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ロミオの青い空(第1話)
昔、世界には今では想像もつかないほど貧しい暮らしを送っている
子供達が大勢いました。けれど、その心には勇気や友情が溢れていたのです
そう ロミオの心にも

第1話「アルプス!小さな村の大事件」
物語りはイタリアの国境に近いスイスの小さな村から始まります
寝ているロミオはペット(オコジョ)のピッコロに顔をなめられた。
「う、うんわかってる..もう起きる..うわっ」寝返りでベッドがら落ちるロミオ。
「おい、ピッコロ..あっ!いっ、いっけねえ」着替えをして外へ。
「おはよう!」祖母「まだいたのかい寝坊助め!教会の仕事は?」
「まだ間に合う!」母「ロミオ!父さんのお弁当!」「うわ..いってきます!」
駆け出すロミオ「ピッコロ、朝日と競争だ!よし近道だ、行くぞピッコロ、それっ!
(村人に)おはようございます!ああ、まずい!ハァ、ハァ..あ(教会の像に当る)
ごめんなさい、急いでるんです。ハァハァ..間に合った」教会の鐘を鳴らすロミオ。
朝日が登る。(今日は素晴らしい日になる、きっと。村祭りの日、僕が英雄になる日だ)

神父「毎朝ご苦労様、今週の分だ」とロミオにお金を渡す。
「わぁ父さんが喜ぶな。今年はちょっと苦しいんです」「もっとあげられると
良いんだがね」「ううん、有難うございます、神父様」帰りかけて振り返る。
「ああ、そうだ神父様、今日のお祭り..今年も勇者の木登りやりますよね?」
「もちろん!勇者の木登りはこの村には欠かせんよ」「今年は誰が勝つかな?」
「ん?」「あ..いえ何でも有りません」村の少女アニタが後ろから来る。
「やっぱり!」ロミオ「アニタ!」アニタ「やっぱり出る気なんだ勇者の木登りに!
そうなんでしょ?」神父「本当かね?ロミオ」「あ、あの..」アニタ「ダメ!
あんな危ないのに出たら、あたし許さない」「へへ、もう決めたんだよ。さよなら」
「あっ待ってロミオ!こんなに心配してるのに!」

食事中のロミオの家。母「えっロミオが勇者の木登りに?」双児の弟1「うん!
優勝するって言ってた兄ちゃん。優勝すると小麦粉がもらえるんだって!
お前にも久し振りに小麦粉で作ったパンを食べさせてやれるぞっていばってた」
弟2「すごい!」祖母「ハッハッハ!あきれたねうちの寝坊助、言う事だけは
一人前だハッハッハ」母「いつも言ってるのに..パンなんかなくたって、
皆が元気ならば良いって」弟1「母さん僕も出る!勇者の木登り」弟2「僕も出る」
祖母「とんでもない、お前達じゃケガするのがオチだよ」弟1「母さん」
母「ロミオよりずっと大きい子ばかり出るのよ?ロミオでさえ危ない位なのに
父さんは優勝したでしょ?父さんみたいになるんだって、兄ちゃん」母「まあ」
祖母「ジェシカ..あの子らしいじゃないか。やっぱりロベルトの息子だよ」
母「ええ、あの人はロミオの英雄だもの。ロミオはきっと父さんに聞くでしょうね
あの人ならロミオがどうしたらいいか教えてくれるわ」

道を歩くロミオとアニタ。「ねえロミオ」「ん?」「あたしの事好き?」
「えっ」「嫌いなんだ」「べ別に嫌いじゃ無いけど」「じゃキスして?好きならキスして」
目を閉じるアニタにピッコロがキスする。ロミオ「アハハハハ..」「もう!知らない」
「ごめん、でもおかしいよ、これ」「ロミオなんかあたしのお願いちっとも聞いて
くれないんだから!」「そんな事無いよ」「だったら怖い事しないで」
「怖がってなんかいたら英雄にはなれないさ。父さんは優勝したんだぞ
たった14歳で」「ロミオはまだ10でしょ?」「もう11だ」

父の畑仕事を見ながらたき火をしてるロミオ。父「ああ..」村人「日照りめ!
いつまで続くんじゃ。もう5カ月も1滴の雨も降らん」父「このままじゃ
村の作物がやられるばかりだ。どこの家も増々苦しくなるだろうな」
村人「どうすりゃいいんだ」父「雨を待つしかない」「ふん!降るもんか!..
ああすまん、お前さんが一番苦しいのにな。夏の初めに、お前さん所だけジャガイモ
も豆もアナグマの奴にやられちまったっていうのに、本当にすまんロベルト」
父「まだここが..トウモロコシが残ってるさ」「祈ってるよ、お前さんの最後の畑に
トウモロコシに雨がまっ先に降るようにってな」ロミオの方へ来る父。ロミオ「あ..
ね、ねえ父さん、今日のお祭りで...その..」父「ロミオ!」「え?うわあ!」
ロミオのズボンにたき火が移っていた。「かかか火事だ!わあ」父が火を消す。
父「気を付けろ!どこも乾ききってるんだ!今火が出たらあっという間に
燃え広がるぞ!」「ご、ごめん」しばらく黙ってたき火を消す父。
「ロミオ」「はい」「出たいんだろ?勇者の木登りに。ケガをするなよ?
出ても良いって言ってるんだ。その代わり、無茶はするなよ?本当の勇者って
いうのは、母さんを心配させたりはしないものだからな」笑顔になるロミオ。
「父さん!アハハ!(抱きつく)有難う、父さん」

村の酒場、主人が外に出る。「チッ!祭りの日に風が出るとは」犬が吠えている
「ん?..ああ!や、奴が来た!死神だ!」黒マントとほお傷の男が来る。村人「死神?」
主人「あいつは村から村へと渡り歩いて金に困っている貧しい家から子供を買うんだ」
「子供を買う?買ってどうするんだ」「町に連れてって売るのさ!そこで
死ぬまで働かせる。あいつの目は、墓場に連れていく子供を探してるのさ」
酒場で酒を飲む死神は窓からロミオを見つける。父「ここで待ってろ」
ロミオ「はい。ねえピッコロ、僕は木登り上手いんだぜん..ピッコロには
かなわないけど、他の子には負けないよ絶対!早くやりたいな勇者の木登り

酒場に入る父。村人「やあロベルト」父「やあ..スカラさん」
酒場の主人「分かってるよ、ロベルトその様子じゃまだツケを払えんようだな」
父「すまん、来週中に砂糖代だけでも何とかする」主人「ああ、そう願いたいね
それまではお前ん所には小麦粉もバターも売れんな」村人1「おいスカラ!
何とかしてやりゃいいじゃないか」村人2「この日照りのせいで皆困ってんだ!そん中
でもロベルトの所が一番被害にあった事はお前さんだってよく知ってるじゃないか」
主人「そりゃ気の毒とは思うがね、ツケはツケだ。お前さん達もずいぶんたまってるぜ
ちゃんと払ってくれるんだろうな?」困る村人「ああ..すまんな、ロベルト」
「いや、いいんだ。有難う。とにかく来週中には何とかするよ」主人「ああ」
父「じゃ」角で飲む死神を見つける。村人「アイツは..」父「知ってる。死神..そう
呼ばれる男だ」外で無邪気に遊ぶロミオを見る死神「表にいるのはお前の息子だろう
どうだ、あの子を売る気は無いか?そうすりゃここのツケを払ってもたっぷりと
釣りが来るぜ。あの子を売れ」父「けだものめ!」村人2「何て奴だ」
村人1「ロベルト、こんな奴の..」父は酒場から出ていく。
村人2「ロベルトはな、いくら貧しくても子供を売るような奴じゃない!畑だって
まだ残ってるんだ」村人1「そうだあいつはこんな事でへこたれるような奴じゃない」
死神「なるほど、覚えておこう」マッチではまきに火をつける死神。

外。ロミオ「父さん!いよいよだね、勇者の木登り」父「負けてもいい
一生懸命にやるんだ」「ううん、僕は負けないよ!父さんの子だもの」
「そうだな、ロミオ」双児の弟「父さん!」家族が揃って来ている。
弟1「ねえねえ絶対勝ってよ兄ちゃん」弟2「絶対だよ兄ちゃん」
「ああ、明日はパンを沢山食べさせてやるからな」祖母「その話はもう聞いたよ
全くお前は言う事だけは一人前なんだからね」「そうかな..」笑い声が酒場に響く
酒場の死神「ふん、あいにくと幸せそうな家族というのが嫌いなんでね」

ロミオの家の畑の前にいる死神は村人の言葉を思い出す。
村人(ロベルトはな、いくら貧しくても子供を売るような奴じゃない!畑だって
まだ残ってるんだ)「燃えろ、最後の希望まで」とマッチで火を畑に放つ死神

村の中央。村人「いいか?村の衆!今日1日だけは日照りも不作も忘れよう!
騒ごうじゃないか!腹の底から」祖母「ああ!神様もビックリして雨を
恵んで下さるよ」他の村人「いいぞ!マリアばあちゃん!」
村の角でロミオとアニタ。「やめた方が良いんじゃない?」タルを持ちあげようと
するロミオ「これ位持ち上げられなきゃ勝てないよ!う、うう..あれ?」
「やっぱりよしたら?」「よ〜し、んん..わ!(転ぶ)」
悪ガキ「チビ助!勇者の木登りに出るんだって?」お供1「やめとけって」
ロミオ「やってみなきゃ分かんないさ!」悪ガキ「アニタ、今日はロミオを
こてんぱんにする所見せてあげるからね」アニタ「ロミオは絶対に一番になるわ
そしたらあたしロミオのお嫁さんになるの」悪ガキ「お嫁さん?」「そうよ」
ロミオ「ア、アニタ」お供1「あはは..アニタを取られちゃうぞ」
お共2「負けられないな、エンベリーノ」黙り込む悪ガキ(エンベリーノ)

村の中央に柱が立てられる。子供「うわあ!ミミズクだ」「勇者の木登りが始まるぞ」
村人「今年は無理かと思っていたがな、いい勝負になりそうだ」父「ああ」
神父「ロミオは良い父親を持った」母「はい神父さま..早いものですね
あの日からもう9年」神父「のうジェシカさん、ロミオにはあの日の事
(母の再婚でロミオと父が本当の親子で無い事)を..その..父親の事を
秘密にしておるのかな?」うなずく母。神父「そうじゃな、いずれその時が来る」

村人「さあ!お待ちかねの勇者の木登りをおっぱじめるぞ!今年も出場者は4人
まずは..マルコ!カニオ!エンベリーノ!そして..ロミオ!(歓声)
皆も知ってる通りあの勇者の木のてっぺんにあるミミズクの像を
一番最初に取って来た者が”誠の勇者”として尊敬される」村人の拍手。
弟「兄ちゃん頑張れ」アニタ「ロミオしっかり!」酒場主人「何だ、あんな
チビが出るのか」祖母「チビはチビでもそこらの根性無しとは違うんだよ!
このアタシの孫なんだからね!」主人「わ、分かった、分かったよ」
祖母「あのミミズクはロミオが取るって決まってんのさ」

村人「さあ、試合開始だ!」笛の音と共に木によじ登る子供達。
弟「兄ちゃん、頑張れ頑張れ!」アニタ「ロミオまけるな!」
主人「エンベリーノ(息子)ロミオなんざやっちまえ!」
祖母「スカラさんや..えい!(足をふむ)ロミオ!負けたら家には入れないよ」
子供「離せ!離さないと承知しないぞ」「死んだって離すもんか」
「こら離せよ!お前とはもう絶交だからな!あっ」二人(マルコとカニオ)
を突き落とす悪ガキ(エンベリーノ)村人「一騎討ちだ!どっちも頑張れ」
主人「行け!行け」祖母「ロミオ!負けるんじゃないよ!」
アニタ「ロミオ!もう少しよ!」村人「あとちょっとだ!あとちょっと」
へばる悪ガキを超えていくロミオ。疲れて滑り落ちる悪ガキ(エンベリーノ)
村人「残りはロミオ一人だ!」「ロミオ!ロミオ!」の声援。
いざミミズクの像を取ろうという時、叫び声が聞こえる。「火事だー!」

勇者の木から山を見るロミオ「ああっ..山が..山が..燃えてる」
叫んだ人「ロミオの..ロミオん家のトウモロコシ畑が燃えてる!」

予告:父さんが僕をわがままな赤ん坊だって叱った。
赤ん坊じゃない!父さんなんか..父さんなんか何にも分かってないんだ!
次回「運命のはじまり.炎の中の家族」お楽しみに。

〜エンディング〜
(その後のおおまかなあらすじ)
火事で父が倒れ、ロミオは死神の元へ自ら行き医者を呼んでもらう。
引きかえに自分は半年、ミラノの町へ煙突掃除夫としてこき使われる。
そこに親友となるアルフレドも一緒に行くのだった...

終わり





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