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ザ・ウルトラマンの第1話


新しいヒーローの誕生!!
冷凍怪獣シーグラ登場


広大な宇宙に浮かぶ 地球防衛軍極東ゾーンの宇宙ステーションEGG3(エッグスリー)
このステーションの役目は 宇宙開発 他惑星からの侵略・ガード
そして 日本列島を中心にした地球の観測である


主人公・ヒカリ超一郎が、先輩隊員に書類を届けている。

ヒカリ「地球観測のデータがまとまりました」
先輩「ご苦労さん。どう? それで」
ヒカリ「はい。もう、バッチリです。平和、平和。平和そのものですよ。地球には、何の変化もありませんよ」
先輩「うむ。日本列島の皆さんの、明るい笑顔が目に浮かぶよ。──ヒカリ隊員、日本が恋しいか?」
ヒカリ「そんな…… あぁっ!?」

奇妙な光が地球を包む。

「おい、見ろ! 地球に何か起こっているぞ!」
「あっ、ありゃ一体何だ!?」「こりゃ大変だ!」

「こちら、宇宙ステーションEGG3。極東ゾーン、応答願います」
「何が、何が起こったんですか!?」

ヒカリ (これは、ただの怪奇現象じゃない…… 決して、ただの怪奇現象じゃない!)


突然 地球上空が目も眩むばかりに輝き始めた怪奇現象に
国際連合組織・地球防衛軍の各ゾーンは 早速解明に乗り出した


謎の光に続いて 上空に現れた不思議な文字は
コンピューターによる解析 言語学者 および どの調査によっても
何を語りかけているのか 全く不明であった

地球防衛軍は この怪奇現象に対処するため
各ゾーン内に新チーム・科学警備隊を編成した
極東ゾーンにも 科学警備隊が編成された
そして キャップとしてアキヤマが選ばれた


地球防衛軍・極東ゾーンの責任者である桜田のもとへ呼ばれたアキヤマ。

桜田「と、いうわけだ。頼む」
アキヤマ「はい。ただし、条件があります」
桜田「言ってみたまえ」
アキヤマ「メンバーは、私に選ばせていただきます」
桜田「ま、いいだろう」
アキヤマ「それから……」
桜田「まだあるのか?」
アキヤマ「もう一つ」
桜田「何だ?」
アキヤマ「あれを私に下さい」

新鋭の大型攻撃機、スーパーマードック号の模型がある。

桜田「スーパーマードック号は、極東ゾーン直属の新鋭機だぞ!?」
アキヤマ「だからこそ、いただきたいのです」
桜田「ふむ…… 言い出したら後に引かない君のことだ」
アキヤマ「ありがとうございます。では、失礼します」

桜田のもとを去ったアキヤマを、作戦担当のマルメ隊員が追う。

マルメ「キャップ!
アキヤマ「なんだ、マルメ?」
マルメ「私を、メンバーに入れてください!」
アキヤマ「……」
マルメ「お願いします! ねぇ、ねぇ、キャップぅ」
アキヤマ「メンバーはいずれ発表するよ」
マルメ「ちょっと、待ってくださいよぉ! 優秀なエリートを選ぶんでしょうが、そうなれば私は問題外です。しかしですね、私はどうしてもメンバーになりたいんです! 地球上に何か、とんでもないことが起こりそうな気がするんです。私は……」
アキヤマ「そら、服装が乱れてるぞ」
マルメ「キャ、キャップ、お願いしますよ!」
アキヤマ「新チームのユニフォームは、よくサイズを測ってもらうんだぞ」」
マルメ「……やったぁ〜!」

続いてアキヤマは、スーパーマードック号の設計担当のトベ隊員のもとを訪ねる。

トベ「スーパーマードック号をキャップが? さっすがぁ〜!」
アキヤマ「設計をしたのは君だったな、トベくん」
トベ「空を飛ぶのはもちろん、水中だって全然平気ですからね、こいつは。スーパーマードック号は、私と一心同体なんですよ。こいつが科学警備隊に配属ということは…… キャップぅ! 新しいユニフォームの仮縫いはいつですか!?」
アキヤマ「こいつぅ…… ハハハ」


極東ゾーンの科学警備隊本部は 地球防衛軍極東基地最上階に設けられた


科学警備隊本部。マルメとトベのもとへ、アキヤマが女性隊員を連れて来る。

トベ「おっ、ムツミ! 君も来ると思ったよ」
アキヤマ「医療班にいた、星川ムツミ隊員だ」
ムツミ「ムツミです。どうぞ、よろしく」
マルメです、よろしく! ささ、どうぞ、お嬢さん」
ムツミ「ありがとう。でも、女だからって私を特別扱いしないでください! これからは、いつもあながたと一緒に行動するつもりなんですから」
トベ「気をつけろ。彼女はキツイからな」
ムツミ「あら? じゃ、コーヒー入れてあげないわよ」
トベ「わぁ、勘弁、勘弁!」
一同「あははははは!」
マルメ「ところで、どうして彼女を知ってるんだよ?」
トベ「彼女も例の怪奇現象に関心があってな、しょっちゅう話し合ってたんだ」
マルメ「なるほど。それは、アキヤマキャップの狙いがズバリだな」
トベ「とにかく、彼女の持っているデータはすごいものなんだ」
ムツミ「私、あの光や文字が、何か大変なことの前触れのような気がして仕方ないんです」
マルメ「同感、同感だ。俺もそう思うよ」

そこへさらに、ピグモンそっくりのロボット・ピグもやって来る。

ピグ「ども、どーも。あの、情報係に選ばれたんだナ」
マルメ「ピグ!」
ピグ「はいはい、ピグです」
トベ「地球防衛軍に百近くあるロボットの、第1号だからな」
ピグ「皆さんと一緒で、心強いんダナ」
トベ「ところでキャップ、メンバーはこれだけですか?」
アキヤマ「そう、もう1名は……」


そのもう1名のメンバー・ヒカリ超一郎は今 地球に向かって出発しようとしていた


宇宙ステーションEGG3。

先輩「ヒカリ、アキヤマキャップは厳しいぞ」
ヒカリ「はい、覚悟しています。あ、先輩。地球のお母さんへ、何かお届けするものはないですか?
先輩「元気で頑張っていると、伝えてくれ」
ヒカリ「はい
別の先輩「俺の妹にも、頼むよ!」
ヒカリ「それじゃ!」

ヒカリを乗せたロケットがステーションを出発。一路、地球を目指す。

ヒカリ「1年ぶりの地球だ…… よし、やるぞ!」

宇宙空間を進むロケット。突然、謎の光がロケットを包み込む。

ヒカリ「うわぁぁっ!?」

次の瞬間、そこは謎の空間。
光輝く彼方から、赤と銀に彩られた超人、ウルトラマンが歩いてくる。

ヒカリ「お前は、誰だ?」
ウルトラマン「私は、ウルトラマン」
ヒカリ「ウルトラマン……?」
ウルトラマン「我々は地球の危機を知らせるため、第1種接近・光で、第2種接近・ウルトラ文字で危機を警告した。その結果、科学警備隊が編成された。そこで第3種接近として、私が地球へ向かう。だが、この姿では地球上にいることはできない。君の体を借りる」
ヒカリ「えぇっ!? どうして僕の!?」
ウルトラマン「宇宙全体の平和のため、私は君の体を借りて、地球へ行く!」

ウルトラマンの体が次第に、ヒカリの体へ重なってゆく……

気づくと、そこはもとの宇宙船の操縦席。

ヒカリ「夢か……? 夢を見てたのか」


一方の地球。南極の氷の大地が割れ、巨大な氷山が北上を始める。


今 怪獣たちが眠りから覚めた ウルトラマンはこのことを警告していたのだ


地球に到着したヒカリが、科学警備隊本部の一同と合流する。

トベ「ヒカリ、久しぶりの地球はどうだ?」
ヒカリ「やっぱり、いいですねぇ〜
マルメ「そんな、のんきなこと言ってる場合じゃないだろう。EGG3では、どうだった?」
ヒカリ「あっ! そう言えば地球へ帰る途中、妙なことがあった」
一同「えっ!?」
ヒカリ「……ような気が。夢を見てたのかなぁ」
マルメ「おいおい、しっかりしろよ」

『科学警備隊、出動スタンバイ。科学警備隊、出動スタンバイ』

マルメ「また、何か起こったな。それ行けぃ!」
トベ「任しとけぇ!」

一同がアキヤマのもとへ急ぐ。その途中、通路に星型のバッジが転がる。

ムツミ「あら? トベ隊員、あなたの?」
トベ「いや。お前のか?」
マルメ「俺がこんな女の子みてぇな物、持ってるわけねぇだろ」
ムツミ「フフ。ヒカリ隊員って、案外おしゃれなのね」

ヒカリの脳裏で、バッジにウルトラマンのイメージが重なる。

マルメ「おい、何してんだよ!」
ヒカリ「あぁ」

とっさにヒカリがバッジをベルトに付け、一同に続く。


アキヤマ「南極から、氷山が北上して来たぞ」
一同「ええっ!?」
アキヤマ「ピグ、VTR!」
ピグ「了解。科学警備隊オーストラリア・ゾーンから送られたVTRなんダナ」

スクリーンに海上の氷山が映し出される。

トベ「おっ、すごい氷山だ!」
マルメ「どうして、こんなところまで流れて来たんだろう」
アキヤマ「現在位置は?」
ピグ「ポイント2100」
アキヤマ「テイク・オフ!」

一同を乗せ、スーパーパードック号が飛び立つ。

マルメ「赤道を通ってきた氷山が、なんで溶けないんだよ?」
ヒカリ「おかしいですね」
マルメ「キャップ。氷山ですがね、南の海を通って来て溶けないなんて……」
アキヤマ「だから、それを調べるんだ!」

やがて次第に、氷山が見えてくる。

アキヤマ「ベータミーで氷山に着陸して、氷のサンプルを採取する。マルメ、ヒカリ!」
2人「了解!」

小型機のベータミーが出撃。ヒカリとマルメが、氷山の上に降り立つ。
地表では、冷たい風が吹き荒れている。

マルメ「おい、どうなんってんだ。ここは南極じゃないんだぜ!?」
ヒカリ「マイナス5度!? もう春だっていうのに」
マルメ「は、早いとこやっちまおう」
アキヤマ「表面から2メートルのサンプルを採れ」

2人が作業にあたっていると、突然、氷山が大きく動き出す。

マルメ「わ、わぁっ!?」
アキヤマ「いかん、戻れ!」

とっさに2人がベータミーに乗り込んで飛び立ち、スーパーマードック号へ帰還。
氷山が砕け、中から巨大な怪獣が現れる。

マルメ「あっ、見ろ!」
ヒカリ「怪獣だ!」

怪獣が海をかき分け、歩き出す。

ヒカリ「キャップ、日本へ向かっています!」
アキヤマ「陸へ近づけるな!」

スーパーマードック号が怪獣の周りを旋回するが、怪獣は意に介さずに海を突き進む。

アキヤマ「やむを得ん、ミサイルで牽制しよう。ミサイル発射!」
マルメ「了解!」

ミサイル攻撃が降り注ぐが、怪獣は一向にひるまない。

アキヤマ「手強いぞ。レーザーバリヤーを張れ!」

バリヤーが展開され、怪獣が閉じ込められる。
しかし怪獣は力任せにバリヤーを砕き、突き進む。

トベ「あっ、レーザーバリヤーを破いたぞ!」
マルメ「驚いたヤツだ!」

怪獣が次第に、日本列島へ接近してゆく。

アキヤマ「東京湾に入れるな。大変なことになるぞ!」

警備隊の奮闘もむなしく、東京湾。怪獣が口から吐き出したガスで、海上がたちまち凍りつく。

マルメ「あっ、冷凍ガスだ!」
トベ「そうか、だから赤道を通っても溶けなかったんだ」
マルメ「中から凍らせていたわけだ」

凍りついた海の上を、怪獣が突き進む。

アキヤマ「陸へ近づくぞ。食い止めるんだ!」
ヒカリ「バーディーで近づいて、レーザー攻撃をします」
マルメ「1番機は俺だ!」

ヒカリとマルメを乗せ、2機の小型機バーディーが出撃。
レーザー攻撃をくわえるが、怪獣も冷凍ガスで反撃する。

マルメ「聞き分けのないヤツだな。帰れってんだよ!」

ヒカリ機が果敢に、怪獣の至近距離に接近する。

トベ「ヒカリ隊員、無茶するな! やめろ!」

怪獣の冷凍ガスで、ヒカリ機の窓ガラスが凍りつく。

ヒカリ「あぁっ!?」

視界を失って制御不能となったヒカリ機が、地上に不時着。
さらに氷山が割れ、3体の怪獣が出現する。

一方で気を失っているヒカリのもとに、ウルトラマンの声が響く。

ウルトラマン「ヒカリ超一郎──」

ヒカリが意識を取り戻す。

ウルトラマン「ビームフラッシャーを取れ。それを額に当てるのだ── 額に──」

言われるがまま、ヒカリがベルトに付けたままの星型のバッジ・ビームフラッシャーを取り、額にかざす。
たちまち全身がまばゆい光に包まれ、赤と銀の超人・ウルトラマンに変身。
さらに身長数十メートルに巨大化し、怪獣たちの前に降り立つ。

トベ「なな、何だ、あれは!?」
マルメ「敵が増えたぞ!」

ウルトラマンが怪獣たちに立ち向かう。強力なパンチやキックが、次々に炸裂する。

マルメ「おっ、味方らしいぞ!」

怪獣の吐き出した冷凍ガスで、ウルトラマンが氷漬けとなる。
しかしウルトラマンは細身に似合わない怪力で、氷を砕いてみせる。

2体の怪獣がウルトラマンを挟み撃ちにし、同時に冷凍ガスを吐き出す。
ウルトラマンが素早くかわす。怪獣同士が互いのガスを浴びて凍りつき、海の底へ沈む。

しかし、残りの怪獣2体がウルトラマンを締め上げ、攻撃を浴びせる。
ウルトラマンの胸のカラータイマーが点滅し、危機を知らせる。


ウルトラマンのエネルギーは 地球上では急激に消耗する
エネルギーが残り少なくなると 胸のカラータイマーが青から黄色
そして赤に変わる さらに赤の点滅が始まって30秒たつと
ウルトラマンは2度と立ち上がれなくなるのだ


ウルトラマンが渾身の力で拘束を振りほどき、反撃に転じる。
必殺のプラニウム光線が炸裂。
息絶えた2体の怪獣が、海の底へ沈んでゆく。

勝利をおさめたウルトラマンが、空の彼方へと飛び立つ。


空中でウルトラマンの変身が解け、もとの人間の姿となったヒカリが地上に降り立つ。

ヒカリ (夢ではなかった…… 俺の体の中に、ウルトラマンがいるんだ!)

どこからか、ウルトラマンの声が響く。

ウルトラマン「ヒカリ── 君の中に私がいる── だがこのことは、君と私だけの秘密だ──」
ヒカリ「一体、なぜ僕にウルトラマンが!?」
ウルトラマン「それは、いつかわかるときが来る── 君自身が──」


本部に帰還した科学警備隊の面々。

マルメ「しっかし、すごいヤツだったなぁ〜」
ムツミ「素敵だったわ!」
トベ「一体、何者なんでしょうね? キャップ」
アキヤマ「うむ。我々の味方であることは、確かだが」
ムツミ「宇宙人よ、きっと。正義の味方の。ねぇ、ヒカリ隊員はどう思う?」
ヒカリ「え!? あ、さぁ……」
ピグ「ピグが分析するんダナ。名前は、ウ・ル・ト・ラ・マ・ン」
一同「ウルトラマン!?」
アキヤマ「ウルトラマン……」
ムツミ「そうだわ、キャップ! あの光や文字は」
マルメ「ウルトラマンからの」
トベ「メッセージだったんだ!」
アキヤマ「うむ…… ウルトラマンか……」


それは ヒカリ超一郎にとって 思いがけぬことであった
しかし 静かに迫る夕闇の中に輝く一番星を見ながら
この平和を守らねばと 新しい決意を 深く心に刻むのであった


(続く)
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