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ド ラ え も ん

現シリーズ アニメ第1話
(1979年4月2日放送)

『ゆめの町 ノビタランド』



家の廊下で、ドラえもんにつかまりローラースケートの練習中ののび太。
「うわ〜ったった・・・、うまいもんだろっ?」
「うわぁ、うまいぞ〜っ!!」
ドラえもんが手を放すと、
「うわぁ〜っとっとっと・・・」
バランスを崩して、のび太は思わずドラえもんに抱きつき、
ドラえもんを抱えたまま壁に激突〜っと思いきや、
逆にドラえもんに抱えられ、
(と言っても、逆さにされ、頭を持たれて・・・
ほとんど、中国雑技団並み!)
「ドラえもん!動いちゃやだよ!動いちゃやだよ!」
と叫ぶのび太を持って
「おーっとっと・・・」
フラフラ歩くドラえもん。
そして、お決まり・・・ふすまにズデ〜ン!
ふすまの向こうには、運悪くおやつを抱えたママが・・・。
「家の中で、そんなモノに乗る人がありますかー!!」

門の外に出るローラースケートを履いたのび太と、ドラえもん。
「だって、おもての方が危ないのにな・・・」
と、のび太はブツブツ。
「うん・・・、ローラースケート場ないもん!」
そこへ車がブーーン!
「わぁーー!」
驚いた拍子に、のび太は前へコロコロ・・・。
「うわぁ、また来たっ!!」
今度はトラックが!!
危うく衝突するところを、トラックが何とか避けてくれた。
「バカやろ〜!ひき殺されたいのかっ!!」
タオルを頭に巻いた運転手さんは、
シリモチをついたのび太を一言怒鳴りつけ、
もの凄い勢いで走り去った。

とぼとぼ道を歩く二人。
「あ〜あだ・・・。」
ローラースケートを両手にぶら下げて、
のび太はため息。
しずかちゃんの家までやってくると、
しずかちゃんが、外壁にもたれて立っていた。
・・・やはり、うかない顔をして。
「どうしたの?しずかちゃん。」
声をかけるのび太。
「たまには家で遊ぼうと思ったのに、
ママに『お茶の会があるから外で遊びなさい』って・・・」
部屋の中を見ると、なるほど、お茶の会の真っ最中。
そこへ、ボールを持ったスネ夫がやって来た。
「やぁやぁ!ヒマをもてあましてる諸君!
ドッヂボールで遊んでやろうか?」
「うん!遊んでよ遊んでよ!」
にっこりのび太。
「うわぁ、ステキ!やりましょう!!」
『いゃんポーズ』で喜ぶしずかちゃん。
「行こう!行こう!」
ピョンピョン飛び跳ねるドラえもん。

ところが・・・、空き地へ行ってみると、
『立入り禁止 ○△建設』
の立て看板が!
ジャイアンも、看板に寄りかかってブスッとしている。
「ん?これ、いつの間に?」
スネ夫もびっくり!
「入れないの?どうしてよ、どうして?」
のび太が尋ねると、
「見りゃわかんだろ?!近くに何かを建てるんで、
その材料置き場になってんだ!バカっ!!」
と、怒鳴るジャイアン。
「ちぇっ、せっかく来たのに。」
とんがった口を、ますますとんがらせるスネ夫。
「がっかりね・・・」
と、しずかちゃん。
「それじゃ、いったいボクらはどこで何すればいいんだ?!」
ポカポカポカポカ・・・
のび太は、ドラえもんの頭をなぐって八つ当たり。
「アイタタ・・・イタ・・・イタ・・・!ボクに当たることないでしょ、もうっ!」

自分の部屋に帰ったのび太とドラえもん。
「あ〜あ、欲しいなぁ〜・・・」
畳に寝そべったのび太がぽつり。
「・・・何が?」
「ボクだけの家・・・、ううん、ボクだけの町!」
「へぇ?」
「いつどこで何をしても、誰にもなんにも言われない・・・、
そんな自由な町が欲しいなぁ!」
「う〜ん・・・、自由な町か・・・・・・・(しばらく考えて)
よし、作りましょう!!」
ニッコリ笑うドラえもん。
「えっ?作るって町をかい!!??」
「まず、ボクらだけの家を作るんだ。」
そう言って、ドラえもんは四次元ポケットをがさごそ・・・。
そして、ちょっと大きめのカメラを取り出した。
「ポラロイドインスタントミニチュアカメラ〜!」

外に出る二人。
「まず、家を写す。」
のび太の家の写真を撮るドラえもん。
「現像する。」
カメラから写真がペローンと出てきて・・・
「お湯をかけて3秒待つ。」
その写真にやかんのお湯をかけるのび太。
すると・・・!写真から家がモコモコっともり上がってきて、
ちょうどお人形の『○○ちゃんハウス』くらいの、
立体的な家が、あっという間に現れた。
「イチ、ニィ、サン!はい、出来上がり〜!」
「へぇ・・・ミニチュアの家かぁ!」
中を覗き込むのび太。
「わぁ!家の中まで細かくそっくりに出来てらぁ!」
家具なども、本当の家と同じように並んでいる。
「でも、オモチャの家じゃしょーがないよ・・・」
「大丈夫!ボクらが家に合わせて小さくなればいいのさ!」
「なんだ、そうだね!フフフフ・・・?
??本当??」

ドラえもんは、今度は庭に、
出口と入り口の大きさが違う、カラフルな土管みたいなモノを出した。
「この『ガリバートンネル』に入れば大丈夫さっ!!」
大きな入り口に入っていくドラえもん。
そして・・・
小さな出口から小さくなって出てきた!
「ほぅら、このとおり大成功!!」
のび太の足元で、バッタみたいに飛び跳ねている。
「うわ〜、おもしろいなぁ!」
感心するのび太。
ドラえもんは、さっきのミニチュアの家に入り、
2階の窓を開けて、中から手を振った。
「のび太くんも、あのトンネルをくぐれば、
この家に住めるよ!」
「うん!じゃんじゃん家を撮りまくるぞ〜っ!」

それから二人は街へ出て、色々な建物の写真を撮って回った。
本屋、おもちゃ屋、和菓子屋・・・などなど。
そして、庭で次々にお湯をかけ立体的に!
「あ〜、ドラえもん!だいぶ町らしく出来上がってきたねぇ!」
「うん!あとは、好きなように並べるだけ!」
・・・と、本屋の店先に、小さな本がたくさん落ちている。
それを指先でつまんで拾うのび太。
「あ、これは??・・・
わぁ!こんなちっちゃな本!
それに、マメツブみたいな字が書いてある!
・・・だけど、住んでた人はどうなるの?」
「生き物は写らない!だから安心していいの!」

「ええと、ここは大通りにしましょう!」
ミニチュアの建物を並べながら、ドラえもんが言った。
「うん!でも、信号機や横断歩道は作らないんだ!
・・・ついでに、ボーリング場やバッティングセンターも、
ゲームコーナーも作ろうよ!
ねぇ、ドラえもん!急いで写してきて!
ボクは、みんなを呼びに行って来るから!
じゃぁね!!」
右と左に別れて走って行く二人。
庭には、小さな小さな町が出来上がっていた。

「やい、のび太!こんなつまんないのに、どうしたんだ?
ニヤニヤして!」
路地のゴミバケツの上にあぐらをかいて、
この上なくつまらなそうな顔のジャイアンが言った。
「ふふふぅ〜、諸君!ボクがみんなの夢を叶えてあげましょう!
ついてらっしゃい!!」
ジャイアン、スネ夫、しずかちゃん、他一名を、
庭に連れて行くのび太。
「なに?そんなトコがホントにあるのか?
寝ぼけんなよ〜っ!」
スネ夫は、あまり信用していない様子。
「デタラメだったら、痛い目に合わすぞ〜!」
脅すジャイアン。

みんなは、『ガリバートンネル』の前にやってきた。
「さぁ、ここが入り口です!」
トンネルを指すのび太。
「こんなトコに入れってのかよっ!
ふざけんじゃないよ!」
と、ジャイアン。
どうでもいいが、ジャイアンは今よりずっとオヤジ体型だった・・・。
「まぁ、いいからいいから!!どうぞっ!!」
のび太を先頭に、みんなはトンネルの中に入って行く。
中を進んでいくと、トンネルの上下幅に合わせて、
だんだんみんなの体が小さくなってきて・・・
出口を出ると!!!
みんなより背丈の大きな花の咲く向こう側に、
本物そっくりの町が!!
「ひゃ〜すげ〜っ!!」
「ステキだわぁ!!」
スネ夫もしずかちゃんもびっくり!ニコニコ!!
「オレたちの町にしよう!!」
・・・そう勝手に決める、オヤジ体型のジャイアン。

ここからが見もの!
道幅いっぱいに横に一列に並んで、
ドラえもん、スネ夫、のび太、しずかちゃん、名前のわからない子、ジャイアン
の6人が、曲に合わせて、指を鳴らしながら前に進むのだ!
う〜ん、ミュージカル仕立てっ!!

それからみんなは、好きなことを思い切り楽しんだ。
おもちゃ屋の床に座り込んで、プラモデルを組み立てるスネ夫。
ブティックで、洋服をあれこれ取り替えるしずかちゃん。
バッティングセンターで、一度にたくさん飛んできた球に
びっくりしてひっくり返るジャイアン。
ゲームセンターで、ゲームし放題の名前のわからない友だち。
大通りを思い切りローラースケートで走るのび太。
そしてドラえもんは・・・
当然、和菓子屋の前でドラ焼きをパクパク!

いつの間にやってきたのか、町には子供たちがいっぱい!
みんな、普段したくても出来ない事を、
めいっぱい楽しんでいる。

自分の部屋で、寝転んでマンガを読むのび太。
その横で、ドラ焼きの箱に囲まれ、
満足そうにドラ焼きを食べ続けているドラえもん。
「ん〜、遊び疲れたからマンガ読もーっと。」
「みんな喜んで遊んでるよ。
ここを『ノビタランド』って呼ぶんだって。モグモグ・・・」
・・・と、その時!!
グラグラ・・・ガタガタ・・・
「なんだ?なんだ??」
大地震とともに、天井を破壊して大きな足が!!
「ママだぁ〜!!」
特撮のように、バリバリ家を踏みつぶして、
それをほうきで掃くママ。
一緒に掃かれては大変!
ママの足元から、慌てて逃げる子供たち。
「わぁ〜、助けて〜っ!!」
みんな急いで、『ガリバートンネル』をさっきとは逆に通る。
「もう・・・、庭いっぱいにガラクタ並べてじゃまっけねぇ!
さぁさ、この辺に物置を建ててくださいな!」
「へぃへぃ。」
ママは、庭に来ていた道具箱を担いだ大工さんに、
メチャメチャになったミニチュアの家を掃きまとめた辺りを指差して
そう頼んだ。
その様子を、壁に隠れて見ていたのび太とドラえもん。
「あ〜あ、『ノビタランド』もおしまいだぁ〜・・・。
ねぇ、ドラえもん!空き地作る機械出してよ。
お願いっ!お願いっ!!」
ドラえもんに向かって手を合わせるのび太。
「作らないとひどいぞ〜!」
ゲンコツを振り上げるジャイアン。
「それはムリだよ。地面だけは作れない・・・。」
ドラえもんは、困って頭を抱えた。
そこへ、ママの声が飛んできた。
「のび太!早くガラクタ片付けなさい!!」
「う〜、ボク知らないよ!ドラえもんだよっ!!」
「うわぁ〜!」
逃げるのび太とみんな。
「え〜、そ、そんなぁ!」
一人逃げ遅れたドラえもんの頭から、
ママが投げつけた(と思われる)ミニチュアの家がどさっ!
その下敷きになってしまったドラえもん・・・

「それはないよ〜」


終わり

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