戻る TOPへ

超合体魔術ロボ ギンガイザーの第1話


出動だ!
  ギンガイザー


東京都内の遊園地、マジックランド。
楽しそうな子供たちの笑い声が響きわたっている。

園内の林の中で、主人公の青年・白銀(しろがね)ゴローがハンモックで眠っている。
傍らで目覚まし時計が鳴り出す。ゴローがそれを止めようとしたはずみに、時計が頭にぶつかる。

ゴロー「わぁっ、痛ぁっ! 頭が割れそうだぁ!」

ハンモックの上で大暴れしたゴローが、地面に落下。

ゴロー「痛ぇ…… あ? や、やぁみんな、初めからとんでもないとこを見せちまったね。俺、白銀ゴロー。このマジックランドの人気スター。そして、この番組の主人公! あっ、疑いの眼差し…… 本当だってば! 普段はもっと、格好いいんだから!」

アナウンスの声「場内連絡、場内連絡。白銀ゴロー、ステージ・セットアップ完了。急いでスタンバイ願います。ゴロー、急いで!」

ゴロー「ほぉらね、聞こえるだろ? これから俺のマジックショーが始まるってわけ。さっきの声ね、秋津ミチっていう、とんでもないお転婆。俺たちみんな、ミッチーって呼んでるんだ。じゃ、急ぐからまた後で!」

園内の木々を身軽に飛び回りつつ、ジェットコースターの先頭車両を運転する荒波トラジローのもとに飛び乗る。

トラジロー「おぉ!? な、なんだゴローか。早くしねぇとミッチーのヤツ、ヒス起こすぞ」
ゴロー「わかってるよ。だから途中まで頼むよ、トラジロー」
トラジロー「ゴロー、今日の出し物はファイヤーボックスだろ? あとで見に行くからよ」
ゴロー「いいとも。ちゃんと入場料払って来いよ。じゃあな!」

何機ものUFOが飛び交う遊戯ドーム内。インストラクターの南三太がコーチをしている。

三太「さぁみんな、おいらのやるようにやるんやで! よぉ見とき!」
ゴロー「おぉい、三太! 出て来ぉい」
三太「あっ、ゴロー兄貴やないか!?」

ドームから飛び出した三太のUFOに、ゴローが飛び乗る。

ゴロー「よぉ三太、すまねぇな。このままステージまで頼むぜ」
三太「OK! 後で乗車賃350円、貰いまっせ!」
ゴロー「わかってるよ。ガッチリしてんなぁ……」
三太「おいらが戻るまで、適当に遊んどいてや。途中、衝突せぇへんようにな。コーチの言うたとおりにやるんやで!」
ゴロー「コーチってガラかい? 万年落第生って顔してるくせに!」

その悪口を聞き、三太がUFOを急旋回させる。

ゴロー「わぁっ!? 殺す気かぁ!」


一方でゴローの出番を待つステージ。
観客席には大勢の子供、ステージ上ではパートナーの秋津ミチが、痺れを切らしている。

子供たち「早くやれよぉ!」「ゴロー、まだぁ?」「俺、帰っちゃうぜ!」
ミチ「もう、ゴローったら。いつも開演ギリギリまで、さぼってばっかし。頭来ちゃうわ!」

そこへようやく、ゴローが到着。

ゴロー「やぁ、お待たせ」
ミチ「ゴロー、また遅刻よ!」
ゴロー「まま、そう怒るなって。やぁ、みんな、良く来たな! 今日のマジックショーはファイヤーボックス。俺の作る炎の輪の中から、君たちの望みの動物を出して見せるぜ!」
ミチ「それでは皆さん、たいへんお待たせしました。本日のマジックショーは、当マジックランドが誇る人気スター・白銀ゴローが、身の危険を顧みず挑戦します炎のマジック、その名もファイヤーボックス! それではゴロー、お願いしま〜す!」
ゴロー「そぉれっ!」

ステージ上でゴローが飛び回り、瞬く間に炎の輪ができ上がる。

ゴロー「さぁみんな、何を出す? 何でもいいぜ」
子供たち「ライオンがいいよ!」「トラだよぉ!」「カエル!」
ゴロー「よぉし、わかった! 一つずつ出してみような。アフリカ生まれのライオンくん、良い子のみなさんがお待ちかねだよ。はぁい、出て来ておくれ!」

たちまち、炎の中からライオンが飛び出し、ゴローに吼えかかる。

ゴロー「大人しくしろ! うるさいじゃないか!」

子供たちから大きな拍手。

ゴロー「インドの人食いトラ、出て来ぉい!」「白鳥に変身〜!」

炎の中からトラが出現。さらにライオンとトラが炎の中に帰るや、その中から白鳥が飛び立つ。
見事なマジックに、子供たちから大歓声。

ゴロー「さぁ、続いて…… カエルよ、冬眠から覚めろ! 出ておいで、地球は春だよ!」

カエルと思いきや、輪の中からカエルポーズのトラジローが飛び出す。

ゴロー「ありゃ、トラジロー!?」
トラジロー「あ、悪ぃ悪ぃ。テレポートで動物を送ってるとき、操作を間違っちゃった」

輪の中から本物のカエルが飛び出し、トラジローの上に飛び乗る。子供たちはバカウケ。

ミチ「もう、トラジローのバカ!」
トラジロー「俺、カエル。ゲコゲコ!」
ゴロー「親ガエルの上に子ガエルが乗って、カエルぴょこぴょこ三ぴょこぴょこ」
トラジロー「カエルぴょこぴょこ三ぴょこぴょこ!」
ゴロー「やれやれ……」

突如、空が黒い雲に覆われる。

ゴロー「おや? なんだい、あの雲は? 急に天気が悪くなってきたぞ」

雷が鳴り響き、大雨が降り出す。子供たちが逃げ惑う。

ゴロー「みんな、近くのテントに入りこめ!」
ミチ「押し合って転んじゃダメよ!」

雨は留まるところを知らず、周囲が大洪水となり、人々が水の中に飲み込まれてゆく。

ミチ「ゴロー、これは只事じゃないわ」
ゴロー「あぁ。俺もこんな凄い雨、見たことねぇや」

通信の声「ゴロー、ミッチー、トラジロー、三太。急いでマジックキャッスルに集合しろ。早くするんだ!」
ミチ「剛堂博士が呼んでるわ」
ゴロー「いつもと様子が違うぜ。行こう!」
2人「レッツ・テレポート!」

ゴローとミチがテレポートにより、マジックランド中央の基地・マジックキャッスル内に瞬間移動する。
トラジローと三太も駆けつける。マジックランドの科学者・剛堂博士がいる。

三太「何事やねん、博士!」
ゴロー「何かあったんスか? 剛堂博士」
剛堂「この大雨は単なる自然現象ではない。何者かがこの東京を、大混乱に陥れようとしている。わしの恐れていたことが現実となって現れた」
ゴロー「言ってることがよくわからないけど?」
剛堂「これで見る限り、単なる稲妻だ。だがその正体は……」

スクリーンに映っている稲妻に剛堂が手をかざすと、稲妻の光の中にサソリの姿が浮かび上がる。

トラジロー「おぉ!?」
ゴロー「サソリだ!」
剛堂「これで見る限り、サゾリオン帝国のシンボルだ。天空の悪魔エネルギーに作動をかけ、地上に復活したのだ!」
ミッチー「サゾリオン!?」
ゴロー「サゾリオン帝国ってのは、いったい何ですか? 剛堂博士」
剛堂「時が来たらお前たちに教えるつもりでいた。だが、わしの予測よりはるかに早くヤツらは復活したのだ。地球征服のために」
ゴロー「地球征服!?」
三太「ひゃあ! そりゃ、えらいこっちゃ!」
剛堂「わしがお前たちに教えた超能力マジックの力は、実はこの日のためのものだ」


どこかの国の密林。
稲妻が大地を裂き、地底で煮えたぎる溶岩の中から、暗黒組織・サゾリオン帝国の城が出現する。

城内の広間に異形の3幹部である将軍ガバーラ、女占師サロメ、大僧正ネクローマ、そして大勢の兵士たちが集う。
サゾリオン帝国の支配者・帝王カインダークの声が響く。

カインダーク「「サゾリオン帝国は今ここに復活した。プラズマンとの戦いに敗れ、アトランティス大陸とともに地中に没して以来、2万年の永きにわたり屈辱の毎日であった。だが新たな力を得て、地上を我が物とするときが来た。将軍ガバーラよ、行けぃ!」
ガバーラ「ははっ! サゾリオン帝国は今、活動を開始する。ガバーラに続け!」
兵士たち「サゾリオン帝国に栄光あれ! 帝王カインダークに栄光を! 将軍ガバーラ、万歳!」
ネクローマ「我がサゾリオン帝国に伝わる大魔玉(だいまぎょく)のうち2個は、日本の地中へ流れていたという。アンターレス大魔玉が揃うとき……」
サロメ「限りなき力が我らに与えられ、日本はもちろん地球のすべてがサゾリオンの手に!」
ガバーラ「徹底的に日本を攻めよ! 大僧正ネクローマ、蘇生獣に力を授けよ!」
ネクローマ「ははぁ! トーカイリンリンソクチョウ── トーカイリンリンソクチョウ── サゾリオン帝国の暗黒に控えしサゾリカオスよ、湧き出でてコプラザウルスに力を与えたまえ!」

どこかの博物館に展示されている恐竜の骨格模型に魔力が降り注ぎ、蘇生獣コプラザウルスと化して飛び立つ。


マジックキャッスルでは、剛堂が蘇生獣の出現をキャッチしている。

剛堂「サゾリオンの襲撃が開始された。敵はこちらに向かっている。日本に侵入する前に防ぐのだ。出動体制につけ!」
ゴロー「出動体制ったって、どうすりゃいいんですか?」
剛堂「ゴローとミッチーは第1ドックの中の巡回用トレーラーに乗れ。追って指令を出す。急げ!」
ゴロー・ミチ「了解!」
剛堂「トラジローと三太はジェットコースターとUFOだ」
トラジロー・三太「了解!」「行くぜ、三太!」「よっしゃ!」
一同「レッツ・テレポート」

テレポートにより、ゴローとミチは巡回用トレーラー・銀河号に、トラジローは遊戯施設のジェットコースターに、三太はUFOに乗り込む。

剛堂「よし。お前たちの声の音波によって、エネルギーはセットインされる。ミッチー、叫べ。『アローウイング・スクランブル』」
ミチ「アローウイング・スクランブル!」
剛堂「次、正面レバーを両手で引け。『グランファイター・スクランブル』」
ゴロー「グランファイター・スクランブル!」

銀河号からコンテナパーツが分離し、本体がゴローの乗る巨大ロボット・グランファイターに変形する。

トラジロー「ブルゲイター・スクランブル」
三太「スピンランサー・スクランブル!」

トラジローの乗るコースター、三太の乗るUFOがそれぞれ巨大ロボ・ブルゲイターとスピンランサーに変形。
最後に、それぞれのメカから分離したパーツが、ミチの乗るジェット機・アローウイングとなる。

剛堂「これより瞬間移動を行い、サゾリオンの出撃地点へ向かう。敵の出撃地点はコクピットのレーダーで的確に調べるのだ。あとは、お前たちの判断力に任せる。これまでの訓練を十分にいかして戦うのだ。いいな? セット・テレポーション! 健闘を祈る!」
一同「マジカル・テレポート!!」

4機のメカが空間を超え、瞬間移動により戦場を目指す。

ゴロー「サゾリオンの出現地点は…… 10時の方向、約2300キロの地点か!」


街中。蘇生獣コプラザウルスによりビル街が次々に壊され、人々が逃げ惑う。
そこへ、グランファイターたちが到着する。

ゴロー「ひゃあ! なんだい、こいつは!」
トラジロー「ま、まるで怪獣だぁ!」
ミチ「バカ! まるでも何も、怪獣よ! きゃっ、飛んで来るわ」
三太「わぁっ! お先に失礼させてもらいます〜」
ゴロー「待て、三太! 俺たちは、あの化け物をやっつけるために来たんだ! 逃げるヤツがあるか!」

蘇生獣コプラザウルスがゴローたちを見つけ、グランファイターに攻撃を加える。

ゴロー「うわぁ、畜生! こんなことなら初めから教えといてくれりゃいいのによぉ、剛堂の爺さんめ。よぉし、こうなりゃ片っ端からいくぜ! マジックカード!」「マジックレーザー!」「マジックリング!」

グランファイターの反撃が、次々にコプラザウルスに炸裂。

三太「ひゃあ! ゴローの兄貴、格好いいなぁ! おいらも一丁、やったるでぇ! マジックレーザー!」

スピンランサーもそれを真似るが、放った攻撃は敵に命中せずにヘロヘロと宙を漂う。

三太「なんや、ありゃあ…… よぉし、こうなったら手当たり次第に行くでぇ! マジックリーング!」

そこへ、サゾリオン帝国幹部たちの乗った母船がやって来る。

ガバーラ「あれは何者だ! あのロボットは!?」
サロメ「わ、我等の行く手に邪魔者が!?」
ガバーラ「ネクローマ、あのロボットはいったい何だ? 説明しろ!」
ネクローマ「ご心配には及びません。たかが地球科学のロボット、我等の神秘科学の前にはひとたまりもありません。ヤツらが我が蘇生獣と戯れている間、日本の各地は洪水のために崩壊するでしょう。蘇生獣コプラザウルスに仕込んだオカルトエーテルによって。麻痺状態を起こした日本を侵略するのは、もはや時間の問題。フフフ……」


マジックキャッスルの剛堂博士も、ゴローたちの戦いを監視している。

剛堂「敵はギンガイザーを引きつけておいて、日本を水浸しにしようとしている。」


ブルゲイターがコプラザウルスに襲い掛かるが、跳ね飛ばされ、危うくグランファイターがそれを受け止める。

トラジロー「お〜っとっと!」
ゴロー「危ねぇ!」

アローウイングが攻撃を加えようとするが、逆にコプラザウルスの攻撃を浴びる。

ミチ「きゃあ!」
グランファイター「マジックミサイル!」「マジックカード!」

ネクローマ「えぇい、コプラザウルスよ! 最後の力を出せ! ザコどもを木っ端微塵にしてしまえ!」

トラジロー「化け物め! トラジローのバカ力を受けてみよってんだ、このぉ!」

ブルゲイターが突進。だがコプラザウルスの高熱がブルゲイターとグランファイターを襲う。

トラジロー「わぁ、熱、熱!」
ゴロー「うわぁ! 熱熱熱! 誰か、水ぶっかけてくれよぉ! ミッチー、三太ぁ!」
ミチ「三太、男でしょ! ゴローを助けてあげなさい!」
三太「そないなこと、言うたかて……」
ミチ「三太ったら、もう意気地なし!」

アローウイングが救援に向かうが、コプラザウルスの怪光線を浴びてしまう。

ミチ「きゃあっ!」
剛堂「ゴロー! そいつを早く倒さないと、集中豪雨は止まん! 各地が危ない! そいつの内部に仕掛けてあるオカルトエーテルをブチ壊すんだ!」
ゴロー「そ、そんなこと言ったって…… 熱熱熱!」
剛堂「ゴロー! みんなも良く聞け! 合体して体当たりするんだ。天井にある赤いレバーを引け! 超常スマッシュに入れ!」
一同「ブローアップ・ギンガイザー!!」
トラジロー「行くぜぇ!」

グランファイターら4機のメカが合体、突撃形態のギンガイザーとなる。

サロメ「あれは何!? 何をする気なの!?」
ゴロー「超常スマッシュ・ゴ──ッ!!」
ガバーラ「ちょこざいなロボットどもめ! 行け、コプラザウルスよ! 一気にたたき潰せ!」

コプラザウルスが突撃、怪光線を発射。ギンガイザーはそれを盾で跳ね返す。
ギンガイザーの振るう剣がコプラザウルスの胴目掛け、一撃、二撃。

コプラザウルスが大爆発。ゴローたちの初勝利である。

ガバーラ「おのれおのれ! われらがサゾリオンの前に立ちはだかるヤツは、どうなるか見ておれ!」
サロメ「ガバーラ様、ガバーラ様!」

サゾリオンの母船が撤退してゆく。

ゴロー「やりました、博士! これでヤツらも、おしまいです」
剛堂「戦いはこれからだ。サゾリオンの魔の手から地球を守るため、お前たちは今日からマジカルコマンドのメンバーとして、力を合わせてもらわねばならん」

大雨も止み、街中の人々から安堵の声が漏れる。


4人の若者は帰る。だがサゾリオン帝国の正体
そして、あの大魔玉・アンターレスの秘密とは何か?


ゴロー「見たとおりさ。とんでもないことになっちまった。だけど、ギンガイザーはなかなか頼りになるぜ。 見てくれよ。俺たちは負けない! 頑張るぜ!」


(続く)
inserted by FC2 system