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   デジモン アドベンチャー

    
テレビ 第1話  漂流?冒険の島!


    ― その年の夏は、地球全体がおかしかった。
    東南アジアでは、全く雨が降らず、水田が枯れ、
    中東では、大雨による洪水が発生、
    アメリカでは、記録的な冷夏となっている。

    サマーキャンプにいた7人は、何も知らずにいた。
    それが、誰も知らない世界での
    冒険の始まりになることを… ―


    キャンプ場 ――
    サンサンと照りつける太陽の下、
    子供達は、それぞれの楽しみ方で、
    夏のキャンプの昼下がりを満喫していた。
    一人の少年は、高い木の枝で昼寝の真っ最中。
    そのほっぺたに、空から白い物が落ちてきた…。
  ★ 八神 太一 [御台場小学校5年生]
       トレードマークの黄色いゴーグルを、いつも頭につけている男の子 
太一「ん?」
    その白い物は、他の子供たちの上にもちらちら舞い降りる。
  ★ 武之内 空 [御台場小学校5年生]
       水色の帽子が良く似合う、みんなのお姉さん的女の子 
空 「あ…?」
  ★ 石田 ヤマト [御台場小学校5年生]
       ちょっとクールなかっこいい男の子 
ヤマト「あ!」
  ★ 泉 光子朗 [御台場小学校4年生]
       パソコンの腕はなかなかの男の子 
光子朗「ん?…あ?」
  ★ 太刀川 ミミ [御台場小学校4年生]
       つばの広い帽子が好きな、お嬢様っぽい女の子 
ミミ 「ああ…」
   ★ 高石 タケル [河田小学校2年生]
       最年少、かわいい男の子 
タケル「あ??」
   ★ 木戸 丈 [御台場小学校6年生]
       メガネのモノシリ博士風男の子 
丈 「はあ?」
    なんと、その白い物は雪!!
    あっという間に本降りになり、みんなは大騒ぎで避難し始めた。
    太一たち7人は、近くにあったお堂に入り、季節外れの雪がやむのを待っていた。

太一「やっとやんだみたいだな。」
    太一がお堂の戸を開けると、そこは一面の銀世界になっていた。
タケル「わあ〜雪だ〜っ!」
ヤマト「おい、タケル!気をつけろ!!」
    普段は、とても小5とは思えないほどクールなヤマトが、
    小さなタケルにだけは、なぜかいつもやさしい…。
    実は、これには訳があるのだが…今回はまだヒミツにしておこう。
空 「う〜っ、寒いわね、夏とは思えない…」
丈 「早く、大人のいるところへ戻ろう。ここにいつまでもいると…」
ミミ 「きゃ〜っ!!きれい!!」
    みんなは、外へ飛び出した。
    そんな中、光子朗は、一人お堂に残ってパソコンと携帯電話をつないでみたが…
光子朗「…ダメか。吹雪がやんだら、電波届くと思ったのにな。」
みんな「うわぁ〜!」
太一「光子朗!早く来いよ!」
    みんなに呼ばれ、光子朗が外へ出てみると!!
    なんと、向こうの空に美しい自然のカーテン、オーロラが!!!
ミミ 「うわぁ、きれい!ロマンチック〜!」
光子朗「あ…、あれは…」
空 「オーロラよ。」
太一「初めて見たぜ…」
タケル「すごいよね〜」
    感動しまくるみんな。
光子朗「そんな、変ですよ!日本でオーロラなんて…」
空 「…そうなんだよね。」
丈 「は、早く大人たちのいるキャンプ場の方に戻らなきゃ。」
ヤマト「そうだな…、風邪ひいちゃつまんねぇしな。」
    オーロラは、美しいけれどどこか怪しげに輝きながら、遠くの空に揺れている。
    その時だった。
太一「!!おい、あれっ!」
    オーロラの向こうに、不気味な緑色に光るかたまりが!!
    そこから、太一たちの方へ7つの火の玉が飛んできた。
みんな「うわあ〜っ!!」
    火の玉は、太一たちのすぐそばに落下、積もった雪を跳ね上げて爆発した。
    しかし、雪まみれになって倒れたものの、全員無事のようだ。
空 「みんな!ケガはない?」
ヤマト「なんとかな。」
ミミ 「びっくりしたぁ!」
丈 「い、一体…?」
光子朗「…隕石?」
    今落ちた火の玉の破片を見つけようとする光子朗。
    すると…!!
光子朗「えっ!?」
    雪の上に、正方形の4つの角と真ん中を四角く切り取ったような、
    不思議な影が浮かび上がり、そこから、ぽわぽわっとシャボン玉みたいな丸いあわが、
    7人のそれぞれの目の前に1個づつ上がってきた。
    みんな、それを片手で握るようにしてつかまえて、手を開いてみると…?
    手の中に、雪の上に浮かび上がった影と同じ形の、小さな通信機のような物が!!
空 「なに…これ?」
光子朗「ポケベルでも携帯でもないし…」
    …と、みんなの目の前に、
    突然、巨大な水柱がゴーゴーと音を立てて空へ噴き出し始めた!
みんな「わぁ〜〜っ!!!」
    そして、あっという間に7人は、その水柱の中へ吸い込まれてしまった…


???「たいち〜、たいちぃ!」
    気を失って倒れている太一を、誰かが呼んでいる。
太一「…ん、大丈夫だ…」
    太一が目を覚ますと…!!
    ピンク色のゴムまりに、大きな目と、ちいさな牙の出た口と、長い耳をつけた…
    そんな見たことのない生き物が、太一のお腹の上に乗って、
    太一をじっと見つめているではないか!!
    太一は、びっくり!!
太一「…あ?………うわあああああっ!!!」
    慌てて転がる太一を、そのゴムまり(?)はピョンピョン跳ねながら
    追いかけてきた。
太一「な、な、何だコイツは?」
???「たいち、気が付いた〜♪よかった!よかったぁ!!」
    とってもうれしそうに跳びはねるゴムまり。
太一「…!しゃべってる!…オレの名前、知ってる…!」
???「よかったよかった!たいち、よかったぁ!」
太一「な、なんだ、おまえ?!」
???「ボク、コロモン!たいち!待ってた!」
太一「コロモン?…オレを待ってた?」
コロモン「うん!!」
  ★ コロモン 幼年期・レッサーデジモン・タイプ〈データ〉・特技〈アワ〉 
太一「そりゃいったいどういうことなんだ?だいたい、オレの名前、どうして知ってる?」
    さっぱりわけのわからない太一。
    大きな水柱に飲み込まれて…あれからいったい、どうなったのか…?
    そこへ、光子朗がやって来た。
光子朗「太一さん!」
太一「おお、光子朗!」
光子朗「よかった…ボク、一人ぼっちになったかと思って…」
???「何ゆーてます?ウチがついてるやないですか!」
    光子朗の足元には、またヘンなのが歩いている!
    小さいオバケみたいな…しかも、関西弁の。
太一「うわぁ!光子朗…そいつは…?」
???「ウチ、モチモンいいます。よろしゅう!」
  ★ モチモン 幼年期・レッサーデジモン・タイプ〈データ〉・特技〈アワ〉 
光子朗「ここで気が付いてから、ずっとついて来るんですよ…。ボクにも何が何だか…」
太一「ここ…?ここって…」
    周りを見渡す太一…。そういえば、ここは一体どこなのか?
    本で見た南国の楽園みたいな、色とりどりの木や草花が生い茂っている。
モチモン「ここは、ファイル島ですわ!」
コロモン「そうそう、ファイル島!」
光子朗 「彼らは、そう言ってますけど…」
太一「う〜ん…、確かめてみなきゃな。」
    太一は、高い木によじ登って枝に腰掛け、望遠鏡を取り出して覗いてみた。
    遠くに海…、そして、その右側には、とんがった山が見える。
太一「…海だぞ。…こんな山、見たことないなぁ。…ここどこだぁ?」
コロモン「ねぇ〜たいち、何してる?」
    耳を枝に引っ掛けながら、太一の所まで登ってきたコロモン。
太一「ああ?…ああ。」
    生返事をしながら、太一がなおも望遠鏡を覗いていると、
    カタカタカタカタ…そんな音を立てながら、何かが空を飛んでいるのが目に入った。
太一「おい!…何だアレ?…赤い…クワガタ虫かぁ?」
    そう言っている間に、その『赤いクワガタ虫』は、牙をむいて太一目掛けて突っ込んで来た!
太一「うわあっ!」
    枝にぶら下がって何とかそれをよける太一とコロモン。
    見ると、さっきまで太一が腰掛けていたあたりの幹は、
    鋭い刃物でスッパリ切ったように、なくなっている!!
    下でそれを見ていた光子朗もびっくり!!
    モチモンも、思わず目をふさいだ。
モチモン「あ、あかん!あれはクワガーモン!凶悪なデジモンやっ!」
光子朗「何だって!!」
  ★ クワガーモン 成熟期・昆虫型デジモン・タイプ〈ウィルス〉・特技〈シザーアームズ〉 ★
    クワガーモンは向きを変え、再び太一の方へ向かって飛んできた!
    すると、コロモンがクワガーモンの前に飛び出し、「プッ!」とアワを一吹き…
    しかし、クワガーモンはちょっと目をつぶっただけでそのまま飛び続け、
    コロモンはクワガーモンに激突!
    太一も、よけた拍子に、木から地面に落ちてしまった。
光子朗「太一さん!」
太一「…オレは大丈夫だ。」
    ちょっとお尻をぶったものの、太一にケガはなかったが…
コロモン「…くっ……」
    コロモンは、ぐったりとその場へ倒れたままだ。
太一「コロモン!!」
    駆け寄ってコロモンを抱き上げる太一。
太一「バッカやろう!ムチャすんな!」
コロモン「…たいちぃ…」
太一「でも、おかげで助かった!…ありがとう。」
コロモン「(にっこり…)たいち…」
光子朗「またクワガーモンが来ますっ!」
    クワガーモンは、今度こそしとめようと、猛スピードで向かって来る。
モチモン「あかん!こっちや!こっちに来るんや!」
    モチモンの後について走る、コロモンを抱いた太一と光子朗。
    クワガーモンは、頭の上に付いている鋭いノコギリのような刃で、
    木を簡単に切り倒しながら、どんどん太一たちに迫ってくる。
    必死に逃げる太一たち。
    少ししてモチモンは、一本の木の前で立ち止まり
モチモン「こっちや!」
    と、手招きすると、ぽわん!と、その木の幹を通り抜けるようにして中に入ってしまった!
光子朗「…えっ?!」
    驚く2人。しかし、悩んでいる暇は無い。
太一「…行くぞ!」
    2人も思い切って、その幹の中へ飛び込んだ。
    そこは、小さなドームのような、人工的な不思議な空間になっていた。
光子朗「ここは、見せかけだけの木なんだ…」
    ますます驚いて回りを見回す太一と光子朗。
    カタカタカタカタ…クワガーモンの羽音が、近づいてくる!!
    その場に伏せて頭を抱える太一、光子朗、コロモン、モチモン。
    その音は、すぐそばを通り過ぎた後、小さくなって、やがて聞こえなくなった。
    太一たちが安心して顔を上げた時、外から…
空 「もう大丈夫みたいよ。」
    と、声が!
    壁が溶けるように消えてゆくと、そこには空が立っていた!
太一「空!」
空 「危なかったね。」
太一「なぁに、大したことなかったさっ!…アレ?」
    外に出た太一は、空の足元にまたまたおかしな生き物がいることに気づいた。
    それは、ピンク色のタマネギの頭に花が咲いているような…そんなカタチ。
    頭のてっぺんの一本のめしべ(?)がピクピク動いている。
???「クワガーモンの音、遠〜くにいったよ!空!」
  ★ ピョコモン 幼年期・レッサーデジモン・タイプ〈データ〉・特技〈アワ〉 
空 「うん、ありがとう、ピョコモン!」
太一「ピョコモンて…」
光子朗「植物みたいだけど…?これも、あの仲間?」
    コロモンとモチモンの方を見る光子朗たち。
    と、と、!!そこへまた、鼻のない、耳の長いブタみたいなのがトコトコと…。
光子朗「はぁ〜、これも、そうなの…?」
  ★ トコモン 幼年期・レッサーデジモン・タイプ〈データ〉・特技〈アワ〉 
トコモン「こっちだよ〜、タケルぅ!」
太一「はぁ??」
タケル「わぁ!トコモ〜ン!!」
    走ってくるタケルの後ろから、ヤマトも走ってきたのだが、
    小脇にこれまたヘンなのを抱えている!
    茶色い体で、頭に大きな角がはえている。
ヤマト「タケル!!」
太一「ヤマト!…おまえも!!??」
ヤマト「太一!みんないたのか。」
太一「お、おまえの持ってる、それ…!」
ヤマト「ん?ああ、コイツは…」
  ★ ツノモン 幼年期・レッサーデジモン・タイプ〈データ〉・特技〈アワ〉 
ツノモン「ボク、ツノモンです…」
    タケルは、もうトコモンとすっかり仲良しの様子で、ほっぺを合わせてすりすりしてる…。
    そこへ…
丈 「んぎゃ〜〜〜っっ!!ンみ、みんな〜!」
    丈が、すごい勢いで走ってきた。
太一「丈?!」
丈 「はぁ、はぁ…、助けてくれ〜!へ、ヘンなヤツに追われて…」
???「ヘンなヤツじゃないよっ!」
    後ろから付いてきた「ヘンなヤツ」は、丈の肩によじ登ってきて、
    にっこり笑っている!
    小さなオットセイみたいだが、頭には稲妻型の角がある。
  ★ プカモン 幼年期・レッサーデジモン・タイプ〈データ〉・特技〈アワ〉 
プカモン「プカモンだよっ!」
丈 「ぎゅわぁぁぁぁ!!!」
    丈の悲鳴にも、プカモンはにっこり笑って、丈の肩にくっついたままだ。
    丈は、あらためてじっとプカモンを見た…、まぁ、思ったより愛嬌のある顔してる。
    それに、害はなさそうだし…。
    丈は少し落ち着いて、みんなの方に目をやると…!!!
    みんなの横に、ころころと「ヘンなの」が5匹いるっ!
丈 「なっ、何だ?コイツら…、いったい?」
    プカモンは、丈の肩からぽーんと跳ねてみんなに混じると、
    「ヘンなの」たちは、一斉に声をそろえてこう言った。
   
   「ボクたち、デジタルモンスター!!」

コロモン「ボク、コロモン!」
ツノモン「ツノモン…です。」
ピョコモン「ピョコモンだよっ!」
モチモン「わて、モチモンでんがな。」
プカモン「プカモンだよ!ふぁっ!」
トコモン「ボック、トコモン!」
    自己紹介するデジモンたち。よく見ると、結構みんなかわいい!…かもしれない。
    太一たちも自己紹介。
太一「これで全員だっけ?」
空 「待って!確かもう一人…」
光子朗「ミミさんだ。太刀川ミミさんがいません!」
丈 「そうだ!4年生のミミくんだ!ボクはあの子に…」
    その時!
ミミ 「きゃあ〜〜っ!!」
    ミミの悲鳴が!!
    みんなが、急いでその声の方へ走っていくと、
    木の陰からミミがベソをかきながら走り出てきた。
    …もちろん、その横にはデジモンらしきヘンなのがついている。
    ピョコモンにちょっと似た、植物型のデジモンだ。
太一「ミミちゃん!!」
    と、その後ろから
    カタカタカタカタ…!!!!!そう、あの音がっ!!
太一「クワガーモンだ!!」
    見る間に、クワガーモンは、その真っ赤な羽をばたつかせながら、
    ミミと、そして太一たちのすぐ上をものすごい勢いで飛び越していく。
???「ミミぃ…大丈夫?」
  ★ タネモン 幼年期・レッサーデジモン・タイプ〈データ〉・特技〈アワ〉 
ミミ 「タネモ〜ン…」
    地べたにへたり込むミミと、
    心配そうにミミの顔をを覗き込む、黄緑色の球根を思わせる形のタネモン。
    空は、すぐ駆け寄ってミミを支えた。
空 「しっかりして!」
ミミ 「空さん!!」
太一「また来るぞ!!」
    クワガーモンは、方向転換してまたこちらに向かって飛んで来た。
    みんなは、走った!とりあえず今は、逃げるしかない。
    しかし、逃げても逃げても、クワガーモンはどんどん迫ってくる。
ヤマト「伏せろ!」
    ヤマトの言葉に、地面に伏せるみんな。
    そのすぐ上を飛んで行くクワガーモン…、立っていたら危ないところだった。
丈 「な、なんなんだよ、これは…。いったいここは、どういう所なんだぁ?」
ピョコモン「!!また来る!」
    ホッとしているヒマはなかった。
    クワガーモンが切り裂いた木の幹が、森の上の空に飛び散っているのが見える。
太一「くそぅ…、あんなヤツにやられてたまるかっ!」
    立ち上がって身構える太一。
空 「太一、ムリよ!」
ヤマト「そうだ!オレたちには何の武器も無いんだぞ!」
光子朗「ここは逃げるしか…」
太一「…くっ。」
    再び走り出すみんな。
    クワガーモンは、それでもしつこく追ってくる。
    逃げて逃げて…とうとう、みんなは崖っぷちに追いつめられてしまった!!
    真下は大きな川…これ以上、先に進むことはできない。
    いったいどうすればいいんだっ!!??
太一「こっちはダメだ。別の道を探すんだ!」
空 「べ、別の道って?!」
    そこへ、ついに追いついたクワガーモンが、みんなに襲い掛かってきた!
    地面に伏せて何とか一度はやり過ごしたものの、
    クワガーモンはまたこちらへ向かってこようとしている。
    あっ!一人、崖のはしにいた太一が危ないっ!!
コロモン「たいちっ!!」
    コロモンが、クワガーモンがすぐ後ろまで迫っている太一に向かって行く。
    そして、ジャンプ一番!クワガーモン目掛けてアワを吹き出し、体当たり!
コロモン「うわぁ…!」
    そのまま地面に叩きつけられるコロモン。
太一「コロモン!!」
    それを見ていた他のデジモンたちも、次々ジャンプ!
    迫り来るクワガーモン目掛けてアワを吹き付けた。
    一つ一つのアワは小さくても、一度にそれを喰らったクワガーモンは、
    顔をしかめて、そのまま森へ突っ込んだ。
    ドガ〜〜〜ン!ものすごい音と衝撃!
    そして、クワガーモンの動く気配はなくなった…。
    顔を上げるみんな…。すると、デジモンたちが全員倒れているではないか!
    アワを吹き付けた後、クワガーモンをよけきれず、みんな激突していたからだ。
空 「ピョコモン…!」
    太一は、コロモンをそっと抱き上げた。
太一「バカやろう!なんてむちゃを!」
コロモン「…だって、ボクは…たいちを守らなくちゃ…」
太一「…コロモン……」
    ぐったりとしたそれぞれのデジモンを、心配そうに抱き上げるみんな。
空 「ピョコモン…」
ミミ 「タネモン…大丈夫?」
光子朗「どうして、あんなことを…?」
タケル「トコモン!トコモン!!」
ヤマト「しっかりしろ、ツノモン!」
丈 「プカモン…おまえ…」
    その時!!
    カタカタカタカタ…!なんと、クワガーモンはまだ生きていた!
    角をキリキリ動かしながら木々をなぎ倒し、今度は歩いて迫って来た!
太一「あいつ、まだ生きてやがった…」
    崖を背に、デジモンを抱いて立ち尽くすみんな。
    もう逃げ場がない…クワガーモンは、のっしのっしとこちらに向かってくる。
太一「くそぅ…このままじゃ…」
    すると、さっきまで太一の腕の中でぐったりしていたコロモンの目が輝いた。
コロモン「…行かなきゃ。」
太一「へぇっ?」
コロモン「ボクたちが、戦わなきゃ…いけないんだ!」
太一「何言ってるんだよ!」
モチモン「そうや、わいらは、そのために待っとったんや…」
光子朗「そんな!」
ピョコモン「行くわ!」
空 「ムチャよ!あなたたちが束になっても、アイツにかなうはずないわ!」
ツノモン「でも、行かなきゃ!」
ヤマト「おい!」
トコモン「ぱうぱうぱぁう!」
プカモン「おいらも〜!」
ミミ 「タネモン…あなたも??」
タネモン「…(うなずく)…」
コロモン「いーくーぞ〜っ!」
    押さえつける太一の腕を飛び出すコロモン。
    他のデジモンたちも一斉にみんなの手から飛び出し、クワガーモンに向かっていく!
    そして、その大きな体に飛びついた!!!!!
空 「ピョコモ〜ン!」
光子朗「モチモン!!」
ヤマト「ツノモン!」
タケル「トコモンっ!」
丈 「プカモ〜ン!」
ミミ 「タネモーーーン!」
太一「コロモ〜〜〜〜〜ンっ!!!!!」
    すると、ここへ来るちょっと前、あの雪の中で手に入れた不思議な通信機のような物が、
    キラーン☆!と光った!
    …と、突然、空に黒い影が現れ、そこから7本の光線が降りてきて、
    デジモンたちの上に降り注いだ!!!
    驚くみんなが見つめる中、なんと、デジモンたちが進化し始めたではないかっ!
コロモン「コロモン進化〜、アグモン!」
ピョコモン「ピョコモン進化〜、ピヨモン!」
モチモン「モチモン進化〜、テントモン!」
ツノモン「ツノモン進化〜、ガブモン!」
トコモン「トコモン進化〜、パタモン!」
プカモン「プカモン進化〜、ゴマモン!」
タネモン「タネモン進化〜、パルモン!」
    みんな、先ほどまでの弱々しい体とはうって変わって、
    モンスターらしい、一回り大きく頼もしい体に進化している!
太一「なっ、なんだ…?」
アグモン「そら、行くぞ!!」
    クワガーモンに飛びつくデジモンたち。
    しかし、腕一払いで全員はねつけられてしまった!
    心配する太一たち…。が、進化はダテではなかった。
    さっきまでなら、地面でグッタリ…となっていただろう状況で、
    アグモンたちは、すぐさま起き上がったのだ!
アグモン「このくらい、大丈夫!!」
    クワガーモンは、また空から攻撃しようと飛び上がろうとしたが、
パルモン「ウィングアイリ〜ン!」
    パルモンが、手の先を伸ばして、クワガーモンの足をしっかりつかんだ!
    進化したデジモンたちは、それぞれ新しい強力なわざを持っているようだ。
パタモン「エアーショット!」
    丸い体をますます丸く膨らませて、空から攻撃するパタモン。
テントモン「プチサンダーーーー!」
    テントモンの放ったカミナリは、クワガーモンにかなりのダメージを与えた。
    グラッとバランスを崩すクワガーモンの足に
    体当たりして転ばせたのはゴマモンだった。
アグモン「みんな離れろ!ベビーフレーーーーイム!」
    口から火を吹くアグモン。炎はクワガーモンの顔面に炸裂!
ガブモン「シーファイヤー!!」
ピヨモン「マジカルファイヤー!!」
    ガブモンが地上から、ピヨモンが空から、同時に攻撃を加える。
    クワガーモンはかなり弱っては来ているものの、それでもなお角を振り立てる。
    先ほどのこともある…、体力を持ち直すスキを与えてはいけない!!
アグモン「よし…、もう一度だっ!!ベビーフレイム!!」
    一斉にわざを放つデジモンたち!
    力を合わせた、見事な攻撃だった。そして…
    ついにクワガーモンは力尽き、空中で燃え尽きるように消えていったのだった。
    太一たちは、ただびっくり!!しばらく、ポカン!と口を開けたまま…。
太一「…やった!」
アグモン「たいち〜ぃ!!」
    太一たちに向かって駆け寄るデジモンたち。
太一「わぁ〜すっげーー!!はははっ!おまえ、すごいぞ!よくやった!」
    コロモンから進化したアグモンを抱きしめる太一。
    みんなも、抱きかかえられないほど大きく、頼もしくなったデジモンたちと、
    喜びを分かち合っていた。が…
    ガサガサガサ…木々の揺れる音と共に、見たことのある赤い2本の角が、
    にょっきりと森の上に!!!
空 「…太一!」
    新たなクワガーモンが、ノシノシと森から姿を現したのだ。
    そしてそいつは、太一たちに向かって思いっきり角を振り下ろした!
    太一とアグモンは、寸前で身をかわし、それをよけたが、
    角の突き刺さった地面に亀裂が走り、そこから太一たちのいる崖がボッキリと!!
    そして…
みんな「うわぁ〜〜〜〜っ!!!!!」
    みんなは、崖ごと川へ、まっ逆さまに落ちていく!!

    さぁ、太一やアグモンたちの運命やいかにっ?!


    ― そう…、それが7人の子供たちの、
    とても長くて、とても短い、
    夏休みの始まりだった… ―


    
第1話 おわり

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