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鳥人戦隊 ジェットマン


〜第1話  戦士を探せ〜

ナレーション
199X年、衛星軌道上に漂う地球防衛軍スカイフォースのアースシップ。
24時間体制で、地上の動きを監視するこのアースシップにより、地球の平和は保たれていた。

「QR77ポイントに異常発生!!工事用Mロボットが暴走を始めた!!
巡回中のスカイフォースターは、至急!現場へ急行せよ!繰り返す…」
工場の中で、ロボットが、ビームを乱射し、機械を破壊している。
そこへ、バイクで駆けつけた隊員が2名。
「スカイフォースターbv6、現場に到着!」
一人は男。そして、もう一人は、真っ赤な口紅の似合う女性隊員だ。
「同じくbv3、現場に…!」
その時、工場の外で、悲鳴がした。
「キャー!赤ちゃんが〜!!!」
逃げるお母さんの手から、転んだ拍子に空中へ投げ出された赤ちゃん!!
bv3が、バイクを蹴ってジャンプ、無事赤ちゃんを空中でキャッチして、着地した。
「リエ!?」 bv6が、心配そうに尋ねた。
「私は大丈夫、それより、早く!ロボットの解除スイッチを!!」
bv3の言葉に、バイクを急発進させ、ロボットに向かうbv6。
ロボットのビームを、腕に受けながらも、ひるむことなく進み、暴走し続けるロボットに跳び付き、
なんとか、解除スイッチを押すことに成功する。
ヘルメットを取り、汗をぬぐうbv6に、bv3が駆け寄り
「素敵よっ!!」
と言って、キスをした。
モニターを見ていたスカイシップの皆が、緊急事態を回避できた喜びを
分かち合っている。
「やったなー」 「あぁ、良かった」
「しかし、見せ付けてくれるよなぁ〜!この2人は!」
そこへ、小田切長官(女性)がやって来て、
「あの、2人の名前は何というか!?」と、尋ねた。
立ち上がって、敬礼する皆。
「はっ!bv6 天童 竜、bv3 藍 リエ の両名であります!」
「2人のデータを、届けるように!Jプロジェクト要員として、推薦したい…」
ニヤリと笑う長官。

小田切長官の部屋、竜とリエが、来ている。
「鳥人戦隊…?」 リエが、尋ねた。
「我々が、極秘に開発したバードニックウェーブを浴びることにより、君たちは、
人間を超える力を持つ。鳥人戦隊ジェットマンが誕生すれば、
地球の平和は、より確固たるものとなろう。」
「人間を超えるって、何か妙なものになっちゃうんですか?」
「一切の心配は無用!我々はただ、君たちの勇気に期待する。」
竜が、リエのほうをチラッと見て
「あのう…ジェットマンとかになると、僕たちのコンビは解消ってことに…?」
と、尋ね、リエの肩に手を回す。
「仲がいいようね!?ジェットマンは、5人で構成され、常に5人で行動する。
したがって、君たちが離れ離れになることはない!」
長官の言葉を聞いて、手をつなぎ、微笑んで見つめ合う竜とリエ。
長官の咳払いで、慌てて姿勢を正す2人。

バイラムの魔城 バイロックが、アースシップに忍び寄っている。

アースシップの中では、小田切長官をはじめ、たくさんの隊員たちが集まっている。
「それでは、これよりプロジェクトに入ります。フォースガン、スタンバイ!!」
長官の合図で、ゆっくりと降りてくるフォースガン。
竜、リエ、ほか3名のプロジェクト要員が、並んでいる。
「天童 竜、前へ!」
「ハイ!」
リエが心配そうに見る中、竜が進み出て、フォースガンの下の椅子に座った。
フォースガンから、赤色のエネルギーが、竜の体に浴びせられた。
「うっ、うう…ぅわぁ〜!!」 苦しみ出す竜。
「竜〜!」 そばへ行こうとしたリエを抑えて、長官が叫んだ。
「耐えるのだ!この、バードニックウェーブが、お前の体をジェットマンに変える!」
竜の目には、さんご礁、宇宙、薔薇、マグマ、鷹…様々な映像が
乱れ映し出されていく。
しばらくして、バードニックウェーブの放射が終わった。
ぐったりとする竜。
その時、アースシップが、爆音とともに激しく揺れ始めた。動揺する隊員たち。
モニターの画面も乱れ、コンピューターの操作もできない。
そして、皆の頭上に、巨大な恐ろしい顔が現れた。
「ひざま付け!我らは、あらゆるものの始まりと終わりを支配するもの…
すなわち、『神』なり」
その巨大な顔は、地球のあちらこちらにも現れた。
「我らは『神』…『バイラム』!!」
地上の人々は、恐れおののいた。
「愚かな人類に通告する。今、この瞬間より、地球は、我々『バイラム』の
支配下に入る。我ら、『バイラム』の力を示すために、1分後に
アースシップを破壊する!!」
その顔は、悪の組織『バイラム』の幹部ラディゲだった。
「我々『バイラム』は、裏次元を征服し、この第三次元にたどり着いた。
お前たちの極悪なる文明を破壊し、『バイラム』の新しい理想郷を築くだろう!」
アースシップの内部は、大パニックとなった。
機械の修復を試みる者、逃げ惑う者…
バイラムの攻撃が始められ、あちこちで爆発が起り出した。
竜は、バードニックウェーブを浴びた影響からか、体が思うように動かず、
リエと小田切長官に支えられて、脱出口に向かっていた。
その時、目の前に大きな穴が開き、リエがその中に、吸い込まれそうになった。
「リエ!!」
必死に、リエの手をつかんで、引き戻そうとする竜。
しかし、リエを吸い込もうとする力はあまりにも強く、ついに、2人の手が離れてしまった。
「りゅーーーーーーーーーう!!」
「リエーーーーーーーーッ!!」
リエの体が、あっという間に消え去ると同時に、穴が閉じてしまう。
後を追おうとする竜。
「逃げるのよ!爆発するわ!!」
「離してください!!リエを、助けに行くんだ!!」
言うことを聞こうとしない竜の腹部に、長官は、一発鉄拳を食らわして気絶させ、
竜を抱えて、鷹をかたどった小型ジェットに乗り込んだ。
2人を乗せた小型ジェット機は、アースシップの爆発寸前に、脱出に成功する。
その爆発の際、アースシップに残っていた4色のバードニックウェーブが飛び出し、
地上の4人の一般人に、降り注ぐ結果となった。
黄色は、畑を耕しているしている青年に、
白は、お琴のお稽古中のお嬢様に、
黒は、バイクに乗った男に、
青は、下校途中の女子高生に…。

ラディゲは、一匹の次元獣を地上に送り込み、姿を消す。

地上のスカイキャンプという基地で、竜は目を覚ました。
「気が付いた?ジェットマンのために、密かに用意された秘密基地よ。」
小田切長官が、言った。
「…リエ…を、リエを探しに行かなければ!!」
ベッドから飛び起き、出て行こうとする竜。
それを、止める長官。
「行かせて下さい!リエを探しに、行かせて下さい!!」
長官に食い下がる竜の頬を、長官が、思い切り張り飛ばした。
「まだ目が覚めていないようね。彼女は、死んだのよ!バイラムに殺されたの!!」
「リエ…!!!うぅぅぅ…」
「泣きなさい…二度と泣かないために…あなたは、バイラムと、戦わねばならない!」
「どうやって戦えって、言うんですか!?奴らは、たった一撃でアースシップを破壊した!
そんな相手と、どうやって戦えって言うんですか!!??」
竜は、右手の握りこぶしを、長官の目の前に出した。
その手首に、クロスチェンジャー(腕に巻く、変身のための器具)をはめる長官。
「あなたはすでに、ジェットマンなのよ!一緒に来なさい。あなたの仲間を…
残り4人のジェットマンを、探しに行くのよ!」
長官の言葉に、意を決する竜だった。

街では、バイラムの放った次元虫(怪獣)が、次々と、人間を吸い込んでいた。

長官と竜の乗った車が、大きな屋敷の前に止まると、長官の持っているレーダーが、
激しく反応し始める。
「見て!バードニックウェーブが、レーダーに反応している。私たちの最初の仲間が…
第2のジェットマンが、この中にいる。」
2人は、豪邸の中に入っていった。
執事の案内で、庭園に案内される2人。
「まぁ!それじゃあ、私がジェントルマンに?」
振袖姿のお嬢様は、あまりよく状況が把握できていないのか、にっこりと微笑んだ。
「ジェットマンよ。あなたは、自分でも知らないうちに、戦士になったの。」
そう言う長官を跳ね除けて、竜は、そのお嬢様の腕をつかんだ。
「頼む!君の力を貸してくれ!!このままだと、第二第三のリエが…!」
「はぁ?」
「…いや、間違いなく地球は、滅ぼされてしまうだろう。俺たちが…俺たちが、
戦う以外ないんだ!!」
「竜!」
今にも噛み付きそうな勢いの竜を、長官が抑える。
我に返り、竜は唇を噛みしめた。
「もし、あなたたちのお話が本当なら、私…決めましたわ!戦います、ジェントルマンとして!」
相変わらず、ニコニコと話すお嬢様…、ちょっと心配になる長官。
「ジェットマンよ…!」
「私、ずっと昔から、こんな日を待っていましたの。退屈な毎日から、飛び立てる日を!
あぁっ!感激ですわ〜!私が、地球を救うなんて!私、燃えます!」
こうして、お嬢様 香の、か細い腕にも、クロスチェンジャーがはめられた。

山間の農村、丸いめがねを掛けたちょっと太った青年が、畑を耕している。
「僕には、関係ないね…ほっといてくれ!」
傍らに立つ、竜と長官と香。
「関係ない!?君は、バードニックウェーブを浴びたんだ。君はすでに、ジェットマンなんだ!」
歩み寄る竜。
「知らないね、僕が、望んだわけじゃない…」
長官も、青年に近づいて言った。
「あなたも、見たでしょう?バイラムの力を…。このままじゃ、地球はバイラムの…」
「僕は、野菜を作るのが仕事なんだ!!第一、僕は、暴力が大嫌いだ!!
帰ってくれ!」
そう言い残し、青年は、行ってしまう。
「私、もう少し、あの人を説得してみます…」 香が、言った。
「そう?じゃ、お願い。私たちは、残りのジェットマンを探すから!」
長官と竜は、立ち去った。

ビニールハウスの中、香とさっきの青年が、きゅうりを見ている。
「ぅわぁ〜すご〜い!これ、全部、あなたが作ったんですの?」
「そうさ!」
「きれい…!私、知りませんでした、野菜が、こんなにきれいだなんて!」
「なんせ、愛情がこもってるからね!」
青年は、そう言って、2本のきゅうりをもぎとり、香に一本渡した。
「そら!食べてみろよ、こうやって食べるのが、一番うまいんだ!」
きゅうりをかじってみせる青年。
香も、一口かじり 「お〜いし〜い!!」

「おいしかっただろ?」
青年と香が、ビニールハウスから出てきたその時、
激しい揺れと、爆音がした。
「あっ!あれは…?」
青年の指差した山の上に、空一杯なほど大きなラディゲの手が!!
その手から、次々と、青年の畑の上に落とされるグリナム兵(バイラムの兵隊)。
グリナム兵たちは、青年の作った野菜をめちゃめちゃにし始めた。
「よくも、僕の畑を〜!!」
鍬を振り回して、グリナム兵に向かってゆく青年。
香も、野菜かごで応戦する。

長官と、竜の乗った車
竜のクロスチェンジャーに、香から連絡が入る。
「竜様〜!一大事ですの!助けて〜ぇ!」
急いで基地に帰り、竜は、鷹をかたどった『ジェットホーク』に乗り込んだ。

畑では、香と青年が、逃げ場を失いかけていた。
そこへ、『ジェットホーク』が飛んでくる。
空から、ミサイルで攻撃、そして、竜は『ジェットホーク』から飛び降りた。
「クロスチェンジャー!」
空中で、レッドホークに変身し、地上に降りる竜。
そして、青年 雷太の腕に、クロスチェンジャーを投げた。
「変身するんだ!君たちも、ジェットマンなんだ!!」
動揺する 香と雷太。
何も出来ないまま、二人は、バイラム兵に、崖に追い詰められてしまう。
竜は、現れた次元虫と格闘している。
ずるずると、後ずさりをする香と雷太、が、崖から真逆さまに落ちてしまう。
「早く!ブレスレットのスイッチを押すんだ!!」
クロスチェンジャーで話す竜。
香と雷太は、落ちながら、夢中でクロスチェンジャーのスイッチを押した。
やっと変身し、手をつないで、崖から飛んで出てくる2人。
「ど、どーなってんだ?コリャ…!」
「感激ですわ〜!これが、ジェットマンの力ですのね…!」
思わず、香が手を離すと、雷太は、地面に転げ落ちてしまった。
駆け寄る、香と竜。
「ごめんなさい…雷太さん!」「大丈夫か!?」
「め、面目ない…、なんせ、逆上がりも出来なかったもんだから…」
そこへ、グリナム兵が、総攻撃を掛ける。
吹っ飛ぶ3人。
「立ち上がるんだ!俺たちは、ジェットマンだ!!」
竜が、自分にも言い聞かせるように、2人を励ます。
「よくも、僕の畑を…!大地を汚す者は、許さない!!」
とは、言ったものの、香と雷太は、逃げてばかり…。
幾度となく、危ない状況にもなった。
やっとのこと、ほとんど竜一人で、グリナム兵と次元虫をやっつけたのだった。

その様子を、基地のモニターで見ていた長官は、
「やはり、まだ無理だ…。残り2人のジェットマンを探し出さなければ、
バイラムに、対抗することは出来ない!!」
もどかしさと、焦りを、感じていた。

一方、バイラムの城『バイロック』でも、ラディゲたちが、一部始終を見物していた。
「何者だ?ジェットマンとは…」
悔しそうに、ラディゲがつぶやいた時、他の幹部たちが、集まり始めた。
全身メタリックのロボット…グレイ。
「おもしろそうだね、これから、きっと、楽しくなるよ!」
そう言ったのは、トラン…まだ、子供だ。
もう一人、真っ赤な口紅の女性幹部…マリア。
姿こそバイラムの大幹部だが、彼女の顔は、藍 リエに瓜二つだった。

ナレーション
突如、出現した恐るべきバイラム。その真の力は?
そして、残る2人のジェットマンとは、いかなる人物なのだろうか?


第一話 終わり


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