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獣拳戦隊ゲキレンジャーの第1話
 

とあるどこかの森。

雄叫び。

木から大量のパンダが落ちてくる。

漢堂ジャンがパンダにしがみついて鼻を噛み付く。

パンダがギブアップという意味で手を地面に叩く。

ジャン「うっしゃあ! すげぇ、俺!! 俺、すげぇ。俺の勝ち!」

パンダたちが帰る。

ジャン「また遊ぼうな!」

その時、ジャンが何かを感じる。

ジャン「ゾワゾワだ! ゾワゾワの匂いがする……」

ジャンは木から木へと飛び移る。

岩山の頂上に到着。

空には1機の飛行機が飛んでいる。

ジャン「ゾワゾワする……けど、何だ? もう1個、この匂い……ニキニキ!!」

飛行機が墜落する。

ジャン「よぉーし! 行くぜ。でやああ!!」
 

修行その1
ニキニキ!激獣拳
 

臨獣殿の戦闘兵・リンジーが墜落した飛行機に現れる。

そこには真崎美希がいた。

「困っちゃうわね。そんなにこれがほしいの!?」

リンシーが襲い掛かる。

美希が交わして登る。

美希「でもダメ。渡さない……」

美希が回る。

美希「激獣レオパルド拳!」

美希の拳法が次々とリンシーを一掃していく。

美希(仮初めの命を与えられた……哀れな死者リンシーたち、今こそ永遠の眠りにつきなさい!)

リンシーが消滅してしまう。

「すっげー!!」

上からジャンが降ってくる。

ジャン「今のすげ。すっげー今の! 何だそれ!?」

美希「何なの君!? どうしてこんな山奥に!?」

ジャン「ここ、俺の森。俺の家だ!」

美希「この樹海で暮らしてるってこと? 1人で!?」

ジャン「そうだ。俺、ジャン! 漢堂ジャン。虎の子だ……お前、さっきの何だ!? もっかい見せろ! なあ!!」

美希とジャンの後ろが爆発する。

2人を攻撃したのは臨獣殿の獣人・マキリカだった。

マキリカ「はーはっはっは!! 惜しかったなぁ。まあ、1発で終わっちまうとつまんねぇからな……そうだろ、拳士・真崎美希!?」

美希「こっちは関わりあいたくないんだけど。一応引退したんじゃしね」

マキリカが下に降りる。

マキリカ「選ばせてやるぜ。俺にいたぶられてからそれを渡すのと、それを奪われてからいたぶられるのと、どっちがいい!?」

美希「どっちもお断り!」

マキリカ「ひゃーはっはっは!! いいぜいいぜ。強がっていた女が苦痛と恐怖に泣き出すところを見るのは大好きだ!!」

マキリカに紫のカマキリの幻が浮かぶ。

ジャン「おおー、カマキリだ!」

マキリカ「俺の名前は臨獣マンティス拳のマキリカ! 今がお前の最後の祈りのときだぜ!!」

美希がマキリカの拳法に苦戦する。

腕には傷を負ってしまう。

マキリカ「おおー、セスナで不時着した時の傷か!? ならそこを狙うとするか!」

マキリカが拳法でケースを吹き飛ばす。

そのケースから腕輪が落ちる。

美希「しまった!!」

ジャン「何だ? 腕輪!?」

マキリカ「おおー、それはまさに幻魔の腕輪。よこしな小僧!!」

美希「逃げて!!」

ジャン「え?」

マキリカがジャンを吹き飛ばしてしまう。

ジャンが木にぶつかり、腕輪が落ちる。

ジャンが虎のような雄叫びを上げる。

マキリカ「食らえ、ガクダク拳!!」

見えない刃で木が俺、ジャンがそれの下敷きになってしまう。

マキリカが腕輪を拾う。

マキリカ「幻魔の腕輪は、俺ら臨獣殿のもの!!」

マキリカが地底に潜る。

回想。

豪雨の振る中、少年が人間たちが倒れているのを見ながら立っていた。

それを思い出していたのは臨獣殿の首領・理央だった。

そこへ、幹部・メレが姿を現し、理央に襲い掛かる。

理央がとげを持ってメレを転倒させる。

理央「足りぬ……効用も衝撃も。メレ、その程度の攻撃では、俺の渇きは癒せぬ……」

メレが人間体に戻る。

メレ「あーん、私の愛の一撃でいつか癒して差し上げたい! あなた様の、渇き。それより、マキリカ!!」

マキリカが腕輪を箱においたまま持って臨獣殿に戻ってくる。

マキリカ「ははっ!」

理央「拳魔の腕輪……」

メレ「はい。いよいよですね、理央様! 理央様の時代、理央様の時代が始まるのですね……」

理央が腕輪を左腕につける。

理央「古の拳魔たちよ、我に言葉を授けよ!」

腕輪が光りだす。

「我らを呼び起こそうとする若き衆、お前は何を求める!?」

理央「強さ。それは……」

「ならば人間どもに悲鳴を浴びさせよ!」「弱気者どもの絶望が、我ら臨獣拳を強くする!」

理央「弱気者ども、絶望!!」

落雷が落ちる。

理央「道は記された!!」

医務室で眠っていたジャンが目を覚ます。

ジャン「ゾワッとした……あれ!? どこだ、ここ」

スクラッチ社

美希がシャーフーに電話をかけている。

美希「申し訳ありません、マスター・シャーフー。まさか、臨獣殿に見つかるなんて……500年に1度の月食の夜、拳魔の腕輪を永遠に封印する唯一の機会だったのに」

シャーフー「気にやむな、いずれ戦いは避けられなかったことじゃ。いよいよ、その時が来たようじゃな……」

美希「はい」

シャーフー「にして、虎の子の子供だと言い張る野生人を拾ってきたと聞いたが……」

美希「はい。それが、不思議なんです……彼、大木の下敷きになったのに、骨折1つしてなくて、上部といってもほどがあります……」

シャーフー「ほう。では、その青年も!?」

美希「はい。もしかしたら……」

ジャンが部屋の中を見回っていると、下の練習場でゲキブルーとゲキイエローが練習していた。

イエロー「激獣チーター拳!!」

イエローにチーターの幻影が浮かび上がる。

ジャン「おっ、チーターだ……」

ブルー「激獣ジャガー拳!!」

ブルーにジャガーの幻影が浮かび上がる。

ジャン「おお、ジャガーだ!!」

2体の獣・ブルーとイエローが立ち向かう。

ジャン「すげぇ! どっちもすげぇ!!」

するとジャンがカラスを破って道場に落ちる。

イエローが変身を解いて宇崎ランに、ブルーが深見レツに戻る。

ラン「何よこの人!?」

レツ「不審者!?」

ジャンが起き上がる。

ジャン「あれ? 消えた……何だ、今の!? ゾワゾワしたチーターと、メラメラしたジャガーたちの奴、何だ!?」

ラン「ちょっと!」

レツ「何言ってるんだ!?」

ジャン「今の、何だ!? 今の、何だ!?」

「獣拳じゃよ」

ジャン「獣拳!?」

ジャンが後ろを振り向くとマスター・シャーフーがトライアングルを持っていた。

ラン・レツ「マスター・シャーフー!!」

ジャン「猫――!! 猫、猫、猫、猫!!」

ラン「失礼ね、マスター・シャーフーは私たちの師匠よ!? 猫じゃないわ」

ジャンが騒いでいると、シャーフーがジャンの首に触れる。

ジャン「ホーラ、ゴロゴロゴロ!!」

シャーフー「お主、ナイステクニックじゃのぉ……」

ジャン「よしよしよし!」

司令室

ジャンがラーメンの汁に触れる。

シャーフー「慌てるな」

ジャン「猫、熱い!!」

ラン「まるで子供みたい」

美希「あの樹海で虎に育てられたんですって。子供の頃、事故に遭ったか事件か、何か事情があったんだと思うけど……」

レツ「それは少なくとも、箸の使い方を覚える前だね。きっと……」

ジャン「あ――っ!! なあ、獣拳。何だ、獣拳って!?」

美希「獣拳って言うのはね、「激気」を燃やして獣の力を手にする拳法よ」

ジャン「激気!?」

美希「獣拳の、力の源よ……心に獣を感じた時に湧き上がる情熱を『激気』いうの……それを燃やして、無限の力を引き出すのが獣拳よ。ランとレツは獣拳4000年の精神を受け継ぎ発展させた激獣拳ビーストアーツの拳士。マスター・シャーフーはその師匠よ……」

シャーフー「すごいじゃろ!?」

ラン「そして、私たちが戦うのをサポートしてくれてるのがこの子の会社・スクラッチ。美希さんはここの重役なのよ」

ジャン「う――ん……あ、でも戦うって、何と戦うんだ!? パンダか!? カバか!? アリクイか!? それとも猫か!?」

シャーフーが立ち上がる。

シャーフー「獣拳には相対する2つの流派があってのぉ……1つ、正義の獣拳・激獣拳ビーストアーツ。1つ、邪悪な獣拳・臨獣拳アクガタ。我らの敵はそのアクガタを使う者たち・臨獣殿じゃ」

臨獣城

理央「これより臨獣殿が、世界を統べる。おろかな人間どもの……悲鳴を……絶望を……そして臨獣殿の……力となせ……」

臨獣殿のメンバーがしゃがむ。

スクラッチ社。

シャーフーが何かを感じる。

ジャン「ゾワゾワだ……超ゾワってきた……何だこれ!?」

シャーフー「おおう、おぬしも感じたのか!?」

美希「マスター・シャーフー、まさか……」

シャーフー「うん……臨獣殿が早速動き出したようじゃ……」

レツ「ついに、実戦の日が……」

ラン「怖いの!?」

レツ「怖くない!」

レツがジャンをどける。

レツ「行きます!」

ラン「私も!」

シャーフー「うん。どうじゃ小僧、お主もこの2人と一緒に獣拳を学んでみるか!?」

一同「え?」

シャーフーが開けたケースには変身アイテム・ゲキチェンジャーが入っていた。

それがジャンの腕に装着される。

ジャン「おお!! 何だこれ!?」

美希「ゲキチェンジャー。激気を最大限に活用するために、我が社が開発したグローブよ」

ラン「待ってください。マスター、美希さん! その子、拳法の「け」の字も知らない超初心者ですよ!?」

レツ「その前にどこのどいつだかもわからないしね……」

シャーフー「激気獣拳の第1歩は正義の心じゃ。正義の心をなくして、激気は生まれん! わかるかのぉ!?」

ジャン「正義の心……何だそれ!? でも、なんだかわかんねぇけど……俺、やる!! よぉーし、見てろ猫!!」

ジャンが行こうとしたら扉にぶつかる。

ジャン「いてぇ……」

シャーフー「裸じゃ恥ずかしいぞ。服着ていけ」

服を持って今度こそジャンが出発する。

ジャン「よぉーし!!」

ラン「待ちなさい!!」

レツ「ふざけるな!」

街中

リンジーが町で暴れていた。

マキリカ「いいぞ。この泣き叫び声、力が体にみなぎるぜ!! リンギ・竜神邪心変!!」

マキリカが姿をカマキリへと変える。

マキリカ「マンティス閃光斬!!」

高速道路が落ちる。

そこへランたちが駆けつける。

ラン「ひどい……」

ジャン「お――い!! お前、足はえぇな」

レツ「ラン、こいつ追い越してどうするんだ!?」

リンシーたちがレツたちに近づく。

ラン「行くわよ!」

ラン・レツ「唸れ、ケモノの力! ビーストオン!!」

2人の体にスーツが装着され、ゲキイエローとゲキブルーに変身する。

イエロー「日々是精進、心を磨く! オネストハート・ゲキイエロー!!」

ブルー「技が彩る大輪の華! ファンタスティックテクニック・ゲキブルー!!」

ジャン「うおわあ!!」

イエローとブルーがリンシーに挑む。

イエロー「激獣チーター拳!! 激技・瞬瞬弾!!」

イエローの瞬瞬弾がリンシーを一掃する。

ジャン「うわあ!!」

ブルーも負けずにリンシーに挑む。

ブルー「激獣ジャガー拳・激技転転弾!!」

ブルーの転転弾がリンシーを一掃していく。

ブルー「アイムネーミー!!」

ジャン「よぉーし、俺もやる!!」

ジャンが右の拳を前に出すが、何も起こらなかった。

ジャン「あれ?」

ビルが爆発する。

ジャンが駆けつけると少女が泣いていた。

ジャン「おーい、何やってんだ!? そこ危ないぞ!!」

少女「お父さん……」

ジャン「泣くなよ。俺までシオシオになっちまうじゃねぇか……ちょっと待ってろ、今、そっち行くから!!」

車が爆発で吹き飛び、他の車とぶつかって爆発する。

マキリカが現れ、少女に1歩1歩近づく。

マキリカ「女の子見ーつけた♪」

ジャン「その子に何すんだ!?」

マキリカ「恐怖を与えてやるのよ。弱き者の悲しみ、苦しみが俺たちを強くする! それが臨獣拳!!」

マキリカの放った刃がジャンに襲い掛かる。

少女「あっ、拳!」

マキリカ「おおーいいぜ。いい感じだ! 力が体にみなぎるぜ!!」

マキリカが鎌で少女を持ち上げる。

マキリカ「最期に最高の叫びを聞かせてみろ!!」

釜が振られる。

すると、ジャンが雄叫びを上げてマキリカを怯ませる。

ジャン「お前、ゾワゾワする。ゾワゾワのキチキチ……許さねぇ! はぁ!!」

ジャンが右の拳を前に出すと、スーツを身にまとい、ゲキレッドへと変身する。

レッド「うおおお――っ!!」

レッドのパンチがマキリカを吹き飛ばす。

イエロー「何あれ!? すごい激気……」

ブルー「ありえない……」

瓦礫からマキリカが出てくる。

マキリカ「このぉ、特別な祈りが必要だな!!」

マキリカがレッドに挑む。

レッドがすごいスピードでマキリカを翻弄する。

連続キックが炸裂する。

臨獣城

理央「圧倒的なパワーと柔軟性……これは虎……激獣タイガー拳か。まさか……」

レッド「このゾワゾワ野郎、飛んでっちまえ!!」

レッドの激獣タイガー拳・咆咆弾がマキリカを飛ばす。

レッド「すっげぇ……すげぇ俺、激獣拳すげぇ!! すげぇビーストアーツ。ワキワキだ! 超ワキワキだ!!」

穴からマキリカが現れる。

マキリカ「最大の侮辱……最強の怒りだぜ!! リンジ・魔人動転変!!」

マキリカが巨大化してしまう。

レッド「うわあ、デカデカだ!!」

ブルー「何だこいつ、これも臨獣拳の技なのか!?」

イエロー「危ない!!」

マキリカ「高価なゆとりなど、てめぇらには必要ねぇ!!」

マキリカの釜が下ろされる。

絶体絶命と思われたその時、シャーフーの幻が止める。

イエロー・ブルー「マスター・シャーフー!!」

レッド「猫!?」

シャーフー「つい、手が出てしもうた。わしも若いのぉ……」

レッド「すっげー! 猫、巣げぇ!! でも、猫で大丈夫なのか!?」

(続く)
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