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超忍者隊イナズマ!!のオープニング


西暦2076年、テレビ局・マジカルTVの編成局長室。

駆け出しの女性プロデューサー・寺田ジュンが、特撮ヒーローの新番組の企画を、編成局長・三島と制作部長・山本に持ちかけている。

ジュン「いかがでしょう!? き、局長!」
三島「うーん……」

ジュンの隣で退屈そうにルービックキューブで遊んでいる、後輩の倉田宮(くらたのみや)敬直(たかなお)


(倉田宮のモノローグ)

あ〜ぁ。せいぜい、がんばれよ。新米チーフプロデューサーの寺田ジュンちゃん。
新番組の企画を通せるかどうかの、大事な会議だってのに、頼りねぇ先輩なんだよなぁ……
あ、一応言っとくと、アシスタントの倉田宮敬直


ジュン「勇者隊シリーズ100周年記念作品は、この資料から始まりました!」

怪しげなオカルト雑誌。「謎の雷に撃たれた者は強大な力を得たという」との伝説の記事が載っている。

ジュン「太古から、世界のあちこちで謎の雷が発生していて、それに撃たれた者は強大なる力を得たという伝説があるんです! 夢とロマンに溢れる伝説の(いかずち)の力! それをモチーフに、子供たちに最高の夢を見せてあげたいんです! 合言葉はただ一つ!」

倉田宮 (お、来るぞぉ〜、暑っ苦しいのが)

ジュン「誰の胸にも正義は宿る! 正義に恥じない、自分を目指せ!!」

決めゼリフと決めポーズを披露するジュン。

山本「勇者隊の原点への回帰、いいですね」

倉田宮 (ほめんなっつうの…… 恥かしい)

ジュン「ありがとうございます! 私の代表作にしてみせます!」
三島「ダメだ、ダメだ、ダメだ! まったくダメだ!」
ジュン「えぇっ!?」
三島「俺が80周年やったときには、勇者隊初の360度立体映像に踏み切った。山ちゃんが90周年やったときには、あぁ、なんだっけ、あの……」
山本「あぁ、勇者隊初の宇宙ロケを」
三島「そうそう、それなんだよ。それ! 『初』がないじゃないか、『勇者隊初』が! 子供たちをガッカリさせる気か?」
ジュン「わ、私はその…… 複雑化しすぎて、何が正義かわからない今だからこそ、設定をシンプルにして本来のヒーロー像をですね……」
三島「寺田。お前が去年、初めてプロデュースした作品。視聴率何パーセントだった?」
ジュン「あ……」

初プロデュース作品『女宇宙刑事ベッピー』は、視聴率2.3パーセントで打ち切りの憂き目に遭っていた。

三島「そうだ、バラエティで行け!」
ジュン「えっ?」
三島「タイムテレポートで、江戸時代へ飛ぶんだ」
ジュン「はぁ!?」
三島「忍者をプロデュースだよ」
山本「それはいいですねぇ!」
三島「だろう!」
山本「えぇ!」
三島「まず、出来の悪いダメダメなヤツらを集めろ。そして、その気にさせて、ヘンな特訓で笑いをとる。女も入れとけよ。内部恋愛もちょっとは欲しい。名づけて『ぶっ飛びバラエティ・超忍者隊イナズマ』だ!」
ジュン「でもそれ、最終的にどうまとめるんですか!?」
三島「そんなのは、お前が考えるんだよ。視聴率を取るために必要なのは、えげつなさだ! なりふり構わぬ過保護だ! とにかく、パイロット版を創れ。これは私の命令だ」


編成局長室を去ったジュンたち。

倉田宮「俺、言ったっスよね? 先輩。あんなのじゃムリだって。俺、やりましょうか? 『勇者隊初』のアイディア、ありますよ」
ジュン「着替え、何日分要るかな……」
倉田宮「マジで行く!? 局長の言いなりになる!? へぇ〜!」
ジュン「しょうがないでしょう!? どうせ下っ端よ…… 私なんて」
倉田宮「先輩……!」


物質転送技術の応用から可能になったタイムテレポート
過去に多少干渉しても歴史は変わらないって報告が出されて、一気に自由化
おかげで過去世界ロケが増えた


タイムテレポート(時間移動)用施設であるテレポートルームに、2人が入る。

『時間軸をともなうタイムテレポートの際、激しくスパークを伴う事故が多数報告されています。ご注意ください』

倉田宮「ロジャー。じゃあ行きますよ、先輩」(※1)
ジュン「ロジャー!」

『転送5秒前』

ジュン「やるからには、主役ピッタリのダメダメくんがすぐ見つかりますように……」

『4、3、2、1……』

轟音とともにテレポートルームは、西暦1720年の江戸の町に到着。

ジュン「着いたのね?」
倉田宮「はい」

扉を開けるジュン。1人の少年が、自分に向かって手を合せている。

ジュン「あ!?」

テレポートルームは1720年の日本の神社に拝殿に繋がっていた。慌てて扉を閉める。

少年「え! 何!? 今、女の人の声が……!? 気のせい?」

神社を拝んでいた少年が、再び手を合せる。

少年「神様! どうかおいらを、どんなことびもビビらない、強い男にしてください」

カラスが飛び立ち、その羽音に驚いた少年が神社を逃げ出す。

少年「わぁぁ〜っ!?」


ジュン「いきなり見つけた、イメージどおりのダメダメくん! 牛は牛連れ、馬は馬連れ。あの子を追跡調査よ!」



(※1) 「ロジャー」は、スーパー戦隊シリーズ『特捜戦隊デカレンジャー』における「了解」の意のセリフ。倉田宮役、ジュン役はそれぞれ『デカレンジャー』のレギュラー、載寧龍ニと菊地美香。 inserted by FC2 system