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超電磁マシーン ボルテスVの第1話


人類が生まれて200万年

謎と神秘に包まれた暗黒の宇宙
この果てしなく広がる闇の中から
遥かなる星雲を越えて 強大な魔の手が
地球目掛けて襲いかかろうとしていた

地球人は今 その歴史始まって以来の
滅亡の危機に立たされようとしているのである


宇宙から地球目掛けて飛来するボアザン星の宇宙要塞、スカールーク。
地球征服軍司令官プリンス・ハイネル、側近のリー・カザリーン、ルイ・ジャンギャル、ド・ズールらが地球を見つめる。

ハイネル「あれか? 太陽系の果て、太陽系の第3惑星・地球とは」
カザリーン「御意」
ハイネル「ふむ……報告通り、美しい星だな。はるばるとここまで軍を進めた甲斐があったぞ」
ジャンギャル「はっ! 既に地球の基地も完成、プリンス・ハイネルのご到着を待つばかり」
ハイネル「よし、一気に征服する。今よりこの太陽系第3惑星は、ボアザン帝国地球征服軍最高司令官、プリンス・ハイネルの指揮下に入る! カザリーン」
カザリン「はい!」
ハイネル「ズール!」
ズール「ははぁ」
ハイネル「ジャンギャル!」
ジャンギャル「はっ!」
ハイネル「地球征服軍全兵士に告ぐ。戦いの時は来た! 我らボアザン帝国の栄光と名誉、その薫り高き文化をあまねく宇宙の隅々にまで及ぼさんがため、この辺境の地・地球を支配する虫ケラの如き人間どもを、追い払うのだぁ!」



宇宙からの侵略者



宇宙からの侵略に対し、地球防衛軍が迎撃の態勢をとる。

「スクランブル、スクランブル! ただちに発進せよ! 地球防衛軍はただちに発進せよ!」
「準備完了、OKだ!」「よぉし、オーライ、オーライ!」

地球防衛軍で総司令官として指揮をとる岡防衛長官。

岡「地球防衛軍の兵士諸君、私は防衛軍総司令官の岡だ。我々は宇宙航空圏に侵入する大編隊を確認した。地球の運命は、すべて我々の肩に掛かっている。全世界の陸海空軍は、ただちに攻撃作戦に入る」

「イギリス第4軍艦隊、出撃!」「アメリカ第17艦隊、展開完了!」「ソビエト本隊第3戦隊、出動!」

岡の恩師・浜口からの通信が届く。

岡「こちら、宇宙防衛軍司令部・岡です」
浜口「浜口です。我々の監視レーダーも円盤群を捉えています。彼らこそはボアザン星人に間違いありません。剛博士が案じていたことが、とうとう事実となったわけです」
岡「監視センターの役目もこれで終わりです。そちらにいらっしゃる光代博士ともども、山を降りて下さい。今後はかねての打合せ通り、剛博士の意志を継いで、行動を起こして頂きたい。防衛軍の苦戦は充分に予想されますから」
浜口「了解。博士共々至急、特別訓練所へ急行します」


市街地では避難する人々により、あちこちでパニック状態が起きていた。

「地球防衛軍は本日、宇宙空間において他の天体からの侵略軍と交戦状態に入りました。全地球市民の皆さんは、各自治体の指示に従って避難して下さい!」


浜口は協力者である剛光代博士と共に、特別訓練所へ向かう。
訓練所では所長のもとに、所員が避難をせかす連絡が届いている。

所員「ですがね所長、もう街からの避難民が続々とこちらへ……」
所長「ならん! 我々は5人の訓練が終わるまでは、何があろうとこの訓練所を閉鎖できんのだ! 途中で逃げ出す所員がいたら、銃殺しろ!」

訓練所では5人の若者が過酷な訓練を受けていた。
バイクを走らせつつ、百発百中の腕前の銃で次々に的を撃ち抜いてゆく、剛健一。
棒術で数人の相手を一度になぎ倒す巨漢、剛大次郎。
魚のように海を泳ぎ、ナイフ1本でサメと戦う小兵、剛日吉。
森林のあちこちに仕掛けられたトラップを潜り抜ける女忍者、岡めぐみ。
巧みに馬を駆り、鞭を振るって的を仕留めてゆく、峰一平。

訓練所に到着した浜口たちのもとに、5人が集められる。

健一「母さん、何だい!? まだ訓練は終わっていないんだぜ」
光代「急いでここを引き払います」
健一「勝手なこと言って……わけもわからずこんなところに引き込まれたと思えば、今度は引き払えだって? どういうことだい!」
大次郎「母さん! おいどんは人形じゃごはんと! この1年間わけも知らされず、訓練を受けさせられたでごわんと」」
光代「だから?」
一平「だからよ、並みの親じゃねぇな。脱走すれば銃殺されるこの訓練所へ、我が子を放り込んだ。浜口の父っつぁんよぉ、俺だってカリフォルニアのロデオ大会で優勝した途端に、日本へ連れて来られて、ここに叩き込まれたんだ。甲賀流18代目のめぐみさん、あんたも聞きてぇんじゃねぇのか? 一体どうして、ってよ」
めぐみ「うん!」
浜口「わけはすぐにわかる! 全世界は今、宇宙からの侵略者に対して、戦闘状態に入ったのだ」
健一「侵略者!?」
日吉「何だって!?」
一平「全世界で!?」
めぐみ「戦闘状態が……」
大次郎「起ってちょる!?」


地球防衛軍のもとには、世界中から被害状況が届いていた。

「宇宙航空圏は突破されました! ロケット戦闘機部隊は全滅です!」

岡「遂に地球へ侵入開始か……どのくらいもつか……」

「宇宙隊艦隊、応答なし!」「アラブ特務戦車隊、全滅!」「第4戦略航空部隊、全滅です!」
「アフリカ・ギニア共和国からSOS!」「オーストラリア方面軍は全滅!」

岡「あまりにも一方的だ……」


浜口の運転する車の中の健一たち。テレビでニュースが流れている。

ニュース「イギリス全土は既に壊滅的打撃を受けております。国民は……」「ロンドンBBCの電波が切れました。今イタリアからの報道では……」
大次郎「早いなぁ……」
健一「あぁ……」
ニュース「ブエノスアイレスが燃えています、さようなら……今しも私たちの船に円盤が、うわぁっ!!」
健一「何てこった! これじゃあ……」
一平「どこへ逃げたって、同じだな」
大次郎「ごわんと……」
めぐみ「浜口博士、私たちはどこへ逃げるのですか?」
浜口「逃げ出しはせん。この地球を守るために……そのためにこそ、わしらはこうして走っているのだ」

一同の車が訪れたのは、巨大な鳥を象った島。

浜口「この大鳥島にその秘密がある。よぉく見るがいい」

島の丘が真っ二つに割れ、秘密基地・ビッグファルコンが姿を現す。

健一「こっ、これは……!?」
光代「この基地は、今日あることを予測して、今は行方の知れぬお父さんと私、そしてめぐみさんのお父様の岡司令長官と浜口博士が協力して作り上げたものなのです」
浜口「これから見せるものこそ、今地球を襲いつつある敵と戦い得る、ただ一つの武器だ!」

基地内に招かれた一同が目にしたものは、巨大ロボットであった。

日吉「ロ、ロボット!?」
浜口「そうだ。これが超電磁マシーン・ボルテス!」
健一「ボルテス……!?」
浜口「ボルテスVファイブだ!」

驚く健一たちの目の前で、ボルテスVなるロボットの頭部が分離変形し、戦闘機となる。

健一「ロボットが!?」
浜口「出動準備にかかっておる。我々も行くぞ!」
健一「凄い、凄いぞ! あんなどでかいロボットがあったなんて」
浜口「君たちのお父さん、剛博士が精魂を傾けて作ったロボットだ。そして君たちが、あのロボットの操縦者なのだ」
日吉「ぼ、僕も?」
光代「その通りよ、日吉。そのためにお前たちに訓練を受けさせたのです。今まで隠していたのは、ボアザン星人にこのロボットのことを知られたくなかったの」

一同がエレベーターで基地内の一室へ運ばれる。

日吉「わぁ……」
健一「これは?」
浜口「司令室だ」

スクリーンの中、ボルテスVが分離して5機のメカとなる。

浜口「ロボットは既に分体完了。発射準備に入っている」
一同「えぇっ?」
光代「峰くんは2号」
一平「は? はい」
光代「健一は1号」
健一「うん」
光代「大次郎は3号」
大次郎「はい!」
光代「日吉は4号」
日吉「はい!」
光代「めぐみは5号」
めぐみ「はい!」
光代「各員、出動!」

驚きも覚めやらぬ中、光代に促されるままに5人が搭乗ハッチへ飛び込む。
5人の座ったシートが基地奥へ、そしてボルテスの分離した各メカのコクピットへと運ばれる。

浜口「総員、完了!」
健一「ちょ、ちょっと待って下さい、浜口博士」
一平「俺たちゃ、このメカについちゃ何にも知らねぇんだ!」
浜口「発進!」

健一たちの意思に反し、そのまま5機が基地を飛び立つ。

めぐみ「まさか、このまま戦いに向かうんじゃないでしょうね!?」
浜口「黙れ! 今までの訓練は何のためだと思っとる!?」
大次郎「しかし、そうすいすい操縦はでけんと!」
光代「飛行訓練も受けさせたはずです」

当初はフラフラしながらも、どうにか一同は操縦をこなす。

健一「どうだぁ、みんな!?」
浜口「よし、ボルテスチームはただちに東京へ向かえ。ボアザン星の円盤と戦うのだ!」
健一「しかし、武器だって何があるか……」
光代「シミュレーターと同じよ。お父様の作った物を信じれば良いのです!」
健一「う……わかったよ、母さん。めぐみ、一平、行くぜ!」


一方でハイネルたちは、地球に前線基地として築かれた居城へ到着していた。

ハイネル「うむ、これがボアザン帝国の地球基地、ハイネル城か」
ジャンギャル「はっ、臨時にしてもボアザン文化の薫りを失わぬよう、充分気をつけました」
ズール「フフフ、建設用円盤を見て、地球人どもがUFOなどとうろたえたもの」

地球侵略の尖兵として、毒蛾にも似た機械の怪獣、攻撃獣士ドクガガが用意される。

ハイネル「行けぃ! 行って地球人の息の根を止めるのだ!」

ドクガガが地球防衛本部を襲撃。
防衛軍が応戦するが、到底歯が立たない。

岡「地球防衛本部を叩いて、地球人の士気を弱める気か」
部下「岡司令、ただちに大鳥島の浜口博士に連絡を」
岡「うむ」


一方で健一たちは、慣れないながらも各機の武器を巧みに操り、ボアザンの戦闘円盤を撃破していた。

健一「へへっ、よってたかって攻撃をかければ、何とか勝てるぜ、こりゃあ」
浜口「健一くん! 調子に乗る時ではない。防衛軍本部が敵の怪獣に襲われている」
めぐみ「防衛軍本部が!?」
一平「何!? 防衛軍本部と言えば、めぐみの親父さんのいるところじゃねぇか」
健一「よし! ボルテスチーム、防衛軍本部へ直行だ!」


地球防衛軍本部はドクガガの攻撃により、壊滅寸前まで追い込まれていた。

部下「岡司令、もうとてもダメです! 我々の力ではあの怪獣にとても立ち向かえません!」
岡「諸君、諦めるな! 諦めるのは早い!」

ハイネルが城からスクリーンで様子を観察している。

ハイネル「これで勝負はついたな……歯向かう者がないとなれば、我らが地球の新しい王者だ」
ジャンギャル「むっ、プリンス・ハイネル、また新手が」

ボルテスチームが飛来。

ハイネル「ん? フフフ……初戦は地球の飛行物体。何の役に立とう?」

健一「防衛軍本部はメチャメチャだ……突っ込むぞ!」
浜口「待てぃ! ボルテスチーム、そのまま怪獣に当たっては負けは間違いない」
健一「負けるだってぇ?」
浜口「そうだ。ボルトインしてこそ勝てる」
光代「まず、1号機を中心にV型編隊を組みなさい。Vトゥゲザー!」
健一「わかった。Vトゥゲザー!」

5機がV字型の編隊を組む。

健一「Vトゥゲザー、OK!」
光代「全員、赤いボタンを押しなさい。レッツ・ボルトイン!」
健一「レーッツ!」
一同「ボルトイ──ン!」
浜口「今の合言葉は声紋としてコンピューターに記録された。今後は諸君以外の者が乗ってもボルトインは行われない」
健一「了解!」

5機が合体。それぞれが頭部、腕、胴、脚、足首となり、巨大ロボ・ボルテスVが完成する。

健一「ボ──ルテ──ス・ファ──イブ!!」

ジャンギャル「プ、プリンス・ハイネル!?」
ハイネル「むぅ……あのようなロボットが地球にあったのか! ジャンギャル! 報告にはなかったな」
ジャンギャル「は、ははぁ」
ハイネル「ハーッハッハ! 良い、これこそ一興! ドクガガに叩き出させぃ!」
ジャンギャル「はっ!」

健一「みんな、行くぜ! ボルテスのパワーを見せてやるんだ」

ボルテスを迎え撃つドクガガ。ミサイルを放ってボルテスを吹き飛ばす。

健一「うわぁっ! な、何てパワーのミサイルだ。600tのボルテスすら吹き飛ばすとは」
一平「ボルテスの武器のチェックが終わった。健一、チェーンナックルをやってみろ!」
健一「チェーンナックルだな? よし、行くぜ! チェーンナックル!」

ボルテスの腕から放つ鎖がドクガガに叩きつけられる。
だがドグガガはひるまず、ボルテスを攻撃し続ける。

健一「グランドファイヤー!」

腰部から放たれた火炎がドクガガを直撃。

めぐみ「今よ健一! 身を引いて超電磁ストリングを使うのよ!」
健一「わかってる、わかってる! 超──電磁ストリ──ング!」

ベルト部分が分離して鞭となる。

日吉「相手の動きを止めなきゃダメだよ! 羽を狙って!」
健一「だぁっ!」

ボルテスが超電磁ストリングを羽に叩きつけるが、ビクともしない。

大次郎「あんさん、超電磁ゴマたい!」
健一「超──電磁ゴマ──ッ!」

腰からカッター付きコマが出現。ボルテスがストリングでそれを操り、ドクガガの羽を斬り裂く。

ドクガガ「グワァ──ッ!」

しかしなおもドクガガの反撃。ミサイルがボルテスを襲う。

健一「まだ参らない!?」
めぐみ「健一、最後まで油断は禁物よ!」
健一「わかってる! 天空剣って奴で、奴のとどめを刺せるはずだ! 天空──剣!!」

胸の装甲版から柄と刃が伸び、必殺武器・天空剣となる。
ボルテス目掛けて突進して来るドクガガ。

健一「必殺、Vの字斬りぃ──っ!!」

振り下ろされた天空剣がドクガガを脳天から縦一文字に斬り裂き、そのまま肩口へと斬り上げる。

ドクガガ「グワアアァァ──ッッ!!」

Vの字に斬り裂かれたドクガガが大爆発──
爆煙のやんだ後、ボルテスの初勝利を象徴するかのように、Vの字の炎だけが残る。


ハイネル「見事だ……見事だな、地球人め。だが明日もこうなるとは大間違い。ボアザン星に楯突く者で、この宇宙に生き長らえた者は一つもないことを、思い知らせてやる!!」


戦いは開始された

ボアザン星人の野望を打ち砕き
地球に平和の日が甦るのはいつか

負けるな ボルテスV
頼むぞ 5人の仲間


(続く)
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