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新機動戦記ガンダムW G-(ジーUNITユニット)の第1話


AC195年──
地球をとりまく
スペースコロニー群は
地球圏統一連合の支配から
OZによって解放された

そんな激動の歴史の中に
封印された もう一つの
少年たちの戦いが──
ガンダムの戦いがあった……


#0 双子座ジェミナスという名のMSモビルスーツ


宇宙空間を突進するモビルスーツ、ジェミナス01。
パイロットの名はアディン・バーネット。

アディン「くそっ! ヤツはどこだ!? どこかでこちらをとらえているはず── だけどこう岩が多くちゃわからないぜ!! センサーのレンジを変えてみるか 動体反応のレベルを上げて……」

コクピットのスクリーンに反応が示される。

アディン「見つけたぜ もらったっ!!

ジェミナス01のライフルが火を吹く。
隕石群の合間に銃撃が命中し、風船状の物が割れる。

アディン「──? 違うのか あれ? えーっと コントロールミスか!?」

相手のモビルスーツのパイロットから通信が響く。

相手「ダミーバルーンにひっかかるとはまだまだだな」
アディン「後ろか!?
相手「おそいっ!!」

ジェミナス01の背後に、同型のモビルスーツ・ジェミナス02が現れる。

アディン「しまった!! くっ!

ジェミナス01がライフルを構えるが、02はシールドでライフルを叩き落す。

アディン「ならばっ

ジェミナス01がビームサーベルを抜く。02もサーベルを抜く。
サーベル同士の激しいぶつかり合いで、火花が飛び散る。

アディン「ええぃぃっ くそっ くそっ こんにゃろっ」
相手「ビームサーベルはなかなかだ だが それは勝てん!! PXピーエックスシステム 起動!!
アディン「!!
相手「PXモード!!
アディン「であぁ

ジェミナス01がサーベルを振りかざすが、02は今までとは比較にならない素早さでそれをかわす。

相手「死んだな
アディン「くぅっ

ジェミナス02が一瞬の内に01の背後をとり、01にサーベルを突きつける。


そこまでっ!!

小型宇宙船が2人の戦いを監視している。
中に乗っているのは工業都市コロニー・MO-Vエムオーファイブの代表者ロガ・ハーマン社長、プログラマーのルシエ・アイズリー。
そしてジェミナスの開発者ドクター・ペルゲ。

「テストバトル終了 オデル! アディン! ごくろうだったな!!」

アディン「はん! これからなのによ!!」
ルシエ「何言ってんの! 実戦なら アンタ死んでんのよ!! PXシステムで反応速度の上がったジェミナス二号機に一号機がかなうはずないじゃないの」
アディン「だったらこの一号機にもPXシステムをつけろよ!! 調整だって オレ用になってないじゃないか これはプログラマーのオマエの責任だぞ ルシエ!!」
ルシエ「あっ あたしが悪いって言うの? テストパイロットの腕が悪いのよ!」
アディン「G-ユニットはリーオーとは違うんだ! そう簡単に乗りこなせるかよ!!」

ジェミナス02のパイロットがヘルメットを脱ぎ、素顔を晒す。
アディンの兄、オデル・バーネットである。

オデル「ハハハ おまえたちはいつもその調子だな 仲よくやらないとオレは倒せんぞ」
ルシエ「……」
アディン「……」

オデル「PXの調子も悪くありません よいデータはとれましたか? Dr.ペルゲ」
ペルゲ「ああ──上々だよ」

不気味な笑顔を浮かべるペルゲ。

オデル「では 今日はこのくらいにして帰投しよう」
アディン「オレは もう少し馴らしてから帰るよ この次は兄さんを倒したいからね」
オデル「──そうか 適当なところで帰ってこいよ エネルギー切れで迷子になってもむかえはこないぞ」
アディン「わかってるよっ!!

オデルのジェミナス02と、ルシエたちの宇宙船が飛び去る。

アディン「ではいってみるか オレのG-ユニット一号機── ジェミナス01 GO──!!

ジェミナスが隕石群の中を巧みに飛び回る。

アディン「まだまだ! もっとコイツをオレのものにしなくちゃ──そう── オレは兄さんを超えるんだ!!

その様子を、密かにモビルスーツ・リーオーが偵察している。
その存在に気付くアディン。

アディン「ん? 何だ? またダミーバルーンか? 違う……これは MS反応だ

リーオーが飛び去る。

アディン「!! 逃げた!? ──ってことはMO-VのMSじゃない──いったいどこの軍のMSなんだ!? どっちにしても今 このG-ユニットが外部に知れたら── たいへんなことになる!! 逃がさないぜ!!

ジェミナスがリーオーを追う。

アディン「待てっ パワーならリーオーには負けないぜ」

リーオーがライフルを撃つ。ジェミナスが危うくそれをかわす。

アディン「うわっ そっちがその気なら遠慮しないぜっ!!」

ジェミナスがビームサーベルを抜き、シールドで銃撃を防ぎつつ突進。

アディン「とおりゃあ!!

ジェミナスのサーベルがリーオーの片腕を斬り落とし、さらに胴にサーベルを突きつける。

アディン「どうだ! ギブアップして所属と名前を聞かせてもらうよ 連邦? OZオズ?
相手「ククク……あまいな──」
アディン「何っ!?
相手「とどめをさせる時にささねェと自分がやられるぜ」
アディン「何を……」
相手「『プライズ』に栄光あれ──」

リーオーの機体に閃光が走る。

アディン「うわっ

リーオーが自爆──爆煙の中、ジェミナスだけが残る。

アディン「……まさか自爆するなんて ガンダニュウム合金の装甲のおかげで何とか助かったけど 『敵』? 『プライズ』? 何のことだ? ──いったい何が起きているんだ!? この宇宙で…… ──しまった 帰りのエネルギーまで使っちまった……」


一方、どこかの宇宙を行く宇宙戦艦。

「偵察のリーオーがやられただと?」
「ああ──だが死ぬまえにデータの一部を送ってきた」

スクリーンに映し出されるジェミナスの姿に、3人の男たちが見入る。

「ほお……」
「あの情報は正しかった……」
「ああ こいつは── 『ガンダム』だ オレたちの獲物だ──


G-ユニット──
工業都市コロニー
MO-Vで
秘かに開発された
二体の新型MSである

この「ガンダム」をめぐり
アディン・バーネットの
戦いが 今始まる──


(続く)
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