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侍戦隊シンケンジャーの第1話
 

ナレーション「隙間……それは、この世とあの世の間……化け物たちの入り口であり、出口。だから……決して覗いてはいけない……隙間の向こうから、三途の川から外道衆がやってくる!」

少年がキャッチボールをしているとボールが隙間に入り、取ろうとするとそこから外道衆の戦闘員・ナナシ連中が現れる。

そこへ折神・獅子折神が現れる。

ジイ「逃げるんだ。さあ!」

日下部彦馬が子供をつれて逃げる。

煙幕がナナシ連中を包む。

それが晴れるとそこいいたのは侍戦隊シンケンジャー・シンケンレッドだった。

ジイ「外道集ども、よーく聞け! こちらに負わすのは、300年の昔より、貴様たちを葬ってきた侍の末裔・志葉家18目当主であるシンケンレッド・志葉丈瑠様だ!!」

ナナシ連中「志葉!?」「シンケンレッド!?」

ジイ「さぁ……恐れ入って隙間に帰るか……殿の刀の錆となるか、しかと……」

レッド「ジイ……」

ジイ「ハッ!」

レッド「長い」

ジイ「しかし、戦いというのは、まずは……」

レッドがシンケンマルを抜く。

レッド「参る……」

レッドがナナシ連中を一掃していく。
 

第一幕
伊達姿五侍
 

ジイ「殿、お見事!」

レッドは変身を解いて志葉丈瑠に戻る。

ジイ「いやお見事でしたぞ殿……このジイも、全身全名で語育て下魁があるというもの。ハッハッハ! しかしながら……おそらく奴の目覚めが近いかと……ここは先手を打ち、シンケンジャー結成のご決断を!」

丈瑠「その話はいい!」

ジイ「いや、外道衆を侮ってはなりませんぞ! いずれお1人では手に負えぬときが必ず参ります。そのときのために……育てられた侍は4人。忠義や家臣として、戦う日を待っております!」

丈瑠「とにかく、俺1人でいい! だいたい……忠義とか、家臣とか……時代錯誤なんだ! 帰る」

ジイ「何を今更……それを言ったら、殿だのジイだのがすでに時代遅れで……」

丈瑠「誰のせいだ!」

ハンカチを投げる丈瑠。

ジイ「ああっ! ジイは最近、持病の腰痛が……お待ちを!!」

この様子を骨のシタリが見ていた。

シタリ「やっと目覚めたらしいな……」

海から六門船が浮上。

三味線を弾いているのは薄皮太夫だった。

シタリ「おおっ。久しぶりだねぇ、薄皮太夫……おや? ドウコクが見えん。おかしいな……奴が目覚めたから、船が浮き上がったんじゃないのかね?」

薄皮太夫「さぁねぇ……わちきはドウコクのお守りじゃないから……」

シタリ「いや、そう言わずにさぁ……あの血祭ドウコクをなだめられるのは、お前さんか酒だけなんだから……」

「うるせぇぞシタリ! 俺はここにいる……」

出てきたのは噂の血祭ドウコクだった。

ドウコク「眠気覚ましにその無駄にでけぇ頭2つに割って……丼にしてやろうか!?」

シタリ「いやぁ、こりゃ随分機嫌が悪いな。これ、誰か! ドウコクに酒をやっておくれ」

ドウコクのお猪口に酒を酌むナナシ連中。

ドウコクはそれを飲む。

シタリ「どうやらバラバラになった体も、元に戻ったねぇ……」

ドウコク「手間取っちまったぜ……あの忌々しい志葉一族のせいでよぉ。皆殺しにしてやったのが、せめてもだ……」

シタリ「いやそれがさぁ……生き残ってたんだよ。シンケンジャーがねぇ……」

薄皮太夫「ほんとかい!?」

ドウコク「ほう……それじゃ何か? 俺のやられ損だってのか!?」

シタリ「ああ、いやいやいや……」

「何だ何だ!?」

現れたのはアヤカシ・カゲカムロだった。

カゲカムロ「大将が目覚めたって言うから祝いに来て見りゃ、葬式みてぇじゃねぇか」

ドウコク「うるせぇっ!! こんな胸糞悪い話が、あるか!!」

船が揺れる。

シタリ「お前さん。ちょっと行って、人間に悲鳴上げさせてきな」

カゲカムロ「大将の憂さ晴らしってわけか……引き受けた!」

歌舞伎舞台会場

池波流ノ介が稽古をしていた。

流ノ介の父「流ノ介」

流ノ介「父さん……」

流ノ介の父「今日の本番は頑張りなさい。最後になるかもしれないから……」

流ノ介「え?」

流ノ介の父が出したのは折神だった。

流ノ介の父「どうやらそのときが近い。わが池波家は代々志葉家に仕える唯我。心得はすべて教えたとおりだ……いざというときにはいかなる時でも、殿となる方の元へ……」

流ノ介「はい」

流ノ介の父「まだ見ぬ前の仲間たちも、思いは同じほど……」

幼稚園では白石茉子が園児たちの面倒を見ていた。

ゲーセンでも谷千明がゲーセンで遊んでいる。

山では花織ことはが笛を吹いていた。

町では、透き間からナナシ連中とカゲカムロが現れる。

カゲカムロ「さてと……いっちょ行くか!!」

ナナシ連中が暴れる。

志葉家

ジイ「殿! 殿……外道衆ですが……ナナシ連中よりさらに力のある、アヤカシまで動き出したのこと。もはや一刻の猶予も……侍たちを呼び出します!」

丈瑠「待て! 俺1人でやるっていっただろう!?」

ジイ「いつまでそのようなことを……意地を張ってる場合ではありませんぞ! ドウコクの強さはご存知のはず」

丈瑠「だからだ! だから……そんな奴との戦いに巻き込んでいいのか!? 会ったこともない奴らを……」

ジイ「亡き父上のお言葉……お忘れか!?」

(丈瑠の父『忘れるな! 今日からお前が……シンケンレッドだ! 決して逃げるな! 外道衆から……この世を守れ!!)』

ジイ「侍として生まれた者の宿命……皆覚悟はできてるはず。そして……それは殿も同じ。辛くとも……背負わなければなりません!」

ジイの投げたそれぞれの矢が流ノ介たちの元に届く。

ことは「うっ! いたたた……」

ジイが畳を開けると中に入っているのは変身アイテム・ショドウフォンだった。

ジイ「これを……侍たちは必ず参ります」

歌舞伎会場

流ノ介の父「舞踊を……」

流ノ介は鬘を捨て、会場を飛び出す。

茉子も篭に乗り出す。

千明「ったく……」

志葉家

丈瑠はショドウフォンを手にし、自分のショドウフォンで「馬」を書く。

すると馬が現れる。

ジイ「殿のご出陣!!」

丈龍の乗る馬が志葉家を飛び出す。

町では、カゲカムロとナナシ連中が暴れていた。

一方、黒子は茉子の入った篭を抱えて町に向かっていた。

流ノ介「お待ちくださーい! 志葉家党首・志葉丈瑠様の篭とお見受けいたします。私、池波家より参りました流ノ介と……」

茉子「ちょっと待って。私、違うから……」

流ノ介「え?」

茉子「えーっ!?」

流ノ介「これは……殿が女性だっととは露知らず!」

茉子「だから違うって。ってか何その顔!?」

流ノ介「ああっ! 大変失礼いたしました……」

そこへことはがやってくる。

ことは「あっ、殿様……」

ことはが流ノ介の前に跪く。

流ノ介「え? いや、違う違う! 私は……」

千明「なぁ……あんたたちが、お仲間!? なんか、すげぇな……」

流ノ介「殿!」

ことは「殿様……」

千明「何でだよ? 俺じゃねぇよ!」

流ノ介「え?」

丈瑠「お、前たちが侍か?」

折神を見せる丈瑠。

流ノ介「あなたが……殿……失礼しました!」

丈瑠「最初に言っておくぞ。この先へ進めば、後戻りする道はない。外道衆を倒すか、負けて死ぬかだ……それで戦うって奴にだけ、これを渡す。ただし……家臣とか忠義とか、そんなことで選ぶなよ。覚悟で決めろ!」

流ノ介「殿! ここに来た以上、覚悟はできています。戦わせてください……殿と共に!」

茉子「まぁ、子供の頃からそのつもりだし……」

ことは「一生懸命頑張ります!」

千明「はぁ……大げさなんだって。さっさと終わらせればいい話だろう。なぁ、殿様!?」

流ノ介「お前……殿に向かってそういう言い方は……」

丈瑠が4人にショドウフォンを投げる。

丈瑠「行くぞ」

黒子が布で周りを囲む。

千明「なになになに!?」

街中

カゲカムロ「ナナシ連中、もっと泣かせろ!! こんな風にな!」

すると太鼓の音が鳴り響く。

黒子が布を下げると、それは丈瑠たちだった。

丈瑠「そこまでだ。外道衆……」

カゲカムロ「その家紋! まさかお前ら……」

丈瑠「そのまさかだ……」

ショドウフォンが筆モードに変形。

丈瑠「ショドウフォン!」

一同「一筆奏上!!」

5人はそれぞれ自分たちのモヂカラを書く。

するとそれが5人を包み、シンケンジャーへと変身。

レッド「シンケンレッド・志葉丈瑠!!」

ブルー「同じくブルー・池波流ノ介!!」

ピンク「同じくピンク・白石茉子!!」

グリーン「同じくグリーン・谷千明!!」

イエロー「同じくイエロー・花織ことは!!」

レッド「天下御免の侍戦隊!」

一同「シンケンジャー、参る!!」

カゲカムロ「かかれ!!」

レッドたちがナナシ連中に挑む。

ブルー「殿!」

イエロー「殿様……」

グリーン「なんて数だよ」

ピンク「これじゃきりがない……」

ブルー「殿、私が守ります。殿は下がって……」

レッド「お前は自分を守ってろ。面倒だ……」

レッドは秘伝ディスクを回転。

レッド「烈火大斬刀!! しゃがめ!」

レッドは1人、ナナシ連中に立ち向かっていく。

イエロー「すごい……」

ブルー「さすが殿……私も!」

グリーン「え? おい!」

ブルー「ウォーターアロー!!」

ピンク「ヘブンファン!!」

イエロー「ランドスライサー!!」

3人の武器がナナシ連中を一掃。

グリーン「俺だって……もっとまじめに練習しとくんだった。ウッドスピア!!」

グリーンのウッドスピアがナナシ連中を葬る。

カゲカムロ「食らえ!!」

レッドが銃撃に怯まず前に突き進み、烈火大斬刀を振り回す。

カゲカムロ「まだまだ……これならどうだ!?」

烈火大斬刀が車を真っ二つに切る。

カゲカムロ「なに!?」

レッドがカゲカムロを柱に押し出す。

そしてとどめの一撃が炸裂。

カゲカムロが大爆発。

烈火大斬刀もシンケンマルに戻る。

イエロー「すごい……殿様……」

グリーン「俺もすごいぜ。結構できるじゃん」

ピンク「うん。なんとかなったってレベルね……」

ブルー「殿!」

レッド「油断するな! アヤカシは命を2つ持っている……今のは1の目だ。すぐ2の目が出るぞ」

カゲカムロが巨大化再生。

カゲカムロ「貴様ら……叩き潰してやる!!」

カゲカムロが反撃に出る。

グリーン「ありかよ。これ!?」

ピンク「そういえば、その話聞いたような……」

ブルー「不勉強だぞ。こういう時のために、これがあるのを忘れたのか!?」

ブルーが龍折神を取り出す。

ブルー「折神。それぞれ受け継いだ文字の化身だ……自分と一体化することで、2の目のアヤカシとも……」

レッド「お前も前置きが長いなぁ……獅子折神、折神大変化!!」

獅子折神に「大」のモヂカラを印すとそれが巨大化。

レッドは乗り込んでシンケンマルをセット。

ブルー「申し訳ありません。すぐに! 龍折神!!」

ピンク「亀折神!!」

グリーン「熊折神!!」

イエロー「猿折神!!」

ブルーたち「折神大変化!!」

4人もそれぞれ自分たちの折神にモヂカラを記すとそれが巨大化。

カゲカムロ「来よったな!?」

獅子折神がカゲカムロに体当たり。

カゲカムロ「この!!」

ブルー「殿! 我々も一緒に攻撃を……私は左から!」

イエロー「ウチ、行く!」

ブルー「え?」

猿折神がカゲカムロに体当たり。

ピンク「今度は私の番よ!」

カゲカムロ「ええい、しゃらくせぇっ!」

カゲカムロの下の口が亀折神を銜える。

ピンク「ちょっと、離して!」

グリーン「何やってんだよ。ほら! ほらほらほら! どうだ? うわっ!」

カゲカムロ「こうしてくれる!!」

カゲカムロが熊折神を持ち上げる。

すると熊折神がカゲカムロの足に落ちる。

カゲカムロ「ぎゃああ!!」

グリーン「逃げろ!」

ピンク「う、うん!」

カゲカムロ「待て!!」

すると今度は龍折神が体当たり。

ブルー「今度は私に任せて! 龍瀑布!!」

レッド「五角大火炎!!」

2体の折神の必殺技が炸裂。

カゲカムロが大爆発。

レッド「これにて、一件落着!」

こうしてシンケンジャー初の戦いは終わった。

ことは「できた……よかった……」

千明「楽勝だっつーの!」

茉子「そこまでじゃないでしょう……」

流ノ介「そうだ……殿が……戦闘に立ってくださったから……」

そこへジイがやってくる。

ジイ「殿! お見事な戦いぶり……じいは、じいは……」

千明「何だ? あのじいさんは……」

丈瑠「帰る」

ジイ「ああっ、お待ちを。ええいこれ、お前たちも。ほれ!」

流ノ介・ことは「はい!」

流ノ介「殿! 音もいたしまする!」

ナレーション「遂に、殿・丈瑠の元に結集した侍たち。さて……これからどんな戦いが待っているのか? シンケンジャー第1幕、まずはこれまで……」
 

(続く)
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