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特警ウインスペクターの第1話
 
 
とある港。

1人の男・アンドロイドR24がタンクローリーに扉を破って乗り込む。

「各警戒に告ぐ。誘拐された赤ちゃんはいまだ発見されず、不審者発見の際は、すみやかに……」

男の手には赤ちゃんがいた。

警官「赤ちゃんだ! おい君、この赤ちゃんどうした!?」

警官2人が男に飛ばされる。

R24の乗るタンクローリーが発車される。

パトカーが次々とぶつけられる。

赤ちゃんが笑っている。
 

赤ちゃん暴走!
 

タンクローリーは信号無視して走り続ける。

それにぶつかる車は次々と大破していく。

警視庁

「横浜新港埠頭、第3岸壁付近で誘拐された赤ちゃん発見! 男は、タンクローリーを奪って逃走! 国道1号線を都内に向かって逃走中! 捜査一課、及び第4コース機動隊、出動命令!」

小山良太がウインスペクターの司令室に入ってくる。

中には本部長・正木俊介と隊員・藤野純子がいた。

良太「おじさん、赤ちゃんが誘拐されたって、本当なの!?」

本部長「しっ!」

マドックス「男の身元は、依然として不明。赤ちゃんは、昨日誘拐された高沢俊夫博士のお孫さん・由利ちゃん、生後10ヶ月に間違いありません」

本部長「よし、出動!!」

純子「了解!!」

研究室

ここでは野々山真一がバイクルとウォルターの開発を行っていた。

純子「野々山君、出動よ!」

野々山「OK!!」

野々山がボタンを押すと2人のリフトが下りる。

純子「ターゲットの副調整は、大丈夫!?」

野々山「複視開発68の34分で前回より一度2分上がってるんだけど、もう少しよくなると思うんだ」

純子「それだけあれば十分! ウェイクアップ!!」

野々山「ウェイクアップ!! スイッチオン!」

ウォルターとバイクルのゴーグルが閉じる。

2人の腕が動き出した。

純子「バイクル、ウォルター、出動!!」

バイクル「任せんといてんちょ!」

ウォルター「今回の事件は、シュミレーションKA235に告知しています。その回答例に従えば、うまくいくと思います!」

そのころ、良太は姉・久子が経営している喫茶店に帰ってきた。

良太「大変だ、姉ちゃん。大変だ、姉ちゃん! 事件だよ事件!」

久子「良太、また警視庁に行ってたのね!? 出前のとき以外は行っちゃダメって行ったでしょ!?」

良太「うるさいなぁ」

良太がテレビをつける。

キャスター「タンクローリーは今なお、暴走を続け、衝突被害を受けた車は、すでに10台を超え、国道1号線はパニック状態に陥っています! いったい犯人は、赤ちゃんをどうしようというのでしょうか!?」

町では、車がどんどん爆発していく。

ある田舎の畑

そこにウインスペクターの車・ウインスコードが停まっていた。

ビニールハウスの中にはウインスペクター隊長・香川竜馬とその妹・優子がいた。

竜馬「今年も綺麗に咲いたな!」

優子「うん! でも、外のお花畑は、今年もダメ。1つも芽を出さなかったの。2年前まではここも、美しい花畑なのに……」

竜馬「ひどい話だ。あの化学工場に強盗が入り、急行で駆けつけた警官に追い詰められた犯人が抵抗して、廃液処理設備を破壊してしまった……そのために土地が汚染され、こんなことになってしまったんだ」

優子「でもお兄ちゃん、私、何年かかってもいいから、この土地に絶対もう一度花を咲かせて見せる。そのために、いろいろ勉強したり、実験したりしてるの!」

竜馬「そうさ。優子ならきっとできるよ!」

優子「うん!」

ウインスコートに通信が入る。

竜馬「香川です!」

本部長「私だ。事件が発生した! すぐ戻ってくれ……」

本部長の車の上にはウォルターがバイクルを抱えて飛んでいた。

バイクル「ウォルター、降ろさんでちょうよ! ワシ、高所恐怖症やねんで!」

竜馬が車で現場に向かっていた。

竜馬(西暦1999年。今の日本は、科学技術の発達で生活が豊かになる。でも、人の心まで豊かになるだろうか!? 富豪の土地を平気で作り出したり、科学を逆用して、大勢の犠牲者を出すような凶悪な犯罪が増えている。許せない!)

道路では、機動隊や警察がタンクローリーを待ち構えていた。

警部「どけ! 早くしろ!!」

そこへ、本部長が現場に現れる。

同じく、ウォルターとバイクルも。

警部「本部長、ウインスペクターのお出ましですか!? この事件は、我々捜査一課と機動隊だけで十分と思いますがね……」

本部長「運転席に赤ん坊がいると聞いたら、ほっとけんだろう……」

警部「ん?」

ウォルターとバイクルがバスの上を歩いている。

警部「こら、お前ら! どこに乗ってるんだ!?」

バイクル「え? 硬いこと言いやすな! 高いところならよう見えんがんね!」

ウォルター「来た!」

R24の乗るタンクローリーが現れる。

警部「全配置につけ! 止まらなかったら構わん。威嚇射撃しろ!!」

一同「ハッ!!」

本部長「いかん、絶対発砲するな! タンクに当たったら大爆発だ、絶対に発砲するな!!」

タンクローリーが機動隊を突破しようとしている。

警部が前に出る。

警部「どけどけ! 止まれー! 止まれ!!」

だが、タンクローリーは止まらず、そのまま突破してしまう。

警部が顔に煤を塗って倒れていた。

パトカーが爆発し、警官が飛ばされる。

本部長「引け!」

警官「ハッ!」

本部長「ウォルター、バイクル!!」

バイクル「任せてちょうよ!」

ウォルターとバイクルが変形してタンクローリーを追いかける。

バイクル「さあ、止まりゃーせ!!」

2人はタンクローリーにしがみつく。

バイクルがガラスを割ってドアを開ける。

バイクル「警察だがね! 車止めやんせ! ほら、止めるんだがね!!」

タンクローリーはガソリンスタンドに入った。

バイクルが振り落とされる。

ウォルター「バイクル!!」

バイクルが入ったのは、洗車機だった。

バイクル「あれ? な、何!? これどこ!?」

バイクルの体が綺麗に洗われる。

ウォルターは運転席に入る。

ウォルター「車を止めなさい!!」

R24がウォルターを天井に突っ込ませる。

すると、R24の顔が変化する。

ウォルター「ロボット……」

R24のビームがウォルターを落とす。

車が再び炎上する。

少女「ウォルター、大丈夫!? がんばって!」

ウォルターは少女にキスされて興奮する。

ウォルター「イエッサー!!」

少女「ウォルター!!」

タンクローリーはギリギリで踏み切りを越える。

純子はその映像を高沢家で高沢俊夫博士と観ていた。

高沢「R24だ。R24に間違いない!」

純子「R24!?」

高沢「NASAに依頼されて、私が開発をした、月面採用ロボットです!」

純子「じゃあ、何者かが同じものを……」

高沢の嫁「そんな! 由利ちゃんがロボットと一緒だなんて!! 義父様!!」

高沢の息子「お願いします! 娘を助けてください!!」

純子「博士、犯人に心当たりは!?」

レインボーブリッジ

本部長「竜馬、犯人がわかった。去年まで高沢博士と一緒に働いていた日本人科学者・黒田鬼吉博士だ!」

竜馬「黒田鬼吉博士!?」

本部長「若いころは、いいライバルだったらしいが、後年は次々に新しい理論や発明を発表した高沢博士をひどく嫉んでいた!」

竜馬「ただそれだけで!?」

本部著「タンクローリーはまっすぐ、八王子にある高沢博士の研究所に向かっている!」

竜馬「つまり、赤ちゃんもろともタンクローリーで研究所に突っ込み、爆発させようとしてるっていうんですか!?」

本部長「研究所には、高沢博士のすべてがある。お孫さんも、目に入れても痛くないほど可愛がっている。両方とも、博士にとっては命に代えがたいものだ! タンクローリーが研究所に突っ込むまであと20分しかない、私は研究所に先回りする。竜馬はなんとしても、タンクローリーを阻止するんだ!!」

竜馬「了解!!」

黒田研究所

キャスター「タンクローリーは、依然として暴走を続け、警察は対応に苦労しています」

黒田「騒げ、ハハハハ!! もっと騒げ! 今に見てろ高沢、貴様の大切にしている孫と、研究所を葬り、地獄の苦しみを味わわせてやる!!」

タンクローリーの暴走により、パトカーが再び爆発する。

R24が赤ちゃんを調べる。

R24「抹殺……」

R24が赤ちゃんに手をかけようとすると、前方からウインスコートが現れ、タンクローリーの前に出る。

上にはウォルターとバイクルの姿も。

バイクル「ウォルター、急げ! 急ぎやはれ!!」

ウォルター「わかってる……」

タンクローリーが右に曲がる。

竜馬「バイクル、ウォルター、このままだと研究所まで10分もかからない。別の場所に誘導して阻止するんだ!」

バイクルとウォルターがタンクローリーを抑える。

バイクル「ウォルター、行くぞ!!」

しかし、タンクローリーのパワーに2人は不利になる。

バイクル「すごい力だぎゃね!」

ウォルター「フルパワー!!」

バイクル「フルパワー!!」

2人のパワーがあがり、タンクローリーを別の道に右折させようとしている。

ウォルター「バイクル、今だ。放せ!」

バイクル「おう!!」

ようやくタンクローリーを別の道に移動させることに成功した2人。

そこへ、ウインスコートが駆けつける。

ウォルター「やったぞ!!」

バイクル「袋のねずみだぎゃね!」

しかし、タンクローリーは工場を突き抜けていく。

従業員たちが瓦礫の下敷きになっている。

竜馬「バイクル、ウォルター、2人は残って工場の人たちを救出しろ!!」

ウォルター「イエッサー!!」

バイクル「任せてちょ!」

竜馬「頼んだぞ!」

2人はコンピューターで工場の人たちを分析する。

ウォルター「ディスライダー!!」

バイクル「バイスピア!!」

バイクルがバイスピアで瓦礫をどける。

バイクル「大丈夫だがや!!」

ウォルターが従業員たちを持ち上げて避難させる。

ウォルター「さあ、しっかりしてください!」

バイクル「今、助けるでね……待ってちょよ!!」

バイクルがバイスピアを使って従業員の乗っている机を持ち上げる。

女性「すごい力!」

ウォルター「マルチパック・ファイヤーバージョン!!」

ウォルターとバイクルがマルチパックで消火活動を行う。

ようやく火が消える。

黒田家

純子がその家の前に停めている車で待機している。

純子「本部長、高沢博士の協力で黒田博士の潜伏場所がわかりました!」

本部長「よし、押さえろ!」

黒田「ハハハハ! あと少し、あと少しで孫も高沢の研究所も木っ端微塵だ。ハハハ……」

そこへ、純子が入ってくる。

黒田「誰だ!?」

純子「警視庁特別救急警察隊・ウインスペクターです!」

黒田「ワシは何も知らん!!」

黒田が色々なものを純子に投げつける。

純子の銃がロボットを撃ち落とし、黒田を怯ませる。

純子「博士、赤ちゃん誘拐容疑、ならびにタンクローリー暴走事件の主犯容疑で逮捕します!!」

黒田の手に手錠がかけられる。

キャスター「高沢研究所まであとわずか2キロです。果たして犯人は、博士のお孫さんもろとも本気で研究所に突っ込むつもりでしょうか!?」

純子「博士、R24を止めなさい!」

黒田「フフフ、無理だ。すべてはインプットされて、誰も止めることはできんぞ……」

高沢研究所前

高沢の乗る車が研究所前に到着し、高沢が降りる。

高沢「孫だけは返してくれ!!」

本部長「博士……竜馬!!」

竜馬「着化アップ!!」

竜馬がボタンを押すと体にクラステクターが着化され、ファイヤーとなる。

ファイヤーが猛スピードで高沢をタンクローリーから守る。

本部長「ファイヤー、タンクローリーだ!!」

ファイヤーがタンクローリーにしがみつく。

R24がビームでファイヤーを落とそうとする。

本部長「ファイヤー!」

しかし、ファイヤーはそれでも必死に掴む。

R24の攻撃は続く。

本部長にマドックスから連絡が入る。

本部長「私だ!」

マドックス「本部長、ファイヤーの体調に異常が現れ始めました! クラステクター着化タイムリミットまであと1分しかありません!」

本部長「1分!? ファイヤー、急げ!!」

タンクローリーがもうすぐ研究所に突入しようとしている。

ファイヤー「マックスキャリバー・レーザーソード!!」

ファイヤーのマックスキャリバーがタイヤをパンクさせる。

純子、バイクル、ウォルターが現場に現れる。

純子「ファイヤー!!」

警官たち「わあっ!」「来るぞ!!」

ファイヤー「パルスガン!!」
 
パルスガンによりタンクローリーが横転し、壁に激突して爆発する。

高沢「由利!!」

本部長「ファイヤー!!」

純子「ファイヤー……」

炎から現れたのは、赤ちゃんを抱えたファイヤーの姿だった。

ウォルター「隊長……」

バイクル「助かったがね……」

本部長「よくやった!!」

瓦礫からR24が現れる。

R24「抹殺……抹殺……うわあああ!!」

R24が大爆発してしまった。

しかし、残った手はまだ動いていた。

ファイヤーがデイトリックM2で手を撃ち抜く。

本部長が赤ちゃんをあやす。

本部長「さっ、博士」

高沢「助かりました」

本部長「ファイヤー!!」

ファイヤーがヘルメットを外し、素顔を露にする。

ナレーション「新しいヒーローが誕生した。その名も、警視庁特別救急警察隊隊長・警視正・ファイヤー。香川竜馬がクラステクターを着化したとき、我々はそう呼ぶのだ。ファイヤーは正義のため、命を懸けて戦う。がんばれ、香川竜馬。がんばれ、我らがウインスペクター!!」

つづく
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