代「受験番号110、遊城十代。セーフだよね!?」

一方、試験会場では。

翔「ふーっ」

十代「お、やってるやってる」

1人のデュエリストが受験を受けていた。

彼は三沢大地である。

三沢の場には『ブラッドヴォルス』が、試験官の場には『ビッグシールドガードナー』『機動砦のギアゴーレム』がいた。

試験官「いかに優秀な君でもこの超守備デッキの前には私のライフポイントをこれ以上削る事はできない」

三沢「罠カード『破壊輪』発動! この罠カードはフィールド上の表側表示で存在するモンスター1体を破壊しお互いにその攻撃力分のダメージを受ける」

三沢の『ブラッドヴォルス』の首に破壊輪が装着され、爆発する。

三沢3200→1300

試験官1900→0

試験官「試験デュエル終了。おめでとう、君の勝利だ」

三沢「ありがとうございました」

万条目準が生徒たちとその光景を観ていた。

生徒A「受験番号1番の三沢大地はなかなかやりますね」

生徒B「噂を聞いて実に来たかいがありましたね、万条目さん」

万条目「ナンセンス。所詮入試デュエルなど、レベルを低く設定されているもの。学園から出てきて損したぜ。オンリーワン、デュエルアカデミアに2人のキングは要らない」

十代「あの1番、見事なコンボだったな」

翔「そりゃそうさ。受験番号1番。つまり筆記試験第1位の三沢君だよ!?」

十代「ふーん、受験番号はそういう意味か」

翔「合格は筆記の成績とデュエルの内容で決められるんだ。デュエルには何とか勝ったけど受験番号119の僕じゃ受かるかどうか」

十代「心配すんな、運がよければ合格するさ。俺だって110番だ」

翔「君も受験生!?」

十代「ああ」

翔「でも100番代のデュエルはもう1組目でとっくに終わったよ!?」

十代「え?」

試験管A「三沢君は審議の必要もない。決まりだな」

試験管B「うん。彼で最後だ」

試験管C「すいません、もう1人受付時刻ギリギリにやってきた受験生がいて」

クロノス「筆記試験順位は!?」

試験管C「受験番号110番です」

クロノス「ギリギリにやってくるなんてまず心がけがなっていないネ。ドロップアウトボーイを我が学園には必要ないない〜のネ」

試験管B「しかし、一応間に合ったわけですし、受験資格はあるかと」

試験管A「それに理由も電車の事故ですし、まずいでしょう。受けさせないというのは」

クロノス「ノンプロブレーム、ノンノン!!」

その時、クロノスの携帯の音が鳴る。

クロノス「スコーシュ、どちらさま!? お、校長先生」

校長「電車の事故で受験にギリギリに間に合った受験生がいるらしいですね」

クロノス「え?」

校長「筆記試験が終わることもチャンスを奪うことがないように。我が交の目的は広く様々な才能を集め、健全なデュエリストを育成することですからね」

クロノス「地獄耳〜ネ。タヌキオヤジーノ(デュエルアカデミアはデュエルエリートのための学園。ヘルク、鮫島校長は何であんなドロップアウトボーイに肩入れする〜ノ!?)私がその受験生とデュエルしマース」

試験官「お、お待ち下さい。クロノス教諭、この試験用デッキをお持ち下さい」

クロノス「ふん、そんなものは必要ありまシェーン。自分のデッキを使うーノデス」

十代「スゲー強いなお前」

三沢「ああ」

十代「今年の受験生で2番目くらいに強いかもな」

アナウンス「受験番号110、遊城十代君」

十代「よぉし、俺の番だ」

三沢「君」

十代「え?」

三沢「なぜ僕が2番なんだ!?」

十代「1番は俺だからさ」

翔「僕より筆記試験の順位が9番いいだけで何であんな自信が持てるんだろう!? うらやましい」

十代はエレベーターで会場に現れる。

クロノス「ボンジョールノ!」

十代「遊城十代です」

クロノス「シニョール十代。私はクロノス・デ・メディチ。学園では実技担当最高責任者やってルーノデース」

十代「光栄だなぁ、実技の責任者が対戦してくれるなんて。きっと俺それだけ期待されてるって事かなぁ、へへへ」

クロノス「あきれてものもいえまシェーン」

生徒A「クロノス教諭が直々なんて!」

生徒B「あの十代って相当大物なのか!?」

万条目(そんなはずはない!)

クロノス「デュエルコート、オ〜ヌ」

十代「すげ〜かっこい〜。先生、そのコートって俺も買えるの?」

クロノス「成績の優秀な生徒ならみんなモッテル〜ノ(あなたのようなドロップアウトボーイには関係ない〜のデスケドネ、永久に)」

十代「よ〜し、頑張るぞ〜」

十代・クロノス「デュエル」

十代「俺のターン」

十代の手札は『E・HERO(エレメンタルヒーロー)フェザーマン』『ドレインシールド』『ヒーロー・シグナル』『融合』『戦士の生還』『死者蘇生』。

十代「よぉし、『E・HERO フェザーマン』(守1000)を守備表示で召喚だ! さらに場に1枚伏せてターン終了」

十代の場に『フェザーマン』が召喚される。

クロノス「私のターンデ〜ス」

クロノスの手札は『黄金の邪神像』2枚『エメス・ザ・インフィニティ』『押収』『大嵐』『古代の機械巨人(アンティーク・ギア・ゴーレム)』。

クロノス「ヒーローデッキねぇ、さしずめどこカ〜ノ、スモールタウン〜ノ、ヒーローダタ〜ノでしょうネ〜。世界の広さを私が教えてあげる〜のデ〜ス。手札より魔法カード『押収』発動」

十代「何!? 『押収』!」

クロノス「1000ポイント〜のライフを払イ〜相手〜の手札を見てその中からカードを1枚選んで墓地に捨てる事ができル〜ノ。ふふん、やはりドロップアウトボーイのデッキデ〜スネ」

クロノス4000→3000

十代「く、俺の命のデッキにけちつける気か!」

クロノス「『死者蘇生』を墓地に送ル〜ノデス。そして場に2枚のカードを伏せリューニョ。さらに魔法カード『大嵐』を手札から発動。このカードは全フィールド上の魔法・罠カードを全て破壊スル〜ノデ〜ス」

『大嵐』により『ドレインシールド』と『黄金の邪神像』2枚が破壊される。

十代「へへ、だけど先生、自分のカードも巻き込まれてるぞ」

クロノス「それが井戸の中のフロッグだと言うノデ〜ス、ゲロゲ〜ロ。特殊召喚『邪神トークン』」

クロノスの場に『邪神トークン』2体が特殊召喚される。

翔「何がどうなってるのかさっぱり……」

三沢「『黄金の邪神像』は破壊されると『トークン』を生み出す特殊な罠だ。クロノス教諭はその効果を利用するために自らの『黄金象』を壊したんだ」

翔「へぇ〜」

生徒A「あれは入試用のデッキじゃない! クロノス教諭自身の『暗黒の中世デッキ』」

生徒B「自分のコンボを成立させると同時に110番の罠も封じてしまった」

生徒A「あのデッキに勝てる受験生なんて」

生徒B「いないよな〜」

万条目「ふん、あの受験生が特別なのかと思っていたが飛んだ勘違いだった。クロノス教諭はドロップアウトボーイの儚い夢を徹底的に叩き潰すつもりなんだ」

デュエルを観ているのは天上院明日香と丸藤亮である。

明日香「あの子かわいそう、クロノスのお気に召さなかったようね」

亮「見物だぞ、暗黒の中世デッキ。110番のおかげで伝説のレアカードが拝めるかもしれない」

クロノス「まだ私のターンは続ク〜ノデ〜ス」

十代「へへ、面白いな。今度は何を見せてくれるんだい、先生」

クロノス「さらに『邪神トークン』2体を生け贄にしテ〜『古代の機械巨人(アンティーク・ギア・ゴーレム)』(攻3000)を召喚」

クロノスの場に『古代の機械巨人』が召喚される。

明日香「これが……伝説のレアカード!」

十代「すげ〜、噂に聞いた事があるぜ」

翔「いきなり八つ星モンスターなんて」

亮「クロノス・デ・メディチがこのカードを召喚して未だ負けたことはない。あの受験生に先生を本気にさせる力があるとは思えないが」

明日香「クロノス教諭は気まぐれだから。気の毒に、アカデミアの鉄の扉が閉じる音が私には聞こえたわ」

クロノス「ホーホホホホホ、行ク〜ノデスヨ『アルティメット・パウンド』!」

翔「『古代の機械巨人』の攻撃力3000、『フェザーマン』の守備力1000。かないっこないよ!」

三沢「それだけではすまないさ。このモンスターの効果は守備表示モンスターを攻撃した時その守備力を攻撃力が上回っていればその差だけ相手にダメージを与えるんだ」

翔「そ、そんな……掟破りモンスターじゃないか」

『フェザーマン』は『古代の機械巨人』の攻撃を受けて倒される。

十代4000→2000

クロノス「ウォ〜ホホホホホ、早くも戦意ソウシ〜ツデスノ?」

十代「ふふふふ、へへへ、感動してるぜ。最高責任者の先生が本気でデュエルしてくれて!」

クロノス「何? どこまで勘違いしてル〜ノデス。お前のようなドロップアウトボーイなどはなから栄誉アルデュエル・アカデミ〜アの門をくぐらせるつもりはアリマセ〜ン」

十代(ここから俺の本当の力が試される時だ)

・・・「クリクリクリ〜♪」

十代(ん? 誰だ?)

十代がドローしたのは遊戯にもらった『ハネクリボー』だった。

十代(あ、お前さっきの……まさかな。そうか、『ハネクリボー』か)

その時『ハネクリボー』が笑い出す。

十代「へへ。よし、お前を信じるぜ。手札より『ハネクリボー』を守備表示で召喚」

十代の場に『ハネクリボー』が召喚される。

ハネクリボー「クリ〜♪」

十代「さらにカードを1枚伏せてターンエンドだ」

クロノス「ヴァラララララ、羽の生えた『クリボー』。珍しいカードを持ってイル〜デスネ。しかし所詮は低級モンスターデショ。守備表示で出した所で『古代の機械巨人』の貫通効果を防ぐ事はできまセ〜ンヌ。雑魚には雑魚モンスターがお似合いデス〜ネ。私のターンデスネ。これで終わりデ〜ス。『古代の機械巨人』『ハネクリボー』に『アルティメット・パウンド』」

ハネクリボー「クリ〜!!」

『ハネクリボー』は『古代の機械巨人』の攻撃を受けて倒される。

十代「すまない『ハネクリボー』」

クロノス「なぜライフが減らな〜いのデス?」

十代「『ハネクリボー』が破壊されたターン、自分が受けるダメージは0」

明日香「クロノスが知らないカードが存在するなんて……」

亮「先生とて到達できない所がある。デュエルの世界は底がしれない」

明日香「だから面白いのよ」

クロノス「フフ、その雑魚モンスターの特殊能力デシタカ」

十代「命を賭けて俺を守ってくれた友達を雑魚呼ばわりは許さないぜ」

クロノス「こざかしい、その場凌ギ〜ノモンスターを雑魚と呼んで悪いデスカ〜?」

十代「いや『ハネクリボー』の悲鳴はシグナルとなって俺のデッキのモンスターを呼び覚ますぜ。罠カード発動『ヒーロー・シグナル』。2体目の『E・HERO バーストレディ』(攻1200)デッキから特殊召喚」

十代の場に『バーストレディ』が召喚される。

十代「俺のターン」

十代は『摩天楼−スカイスクレイパー−』を引く。

十代「『ハネクリボー』お前の励まし、しっかり受けとめたぜ。見ててくれよ。そして『フェザーマン』もまた不屈の闘志で蘇る。魔法カード『戦士の生還』により墓地より手札に戻し召喚」

クロノス「ふん、ペラペラのコミックス〜のヒーローに何ができマ〜ス? ノーマルモンスターに過ぎマ〜セン」

十代「『フェザーマン』と『バーストレディ』。攻撃力の低いノーマルモンスターというのは仮の姿。その本当の姿を見て驚くな、先生。魔法カード『融合』発動。『フェザーマン』と『バーストレディ』の『融合』。融合召喚、マイフェイバリットカード『E・HERO フレイム・ウィングマン』(攻2100)」

十代の場に『フレイムウイングマン』が融合召喚される。

翔「かっこい〜」

三沢「『フレイム・ウィングマン』は融合召喚でしか召喚できない。戦闘によって破壊した相手モンスターの攻撃力分のダメージを相手プレイヤーに与える事ができる」

翔「でもさ〜『フレイム・ウィングマン』の攻撃力は2100。『古代の機械巨人』の攻撃力には届かないよ」

三沢「あぁ、あいつが本当に1番ならなんとかするだろうさ」

翔「本当は110番だよ……」

クロノス「特別講義してアゲ〜ル。イイデスカ〜、デュエルにくだらない御託はイラナ〜イ。覚えておきなサ〜イ。融合召喚した所デ〜攻撃力は2100。私の『古代の機械巨人』には及びマセ〜ンヌ」

十代「じゃあ、先生に教えてやるぜ。ヒーローにはヒーローに相応しい戦う舞台があるんだ。フィールド魔法『スカイスクレイパー』」

フィールドは高層ビル街へと変わる。

ビルの天辺には『フレイムウイングマン』が立っていた。

十代「さぁ、舞台は整った。行け〜『フレイム・ウィングマン』(攻2100)『古代の機械巨人』に攻撃」

クロノス「冗談デショ。『フレイム・ウィングマン』の攻撃力など『古代の機械巨人』の足元にも及ばなイ〜ヌ」

『フレイムウイングマン』はすごい速さで『古代の機械巨人』に近づく。

十代「ヒーローは必ず勝つ! 『スカイスクレイパー』の効果は自分よりも攻撃力が高いモンスターとヒーローが戦う場合にその攻撃力を1000ポイントアップさせるフィールド魔法」

クロノス「オゥ、ヒーロー!」

十代「食らえ『スカイスクレイパー・シュート』」

『フレイム・ウィングマン』の攻撃力は3100となり、上空から『古代の機械巨人』に攻撃する。

そして『古代の機械巨人』は爆発してしまった。

クロノス「オ〜ゥ、マダミ〜ヤ、我が『古代の機械巨人』ガ〜」

『古代の機械巨人』の残骸がクロノスの頭に当たる。

十代「『フレイム・ウィングマン』の効果により破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを受けてもらうぜ、先生」

クロノス「ナニ〜」

『古代の機械巨人』は崩れ、クロノスがそれの下敷きと鳴る。

クロノス2900→0

十代「ガッチャ! 楽しいデュエルだったぜ、先生!」

こうしてデュエルは終了し、ソリットビジョンシステムは消えていく。

クロノス「なぜナ〜ノ。なぜ私があんなドロップアウトボーイニ〜」

万条目「信じられない……クロノス教諭が受験生に敗れるなど……」

明日香「ちょっと……面白いんじゃないあの子」

亮はその場を去っていく。

翔「いいぞ〜110番!」

三沢「よきライバルになれるかもしれないな1番君」

十代「イェ〜イ、勝っちゃた〜俺。やった〜、へへへ。これからもよろしくな相棒」

ハネクリボー「クリクリ〜♪」



(続く)
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