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星歴0104年07月21日13時06分ーーーー第3都市ジュライ消滅から11時間



#0 HIGH NOON AT JULY


 (瓦礫の山と化した街の上で一人佇むのは、ボロボロのマントを羽織った男)

「はるか時の彼方 まだ見ぬ 遠き場所で 唄い続けられる同じ人類のうた。」





「ヴァッシュ・ザ・スタンピード」

 (間抜けな笑顔の写真で張り出された手配書。そこに書かれた内容は・・・・・)

「レヴナント・ヴァスケス伯殺害およびG級器物破損容疑で指名手配中」
「推定年齢24才 出身地不明 住所不定」
「賞金額生死に関わらず600億$$!!」
「備考ー平和主義者」




#1 600億$$の男




 (騒がしい街を歩く4人の男たち。どいつも腕に覚えがありそうだ。そして街中では・・・・)

男「うああああああああああああああ」

 (叫び声をあげながら窓を破って落ちて来た男)

男「がッ たすたすけて」

 (地面でもがく男を意に介さず踏みつけていく4人)

通行人1「オーイ大丈夫か」
通行人2「部品が生体にまで喰いこんでらァ こりゃー医者より牧師だなッ」


 (場面変わってレストラン。ウエイトレスが給仕をし、客が食事を取りつつ団欒している。)

子供「母ちゃん 鉄砲買ってようォ」
母親「だったら今持ってるのは何なんだい」

 (子供はおもちゃの銃を持っている)

子供「ちがうよ ちゃんとしたエアガンがいいの!!」

 (親子の隣に、のんびりとステーキを頬張っているヴァッシュ・ザ・スタンピードがいる)

子供「鳥小屋のソウジ毎日やるからさぁ ねぇ いいでしょう」

 (その時、店のドアが開かれた)

ウエイトレス「いらっしゃい…」

 (入ってきたのは例の4人組。ヴァッシュを狙い、いきなり銃をぶっ放す)

ドァン パパパパパパパパパ(あっという間に蜂の巣になる店)

 子供「うえええええん うええええん うえええええん」

 (撃ち終わり煙が晴れた後には、夥しい血を流して倒れ臥すヴァッシュの姿が)

男1「……!! やった…!!」
男2「ひひへへへへ」
男1「ははははははは やったぜ 600億$$だ」
男3「僕らの名前も惑星中にトドロキますね!!」
男1「当然よ!! 人間台風(ヒューマノイドタイフーン)ヴォルドールの片田舎に堕つ!! 今週の衛星放送(サテライト)は大サワギだぞ!!」

 (はしゃぎぎまくる男たちだが、ひとりは銃を手放さない)

男1「……何でェマグナース」
マグナース「……」
男1「えらく慎重じゃねえか この出血だぜ? 息があっても動けるもんかい」

 (マグナースの顔色が変わっていく。よく見ると、ヴァッシュの指がマグナースの銃口を塞いでいるのがわかる)
 (形容しがたい表情になるマグナースだが、他の3人はそれに気がつかない)

男1「おいおい姐ちゃん そんなカオすんなって!! 弁償どころか立て替えてやってもいいぜこんな店」
?「ホント?」
男1「あたぼうよ こちとら600億$$の億万長者だぜ」

 (男が振り向くとそこには、マグナースの肩に手をやったヴァッシュが立っていた)

ヴァッシュ「そいつはよかった 気になってたんだわ」
男1「………トマト臭え…」

 (ケチャップのビンを取り出すヴァッシュ)

ヴァッシュ「転んだヒョーシに頭からカブッた…クリーニング代も請求していいかな?」
男1「いや もう決まってる 天国行きの片道切符でガマンしな!!」

 (銃を抜く男1)ズパン(店内で銃声が響くが・・・・・)

男たち「………」

 (なぜかオモチャの銃の弾をくらっている男たち。ヴァッシュが早撃ちで撃ったようだ)

ヴァッシュ「せっかちだ せっかちすぎる!! まあそう結論を急がずに話しあいましょ?」

 (のんびりと話すヴァッシュに対し、震えながら返す男)

男2「な、何もんだよあんた…」
ヴァッシュ「いやあ 自己紹介なんてテレますけど あえていうとするなら 愛というカゲロウを追い続ける平和の狩人…
みたいなカンジ?」

 (陶酔したように語るヴァッシュに声が出ない男たち) 

男1「ふ…ざきゃがってェェエエッ」
男2「馬鹿よせ 命が要らねェのかおまえは!!! さっきので俺ちゃ死んでるんだ!! 今度はモノホンがくるぞ!!」
ヴァッシュ「あいわかった撃つなら撃ちなサイ!!」
男2「うわああッ!!! 挑発すんな狩人ッ!!」

 (激昂した男2が引き金を引く・・・)ガッチン(弾は出ない・・・)

男1「!?」
ヴァッシュ「ムリムリ!! だってこの人以外全員 さっき全弾撃っちゃってんだもの!!」

 (マグナースを指差しながら語るヴァッシュ。唖然とする男1)

男1「……何でわかるのよ!?」
ヴァッシュ「数えてた!!」

 
 (逃げ出した男たち。一段落した店内では・・・・)

ヴァッシュ「………何も身ぐるみおいて行かなくてもいいのになあ」

 (男たちにあきれた後、オモチャの銃を子供に返す)

ヴァッシュ「はい 助かったよ ありがとう」
子供「………」
老人「大したウデじゃの あんたこうして『撃たずに』生きてきたのかね」
ヴァッシュ「そうそう 何しろ弾丸一発のお値段でピザトーストが4枚は食べられるからネ!」

 (すっとぼけた答えをするヴァッシュだが、ふと真面目になって)

ヴァッシュ「まあそりゃ冗談としても 誰だって痛いことはゴメンでしょ!? 人死にやケガ人は出ない方がいいに決まってます」
老人「変わった奴じゃ それでガンマンが努まるのかい わっはっはっはっは」
ヴァッシュ「はっはっはっはっはっはっは」

 (笑い出す老人につられてヴァッシュも笑う。和やかな雰囲気のその時・・・)

ウエイトレス「ごめんね!」
ヴァッシュ「?」


 (場面変わって別の街。 大きな電球のようなものが街の中央にある)

?「なるほどねェ 船(シップ)からとばされた『プラント』が生きてるんだあ」
?「丁度いいわ寄っていきましょう」

 (見るからに柄の悪そうな荒くれものの酒場。そこに入ってきたのは大柄と小柄な二人の女性)

マスター「………注文は?」
小柄「バナナサンデー!!」
大柄「ガトーミルフィーユとセイロンティーをセットで」

 がたがたがたがた (派手にずっこける男たち)

男1「お嬢ちゃんたちよォ そーゆーギャグは『ミルク』で行くのがお約束だろうが そーすりゃ俺様の濃くて暖かいモノを…」
男2「混ざりモノが多くて喉にからまる所がおいしいわぁーーってか!?」

 (下品な冗談と笑い声を飛ばす男たち。すると・・・・)

大柄「もーーーッ 信じらんない!!」
小柄「ミリィおよしなさい」
ミリィ「だーーって先輩…」

 (騒ぐミリィの懐から馬鹿でかい銃が転がり落ちる)

ミリィ「ああッ」
 
 (落ちた銃はビンを割り、隣の客にぶつかって悶絶させた)

ミリィ「ごめんなさーーーい」
男1(ななななんだよーーーッあの銃は)
男2(ななな何あわててんだ ハッタリさ そうにきめってんだろう!?)

 (おびえる男たちを尻目に 軽々と銃を持ち上げるミリィ)

ミリィ「かよわい女の子にあんまり下品なことゆうのやめて下さーーい」
男たち(いいいいいいいませんともゴリラ女!!)

 (一段落ついたところで・・・・)

小柄「ところでマスター 『ヴォルドール』までは まだだいぶありますの?」
マスター「東へ10アイルも行けば船がみえてくるさ だけど ホレ あそこは今人間台風が来てるって話じゃねーか」
小柄「そうなんです彼に用があって私たちーー」
マスター「ダメダメ!! あそこにゃ近づかねえ方がいいよ ちょーど今頃凄いことになってる!!」

 ガチャン(慌てて店を出る小柄な女性)

ミリィ「先輩ーーっ せっかくオーダーしたのにー!!」
小柄「急ぎますわよミリィ!!」
ミリィ「は…はいッ」

 (常用動物トマに乗り、一目散に走り行く二人)

「何しろ600億$$だろ!? 今までこんな話がなかった方が不思議なくらいだぜ!!」




 (場面変わり 困った様子で両手を挙げているヴァッシュ)

ヴァッシュ「えええーーーっと」

「町内会で決めた話だとさ 町の財源に半分 残りを全員で分配するんだってよ!!」

 (ヴァッシュの前にいるのは銃を構えたウェイトレス。その後ろには武器を振り上げる町内の皆さんが・・・)

ウエイトレス「ごめんなさい ヴァッシュさん」
ヴァッシュ「あのーーー・・・」



 (そのころかの女性二人はどうしたかというと・・・・・・・)

ミリィ「センパーイ やっぱ戻って聞きましょう」
小柄「子供の太陽がアッチだからー 東がこっちで…」

 (道に迷っていた・・・・・) 

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