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―横浜
教会の墓地に一人の老紳士が訪れる。
長い間アメリカに渡っていたロボット工学の世界的権威、古賀竜一郎博士だった。

「42年前の太平洋戦争で戦死した一人息子の墓参りのため、古賀博士がアメリカから帰国した。しかし、それは表向きで、実は博士には、重大な目的があったのだ」

息子、古賀竜夫の墓の前で、その写真を取り出す古賀博士。

博士「竜夫、聞いてくれ。今、世界の各地では異常な事が起こっている。私は、謎の事件を背後で操っている者の正体をようやく知ったのだよ。
   そのために私は、急いで日本に帰ってきたんだ。お前にだけは、私の気持ちを知って貰いたくてここへ来たんだ…」

急げ!百鬼魔界へ

―東京
世界有数の財閥である桐原コンツェルンの総帥・桐原剛造の執務室。

秘書K「申し上げます。ニューヨークの株式市場が暴騰しています。ダウ平均株価が初めて、4000$を突破いたしました」
秘書S「同じく、ロンドン市場、東京株式市場も高騰を続けています。いかがいたしましょうか?」
桐原「買い占めろ。全世界の金融市場の財務局長に伝えよ。強気一本で行けとな」

秘書K「中近東の火薬庫の動きが不気味です」
桐原「ペルシャ湾に原子力潜水艦を派遣する。コンツェルン所属のタンカーのみ守れ。
   他社のタンカーが動乱の煽りを受けて沈もうが、私には関係ない…私を夜の闇に包め!」

桐原の一言に、二人の女性秘書がブランイドを占める。まさに部屋が闇に包まれる中、
桐原の姿は見る見る醜い老人へと変わり、最後には醜悪な怪人へと変じた!

―コンツェルン本社ビルの地下深く…秘密闘技場ゴーストバンク。
 数多の閃光が飛び交うなか、どこからともなくシュプレヒコールが聞こえてくる。

「「「ネロス!ネロス!ネロス!ネロス!」」」」

桐原の変じた怪人が玉座から睨みを聞かせる中、四方のゲートから四つの影が姿を現す。

―銀の甲冑を全身に纏った騎士。
―黒と黄のストライプが特徴的なヒューマノイド形ロボット。
―醜悪な顔を透明なフードで覆った怪人。
―巨大な剣と楯を装備した、歩く戦艦のようなロボット。

桐原―いや、百鬼魔界の帝王ゴッドネロスが右手を上げると、彼の配下の四軍団のひとつ
中闘士ムキムキマンとフーフーチュウが姿を現す。

ムキムキマン「いやあっ!」
フーフーチュウ「うおおおっ!」

二人の扇動で沢山の軍団員たちがゴーストバンクに続々と集結する。

バイオモンスターで構成されたモンスター軍団とそれを束ねる怪人・凱聖ゲルドリング。
全身に強力な武器を装備した破壊兵器、機甲軍団とその指揮官、戦艦型ロボ・凱聖ドランガー。
様々な甲冑を纏った武術の達人やサイボーグで構成されたヨロイ軍団と、軍団長の剣士、凱聖クールギン。
高い戦闘能力を持った人間型ロボットで構成される戦闘ロボット軍団と、彼らのリーダー、凱聖バルスキー。

かれらはネロスの名とその軍団長の名を口々に叫ぶ。そして、それを制したネロスが演説を始める。

ネロス「余は神…。全宇宙の神!その名をゴッドネロス!世に歯向かう者は誰一人として容赦はせぬ。
    全て抹殺。その者どもに死を、与えよ!」

「「「オオッー!!!」」」

ネロス「既に機甲軍団は、世界各地で活躍し多大の戦果を収めた」

戦車や戦闘機を模したロボットたちが油田を次々と破壊して行く映像が流れる。

ネロス「石油が足りなくなれば、わが帝国の貯蔵する原油の値段は天井知らず!
    それがすぐに世界の株式、金融市場に反映し、いまや株は大暴騰を続けておる。
    戦争は人間の命と武器との果てしない消耗戦だ。余の帝国は、密かに武器を売りつけ
    莫大な利益を生んだ。破壊と流血の後には、飢餓が訪れる…。しかし、弱者に用は無い!
    いつの世も…、力があるものが勝ち、栄えるのだ。滅び行く弱者に、涙などいらぬわ!」

「「「オオーッ!!!」」」

ネロス「余は、世界に二つと無い帝国を作るため、無敵の、ヨロイ軍団、戦闘ロボット軍団、モンスター軍団、機甲軍団を
    誕生させたのだ。余の帝国と軍団に、栄えあれ!」

「「「オオーッ!!!」」」

ネロス「見よ!」

ネロスの指から光が差し込み、立体映像が映し出される。そこには古賀博士の姿が…。

ネロス「この男…余の帝国にとって災いを残す。全軍を挙げて抹殺せよ!」

―古賀博士の車を上空を突如、戦闘機を擬人化したかのようなロボット、機甲軍団激闘士・ストローブが旋回する。

ストローブ「いたぞ!」

車を止め降車した博士を狙い、レーザー光線が発射。車は爆発する!

博士「おい、おいっ!しっかりしろ!おい!」

運転手は爆発に巻き込まれ事切れていた。

博士「まだ、死ぬわけにはいかない…。私には…、やらなければならぬ仕事が…残っているんだ!」

傷ついた博士は森の中を這いずるように逃げて行く。

―地下壕。そこは旧日本帝國陸軍の秘密研究所の跡だった。
博士が壁面の隠しスイッチを押すと、洞窟の一角に扉が現れる。
そこには近代的な研究所と、台の上で眠る、古賀竜夫に瓜二つの青年が…。

博士「懐かしい!何もかも昔のままだ!」

博士が装置の電源を入れると、青年に赤と青の電流が流れる。

博士「私が42年前に、敗色濃い日本を救うための、秘密兵器として、君を作ったんだ!」

死んだようだった、青年の肌が徐々に赤みを帯びていき、そしてゆっくりと目を覚ます。青年の名は剣流星!

流星「僕は…………誰だ?」
博士「君の名は、剣流星。私が名づけたんだ」
流星「つるぎ……りゅうせい…?」
博士「そうだ。しかし君は人間ではない。姿形は人間そっくりにできているが、君は超人機なんだ。君の身体は機械でできているんだ」
流星「機械!?」
博士「君は超人機メタルダーなんだ」
流星「超人機…メタルダー!?」

―地上では博士を見失ったストローブが着陸。そこに四軍団の戦士たちがぞろぞろと姿を現す。

「「「ハイルネロス!」」」
ストローブ「機甲軍団激闘士ストローブ!」
チューボ「ヨロイ軍団の暴魂チューボだ!」

軍団員たちを率いる鎧武者がストローブに応える。

チューボ「帝王より古賀の生死を確認せよとの命令だ」
ストローブ「古賀は、あの森に逃げ込んだ」
チューボ「よーし…炙り出してトドメを刺してやる!行け!」
「「「応ッ!!!」」」

チューボの号令とともに、軍団員たちが森へと向かう。

その様子を崖の上から伺う影―ヨロイ軍団凱聖クールギンだった。

クールギン「それにしても、ゴッドネロスはなぜ、老いぼれ一匹に執着なさるのか」

―再び、秘密基地内

博士「聞いてくれ、剣流星。君はこれから超人機メタルダーとして生きていかなければいけないんだ。
   それは決して平坦な道ではない。君の行く手は茨の道だ」
流星「いばらの…みち?」
博士「なぜなら、それは…」

博士が告げようとしたその時、地上から爆音が響く。
生まれたばかりの剣流星は博士の言葉をまるで理解できていない風に無表情のままである。
機甲軍団の爆撃が基地を襲う。警報音が鳴り響き、その様子をモニターが映し出す。

博士「敵だ!」
流星「てき?」
博士「わしが、これを身をもって教えよう…」
流星「教える?なにを?」

意を決した表情で博士は地上へ向かう。

チューボ「いたぞ!追え!」
軍団員「「「応ッ!」」」
博士「剣・流星ッ!!!」

博士の叫び声が山野に響く。

流星「僕を呼んでいる!」

博士を軍団員たちが取り囲み、チューボが一歩一歩博士に近づく。

博士「剣流――――ぐあっ!!!」

博士の叫びが途切れたのを聞いた流星は、拳を握り意を決した表情で地上に向かう。
一方、地上では博士がぴくりとも動かず地面に倒れ伏していた―――。

ムキムキマン「ヒヒャヒャヒャヒャヒャ…死んだ!死んだ!」

頷くチューボと、その場を去ろうとするクールギン。
だが、バイクに跨った瞬間、博士に駆け寄る流星を見つけ、動きを止める。

「この世に誕生したばかりのロボット人間・剣流星には、まだ、生と死についての、明確な意識が無かった」

フーフーチュウ「坊や、見たねぇ?」
ウォッガー「生かしちゃおけねぇぜ!」

ヨロイ軍団雄闘・ウォッガーの槍に流星が殴り飛ばされる。

フーフーチュウ「うぉりゃあああっ、どすこい!」

フーフーチュウの張り手で弾き飛ばされる流星をチューボが踏みつけにする。

流星「ぐううっ!?」

さらに流星の首根っこをつかみ、殴り飛ばすチューボ。

チューボ「クールだねぇ、お兄さん…そういう奴ァ、好かねぇッ!!!」

もう一発顔面にパンチを食らった流星に今度はムキムキマンが襲い掛かる。

ムキムキマン「うがあああああっ!!!」

ムキムキマンのパンチをうけ、もんどりうって倒れる流星。

「剣流星の闘争本能が、ムクムクと頭をもたげた」

流星「うああああああああああっ!!!」

逆に、軍団員に襲い掛かる流星だが、ムキムキマンにつかまってしまう。

ムキムキマン「ムキムキバスター!」
フーフーチュウ「おらおらぁっ!」

二人に投げ飛ばされた流星は受身をとって立ち上がり叫んだ。

流星「怒る!」

「剣流星の体内に秘められていた全エネルギーが、感情の高まりとともに頂点に達した時、彼は、超人機メタルダーに瞬転する!」

人間の姿からロボットに姿を変えた流星に驚く軍団員たち。

チューボ「貴様ァ、何者だ!?」
メタルダー「メタルダーだ」

崖の上で様子を伺っていたクールギンも驚きを隠せない。
そして、再び軍団員たちに飛び掛るメタルダー。
ムキムキマンとフーフーチュウが取り押さえようとするが逆に投げ飛ばされてしまう。

ムキムキマン「ウギャアアアアッ!?」
フーフーチュウ「オワワワワワッ!?」

なんとか立ち上がった二人は怒り心頭である。

フーフーチュウ「ぬおおおっ、大・噴・火!」

フーフーチュウの頭から炎が噴出す。

ムキムキマン「キェエエエイ!」

ムキムキマンも奇声を発しながら、威嚇のポーズを取る。

チューボ「なんだ、だらしのない奴!いくぞ!」

チューボたち他の軍団員が次々メタルダーに襲い掛かる。

「まだ、自分の全てを知らないメタルダーは敵を完全に捕らえる事は出来ない!」

メタルダーのチョップを浴びて、立ち木が真っ二つになる。

メタルダー「あっ!?これは?!」
ザケムボー「うおりゃぁ!」

モンスター軍団激闘士ザケムボーがメタルダーをはがいじめにしようとする。
それを弾き飛ばしたメタルダーがザケムボーに蹴りを浴びせようとする。
ザケムボーの交わしたキックはその後ろにあった岩を粉微塵に粉砕した。

チューボ「やるな!?覚悟!」

刀を抜くチューボに続き、他の軍団員が総出で、メタルダーを押さえ込んでしまう。
しかし彼のの戦闘マニュアルコンピュータが激しく運動を初め逆に五人の軍団員を吹き飛ばした!

ウォッガー「うわああああああっ!!!」
ゲバローズ「うわぁっ!?」

ウォッガーが大きく吹き飛ばされ、戦闘ロボット軍団激闘士ゲバローズは
生木が真っ二つに折れるほど、激しく叩きつけられてしまう。

その様子を見るに見かねて、ついにクールギンが静かに姿を現す。
強敵の出現を本能的に感じ取り、身構えるメタルダー。

クールギン「ヨロイ軍団凱聖クールギン。相手をいたす…」

その威圧感に気圧されるメタルダー。二人の睨み合いが続く。

メタルダー「ぐああああっ!?」

先に攻撃をしかけたのはメタルダーだった。だが、すれ違いざまに
抜刀したクールギンに肩口を大きく切り裂かれ、前進の回路に異常が発生、火花を噴く。

メタルダー「うわあああぁっ!!!」

そのまま崖から転落していくメタルダー。

クールギン「ハアァァァ………」

刀を鞘に納めると、クールギンは悠然とその場を去っていった…。

―ゴーストバンク。軍団員の集結する中、帝王ネロスは一連の事態の報告を受けていた。

ネロス(超人機メタルダー。もっとも恐れていたことが…)

― 一方、メタルダーは死んではいなかった。負傷した身体をふらつかせながら
 崖の上へとよじ登り、沈む夕日にその視線を向ける。

メタルダー「風よ、雲よ、太陽よ!心あらば教えてくれ…なぜ、この世に生まれたのだ!?」

つづく

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