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勇者警察ジェイデッカーの第1話
 

ロボット刑事登場
 

東京都・友永家

でかい物音が響き、友永あずき、くるみが起きる。

くるみ「何事!? 目が覚めちゃったわ!」

あずき「あらおはよう」

くるみ「もう、おはようじゃないわよ。まだ6時じゃない」

あずき「早起きは健康にいいのよ。いいじゃない、くるみもたまには早起きすれば」

くるみ「はぁ。あずき姉さんにはついていけないわ……」

何かが落ちる。

勇太「静かにしないと姉ちゃんたちが起きちゃうだろ!?」

くるみ「あのバカ! とっくに起きてるわい!!」

くるみが下に降りる。

キッチンでは、末っ子・勇太が落ちたものを片付けていた。

くるみ「こら勇太!」

勇太「ごめん。起きちゃったんだ……」

くるみ「あったり前でしょ!? こんな朝早くから何考えてるのよ!! もうあんたは」

勇太「学校行く前にご飯食べようと思ったら、うるにゃんの奴が……」

飼い猫・うるにゃんが鰹節を食べていた。

くるみ「もう!」

あずき「あら、大変」

くるみ「あずき姉さんからも言ってやってよ」

あずき「しょうがないわね。勇太、後は姉さんがやってあげるから、新聞取ってきて」

勇太「は―――い!」

勇太は新聞を取りに行く。

くるみ「全く。あずき姉さんったら甘いんだから……」

玄関前

勇太が新聞を取る。

勇太「おお……」

空に朝日が昇る。

それから3人は朝食をとる。

くるみ「あずき姉さん、パンもう1枚頂戴」

あずき「あらくるみ、まだ食べるの!?」

くるみ「朝から怒ったらお腹減っちゃったのよ」

あずき「それにしても、勇太はこのごろ早起きになったわね……」

この一言に勇太はむせる。

くるみ「何!? 何よその意味ありそうな態度は? ああ、わかった! あんた、クラスに好きな女の子が出来たんでしょう!? その子が朝、早く学校に来るから、勇太の時間を合わせて、朝から2人っきりになってんのねぇ……もぉ、このマセガキ!」

勇太「そ、そんなんじゃないよ。学校に行く前にちょっとデッカードに……あっ!」

あずき「デッカード!?」

くるみ「何それ!?」

勇太「ああ、もうこんな時間だ、遅刻しちゃう、行って来まーす!」

あずき「あ……行って来ますって、まだ6時半よ!?」

くるみ「やっぱり好きな女の子かな!? ありゃ……」

勇太は家を出てどこかに向かう。

塀を乗り越え、やってきたのはどこかの工場だった。

地面のタイルどける。

勇太「僕だ、デッカード!」

地下に眠る勇者刑事・デッカードが目覚める。

デッカード「セキュリティシステム、解除」

勇太「えい! ヤッホー!!」

地下に入って滑り込み、デッカードの手に着地する勇太。

勇太「ナイスキャッチ。デッカード!」

デッカード「よく来たな。勇太……」

勇太「元気だった!? デッカード」

デッカード「ああ。勇太こそ元気そうだ」

勇太「うん。あんまり元気すぎてやけに早起きだって、姉ちゃんたちに勘ぐられちゃってるくらいさ」

勇太はカバンを放り投げる。

デッカード「勇太、君が教えてくれた例の技……完全にマスターしたぞ」

勇太「本当? やってみてよデッカード!」

デッカード「よし来た」

デッカードは銃と手帳を取り出し、ポーズをとる。

デッカード「ホールドアップ! ブレイブポリス・デッカードだ!!」

手帳が開く。

デッカード「どうだ? これでいいのかい勇太」

勇太「ばっちりだよ。これならどこに出ても恥ずかしくない、ロボット刑事だよ!!」

デッカード「練習した甲斐があったな」

勇太「この次はまた別のポーズを考えてあげるね!」

デッカード「この次か……」

勇太「どうしたの? デッカード……」

エレベーターで誰かが降りてくる。

デッカード「誰か降りてくる」

勇太「え? まだ8時前なのに……」

勇太はどこかに隠れる。

降りてきたのは冴島重三と藤堂俊助だった。

藤堂「しかし、こんな朝早くに来るなんて、あんたらしいぜ。冴島のだんな……」

冴島「警視総監をだんな呼ばわりするのも君だけだなぁ。藤堂……」

藤堂「口だけは悪くったって、技術案は包まねぇぜ!?」

デッカードの元に歩む2人。

藤堂「どうだ!? ブレイブポリス・デッカードの出来栄えは? パワーも機動戦もそっちのモーターどおりだ。もちろん頭ん中には新開発の人工頭脳・AIを搭載してある」

冴島「今日、正式発表すれば日本の……いや、世界の警察機構が変革を遂げるだろう……」

藤堂「こいつもこの穴倉からやっと出られるってもんだ。どうだ、だんな!? 前祝いにモーニングコーヒーでも」

冴島「そうだな……」

2人が去ると、勇太も出てくる。

勇太「はぁ……僕もそろそろ学校に行かないと……」

デッカード「うん」

デッカードは勇太を通路の前に運ぶ。

勇太「じゃあデッカード、またね」

デッカード「勇太……」

勇太「ん?」

デッカード「君に大事な話がある。学校が終わったら、また来てくれないか!?」

勇太「いいけど、大事な話って何!?」

デッカード「それは……そのときに話す」

勇太「うん……」

七曲小学校

勇太(気になるなぁ。大事な話って何だろう!?)

真夜中

ロボット・デスマグネが町で暴れていた。

操縦しているのはドクトル・ガウスだった。

オガス「ポリ公どもが……俺を追い詰めたつもりだろうが、このデスマグネを甘く見たら……」

ナレーション「磁力の悪魔・ドクトル・ガウス。磁力工学を悪用する天才科学者であり、ロボットを強奪し、壁として売りさばく死の承認である」

デスマグネから超音波が放射される。

隊員「な、何だ!?」

2体の刑事ロボが激突し、爆発する。

隊員「こいつは、磁力ビームだ!」

ヘリからレポーターが中継している。

レポーター「ご覧ください! ここ・ヘッドロイドの町はドクトル・ガウスの巨大ロボットによって大パニックとなっています!」

上空から戦闘機がデスマグネを攻撃。

デスマグネは磁力ビームで2機を爆発させる。

レポーター「ジェットヘリが、磁力ビームによって激突、爆発しました。警察の力では全く歯が立ちません!」

勇太「デッカードさえ出動すれば、あんな奴すぐに逮捕しちゃうのに!」

勇太はデッカードのいる工場に向かう。

勇太「大事な話って何だい!? デッカード」

デッカード「実は、今まで君に隠していたことがあるんだ」

勇太「……?」

デッカード「君と出会ってから半年……いつかは言わなくてはと思いながら、今日まで来てしまった。いいか!? 勇太。これから私のいうことを、しっかり聞くんだ」

勇太「うん……」

デッカード「明日、私は正式に警視庁に配属される。そのとき、私の人工頭脳には、膨大な量のデータが入力される……事件、事故に関するさまざまデータが」

警視庁

冴島が記者会見を開いてブレイブポリスプロジェクトを発表していた。

冴島「近年、テクノロジーの進歩によって今まで考えられなかった事件、事故、犯罪が多発しております。これらに対処するため、警視庁は新たな警察官を合流することを決定しました。これがブレイブポリス! 犯罪撲滅を目指して我々が進めていた、ブレイブポリスプロジェクトによって誕生したロボット刑事です」

記者たち「おお―――」

冴島「犯罪のない平和な世界を築くこと……それがブレイブポリスの最終目的です」

記者「そのロボットの名前は!?」

冴島「我々はデッカード呼んでいます……」

記者「操縦はどのように行うんですか!?」

冴島「最新のAIを搭載したデッカードは、人間の言語を完全に理解し、その命令によって独自に行動します。よって操縦は一切不要なのです」

記者「では、デッカードとやらは、自分の意思を持って犯罪捜査を行うのですか!?」

冴島「いえ、それはありえません。デッカードは、あくまでロボットですから……」

倉庫

勇太「データが消えちゃうって……まさか、僕のことも忘れちゃうって言うの!?」

デッカード「残念ながら、その通りだ……今の私のメモリーには、君に関するデータが記録されている。だから、新しいデータが入力されると、それが全て消されてしまうのだ」

勇太「そ、そんな……そんなのやだよ!! ねぇデッカード、ずっと今のままでいてよ……僕の友達でいてよ!!」

デッカード「それは、出来ない……私は人々の平和を守るために作られた。私は、その使命を果たさねばならない……勇太、私の言っている意味、わかるよな!?」

勇太「うん……デッカード!!」

勇太は涙ながらにデッカードに抱きつく。

デッカード「勇太……」

勇太「うわああ―――ん!!」

その夜。2人は寂しそうに座っていた。

デッカード「勇太……たった半年だったが、いろいろなことがあったな……」

勇太「去年の夏だったよね。初めて君に出会ったのは……」

回想 1年前・夏

勇太がラジコン飛行機で遊んでいると、その飛行機が墜落してしまう。

勇太「あった!」

勇太はそれ拾うと落ちてしまう。

勇太「うわああ―――っ!!」

飛び出たのはどこかの倉庫だった。

そのはずみで機械のスイッチが入ってしまう。

勇太「何だここ!? うわっ! ロボット……」

デッカード「私はデッカード……私はデッカード……」

そこにはまだ未完成のデッカードだった。

勇太「僕は勇太。友永勇太だ!」

デッカード「友永……勇太……」

現在

デッカード「私の人工頭脳に最初に記憶された言葉……それが、君の名前だった」

勇太「あれからここは、僕の秘密の場所になったんだ……」

デッカード「私は、君とであったおかげで……心というものが、理解でいるようになった……」

勇太「心!?」

デッカード「そうだ……ロボットである私にも、人間の心が理解できる。喜びや、怒りや、楽しさがわかるんだ……ありがとう、勇太」

勇太「デッカード……」

勇太「そうだ! デッカード、僕、大きくなったら刑事になるよ!! そうすれば君に会えるんだよね!?」

デッカード「なるほど」

勇太「刑事になったらバンバン事件を解決して、デッカードより偉くなったりしてね!」

デッカード「そうしたら、勇太は私の上司だな」

勇太「デッカード、現場へ急行せよ!!」

デッカード「了解! ボス!!」

2人「ハハハハ!」

一方、デスマグネが海を渡っていた。

ガウス「最新のAIを搭載したロボットとなれば、平気として利用しても絶大な効果を挙げれます。ブレイブポリスはこのドクトル・ガウスがいただく!」

翌日・工場前

勇太が眠っていた。

照明がつく。

デッカード「いよいよだ……」

藤堂とその部下たちが到着。

藤堂「作業、開始!」

勇太が目を覚ます。

作業員はデッカードの作業に当たる。

勇太(デ、デッカード……)

作業員「準備、完了しました!」

藤堂「よし、メモリー消去。再訪マットだ」

作業員「了解!」

メモリーが消去し始める。

勇太「デッカード!」

藤堂「何だ!?」

作業員2人が勇太を抑える。

作業員「コラ! どっから入った!?」

勇太「デッカード!!」

デッカード「勇太よ……」

作業員「デッカードが喋った!」

藤堂「まさか……」

デッカード「勇太よ、私は明日から、勇気を持って犯罪者たちに立ち向かっていく」

勇太「デッカード……」

デッカード「勇気を、勇気を持って強く生きていくんだぞ」

勇太「うん!」

デッカード「さよならだ……勇太……」

デッカードが機能停止。

友永家

勇太は自宅に送り返される。

あずき「申し訳ありません。ご迷惑をおかけしました……」

警官「じゃあ、本官はこれで」

警官が帰る。

あずき「勇太、本当に心配してたのよ!?」

すると勇太は血相を変えて家を飛び出す。

あずき「勇太!」

街では、人々が集まっていた。

そこへデッカードを運ぶコンテナ車がやってくる。

勇太「デッカード……」

男「何だ? あれは」

空からデスマグネが飛来。

藤堂「ロボット!?」

冴島「そんな……レーダーが利かなかったのか!?」

ガウス「こっちにはステルスシステムがあるのさ!」

人々「うわああ!!」

デスマグネが降り立つ。

ガウス「ブレイブポリスはこのドクトル・ガウスがいただく!!」

警官ロボ「やめろ! 抵抗すると撃つぞ!!」

ガウス「ふん。堂々と立ってい」

警官ロボが1体破壊される。

もう1体はトレーラーとぶつかる。

コンテナ車内

冴島「くそっ!」

藤堂「だんな! 今、外に出たらやられちまう……」

冴島「このまま黙って見てろというのか!?」

磁力ビームによってパトカー2台が破壊される。

ガウス「はっは。日本の警察などたわいのないものよ」

デスマグネが狙っているのはデッカードのコンテナ車だった。

勇太「あっ、デッカードのコンテナ車が!」

勇太の胸にデッカードの言葉が思い出される。

(デッカード『勇気だ……』)

勇太「デッカード……」

(デッカード『勇太も勇気を持って、強く生きていくんだぞ!!』)

勇太がコンテナ者の前に立つ。

勇太「待て!!」

ガウス「何だこいつは!?」

勇太「デッカードは僕が渡さないぞ!! デッカード。僕、勇太だ! 僕の声が聞こえないの!?」」

コンテナ車内

藤堂「ありゃあ……」

勇太「目を覚ますんだデッカード。目を覚まして戦うんだ!!」

ガウス「うるさい奴め!!」

デスマグネの手が勇太に迫る。

勇太「デッカード!!」

デッカードのプログラムが再起動する。

デッカード「勇太!」

コンテナ車からデッカードの手が出てくる。

デッカードがコンテナ車の天井を破って立ち上がる。

デッカード「うおおお―――っ!!」

勇太「デッカード……」

藤堂「デッカードが……」

冴島「そんなバカな!」

デッカードは勇太に教わったポーズをとる。

デッカード「ホールドアップ! ブレイブポリス・デッカードだ!!」

勇太「デッカード……」

デッカード「勇太!」

ガウス「なるほど。ブレイブポリス、大したロボットだ……だが、このドクトル・ガウスの物よ!!」

デッカードが宙を舞う。

ガウス「な!?」

デッカード「勇太、ここは危険だ!」

勇太「デッカードと一緒なら怖くないよ」

コンテナ車内

藤堂「あの子は……」

冴島「知っているのか!?」

ガウス「吸い取ってやる!!」

ガウスの磁力ビームがパトカーもう2台を破壊。

デッカードの銃撃が炸裂。

ガウス「なんという運動性。ますますほしくなったぞ」

コンテナ車内

藤堂「間違いない。あの少年がデッカードに与えたデータが甦ったのだ……しかも運動性、影、攻撃能力、全てが設定多数値を越えている!! 一体なぜだ!?」

冴島「心だ……」

藤堂「え?」

冴島「デッカードに心が目覚めたのだ……」

藤堂「しかし、デッカードはロボットだ! そんなバカな話はあり得ん!!」

冴島「ならば奇跡が起きたのだ……」

ガウス「どこに隠れた!?」

デッカードが勇太を降ろす。

勇太「デッカード、あいつの磁力を封じれば、きっと勝てるよ!」

デッカード「胸のメイン回路を破壊すればいいのか……」

勇太「うん!」

デッカードは弾を交換。

デッカード「勇太、怖くないのか!?」

勇太「へっちゃらさ。それよりもデッカード、早くあいつをやっつけるんだ!」

デッカード「了解、ボス!」

勇太「ボ、ボス!?」

デッカード「うん……」

勇太「デッカード!」

デッカードがデスマグネに挑む。

ガウス「そこにいたのか!」

デッカード「チェーンジ!」

デッカードがパトカーモードに変形。

ガウス「変形しただと!?」

ロボモードに変形してメイン回路に銃を発砲するデッカード。

ガウス「しまった! メイン回路が!!」

メイン回路が爆発したことにより、デスマグネはバランスを崩す。

デッカード「とお―――っ!!」

デッカードのキックが左腕を切り落とす。

ガウス「おのれ……」

銃撃が右腕に命中。

デッカードはコックピットに銃を向ける。

ガウス「だあ―――っ! やめろ、撃つな!!」

デッカード「ドクトル・ガウス、強盗現行犯で逮捕する!」

勇太「やったー! すごいやデッカード!!」

デッカードが左の親指を立てる。

こうしてガウスは逮捕される。

ガウス「くそーっ、覚えていろよ! ブレイブポリスめ!!」

ガウスの乗る車が発車される。

勇太「よかったね、デッカード」

デッカード「勇太のおかげさ……」

勇太「デッカードも強かったよ。でも、僕のデータ、また消されちゃうんだよね……」

冴島「その必要はない」

勇太「え?」

友永家

あずき・くるみ「勇太を刑事にするですって!?」

冴島「そうです。ブレイブポリスには勇太君が必要だと決断しました……私は勇太君のためなら、警察官採用基準を変更してもかまわないと思っています」

あずき「でも……」

勇太「頼むよ姉ちゃん」

くるみ「そんなこと言われたって……」

あずき「困ったわね……」

勇太「心配いらないさ。だって僕にはデッカードっていう強い味方がいるんだもん!」

あずき・くるみ「デッカード!?」

友永家前

デッカードが立っていた。

あずき・くるみ「わあ―――っ……」

あずき「これが……」

くるみ「デッカード!?」

デッカードは勇太を自分の肩に乗せる。

うるにゃんもいつの間にか乗っていた。

デッカード「ブレイブポリス・デッカードです! どうぞよろしく」

あずき「こちらこそ……」

くるみ「よろしく……」

勇太「よかったね、デッカード」

デッカード「よろしく頼むぞ、ボス!」

勇太「OK!」

こうして勇太はブレイブポリスに入った。
 

(続く)
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