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ドラゴンボール

巻一 孫悟空と仲間たち


〜 其之一 ブルマと孫悟空 〜


むかしむかし のこと
都から数千里も彼方の ある山奥…
この奇想天外な物語は
とりあえず
そんなところから はじまります…


山奥の小さな家の前…
「む〜〜ん、むんむん…むふん!!ずどどえやあ〜〜〜っ!!!」
小さな男の子が、自分の体の倍以上あろうかという丸太に向かい
気合を込めて――
がしっ! 「でえっ!」 それをつかんで、空へ放り投げ、
ばばっ! 「すぽぽーーっ!!!」 ジャンプ!
BAKOKOKOKO……!! 右手の拳一突きで、その丸太を砕き…
「薪割り、おしまいっと!!」
散らばった薪(ついさっきまでは、でっかい丸太だった)を拾い集める少年。
おしりに、長いしっぽが付いている……ちょっぴり、キュート♪
「ハラ、へったな……」 おなかが、ぐ〜。
少年は、家に入ると、忍者の刀ように、背中に『棒』をくくりつけ、
飾ってある水晶玉のような物に向かって、手を合わせた。
「じいちゃん、エサとってくる。」 水晶玉にそう話す少年…。
「なに食おうかなあ…」 少年は、エサ探しに出かけていった。

山道に車を止めて、回りを見渡している女が一人…
「このアタリのハズなんだよねー」 レーダーのような物を持って反応を見ている。
ピッピッ… 「ん〜…もうちょっと西かな?」 車に乗り込むと、
「とにかく、絶対この近くにあるわ!」 ブオオ…ン 何かを探して車を走らせる女。

こちらは、少年…
「クマはこの前食ったしなぁ…トラでも出ないかなあー」
目のくらむ様な高いがけの上から、遥か下の、川をのぞき込む少年。
「よし!久しぶりに魚にしよっと!」 そう言ったかと思うと…!
崖からヒューン!と飛び降り、途中の木の枝の反動を利用して、
軽々と、下の川辺に降り立った。
そうして、服を脱ぎ…しっぽを釣り糸代わりに川の中へたらす。
水の中で、そのしっぽを見つけたドでかい魚…
「ばばば!!しめたぞ、サルか!!ヤマネコか!!」 と、
しっぽめがけてジャンプ! ばしゃっ!!
少年は、魚が空中に飛び出た、その一瞬をついて、とび蹴り!どごっ!!
「大漁、大漁!!」
 一撃でしとめた、自分の大きさの五倍以上もある魚を引きずって帰って行く少年。
そこへ… ブロロロロ…遠くから聞こえる聞いたこともない音。
「あり?何の音だ?―――――― い!!!」
突然、少年に向かってやってきた鉄のかたまり(車)?
「わ!!!!」 キキキキ――ッ!!
少年は、危うく、魚共々ペッチャンコにされるところだった…
「ビ…ビックリした〜〜」
「ちょちょっと、危ないじゃないっ!!!」
カンカンになって顔を出したのは、先ほどの女だ。
「お おのれ怪物め!さては、オラの獲物を横取りしようってんだな!」
少年は、とたんに、その女を車ごと持ち上げると、
「ぐぎぎ…!そ、そうはさせないぞ…てえっ!!!」」
それを、ドカン!と、投げた〜っ!
「さあ、かかってこい!オラが相手になってやる!!!」
「つつつつ…」 倒れた車の窓から、やっと顔を出した女…ピストルを構える。
「あ―怪物の中から、ヘンな妖怪が出た!」
「こ、こんにゃろ!!」 パンパン!!女の撃った弾が、少年の眉間に命中!
あ〜あ、早くも、この漫画は、ここで終わるのかあ?
「いって〜〜っ!!いてーっいてーっ、なっなっなんだ、今のは!妖術かっ!?」
「げ…げげ…!!う…うそよ、うそだわ…!何で死なないの!?」
「バカたれ!あんなぐらいで死ぬか!オラのカラダは、ステンレスのように
鍛えてあるんだい!妖怪め〜こらしめてやる〜」
少年の眉間には、傷一つない…(だろうと、思ってたケド)…おもむろに『棒』を構える少年。
「ちょ、ちょっと待った!わ、私、妖怪じゃないわ!人間よっ!」
「えっ、人間!?ほんと!?」
「あったりまえじゃない!あんたといっしょよ!!ほら!ほら!!」
車から、出てくる女…しかし、少年は、信用していないらしい…
「動くな、動くなよ!」 女のまわりを、じろじろ見ながらぐるりと一周。
「うたぐりぶかいわねー」
「なんか、オラとちがうな〜ヒョロヒョロッとして、弱そうじゃないか!」
「そりゃあだって、しょうがないわよ…あんた男でしょ!私、か弱い女の子だもん!」
「おんな!?おまえ、おんなか!?」
「イナカも〜ん!あんた女の子見たことないの?」
「人間見たのも、はじめてだ…死んだじいちゃんが言ってたぞ。
もしも、おまえが女と出会うことがあったら、やさしくしてやれって。」
「ほらほらーね!!やさしくしなきゃ、ダメじゃない!」 軽く、ウィンク☆
「シッポもないんだな、女は…ふーん、おもしろいな。」
そこで、初めて少年のしっぽに気付いた女…ちょっとびっくり。
(ぷぷっ…だっさ〜い!しっぽのアクセサリーなんかくっつけちゃって!
かっこいいつもりかしら…)
少年は、ひっくり返った車を指差した。
「ところで、あの怪物なんだ?おまえが捕まえたのか?」
「怪物じゃないわよ。自動車っていって、人間が作った機械!」
「これが、自動車か!話には聞いたことあるぞ。ふーん、すごいけど、弱いんだな。
おまえ、ひょっとして、都から来たのか?」
「まあね、ずーっと西の方の。」
少年は、ニッコリ笑って、でかい魚を持つ。
「オラん家来いよ、女だからごちそうしてやる。」
「へんなこと、しないでしょうね………あんた、チビのくせに、やたら強いじゃない?」
「へへーっ、じいちゃんに鍛えられたんだ!」
(へんなヤツだけど、あのパワーは役にたつかもね…)
やがて、少年の小さな家に到着した二人。
「ちょっと待ってろ。」 「ボロっちい家ねー」
少年は、ドアを開けると、真っ先に、水晶玉の前に行って手を合わせた。
「じいちゃん、見てみろ!女だぞ!女が、家に来たんだぞ!」
「ん?」 その水晶玉を見た女が、叫んだ!
「あったーっ!!ドラゴンボールだ!!!!」
女は、少年を突き飛ばして、水晶玉に駆け寄る。
「きゃーっ、きゃーっ!!!やっぱりあったわ!レーダーにうつったとおり!!」
「こらっ、じいちゃんにさわるなっ!!それはじいちゃんの形見だ!
女だって、さわっちゃダメだっ!!」
女は、それを聞いて、自分のさげていたポシェットに手を入れ…
「しょうがない、教えてあげちゃおうかなー…ほれ!」
出てきたのは、じいちゃんの水晶玉そっくりなのが、二個!
「あ!!じ、じいちゃんだ!おまえも、ふたつ持ってたんか?」
びっくりする少年。 女は、得意げに話し始めた。
「へっへっへ、これはさあ、ドラゴンボールっていうのよね。」
「ドラゴン…ボール?」
「私ん家の倉にさあ、この球がひとつあったのよね。で、何かなー?と思って
みんなに聞いても知らないわけ。
いろいろ調べてみたらさ、すっごい昔の文献を見つけて、それ見たら、やっとわかったんだよね。
この球の名前は『龍球(ドラゴンボール)』 ほんとは全部で7個あるんだって。
にぶく光って、中に星が1粒から7粒まで入っているのが、特徴なのよ。」
「そうだ!じいちゃんのは、星が4つ入ってる!」
「それは、四星球(スーシンチュウ)っていうの。私が最初に見つけたのは二星球(アルシンチュウ)
もう一つは、10日くらい前に、苦労して北の谷で探し出した五星球(ウーシンチュウ)でーっす!」
「おまえ、これを探してるの?」
「そうよ!7つ全部探すのは、大変なんだから…」
「でも、なんで、これ、探してんだ?数珠にするのか?」
「まさか!7つ全部集めると、すっごいことが起こるのよねー
7つのドラゴンボールを集めて呪文を唱えるとさ…神龍(シェンロン)、つまり神様が現れて
どんな願いでも、ひとつだけ、叶えてくれるのよ!」
「げー!!す、すげえな!!」 少年、瞳キラキラ!
「前に、ドラゴンボールを集めた人は、王様になったらしいわ。でも、長い年月のうちに
ドラゴンボールは、また、バラバラになっちゃったみたい。
それを、私が、再び集めようっわけ!ふふふ…私の願いはもう決まってるわ!
食べきれないほどのイチゴっていうもの捨てがたいけど、やっぱり
『ステキな恋人!!』 これよね!と、いうわけだから、
その四星竜(スーシンチュウ)、私にちょうだい♪」
「だめ!だめだめ!!これは、じいちゃんの形見だもんね!!!」
「あーなによ、ケチねー!!いいじゃない、あんたは別に使い道ないんでしょ?」
「べー!」
「あーわかった…うふふ、おませさんね!」 「???」
チラッ!と、スカートをめくる女…「これでどう?ちょっとぐらいなら、さわってもいいのよ。」
「オラ、別に汚いケツなんか、さわりたくねえ…」 少年、興味ナシ!
「汚くないわよ!失礼ねっ!!!」 女、激怒!…しかし、名案が…
「そうだ!あんた、いっしょに球さがしを手伝うだってよ!女には、やさしくしろって
おじいさんに言われたんでしょ!?」
「球探しをか…?」
「どうせ、ここにいてもヒマなんでしょ!?男だったら、
いろんなとこ行って、修行しなくちゃ!」
「いいけど…この球はやらないぞ、オラが持ってるー」
「いいのいいの!最後にちょっとだけ貸してくれれば!」 女、内心、ニッコリ…
(むふふふふ…うまくいったわ。ドラゴンボールは、一度願いを叶えると、
バラバラになって、どっか、とんでっちゃうのよねー
おまけに、この子なら、私のボディーガードにピッタシ!)
「さあさあ!たのしい旅にレッツゴーよ!」
女と、少年は、外へ出た。
「でもさあ、他の球が、どこにあるかもわからないのに、どうやって探すんだ?」
「ふっふっふ、そこが私の頭の良いところよ(顔もカワイイけど…) これよ、これ!」
女は、レーダーのような物を取り出して、少年に見せた。
「ドラゴンレーダー!!球から、わずかな電波が出ているのに気付いて、
私が作ったのよ!ほら、この三つが、今、私たちが持ってるやつで…」
3つのランプが、レーダーの一ヶ所に、重なるようにして光っている。
「次は、ここね。え…と、西へ…約1200公里(キロ)!」
「??よーわからん…」 ちんぷんかんぷん…な様子の少年。
「あんたが、車壊しちゃったから、違うのを出さなきゃね…ところで、あんた名前は?」
少年は、きっぱりと答えた。 「オラ、悟空だ。孫悟空!――お前は?」
女は、それとなく…答えた。 「……ブルマ…」
もちろん、悟空は、聞き逃すはずがない。 「ブルマ!?ははーっ、へんな名前だな!」
「うるさいわね!私だって、気に入ってないわよ!!!!」
「ははははーーーブルマかーーー」 悟空、大喜びっ!
(しつこいわね〜〜!だから、ガキはキライよ!)
ブルマは、カプセルのたくさん詰まったケースから、
「…と、何番だったっけ………9番か!」
と、9番のカプセルを取り出し、
「ほら、はなれて、はなれて!ほいっ!」
手榴弾のように、ふたを取って、ポイッ!と、それを投げた。
BOM! カプセルが破裂して、中から現れたのは、バイク!
びっくり、悟空… 「げげげ〜っ!よ、妖術だっ!おまえ、やっぱり妖術使いだろーっ!」
『棒』で、つんつん…
「妖術じゃないって!ホイホイカプセルぐらい、都じゃ常識よ!いいから早く後ろに乗って!」
ウオン、ビビビーーー…ン、ブァビーーーー
「うわっわっわっわーーーっ!!!」
山道を、ブルマと悟空を乗せて走るバイク。
「すっすげーな、これっ!!オレが走るよりずっとはえーぞっ!」
「ちょっと、へんなとこさわらないでよっ!」
―― 時のたつこと 20分…
ズビビビビ〜ン…バイイイーーン    ばうっ!
突然、坂道でジャンプするバイク 「わっ!!!!」
そのまま、しばらく空中を飛んで… 「ぎえええ〜〜〜っ!!!!」
ドンッ! なんとか、無事着陸…。
「ぷーーーっ」 内心、穏やかではなかったブルマの、溜めに溜めたため息。
「あー、ぶったまげた!!す、すげえ技だな、今の!空とんだぞ!!」 今のは、技だと思っている悟空。
「ふ、ふふ、ま、まあね… (あ、あんなに峠が急だとは思わなかったわ…)」
そして、ブルマはバイクを降りて…
「ちょっと失礼、待ってて、すぐ戻ってくるわ。」
「え!?何々!?どこ行くのっ?」
「あんた、鈍感ね!レディがこう言ったら、オシッコに決まってるでしょ!」
遠くの木の陰に走ってゆく、ブルマ。
「なんだ、ションベか。おろ?なんで、ションベすんのに、あんなとこ行くんだ?
ここで、すりゃいいのに…へんなやつ…」
不思議そうに、ブルマの行方を見ている悟空…と、その時!
「びえええ〜〜〜っ」 ブルマの叫び声がぁ!
「ん?なんだ、なんだ?チンチンをヘビにでもかまれたのかな?」
悟空が、急いでそちらへ行ってみると… 「あっ」
デカい、翼を持ったモンスターに、ブルマが抱えられている。
「なんだ、きさまはー!!こいつの仲間かー!!」 怒鳴るモンスター。
が、驚く様子も、怖がる様子もまったく見えない悟空…
「さっき、会ったばっかしだ。あんた、そいつと知り合いか?」
「あ…あ…あわわ…わ…わた…た…」 
モンスターにしっぽを巻きつけられ、高々と持ち上げられるブルマ。
モンスターは、ブルマの変わりに、答えた。
「がははー、そうだ!そうだ!オレは、こいつとちょっと話があるから、おめえはここで待ってな!」
そして、あっという間に、悟空を、木に縛り付けた。
「あれ?しばられちゃった。」 悟空、ちょっと、納得がいかない顔…
モンスターは、おおきな翼を広げると、ブルマを後ろ足でつかみ、飛び上がった。
「ぐははー!ひさしぶりの女の肉だー!ごちそうだぜーーー!!」
飛んで行くモンスターに、地上からどなる悟空…「どれくらい待ってればいいんだー?」
「なっ何やってんの、たすけてよーっ!!食べられちゃうじゃないーーっ!!」
ブルマ、じたばた… 「バカーッ、アホーッ…」
モンスターが、遠くに行きはじめて、やっと状況が把握できた悟空。
「あれ?なーんだ、助けてほしいのか!」
悟空は、しっぽを使って、するすると縛られていたひもをほどく。
「だったら、早く言やあいいのに…あんにゃろめ〜〜〜!しかし、まいったな、
オラ、空飛べねえもんな…ん!?」
ブルマのバイクを思い出す悟空! 「そうだっ!!!」
パッ!と、飛び乗り…「の、乗れるかな!?確か、ここんとこをグリッとまわしてたような…」
ドッ、ドッ、ドッ…フラフラ
「や、やった!動いたぞーっ!よーしよーし!」 …と!
ヴォン! 突然、ウィリー!!! 「わへっ!!」 
ドヒューーーーーーン 「ひょええ〜〜〜っ!!!」 全速力で走り出すバイク。
坂を利用して、勢いがついたバイクは、悟空を乗せて空へ… バオッ!!
モンスターの方へ、飛んで行った。 「いけーっ、もうちょい!」
「い!?」 モンスター、びっくり!
空中で、モンスターに飛び移ろうとした悟空だが…「くそ〜届かないや!」
悟空は、背中から『棒』を取ると、「棒よ、のびろーっ!」 あっという間に、伸びる『棒』。
「自慢の如意棒を、くらえっ!でえーーっ!!!!」
バキッ!!! モンスターの頭に、如意棒、炸裂!
ひゅーーーん  落ちて行く、ご臨終モンスターと、ブルマと、悟空。
「わっ、わわわーっ!」 あわてて、空中を泳ぐブルマに向かって、悟空が如意棒を投げた。
如意棒は、ブルマの服の左そでから右そでを通り、がけの途中に突き刺さった。
洗濯物のように、如意棒にぶら下がるブルマ。
「あ〜ん、けっきょくオシッコもらしちゃった〜〜〜っ!」
「いやー、よかった、よかった。」 悟空、にっこり。

はて さて 悟空とブルマの 大冒険
このさき いったい どうなりますことやら…
では つづきを おたのしみに!

〜 其之一 終わり 〜


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