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死神くん 第1話 『死神くん登場!の巻』

バイクに乗った不良少年が車にはねられる。
少年は頭部を強打。ヘルメットが脱げて転がる。
少年(いって〜〜やっちまった・・・・・・
あーひき逃げだちくしょうー
体が動かねェ くそ・・・・・・・・・
うわ〜 血がたくさんでてる〜〜
オレ死んじゃうのかな・・・・・・
つまんねェあっけない一生だな・・・まあいいか・・・・・・
母さん・・・・・・・・・)
いつの間にか横に死神がいる。
少年「ん」
反対の方に目をやると自分が倒れている。
少年「わ〜〜〜っ!!
死んだ 死んだ オレが死んでる!!!」
死神「そのセリフはたしかに生きてる人のいうものじゃない」
少年「いったいどうなっちまったんだ?」
驚く少年に名刺を渡す死神。
少年「死神・・・・・・」
死神「迎えにきたぜ」
!!
少年「オレ死んだのか?」
死神「さっき自分でいったじゃないか
正確にはあと一時間で死ぬ予定だけど
痛みで苦しまないように魂だけぬいてやった
ホラまだつながってんだぜ」
倒れている少年の体と魂は紐のようなものでつながっている。
死神「ここは人が通らないから朝までこのままだ」
少年「えーー
あー オレ ダチと会う約束なんだ」
バタっと倒れる死神。
死神「死ぬ人間が今さらそんなことを・・・」

少年の友人2人が待ち合わせ場所で待っている。
友人A「ちくしょーヤスオのやつおせえな」
友人B「また口うるさいオフクロにつかまっているんだろ?」
友人A「けーさつにつかまったかも知れん」
友人B「無免許だもんな」
そこに少年(安夫)と死神がやって来る。
安夫「オイ オレだ!!」
友人A「もういこうぜ」
安夫「オイ!あれ?」
友人を叩こうとするが触れることができない。
去っていく友人2人。
死神「オレたちの姿は他人には見えないし
声も聞こえないんだよ」

姿が見えないのをいいことに通行人のスカートの中を覗こうとする安夫。
死神「こらーーっ
お前は自分が死んだことをどう思ってんだ!!」
安夫「べつに・・・・・・
楽しいことがあるわけじゃないし
だ性で生きてるようなもんだからな」
死神「ふーん
さすが神様がえらんだだけのことはあるしょうもない人間だね」
安夫「神様がえらんだ・・・・・・?」
死神「お前本当は80歳まで生きる予定だったんだ」
安夫「ど・・・どうゆう意味だ・・・・・・?」
死神「霊界では今 魂の数が不足してるんだ
そこで神様が指定した人間の魂を持ってくるよう
オレたちに命ぜられたのさ」
安夫「それじゃ あの事故は・・・・・・」
死神「こっちで仕組んだものだ」
安夫「なんだと!?
ふざけんな!!」
死神に殴りかかるがかわされる。
安夫「神様かなんか知らんが人の命をもて遊んでんじゃねーか!!
なんでオレが死ななきゃなんねえんだ!!」
今度は蹴ろうとするがやはりかわされる。
安夫「オレがなにをしたっていうんだよ!?」
死神「やっかましいわ!!
自分がなにをしたかわかってんだろ
思いおこしてみろ!!」

学校のガラスを割っている安夫。口にはタバコをくわえている。
先生「こらあ!なにをしている
タバコはやめなさい」
安夫「うっせーーなァ
ガタガタいうなよ!!」
何もできず去っていく先生。
安夫「けっ」
つばを吐きかける安夫。

交際の強要。
安夫「なあ つきあえよォ」

かつあげ。
安夫「一年生は上級生のいうことをよく聞けよォ うん?」

体育倉庫で仲間と酒。

死神「ようようみごとな非行ぶりだなオイ?」
安夫「うるせえ
こんなことだれでもやってることなんだよ!!
これがオレの死ぬ理由か!?」
死神「問題はこの後だ
お前のダチ公さんは卒業後立ち直ってまじめに働きだす
しかしお前は・・・職にもつかずブラブラして
盗み ゆすり たかり 少年院をでたりはいったり
しまいにゃ殺人・・・
と まあこれが・・・・・・」
安夫「は〜っはっはっはっ
バカバカしい!オレがそんなことするわけねえだろ!?」
死神「しないという確信があんのかよ?」
・・・・・・
安夫「オレだってそのうちまじめにやるつもりだったんだぜ」
死神「そのうちっていつだ?」
安夫「だからそのうちだよ」
死神「けっそいつはウソだね
おまえは立ち直れない人間なんだよ
だから神様にえらばれたんだ
自分が死ぬことに関してなんとも思っちゃいない」
安夫「・・・・・・・・・・・・」
死神「非行に走るのは勝手だがよォ
いずれは立ち直らなきゃだめなんだ
早くそれに気がつかなきゃいけないんだよ
早ければ早いほどいい・・・・・・・・・」
安夫「先公みたいなこというなよくだらねェ・・・・・・・・・・・・
どうあがいてもオレは死ぬんだろ?
今さら・・・・・・・・・」
死神「そうだな 自分の人生をいっしょけんめい生きない
人間は死んだ方がましだね」
少し考え込む安夫。
安夫「さあて元気よく死ぬか!!」
死神「どういういい方やねん?」
安夫「どうせいずれは死ぬんだ
こういうことは早い方がいいんだよ!!」
死神「なんつう考え方や」
あきれる死神。
倒れている自分に別れを告げる魂状態の安夫。
安夫「アバヨ!!」
安夫の母「安夫!!」
!!!
安夫「母さん!?
どうして・・・・・・・・・
なんだよ人がとおらないっていったじゃねえか!!」
死神「う〜む
人間には五感のほかに霊感とか第六感なんていうものがある
この場合”虫の知らせ”というやつだな
おフクロさんはそれだけお前のことを思い心配していたんだ」
安夫「ふーーん」
母「安夫!!安夫!!」
安夫「みっともねえな大声だして」
死神「お前なァ」
母「ヤス・・・・・・
ああ・・・・・・
なぜ・・・・・・
こんな・・・・・・・・・」
安夫「ああっ血で服がヨゴレちゃうよ きたねえな」
死神(この男はー)
死神「ホラ もういくぞ!!」
安夫「ああ」
上空へと上って行く死神と安夫の魂。

涙を流す母を見て昔のことを回想する安夫。
安夫(母さん・・・・・・
オレ どうしてこんなふうになっちまったのかなァ・・・・・・
ちょっとしたことからグレはじめて
それがどんどんエスカレートしてとまんなくなっちまって・・・
父さん 兄さん・・・初めのうちはオレのことしかってくれたけど
そのうちあきらめてなにもいわなくなった
母さんは・・・・・・)
母「安夫!やめなさい!!」
母「安夫いけません!!」
母「どうしてそんなことするの!?」
安夫(母さんは最後まで心配してくれたっけ・・・・・・
オレはぜんぜんよくならなかったけど・・・
警察や万引きした店によくあやまりにいったなァ・・・)
母「すみません すみません
本当にすみません
この子は本当はいい子なんです
本当はいい子なんです
いい子なんです・・・」
安夫(母さんバカだなァ・・・・・・
母さんが思ってるほどオレいい子じゃないよ・・・
美人でやさしい母さん・・・
そういえばこのごろ母さんの笑顔見たことないな・・・・・・
家族そろって食事することもなくなった・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・オレが・・・・・・
オレが家庭をメチャクチャにしてしまったんだ
そうだ オレが悪いんだ・・・
わがままで意志が弱くて悪いことばかりやって・・・・・・・・・
父さん 母さん 兄さん ごめんよ
迷惑ばかりかけてなにもしてやれなかった
母さん・・・・・・もう会えないんだ・・・・・・)
必死に自分をかばう母の姿が何度も目に浮かぶ。
―あの子は本当はいい子なんです
本当はいい子なんです
いい子なんです―
安夫(母さん!!)
安夫「死神 待ってくれ ちょっと待ってくれ!!」
死神「あんだ?」
安夫「母さんに・・・・・・母さんに会わせてくれ!!」
死神「会ってどうすんだ?
今ごろ・・・アホな息子が死んでよかった
なーんてやってるかも・・・」
安夫「オレの母さんがそんなことするか!!」
死神「親孝行でもしたいのか?
お前らしくねえな
バカタレ今ごろおそいんだよ
会ってもなにもできゃしねえよ
それにちょうど時間だ」
安夫「時間・・・・・・?」
死神「お前の死ぬ時間なんだよ!!
肉体とつながってる”魂の緒”
これを切ればお前の死だ」
安夫「死神待ってくれ!!
オレ母さんにあやまりたいんだ
ひと言でいいんだ それだけなんだ!!」
死神「時間厳守だ」
死神が魂の緒を切ろうとしたとき、急に安夫の魂が引っ張られる。
死神「わっ!!
こらどこへ行く!?」
安夫「知らね〜〜よォ!」
死神「!!」
安夫が引っ張られた先には魂状態になった母の姿が。
しかも魂の緒が切れている。
安夫「か・・・母さん!?」
母「安夫!!」
上空へと上って行く母の魂。
死神「切れてる
まさか・・・?」

病院で目を覚ます安夫。
安夫「母さん!
イテ・・・テテテ・・・・・・
なんだ?いったい・・・・・・
ここは・・・病院・・・?
死神《ヨォ 元気で生きとるかね!?》
安夫「死神!!
どこだ!?でてこい
なにがあったんだ!?」
死神《何があったかだいたい想像がついてんだろ?》

事故現場。母が傷ついた安夫を抱きしめている。
そして立ち上がって空に向かってしゃべり出す。
母「なぜ・・・・・・
なぜこんな・・・
神・・・・・・
神様・・・
神がいるのなら聞いてください!!
なぜ安夫にこんなひどいことを!?
安夫は本当はいい子なんです!!
立ち直ってくれるのを信じてずっと待っていたのに!!
息子をかえして!!
わたしはもう生きていく気力もありません・・・
そうよ・・・安夫よりおい先短いわたしが死ぬべきなのよ
・・・・・・・・・神様・・・」
崖から身を投げる母。

死神《霊界は彼女の願いを承諾した》
安夫「なんだって!?」
死神《お前のかわりに母さんが死んだんだ・・・》
安夫「う・・・うそだ
うそだろ?
母さん・・・バカだよ
オレなんかのために・・・・・・
オレなんかのために・・・・・・」
死神《親からもらった命大切に使えよ じゃあな!》
やさしかった母の姿が何度も頭をよぎる。
―この子は本当はいい子なんです
本当はいい子なんです
いい子なんです―
涙でぐちゃぐちゃになる安夫の顔。

桑原モータースというところでせっせと働いている男がいる。
それは・・・紛れもなく安夫だ。
そこに友人2人がバイクに乗ってやって来る。
友人A「ヤスー!」
友人B「ヒャッホウ!」
友人A「どうしたんだよ?
急に働きだして」
友人B「お前らしくねえな にあわねえぞ!!」
友人A「定時制にいってんだってな おどろいたぜ
それよか遊びにいこうぜ
ホラ 口うるさいおフクロも死んだことだし」
友人B「そうだぜ いなくなってせいせいしてんじゃねえのか?」
おもいっきり友人Bを殴る安夫。
友人A「ヤ・・・ヤス・・・?」
安夫「母さんの悪口を言うな!!
二度とくるな!!」
呆然とする2人。
その様子を雲の上から見ている死神。
死神「みごとに立ち直ったな・・・
親孝行には間にあわなかったが・・・
お前の人生には十分間にあう・・・・・・」

第1話終わり

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