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世界忍者戦ジライヤの第1話
 

磁雷矢VS妖魔一族
 

戸隠流忍法武神館

山地闘破と父、哲山が柔道の稽古を行っていた。

それを弟、学が見ていた。

闘破が吹き飛ぶ。

学「しっかりしてよお兄ちゃん!」

闘破「近頃親父どうかしてんじゃないの? これじゃ稽古じゃなくて将棋じゃない……」

哲山「闘破! 何をぐずぐず言ってるんだ? さぁ、立て!」

闘破「はい…… わかった! ここんとこ入門者がいないんで、カリカリしてんだろう?」

学「そんなこと言ってると、投げられちゃうぞ!?」

そこへ妹、ケイが帰ってくる。

ケイ「ただいま」

哲山「お帰り、ケイ。見るのも稽古の内だ、さぁ入りなさい」

ケイ「はーい! 闘破…… 少しはいいとこ見せなきゃ。ねぇ!?」

闘破「どう? この違い。ケイにはやさしく、俺には厳しい…… やっぱ血がつながってのとないのでは、愛情に差があるのかな?」

闘破は後ろから哲山に立ち向かうが、圧倒的不利になってしまう。

すると道場の前にカラスの忍者が横切る。

哲山はそれに気づき、闘破を相手する。

その後手裏剣を忍者に投げる。

闘破「親父、やりすぎだよ」

忍者は手裏剣を抜いて逃げる。

山地家

闘破「あーあ。せっかくの日曜、あんな目に遭うくらいならいいバイトの愚痴あったんだ」

ケイ「そうだ。闘破…… ベージュ色のブラウス、アイロンかけてくれた!?」

闘破「あ、忘れてた!」

ケイ「ひっどーい! あれほど頼んどいたのに」

闘破「お前たまには自分でやれよ……」

ケイ「あーあ。おなか減った…… 早朝テニスで汗流したせいかな?」

ケイは漬物をつまむ。

ケイ「闘破、ご飯まだ!?」

闘破「怒るぞ、ごの性格ブス!」

ケイ「ベーだ!」

棚の室内装飾が光る。

闘破「なんだありゃ!? 親父もよく言うよな。これがウチの家宝だなんて、冗談だろう!? それにしても、えらくこった室内装飾だな……」

哲山「黙りなさい!」

闘破「こわ……」

哲山「昼食が済んだら、道場に集まりなさい…… 話して聞かすことがある」

3人「はい……」

闘破(何だ? 何なんだこの光は!? しかし、俺はこの光を、懐かしいものでも見るような…… そんな思いに囚われた……)

道場

哲山が巻物を広げる。

闘破の手には例の装飾が乗っていた。

哲山「家宝の壷…… 怪しく輝くとき、パコを守れ……」

闘破「家宝の壷…… 怪しく輝くとき、パコを守れ…… パコを守れ? 何だパコって!?」

哲山「パコは…… 地球より、何千年も進歩した星から…… 大昔に送られたタイムカプセル。しかし、人々は神様の落とし物として敬えを恐れ、神の 使いが取りに現れる日まで守ることを誓い合った…… ある日、パコは大地震のため、地中深く埋まり、嘆き悲しんだ人々は、その場所を刻み込んだ粘土板、 ボートを餅のように残した…… この謎を解き明かした聖徳太子は……考えた末に、いったん掘り出したパコを、再び地の底に戻し……忍び。後の忍者にボード のガードを命じた」

闘破「親父、ところでどうなったんだ? パコの在り処を示す……えっと……」

哲山「そのボードの在り処は、戸隠流に引き継がれ……代々守られてきたが、今はその半分を私、第34代総家、山地哲山が守っている……」

闘破「残りの半分はどこにあるんだい!?」

哲山「毒斎が持っている」

闘破「毒斎!?」

ある広場

鬼忍 毒斎がカラス天狗からボードのことを聞かされる。

毒斎「そうか。腕の立つのは哲山1人か!」

カラス天狗「へい。後は子供ばっかりです」

毒斎「今こそ、襲撃のチャンス…… 戻ったか? 烈牙」

星忍 烈牙が戻ってくる。

毒斎「どうだ? 世界の忍者は、動き出したか!?」

烈牙「哲山がボードを持っていると聞かされ、目を輝かさぬ者はおりません…… 奴ら皆、パク欲しさに次々と日本へとやってくるでしょう…… 妖忍 フクロウ男爵など、直ちに駆けつけて棟梁 毒斎さまに手を貸したいと申しておりました……」

毒斎「用はできたか!? 紅牙!」

蝶忍 紅牙がやってくる。

紅牙「はい! 全て整いました」

カラス天狗「我々も全て、整ってるでやんす」

毒斎「出撃だ!!」

妖魔一族が出撃。

カラス天狗が山地家のマンションの前にたどり着く。

カラス天狗たち「到着でやんす!」

哲山「とうとうきたな!?」

烈牙と紅牙も降り立つ。

哲山「さぁ、2人とも隠れていなさい!」

哲山が扉を開ける。

闘破「ケイ、これを頼む」

ケイ「闘破は!?」

闘破「俺はやるぞ。隠れていろ!」

闘破は装飾をケイに渡し、扉を閉める。

哲山「よくみておきなさい…… ボードの残り半分の持ち主の腕前を!」

闘破「そういうことなら拝見するか…… 親父のお手並みを」

そこへカラス天狗たちが窓を破って道場に突入。

後から毒斎もやってくる。

毒斎「久しぶりだな、哲山……」

哲山「間違いなく、毒斎だな? その声は」

闘破「……」

毒斎が1歩ずつ哲山に近づき、哲山に斬りかかる。

その哲山も棒を取って毒斎の刀を止める。

お互い1歩も譲らない戦いを繰り広げていた。

そして、とうとう毒斎の刀が天井に突き刺さる。

哲山「野望を捨てろ毒斎!」

ケイ「危ない!」

ケイが扉を開け、紅牙から哲山をかばう。

闘破「親父!」

ケイ「きゃああっ!!」

ケイが紅牙たちに捕らわれる。

毒斎「例のものを手に入れるまで、小娘は預かる!」

ケイ「放して!」

闘破「ケイ!」

妖魔一族が飛び去ろうとするが、闘破がカラス天狗の足をつかむ。

ケイ「お父さん、助けて! お父さん!」

しかし、簡単に振り落とされてしまう。

カラス天狗たち「さらばでやんす!」

その後哲山は怪我の治療を受けていた。

闘破「毒斎っていったい誰なんだ?」

鉄山「裏切った奴だ。だが、今は話す時間がない…… ケイが心配だ。ん?」

矢が窓ガラスを破って箱に刺さる。

そこには手紙が付いていた。

「娘を返して欲しくば、ボードを持って宝登山へ来い」

闘破「何だと!?」

哲山がスイッチを押すと天井からジライヤスーツが出てくる。

哲山「今は余裕がない! 闘破、これを着て戦え。そして、磁雷矢と名乗るのだ!」

闘破「磁雷矢!?」

闘破はスーツを持って山に向かおうとする。

学「1人で行く気じゃないだろうな? 兄ちゃん! 弟の俺を置いてく気じゃないだろうな!?」

闘破「学! 怪我した親父の面倒は誰が見るんだ?」

学「そりゃそうだけど……」

闘破「お前…… 実の親を捨てて俺についていくのか!?」

学「……」

闘破「そんな親不孝者とは、一生口利かねぇぞ。わかったな!?」

闘破は車を走らせる。

学「兄ちゃん、頼んだぞ!」

車が宝登山行きのロープウェイ乗り場に到着。

ロープウェイに乗って山に向かう闘破。

すると闘破のロープウェイと前から来るロープウェイがすれ違い、そこから烈牙が現れる。

烈牙「追ってきたか!」

闘破も扉を開け、ボードの入った袋を見せる。

闘破「これだ! いらないのか!? さぁ、妹が無事な姿を見せてもらおうか!」

ロープウェイから縛られたケイがゆっくり出てくる。

烈牙「ボードを投げろ!」

闘破「妹を下ろせ。それからだ」

烈牙「言う通りにしないならこうだ! いいか!?」

烈牙は刀をロープの前に近づける。

ケイ「闘葉! 渡さないで!! お父さんが、命がけで守ってきたものよ!」

闘破「生憎だけど、俺は親父と違って頭の構造が柔軟にできてるんだ…… ボードと、ケイの命を秤にかけりゃ、ケイの方が重たい。どうしてもって言うんなら、好きにしても構わねぇよ」

烈牙「何!?」

この一言にケイは顔を丸くする。

闘破「そいつとは、血がつながってねぇし…… その上、お姫様気取りで炊事、洗濯、掃除。みんな俺に押し付ける性格ブスなんだ。ホント好きにしなよ! だけど、ボードは手に入らないぜ!?」

烈牙「逃げ切れると思うのか! それ!!」

闘破の乗るロープウェイにカラス天狗が現れる。

烈牙「逆らうとこいつはもちろん、お前まで命を失うことになるのだ!」

闘破「いいのか? 粉々にしても」

カラス天狗が闘破に挑む。

闘破とカラス天狗は天井に上るが、3対1な上に狭いので戦い辛い。

ロープで下に下りる闘破。

闘破「いいのか? 妹を下ろさないと、本当に!」

烈牙「待て!! わかった。娘を下ろす!」

烈牙は闘破に言われた通りケイを下ろす。

ケイ「闘破! 渡しちゃダメ。闘破!」

すると闘破が袋からボードを取り出し投げる。

カラス天狗「追うでやんす!」

ボードがヘンリー楽珍の頭に当たる。

ヘンリー「当たった! ドンダーら、ドンだらパーじゃ。僕の占いは、よく当たるんだ…… 当たる方角は……こっちかな!?」

ヘンリーとカラス天狗がぶつかる。

ヘンリー「また当たった! 何だ? ああ―――っ!! 化けもんだ!」

ヘンリーは逃げようとするが、もう1人とまたぶつかる。

ヘンリー「また当たった! 玉、玉!」

一方、闘破はケイを連れて逃げていた。

ケイ「さっきは随分好きなこと言ってくれたわね」

闘破「お前を助けるためじゃないか。敵味方あの動きも忍術の極意!」

ケイ「おっと! でもだまされてる気分……」

闘破「そう。だましのテクニック!」

ケイ「ふん」

闘破「行くぞ!」

一方、烈牙はボードの在り処を探していた。

ふと見るとそれが落ちていた。

するとそれを馬に乗ったフクロウ男爵が鞭で拾い上げる。

烈牙「おう、フクロウ男爵。我が一族の強力な助っ人!」

フクロウ男爵はボードを持ってそのまま逃げる。

烈牙「フクロウ男爵! どこへ行く!? フクロウ男爵!!」

フクロウ男爵「これはいただいた! イッツマイ!」

烈牙「なんと! 我が妖魔一族に手を貸すと言ったのは、デタラメか?」

フクロウ男爵「世の中そううまくいかないものだ。グッドラック!」

それを毒斎と紅牙が見ていた。

烈牙が刀を抜く。

フクロウ男爵「そんなにほしけりゃくれてやろう…… アイアム偽物などノーサンキュー!」

よく見ると確かにボードは偽物だった。

烈牙「こしゃくなまねをしよって!」

闘破(親父の敵をとってやる!)

闘破がジライヤスーツを装着。

磁雷矢となり、烈牙の前に現れる。

烈牙「貴様は誰だ!?」

磁雷矢「磁雷矢!」

烈牙「磁雷矢!?」

磁雷矢「行くぞ!」

磁雷矢が烈牙やカラス天狗と戦う。

烈牙の十字手裏剣が磁雷矢を襲う。

烈牙「口ほどにもない奴め……」

川の上が燃え上がる。

崖の上からケイが磁雷矢を見上げる。

ケイ「闘破、何やってるの? しっかりしなさい! 戦うの。闘破!」

烈牙が磁雷矢に迫る。

ケイ「その火は妖術よ。闘破! 惑わされちゃダメ!」

烈牙「でやあっ!」

磁雷矢「あと少しで、奴の妖術にだまされるところだった! 行くぞ! 磁光真空剣!」

烈牙「うわっ!」

磁光真空剣にエネルギーがチャージ。

烈牙と十字手裏剣を切り裂く。

磁雷矢「術を破ったぞ」

烈牙「うわあっ!」

烈牙はその場から逃げる。

磁雷矢「勝てた!」

毒斎「見たこともない技…… たかが子供と思っていたが…… しかしこんなことでこの毒斎様は引き下がれはせん!」

フクロウ男爵が磁雷矢に突っ込む。

磁雷矢「何者だ!?」

フクロウ男爵「そのテクニック…… 戸隠流忍者か!」

フクロウ男爵が刀を振るう。

フクロウ男爵「なかなかの腕前だ…… アイリメンバーユー! ユーノウテツザン.ヤマジ!」

磁雷矢「俺の親父だ!」

フクロウ男爵「オー! ユアヒズサン! シーユーアゲイン!」

フクロウ男爵が剣をしまい、その場を去る。

ナレーション「ついに、山地闘破と妖魔一族、そして世界忍者との戦いの火蓋は切って落とされた。だが、世界忍者との凄まじさを、闘破はまだ知らない……」
 

つづく
 
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