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デ ビ デ ビ @

― 第1話 天魔降臨 ―


天使と悪魔…
二つの存在は 永久とも思える時間
戦いを続けていた―

天界
悪魔ソードと天使イオスが、剣を交えている。
「ククク、天使イオス!貴様とやるのは100回目だな!
今日こそは、決着をつけてやるぜ!悪魔ソードの名にかけてな!!」
黒い髪に黒い翼…悪魔ソードが、牙を光らせてニヤッと笑った。
「お言葉を返すようですが…あなたとやりあうのは101回目です…」
冷静に答える、白い翼の天使イオス。
「(カアッ)う…うるせ〜オレはてめーのそういうところが大キライなんだよ!
てめーだけは、このオレの手で消し去ってやるぜええぇ!!」
ガッ!剣を合わせる二人。
キキキキ…バチバチ…ズッ!!!!
やがて、ソードの剣がイオスの体を、イオスの剣がソードの体を…!
同時に、貫いた!!!
「ぐおおおおお!」
二人は、そのまま天界から落ちていく…
そこへ飛んできた無数の天使たち。
「イ…イオス様…なんということだ、間に合わなかった…人間界に落ちてしまわれたぞ。」
「魔族との大戦を控えた大事な時期に、あんな下級魔族との果し合いに応じるなんて…
ハミエル様に連絡して、イオス様を天界に戻す策を練らねば!!」
こちらは、魔王軍最前線―
「報告します。ソードが天使のイオスと共に、人間界に落ちました!」
「グワァハハハ、そいつは目出たいな!」
「たいした魔力もない、バカ力だけのソードとあのイオスだぞ!
どーでもいいじゃねーか!!」
「そーいやそーか…」 「実はオレもアイツ嫌いだったんだ。」
悪魔たちは、心配するどころか、喜んでいる様子。
「ソードなんぞほっとけ、宴会だ、宴会!!」
「オオオオオオ!」 こぶしを突き上げる悪魔たち。

地上の人間界
夜空に、流れ星のような光…
「おら、立てよ双魔(そうま)!!」
三人の男が、倒れている一人の男を取り囲んで、頭や腹に蹴りを入れている。
「今日は、このぐらいでカンベンしてやるけどよ!」
「明日は、絶対金持って来いよな!!いーか、わかったな双魔!!」
「うう…わかったよ〜」 泣きながら答えるメガネの双魔。
その時、キイイイイ…光の玉が空から!
「なんか落ちてくるぞ…隕石か!?」 「や…やべえ、逃げろ!!」
慌てて逃げる三人。
カッ!シュウウウウウ… 落ちてきたのは、悪魔ソードだった。
「くそ…このオレ様としたことが…人間界に落ちちまうとは…」
血だらけのソード…特にイオスに受けた剣の傷から、
ボタボタと、止めど無く血が溢れ出している。
「ま…まじい…魔力が抜けてく…この体はもうもたねえ…フー…フー…
冗談じゃねえ!イオスのヤローを殺るまでは、くたばるわけには…」
傷を押さえて前を見ると、一人の男(双魔)が傷だらけで倒れているのが見える。
「…まきぞえをくった人間か…フン…運が悪かったな…」
グッ!血を吐くソード。
「や…やべえ…ま…まじでこのままじゃ死んじまう…」
ヨロヨロと双魔に近づくソード。
「しょ…しょうがねえ…こいつの体を使わせてもらうしか手はねーか…
イオス…!テメエをブチ殺すまでは、死なねえ!!」

順天田病院
医者と双魔の父が、話をしている。
「ほ…本当ですか、本当に双魔は助かるんですか!?」
「ええ…しかし、信じられませんよ…あの出血で生きているなんて…」
病室
包帯を巻かれ、ベッドに寝ている双魔(中身はソード)。
「…ど…こ…だ………ここは?」
バアン!そこへ父が、泣きながら飛びこんできた。
「おおおお!わが息子よお、よくぞ無事でえええ!!父は…父は嬉しいぞおおお!!」
双魔に抱きつく父。
(な、なんだ…この人間は…?)
ビーン!「えええい、うっとうしいいい!!」 父を張り飛ばす双魔。 「ギャッ!」
「だれだ、てめーは!?」 「だ…だれだって、先生…これはいったい…」
ちょうど病室に入ってきた医者は、にこにこして言った。
「一時的な記憶の混乱でしょう。すぐ戻ります。」
父が、よよよ…と泣き崩れるその横に、松葉杖をついた、やはり入院患者らしき男が立っている。
「よかった…双魔、元気そうじゃないですか…」
ニコッと笑ったその男を見た瞬間、双魔は気付いた。 (こ…こいつ…)
「お…おい、わからんのか…この人は…」 父、ますます泣く。
「うるせえ!!」 (感じるぞ…ヤツと同じ魂を!!こいつは…イオスだ…おもしれえ!!)
双魔は、立ちあがり、(天界での決着!!今ここでつけてやるぜ!!)
「ぬおおおおおぉ!!」
そのイオスと思われる男に近付いて行った!! が…ヘロヘロ…「はれ?」
(な…なんでだぁ…?力がでねえ…ち…血がたりねえ…
なんて脆弱なんだ…この体は…!?) 倒れこむ双魔。
『無理をしない方がいい…いくら魂があなたのものでも、体は人間のものなのですから。
しかし…あなたも私と同様、人間の体を借りていたとは…驚きましたよ。』
心の中で双魔に話しかけるイオス。
『て…てめえ…』 双魔は、思いっきりその男をにらみつけた。
倒れている双魔に、そろーっと寄ってきて父は、言った。
「な…なぁ本当にわからんのか〜目の前にいるのは、お前の兄の神無(かんな)なんだぞ〜」
「なに!?」
「双魔よ〜お前は神無の双子の弟なんだぞ〜」
「!!ふ…双子…?弟…?」 あ然とする双魔…
(こ…このオレ様が…悪魔であるオレ様が…天使なんぞと双子…?しかも弟だとお!?)
「うそだあああああああああぁ〜」

双魔の家
「それでは、お父さん、行ってきます!」
サラサラの長髪をなびかせて、神無がそう言った。
「へ?………い…今…なんと……?」 玄関でヨロめく父。
「え、ですから行ってきます…と…」
(し…信じられない。隕石事故の後遺症とはいえ…あの神無がこんなにマジメに…)
父の頭に浮かぶ、「学校だと!そんなもん行ってられっか!!クソジジー」と言いながら、
父の頭を殴る神無の姿…
新聞を握り締め、一人、感涙にむせぶ父。
そこへやって来た双魔。
「どけ!くそじじー。」 そんな父の頭を鷲づかみにし、「じゃまだぁ!!」
ばいん!そのまま、フッ飛ばす。 「はう」 父、壁に激突。
(じ…事故の後遺症とはいえ…あのまじめだった双魔が…父は、なにがなにやら…)
双魔は、ものすごく機嫌の悪そうな顔で、玄関を出ていった。
(くそ〜ムカつく、この体じゃ、イオスを殺るには力がたりねー
いったい、どーすりゃいいんだよ…)
「おっはよ〜双魔、神無君!!」 そう言って走ってきたショートカットの女生徒。
「あん?だれだよ、てめーは!」
「あらら〜記憶喪失って、本当だったんだ!!たく…まさか幼なじみの顔まで
忘れてるとはねー。ま…いいわ…こんなこともあろーかと…ほら!!」
その女の子は、双魔に、3枚の写真を見せた。
犬に追いかけられる双魔…泣きわめく双魔…小さい子にいじめられてる双魔……
「な…なんだ、こいつは…?」
「なにって双魔、あんたの写真じゃない!」
「(ぐわぁん!)こ…これが、オレ様だとぉ!!こ…これが…こんなのが?」
「そ!弱虫で、いじめられっ子で、いつも私が、かばってあげてたんだから!
そーそー、神無君のもあるのよ!」
今度は、神無に写真を見せた。
バイクに乗った神無…指輪をしてこぶしを握る神無…悪そーな仲間とヤンキー座りの神無……
「!!こ…これが私…?ですか…(わなわなわな)」
「神無君は、双魔とは逆で、ほんと手のつけられない感じでさ!
正反対の双子って、有名だったのよ!(にこにこ)」
そこへ出てきた、うるうる…の父。
「七海ちゃ〜ん…二人のこと、よろしく頼むよ〜父は…父は…どうすることも…」
「おじさん、任せてください!記憶が戻るまで、キッチリ面倒みます!」
ドン!と胸を叩く女の子。 「おーたのもしい」と拍手する父。
「そーそー、記憶が戻れば思い出すと思うけど、私は聖 七海(ななみ)!よろしくね!
……って、きいてないか…」
後ろを向いて、「こ…これがオレ…」 「こ…これが私…?」
と、まだやっている双魔と神無…

学校
登校してきた双魔、神無、七海。
「お…おい、あれ、神無じゃないか?」 「あいつ、退学になったんじゃないのか?」
「めずらしいよね、双子の弟と登校なんて…でも二人とも、なんか雰囲気違わない…?」
生徒達の注目を浴びる三人。
「や…やぁ、神無君じゃないか…停学期間が終わって、ちゃんと登校してきたんだね、
せ…先生は、うれしいよ!」 汗を拭き拭き、笑って話しかける先生。
「? だれです…?」 そっと七海に尋ねる神無。 「私たちの担任よ。」
神無は、スッと、その焦りまくる先生の前に立つ…先生、びくっ!
「おはようございます…先生。(にこっ)」
たらーんの先生と、どよめく生徒達。
「そ…そうか、更正したんだな神無君…先生は、先生は嬉しいぞ!!」
先生、両手を広げ、大喜び!
「あの神無がマジメになったって?」 「お…おい、マジかよ!!」
「ケッ!くだらねえ!」 先に歩く双魔のところに、三人の生徒が近付いた。
「よ〜双魔じゃねーか!」
いかにもワルです!と言わんばかりの格好の三人…
それは、ソードが人間界に落ちてきた時、双魔をいじめていたあの男達だった。
「生きてたのかよ、隕石で死んだと思ったぜ…」 「悪運だけはつえーな、お前はよ〜」
(なんだぁ…このカスどもは…)

校舎裏
ワル三人と、双魔がいる。
「言われたとおり、金持ってきたろーな!もし、持ってねーとか言いやがったら…」
「また、痛い目にあうぜ!」 中の一人が、双魔の髪の毛を、グイ!と引っ張った。
「ク…クク…クククク…てめ〜ら、いい度胸だな…」
笑い出す双魔。
「あん?なんだってえええ!?」 こちらも笑う三人。
すると、双魔の後ろに悪魔ソードが姿を現した!(もちろん、人間には見えないが)
「このソード様にケンカをうるとは…死ぬ用意はできてるんだろ〜なぁ!!」
すごい形相で、ワルをにらみつける双魔。
「なんだぁ、こいつ…わけわかんねーことを…!!」 ただならぬ様子に、ビビる三人。
「死にやがれええええ!!」
と、双魔が振り上げたこぶしを、ガッ!とつかんで止める誰か。「あん?」
「そこまでにしておきなさい、双魔…」 それは、神無だった。
「イオス!」 こぶしを押さえられて、双魔は、身動きが取れない。
神無を見て、もっとビビる三人!たじたじ…
「神無…こいつ停学とけたのかよ。」
「やべーよ!あいつにかかわったら、ただじゃすまねーぞ!!」
「フー、ひどい言われようですね…」 神無、がっくり…
「く…くっそ〜おぼえてやがれ〜」 逃げてゆく三人。
「以前のこの体の持ち主は、かなりのワルだったんですね…
天使の私が、なんでこんな…。」 ますます落ち込む神無。
双魔も、こぶしをつかまれたまま、
(ぐっぞ〜なんてバカ力なんだ、人間の体の性能が違い過ぎる…!!
なんでオレは、こんな体に入っちまったんだよ…) こちらもどっぷり落ち込んでいる。
「さ、最悪だ…」 その双魔の頭に…
スパーン!と、カバンが!!「なにやってんのよ!あんたはぁ!!」 「うおっ!?」
それは、七海だった。
「学校に入る前に言っといたでしょ!あんたは、不良達に狙われてるから、
私から離れちゃダメだって!!わかった?双魔!!」
「は…はい…ごめんなさい。」 ヘコっと頭を下げる双魔。
(ハッ!な…なんだぁ…なんでオレは頭さげてんだよ…)
「弱虫のクセに記憶喪失のせいで、気ぃばっか大きくなって、もー…くどくど…」
(こ…この女はぁ〜) と、思いながらも、体が動かない双魔。
それを見ている神無… (条件反射か…魂はソードのものでも、
体が、彼女に逆らえないことを覚えている…)
「見た〜今の!記憶喪失のせいで性格変わったって、本当みたいね〜ヒソヒソ…」
いつのまにか、校舎の陰に、たくさんの女子生徒達が集まってきていた。
「私はだんぜん神無君ね!デキの悪い弟をかばうなんてス・テ・キ!ヒソヒソ…」
「デキの悪い…?」 双魔、顔を上げる。
「でもでも、さすが双子よね、メガネとったら、やっぱり二人とも似てる!ヒソヒソ…」
そこで、ドーン!と前に出たのは、やや(?)外見に難アリの女子。
「な〜に言ってんのよ!あんなネクラ全然違うわよ!
見てみなさいよ、あの目つき、ヤーネ!きっと私に気があるのよ!」
「そ…そうかな…」 おだやかにツッこむ、その隣りにいたカワイイ子。
ブルブル…顔をヒクヒクさせている双魔…
(こんのドブス…魔界じゃ、数百の女をはべらしていたこのオレ様が…あんな物体にまで…)
ヒクヒク…ブチッ!
神無、一言…「あ…切れた…」
「ぬおおお!なっとくいかぁぁん!!」

屋上
「どうしたのですか…?私をこんなところに呼び出して…
双魔…いえ、今はソードと呼びましょうか。」
にらみ合う、双魔と神無。
「イオス…オレはな、人間界でいつまでもグダグダやってる気はねーんだ…
てめーとの決着もついてねーしな。
てめえ…知ってるんじゃねーのか…この体から離れ、オレ達が元の姿に戻る方法を…」

校庭
七海が、息を切らして走ってくる。
「あれ…今、屋上に人影が見えたよーな気がしたけど…気のせーかな…?」
七海の頭に浮かぶ、オロオロする双魔と神無の父…
『七海ちゃ〜ん、二人が帰ってこないんだよ〜どーしたのかな、
また何かあったのかな〜父は、父は…どーすりゃいいの?』
「たく…こんな時間まで、どこほっつき歩いてるのよ〜おじさんに心配ばっかりかけても〜」
キョロキョロ二人を探して走りまわる七海。
そんな七海を、例のワル三人組みが、モノカゲから見ている。
「…おい、あれ見ろよ。」 「あれ、いつも双魔のヤツの保護者ヅラしてる女じゃねーか?」
「こんな時間に、なに学校をウロウロしてんだぁ?」

「きゃっ!!」 ドン!と、壁に背中を突く七海…しかし、キッとにらみ返す。
七海を囲む三人のワル。
「なによ!あんたたち、どいてよ!!」
「うるせー!!お前、あの双魔の保護者みてーなもんだろ。」
「昼間、双魔から金とれなくてムシャクシャしてたんだよ。」
「その責任、お前にとってもらおーと思ってな!おい…押さえろ!!」
一人の合図で、両手首をグッとつかまれる七海。
「へへ〜さ〜て、脱がしちまうか!」
「な、なんですって!!へ…ヘンなことしたら、しょーちしないわよ!!」

こちらは、屋上
「元に戻る方法ですか…残念ですが知りません…それに、
知っていたとしても、教える気はありません!」
冷静な神無…それとは対照的な双魔。
「なにい!なんでだよ!?」
「この体には、私達の魂と元の体の持ち主の魂の両方が存在しています…
今、私達の魂が体を離れれば、元の持ち主の魂は死んでしまうでしょう…」
神無の背後に、姿を現す天使イオス!
「天使である私が、そんなことを許すと思いますか…私は、この人間の魂を再びよみがえらせる方法を
探します。もし…それができなければ、この人間、神無として一生を終えてもいいと…」
「この…!オレはごめんだ!!こんな状態は、もう1秒たりともガマンならねぇ!!」
「しかし、方法がない以上…」
「なら…今、ここでてめえとの決着をつけてやるぜ!!」
双魔のまわりに、風が巻き起こり、その中で、双魔は、何やら呪文のようなものを唱え始めた。
「ば…ばかな!人間の体で魔力を使う気か!?体がもつわけが…!!」
と、神無の言ってるソバから…!
ぴゅーーー!「あっ。」 双魔のコメカミから、血が吹き出した!
「あ…血…頭から…」 ほげほげ…くらくら状態になる双魔。
「みなさい!ヘタをすれば、死にますよ!まったく、バカなまねを…」
双魔は、ヨロヨロと、屋上の手すりにもたれかかった…と、その時!
「キャーーーー!」 下から聞こえた女の悲鳴。
「…なんだよ。」 「あ…あれは…」
二人が下を見ると、七海が、ワルに両腕をつかまれ、壁に押し付けられているではないか!
しかも、ブラウスが、胸のあたりまで、たくし上げられている。
「ヒヒヒッ!」 「ちょっとヘンタイ!なにすんのよ!!」
それを見て、驚く神無。 「七海さん!あの連中…今朝、あなたにからんでた…早く助けないと!」
しかし、双魔は、プイ! 「知らん!あんな女がどーなろーと、オレにはかんけーねー。」
「な…!?」 「オレにとっちゃー、てめーとのケリつける方が大事…」
そう言った双魔の脳裏に、痛みと共によみがえるシーン…
あのワル三人に、いいように痛めつけられている双魔の姿が…
「!?な、なんだこりゃ…元の持ち主の記憶か…?」
「ソード…?」
「元の野郎がどんな目にあってよーが知ったこっちゃねーが…
あいつら、なんか知んねーけど、むしょーにムカついてきやがった!!
オレの怒りのよーな、そーでないよーな…」
こぶしをにぎりしめて、ぶるぶる怒り出す双魔のコメカミから、また血がぴゅーっ!
「とにかく!あのバカども生かしちゃおかね〜!!」
バッと手すりを飛び越えた双魔だったが…
「ば…ばか…今のあなたは、飛べないんですよ!!」
神無に言われて、「へっ。」と、気付いた時には、もう空中だった…
「うおっ、おおおおおおぉ!」 ぐん!ガッ!(ナイス!)
一階下のビミョーな出っ張りに、なんとか指を掛けてぶら下がる双魔。
「フフ、やはりオレは、なにをやっても天才だな!」
屋上から、見下ろす神無… 「…そうですか?」
「しかし…マジィ…さっき血を出しすぎたせーで…虚弱な体がますます虚弱に…
(た…耐えろ〜オレ様…耐えるんだ〜)」
そこへ、そのビミョーな出っ張りをつたって猫が歩いてきた!
「う…うお!?よ…よせ…来るな、このケダモノ!今ちょっとでも刺激があると…」
しかし、当然、猫は双魔の指の上を…!「あっ!」
「も…だめ…」 そのまま、下へまっさかさまに落ちてゆく双魔。

下では、「さーて、みんなで楽しもーか!ヘヘヘヘ…」
ワルが、七海の胸に!!悔しさに、唇をかみ締める七海。
と!!そこへ!!ドン!!!!!
シュウウウウウウ…ワル三人をフッ飛ばして、何かが空から降ってきた?
一人無事だった七海。 「な…なにこれ、一体なにが…!」
すると、そこには、血だらけになって倒れている双魔が…
「そ…双魔…?あ、あんた、なんでこんなところに…」
「い…」 「い?」
「いってええええええ!!」 泣き叫ぶ双魔。
「うおおおお、体中が痛い!痛すぎる〜〜!!」
ぴゅーっと血を吹き出しながら、ゴロンゴロンのた打ち回っている。
そこへやってきた神無。
「あんなムチャをして、その程度ですんだだけましですよ…」
「神無君、いったいなにが…?」
「あー、双魔が、木の上からでも落ちたんでしょう。」
七海にはそう言ってごまかし、そして双魔の耳元で、そっとささやく神無。
「でも、見直しましたよ、ソード。結果的には彼女を助けたのですから…」
「なに!!」 双魔が見ると、土煙の中にワル三人がヒクヒクのびている。
「な…?こ…このオレ様が…悪魔であるオレ様が人助けだとおおお!!
ぐおおおおおお!!」 今度は、悔し泣きする双魔。
「ええ〜い、うるさい!!」 ガン!七海の一撃が、双魔の頭に炸裂。
そんな二人を見ながら、神無は、考えていた…
(しかし気になる。人間では魔力は使えないはず…だが、屋上から落ちた瞬間のあの爆発…
微弱だが確かに魔力が発生した…まさか…ソードは人間の体で魔力を使えるというのか?
だとすれば…人間界での生活、大変なものになるかもしれない…)
へたっと、倒れる双魔… 「あ…倒れた…」 双魔をのぞき込む七海。

再び順天田病院
ベッドに、ムーーッとして、双魔が寝ている。
「うう〜父は心配で心配で…」 ベッドの傍らで、父が泣いている。
「双魔は、記憶があってもなくてもめーわくかけるのねー。
世話する方の身にもなってほしーわ!……きーてるの、双魔!?」
七海の声に、ビクッとして 「はい。」と、素直に答える双魔。
「クククク…」 神無が微笑む。
「…イオス、てめえ…
くっそ〜オレは絶対、悪魔に戻ってみせるぞ!!」


― 第1話  おわり ―

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