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勇者エクスカイザーの第1話
 

ナレーション「この神秘で限りなく広い宇宙。地球はこの宇宙のほんの小さな星に過ぎない……人類がまだ知らない善と悪との戦いがこの大宇宙で静かに行われているのである」

1つの光が5つに分散される。

ホーンガイスト「ボス、この星は面白そうだぜ……」

ダイノガイスト「うーん、まだ誰も手をつけていないようだ。見たところ、人間どもの欲望がうぐむらいておる」

アーマーガイスト「へへへ、一番乗り!」

サンダーガイスト「人間どもがゴチャゴチャいるってことは宝が山ほどあるってことだ!」

プテラガイスト「その通り。我ら宇宙海賊ガイスターの格好の餌食というわけだ……」

ダイノガイスト「まず、手始めに我々に合う体を探し、奪い取るのだ!!」

一同「オー!!」

ガイスターが地球に降り立つ。

そこへ、1つの青い光球が降りてきた。

エクスカイザー「いかん、奴らめ……この星に逃げ込んだか。こちらは宇宙警察エクスカイザー、ガイスターは地球に逃げ込んだ。至急応援を頼む!!」

メッセージが書かれ、宇宙に送られる。

するとあと5体の青い光が現れ、エクスカイザーと地球に下りる。

ボクんちの車は
        宇宙人(エイリアン)!?

とある町の夜

星川家

星川コウタがベッドから落ちて目を覚ます。

コウタ「あ、そうだ。今日の遠足は!?」

窓を開けてベランダに出る。

コウタ「よかった、晴れてる。サンキュー!」

流れ星が落ちる。

コウタ「ううっ、寒い……おしっこしてこよう。ん、何だろう!? 何だ!? うわああ―――ッ!!」

光がガレージの前に止まる。

コウタの母・ヨーコが目を覚ます。

ヨーコ「何かしら!? 夢ね」

ヨーコが眠りに着く。

光がどんどんガレージの中に入っていく。

コウタ「大変だ、姉ちゃん! 姉ちゃん、大変だよ。起きてよ!!」

フーコ「何よ、うるさいわねぇ……」

コウタ「ガレージに雷が落ちたんだよ!!」

フーコが空を見るが、空は晴れていた。

フーコ「夢でも見たのよ。おしっこして寝なさい……」

コウタ「本当なんだってば!!」

フーコ「うるさいわねぇ……寝かせてよ!!」

コウタがカメラを持ってガレージの前に立つ。

後ろを振り向くと、謎の影がコウタに襲い掛かる。

コウタ「うわああ―――ッ!!」

影の正体は飼い犬・マリオだった。

コウタ「何だマリオか、脅かすなよ!」

マリオがコウタをなめる。

コウタ「マリオ、お前……さっきの光見たろ!?」

マリオが吼える。

コウタ「し―――ッ、大声出すなよ!」

ガレージのシャッターが開く。

コウタ「マリオ、何かいたら教えろよ。写真に撮ってすぐ逃げるから!」

コウタが電気をつける。

壁は落書きだらけだった。

コウタ「ん―――? なんともないなぁ……おかしいなぁ」

車の中のライトが光る。

マリオがびっくりする。

コウタ「何だよマリオ!? どうしたんだよ、何でもないじゃないか。やっぱり夢だったのかなぁ!?」

首を振るマリオ。

コウタ「ううっ……忘れてた!! おしっこ、漏れる!!」

ガレージの電気が消える。

コウタ「マリオ来いよ、漏れちゃうよ!!」

シャッターが閉まる。

すると突然、車が動き出す。

翌朝

ヨーコ「コウタ、起きなさい。遅れますよ!?」

コウタ「もうちょっと寝かせてよ……」

ヨーコ「今日は遠足でしょ!? せっかくお弁当作ったのに、おうちで食べるの!?」

コウタ「あ、いっけねぇ! 忘れてた!!」

コウタが転ぶ。

フーコ「パパ、その新聞の編集長でしょ!?」

ジンイチ「ああ……」

ジンイチがタバコの灰を湯飲みに落とす。

フーコ「仕事熱心なのはいいけど、それ、灰皿じゃないわよ!?」

ジンイチ「え? あ、こりゃいかん……」

フーコ「ママ、コウタ、おねしょしてなかった!?」

ヨーコ「どうして!?」

フーコ「夕べ、ガレージに雷が落ちたなんて大騒ぎすんだもん」

ジンイチ「雷が落ちたって!? 車大丈夫かねぇ、ママ」

フーコ「大丈夫よ。寝ぼけてただけだから」

ジンイチ「なーんだ」

コウタ「おはよう!」

ヨーコ「コウタ、あなた、おねしょしたの!?」

コウタ「おねしょ!?」

フーコ「したんじゃないの!?」

コウタ「おねしょなんてするわけないじゃないか!」

フーコ「ほんとー!?」

コウタ「してないよ!!」

呼び鈴が鳴る。

徳田「おはようございまーす!! 失礼しまーす!」

コウタ「徳田さんだ」

フーコ「また皆が知ってる特ダネかしら!?}

徳田「編集長、特ダネです」

フーコ「やっぱり……」

徳田「まだ他の新聞社は知らない、僕だけの特ダネですよ!!」

ジンイチ「今朝は何だ!?」

徳田「実はですねぇ……あっ、こりゃうまそうですね。いただいてもいいですか!?」

得だが佃煮を食べる。

徳田「うまい!!」

ヨーコ「徳田さん、お好きでしたらまだありますから、たくさん食べてくださいね……」

徳田「すいません、いただきます!!」

ジンイチ「お前、何しに来たんだ!?」

徳田「エ? あ、そうだった。実はですね、博物館や大学の研究室から実物体の模型がいつの間にか消えるってゆう事件が発生したんですよ!!」

コウタ「恐竜の模型!?」

徳田「今のところわかっているだけで4対。これは僕だけが調べ上げた特ダネですよ……」

フーコがテレビをつける。

キャスター「各地の博物館、大学の研究所、それになど遊園地から4体の恐竜模型が……」

それを観た徳田が唖然となる。

フーコ「残念でした。もうテレビ局も知ってるみたいよ」

ジンイチ「いつものことだなぁ……」

ヨーコ「徳田さん、気を落とさないで。さっきの佃煮、たくさん食べてね」

さらにはてんこ盛りの佃煮が乗っていた。

コウタ「恐竜博覧会の恐竜は大丈夫!?」

徳田「恐竜博覧会!?」

コウタ「うん。今日、僕たち、そこへ遠足に行くんだ」

徳田「大丈夫だよ、そこのはまだ盗まれてないよ」

コウタ「本当!? よかった」

徳田「うーん、恐竜博覧会!?」

ジンイチ「行って来るよ、ママ」

ヨーコ「行ってらっしゃい」

ジンイチ「行くぞ、徳田!」

徳田「はい、編集長! では……」

フーコ「コウタ、早くしなさい!!」

コウタ「行ってきます!!」

ヨーコ「気をつけいてね」

コウタが車を覗く。

ジンイチ「どーしたコウタ!?」

コウタ「ううん、なんでもない……行ってきます」

徳田「コウタ君、いいカメラ持ってましたねぇ……」

ジンイチ「爺さんの形見さ。あれであいつはいつか特ダネ写真を撮るつもりらしい……」

徳田「へー」

ジンイチがエンジンを掛けようとするが、なかなかかからない。

ジンイチ「まただ。ったく!!」

ジンイチが運転席を叩くと動き出した。

コウタ「やっぱりあれは夢だったのかなぁ!? ま、いいや」

コウタが走り出す。

恐竜博覧会

中にはいろんな恐竜の模型が展示されていた。

コウタ「でっけーなぁ……」

コトミ「すごいわ……こんなのが昔いっぱいいたなんて信じられない」

コウタ「ほんと、僕らがその時代に生きてたら1発で食べられちゃってるよ」

コウタがトリケラトプスの模型にレンズを向ける。

するとその目が動き出す。

コトミ「どうしたのコウタ君!?」

コウタ「コトミちゃんこの恐竜動かなかった!?」

コトミ「えー、まさか!」

タクミ「どうしたんですかコトミちゃん!?」

コトミ「タクミ君……コウタ君がこの恐竜が動いたっていうの!」

コウタ「カメラで覗いてたら確かに僕をギロって睨んだんだよ」

タクミ「そんな古めかしいカメラなんかで覗いてたからだろ!?」

コウタ「古くったって関係ないだろ!?」

タクミ「関係あるね、そんなのはもはやカメラだなんて言わない。カメラってこーゆうのをゆうんだよ!? オートフォックス、オートツー、なんでもオートの最新流行のカメラなんだぞ!?」

するとカメラが止まらなくなる。

コトミ「コウタ君のカメラだってかっこいいわよ!?」

コウタ「かっこいい!?」

コトミ「古いカメラっておしゃれよ!?」

コウタ「本当にそー思う!? このカメラ、おじいちゃんの形見で、大事な宝物なんだ……」」

コトミ「うーん、素敵」

タクミ「ふん、まあ所詮はカメラは写した作品で良し悪しが決まるんだ。まあ、フィルムを無駄にしないことだねぇ」

タクミが柱に隠れる。

タクミ「どーしよう、止まんなくなっちゃった。パパのカメラなのにぃ……」

コウタ「行こうか、コトミちゃん」

コトミ「うん」

トリケラトプスがコウタのカメラを覗く。

ホーンガイスト「古いカメラ……宝物……」

ジンイチと徳田の乗る車が博覧会会場の前に停まる。

ジンイチ「本当に次はここが狙われるってゆーのか!?」

徳田「絶対ですよ、編集長。恐竜体の実物模型が展示してある場所でまだここだけが無事です。ここに張り込みすれば特ダネはばっちり確実です!」

ジンイチ「まあ、一理あるな。とにかく俺は事務所で取材の許可をもらってくる……」

徳田「お願いします。よーし、取材取材!」

2人が車から降りる。

すると車からアンテナが出てきた。

運転席も変わり始める。

博覧会会場

徳田が入る。

徳田「匂う……特ダネの匂いだ!! アロザウルス、よーし。アンキロザウルス、よーし。ムグマノドン、よーし。トリケラとプス、よー……あ? トリケラトプスがない! 編集長、編集長!!」

別の会場

コウタがカメラで展示作品の写真を撮っていた。

コウタ「あれ? あの恐竜、さっきのじゃないか!?」

コトミ「え? そういえば……でも似てるけど違う恐竜ならいるよ。似たような恐竜っていっぱいいるじゃない」

コウタ「あ、コトミちゃん。近寄らないほうがいいよ!」

コトミ「どうして!? ただの模型でしょ!?」

トリケラトプスの口が開く。

コウタ「あ、ああ……」

トリケラトプスが動き出す。

コトミ「きゃああ――――っ!!」

コウタ「危ない!!」

コウタが間一髪コトミをかばう。

タクミ「な、何だ!?」

トリケラトプスの模型が変化する。

タクミ「コトミちゃん、早く!!」

外では、アンテナが電波をキャッチし、変化する。

コウタたちが何とか逃げ切る。

コウタ「コトミちゃん、大丈夫!?」

コトミ「何なのあれ!?」

コウタ「あ? おじいちゃんのカメラ!!」

コウタが走り出す。

コトミ「コウタ君、どこ行くの!?」

コウタ「あいつの写真を撮ってパパの新聞に載せてもらうんだ」

コトミ「やめて、危ないわ!!」

コウタ「これさえあれば!」

地震が響く。

トリケラトプスが会場から出てきてコウタを追いかける。

コトミ「コウタ君!!」

コウタ「な、何で僕を追いかけてくるんだよ!?」

トリケラトプスがビームを発射。

瓦礫が落ちてコウタが逃げられなくなってしまう。

コウタ「な、なんか僕、悪いことしたかよ!?」

ホーンガイスト「フフフ、おいガキ……」

コウタ「しゃ、喋った……」

ホーンガイスト「その宝物をよこせ……」

コウタ「た、宝物!? このカメラのこと!? だ、ダメだよ、このカメラはおじいちゃんの大事な形見なんだ!」

トリケラトプスがコウタめがけて突進する。

コウタ「うわああ――――っ!!」

するとそこへ、コウタの家の車がトリケラトプスを押し出す。

コウタ「あーっ! うちの車……」

ホーンガイスト「いてーっ……な、なんだてめぇは!?」

エクスカイザー「ガイスターの悪党め、この地球で悪事を働くことは私が許さん!!」

コウタ「僕んちの車が喋った!」

ホーンガイスト「その声は!! て、てめぇは……」

エクスカイザー「とおーっ! チェンジ、エクスカイザー!!」

コウタの家の車がエクスカイザーへと変形した。

コウタ「ロ、ロボットになっちゃった……」

ホーンガイスト「き、貴様ぁ……こんなところまで追ってきたのかぁ!? ちきしょう、こうなれば!!」

トリケラトプスがホーンガイストに変形する。

コウタ「す、すげえぇ……そうだ、特ダネ!!」

ホーンガイスト「食らえ!!」

エクスカイザーのキックが炸裂する。

ホーンガイストが壁に叩きつけられる。

ホーンガイスト「や、やりやがったな!!」

ホーンガイストのミサイルがエクスカイザーを襲う。

徳田・タクミ「す、すごい!!」

徳田「そうだ、証拠写真を撮らねば!!」

タクミ「あーっ、それ触っちゃダメ!!」

徳田がカメラを撮ろうとすると、カメラが壊れる。

徳田「ど、どーなってんだこりゃ!?」

タクミ「だからダメだって言ったのに……」

エクスカイザーがホーンガイストの後ろからダブルキックを繰り出す。

ホーンガイストが柱を投げつけるとそれがコウタに当たりそうになる。

それにより、コウタのカメラが壊れてしまう。

エクスカイザー「いかん!!」

瓦礫が崩れ、エクスカイザーがコウタの盾になる。

ホーンガイスト「いいざまだぜ!!」

ホーンガイストが柱でエクスカイザーを叩きつける。

エクスカイザーは身動きが取れない。

ホーンガイスト「へっへっ、ざまあ見ろ。ん? しまった、宝物が!!」

エクスカイザー「今だ!!」

ホーンガイスト「こ、この野郎……まだくたばってねーのかよ!?」

ホーンガイスト「て、てめぇ……」

エクスカイザー「我が命の光が消えるまでは、貴様たち悪党の思い通りにはさせん!!」

ホーンガイスト「しゃらくせぇ!!」

エクスカイザー「ジェットブーメラン!!」

エクスカイザーのジェットブーメランがホーンガイストを押し出す。

ホーンガイスト「くそぉ……」

コウタ「やったぁ!!」

ホーンガイスト「おのれ、宝物が壊れてしまっては……エクスカイザー勝負はこの次だ!!」

ホーンガイストが地中に潜って逃げる。

エクスカイザーの胸のライオンが閉じる。

コウタがカメラを拾い上げる。

エクスカイザー「大丈夫だったかい!?」

コウタ「う、うん。でも……」

エクスカイザーの角から光が放射され、カメラが再生していく。

エクスカイザー「私の名はエクスカイザー。君は!?」

コウタ「ぼ、僕、星川コウタ。エクスカイザーっていったい……!?」

徳田「コウタくーん!! 大丈夫か!?」

コトミ「コウタくーん!!」

エクスカイザー「コウタ、今は詳しい話をしている時間はない。私のことはしばらく君の胸にしまっておいてくれたまえ……」

コウタ「え?」

エクスカイザー「つまり、私のことは君と私だけの秘密ということだ」

コウタ「ちょ、ちょっと……」

エクスカイザーがカーモードに戻る。

徳田「コウタくーん!」

コトミ「コウタ君、大丈夫!?」

コウタ「僕なら大丈夫だよ」

徳田「コウタ君、あのロボットはどこへ行った!?」

コウタ「え? ど、どっかへ消えちゃった……」

徳田「消えた!? この穴の中に消えたのか!?」

ジンイチ「いったい何があったんだ!?」

徳田「ああ、編集長! 特ダネですよ。2体のロボットが現れて消えたんです!!」

ジンイチ「何だと、ロボット!?」

徳田「恐竜が動いてロボットが出たんです!!」

ジンイチ「何を言っとるのかよくわからんぞ!!」

徳田「で、ですから……」

コウタ「パパ!!」

ジンイチ「ああ、コウタ。何かあったのか!?」

コウタ「何があったって……」

徳田「編集長、だからですね、恐竜がロボットにその、盗まれたというか……」

ジンイチ「写真は撮ったのか!?」

徳田「そ、それが、カメラが壊れてまして……」

ジンイチ「バカモーン!! お前は何年新聞記者をやっとるんだ!?」

徳田「あれ? 編集長の車、どーしてこんなところにあるんでしょうかねぇ!?」

ジンイチ「コラッ、ごまかすな!!」

コトミ「コウタ君、本当に大丈夫!?」

コウタ「平気平気!」

コウタが走り出す。

コトミ「あ、コウタ君!」

コウタ(きっと、おじいちゃんのカメラが引き合わせてくれたんだ……新しい友達に!!)
 
(続く)
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