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名探偵コナン探偵たちの鎮魂歌(レクイエム)のオープニング
 
 
横浜市

小五郎の運転する車が高速道路を走っていた。

小五郎「くそっ!」

コナン「借りるならもっといい車にしてほしいぜ……」

光彦「ですよねぇ!?」

蘭「電車にすればよかったねぇ」

あゆみ「うん」

元太「だよなぁ!?」

小五郎「うるせぇ! 依頼主がおめーらを連れて来いっつーから全員乗れる車を借りたんじゃねぇか!!」

哀「あと5秒……」

小五郎「あ?」

哀「今すぐハンドルを切らないと5秒後には壁に激突するわよ」

小五郎「何!? うわああ―――っ!!」

小五郎は間一髪ハンドルを切り、衝突から免れる。

もし、哀が声をかけなければどうなっていたことか。

ミラクルランド

コナンたちがレッドキャッスルホテルに到着する。

歩美「わあーっ、すごーい!!」

光彦「まるでお城みたいですねぇ!」

元太「じゃあもしかして、王様が住んでんのか!?」

コナン「バーロ、んなわけねーだろ!? ホテルなんだから」

哀「まあ、ここはミラクルランドの真ん前。上記滞在してミラクルランドで交遊してる王様気取りの大金持ちならいそうだけど……」

コナン「ハハハ…」

蘭「そういえばこのホテル、宿泊客が10万人を突破するって言ってたわね!」

小五郎「ほう……結構繁盛してるんだな」

コナンが紙吹雪を拾う。

コナン「みたいだね……」

高田「あのぉ、失礼ですが……毛利探偵でいらっしゃいますか!?」

小五郎「あ、はい」

高田「お待ちしておりました。私、依頼人の秘書をしております高田と申します。早速ですが、どうぞこちらへ。君、お車を……」

ボーイ「はい!」

高田がコナンたちを連れてホテルの中に入る。

会議室

高田「どうぞ、こちらです……」

元太「スゲー!」

光彦「ミラクルランドが一望にできそうですよ」

高田「あ、申し訳ありません。椅子に座ってお待ちください……」

3人「えー!?」

小五郎「ホラ、黙って席に着け」

3人「はーい……」

元太「ちぇっ!」

高田「では、少々お待ちください」

高田が扉を閉める。

数分後。

探偵団が部屋を見回す。

蘭「どうしたのコナン君!?」

コナン「この椅子、なんか合ってないね……この部屋に……」

蘭「そういえばそうね」

元太「予算、ケチったんじゃねーの!?」

光彦「そんなわけないじゃないですか、こんなに豪華なホテルなのに!」

コナンの指が手すりの先に触れる。

高田「お待たせしました。これを渡すために、お子さんたちにも来ていただいたんですよ」

高田がIDをコナンたちに配る。

光彦「いったいなんですか、これ!?」

高田「それはミラクルランドのフリーパスIDです」

探偵団が喜ぶ。

高田「毛利さんが仕事をしている間、お子さんたちにはミラクルランドでたっぷりと楽しんでもらおうと思いましてねぇ……」

小五郎「もしかして、依頼主はここのオーナーとか!?」

高田「いえ、そうではありません。このスイートは年間契約で借りています」

小五郎「ふーん、対したもんだぁ……」

高田「さあ皆さん、腕につけてください。落とさないようにしっかりと……失くしてしまうと再発行はできませんよ」

コナンたちはIDを腕につける。

高田「毛利さんもどうぞ」

小五郎「いえ、私は遊園地には行きませんから……」

高田「そんなことをおっしゃらずに。早く仕事が終われば、皆さんと一緒に楽しめますから……」

小五郎「そう……ですか!?」

小五郎も腕にIDをつける。

高田「このIDは今日1日、ミラクルランドの経営時間・夜10時まで有効です。食事も飲み物も全て無料なのです。思う存分お楽しみください」

元太「やったー!!」

蘭「ありがとうございます。行こう、コナン君」

コナン「うん!」

コナンが立とうとすると、高田が止める。

高田「君はここに残ってください……」

蘭「え?」

高田「申し訳ありません」

歩美「どうして!?」

光彦「もしかして、このホテルの10万人目の客に当たったとか!?」

歩美「え?」

高田「まあ、そのようなもので……」

元太「マジかよ!?」

歩美「いいなぁ……」

光彦「じゃあ、先に行って並んでましょう。スーパースネークは2時間待ちの普通らしいですから」

蘭「う、うん……そうだね。じゃあコナン君、後でね」

コナン「うん」

元太「なあ、10万人目って何もらえんのかな!?」

光彦「うな重じゃないことは確かですね」

蘭たちは部屋を後にする。

小五郎「いやあ、ラッキーだったな。お前! 10万人目となりゃあきっとすっげーサービスが……」

すると、高田が鍵をかけてしまう。

高田「邪魔をされたくないもので……」

小五郎「邪魔って!?」

コナン「10万人目は僕じゃないでしょ!? くす玉の紙吹雪がホテルの前に落ちてたし……」

小五郎「え、そうなんスか!?」

高田「ええ。10万人目は1時間ほど前に来られたお客様が……」

小五郎「じゃあ何でこいつを残すんですか!?」

高田「依頼人がそのようにと」

高田がスイッチを押すとカーテンが一斉に閉まり出す。

小五郎「お、おい! 何だコリャ!? どうなってるんだ!?」

今度はモニターに人影が映される。

依頼人「来ていただいてありがとう。私が依頼者です……事情があって顔を公にできない無礼をお許しください。今日、お呼びしたのはある事件を解決してほしいからです」

小五郎「何の事件をです!?」

依頼人「それを掴むのもあなたたちの仕事なんですよ……」

小五郎「え?」

依頼人「これからいくつかのヒントを出します。それを元に推理し、事件を解決してください」

小五郎「し、しかし……それを私に!?」

依頼人「あなたで5人目なんですよ。依頼した探偵は……」

小五郎「それで、前の4人は!?」

依頼人「1人はまだ調査中。2人はやめてもらい、もう1人は事件を解決できずにここにいます……」

モニターが切り替わる。

小五郎「竜!」

コナン「知ってる人!?」

小五郎「前に一緒に仕事をしたことがある探偵だ」

竜「調査報告書は渡したろう!? いつまでこんなところに閉じ込めておく気なんだ!? 早く出せ!!」

依頼人「竜探偵、あなたは事件を解決できなかった……」

竜「何だと!?」

依頼人「無能な探偵は生きている資格がない……」

依頼人がエンターキーを押すと竜のIDが作動する。

竜「な、何だこりゃ!?」

コナン「僕たちのと同じIDだ……」

小五郎「ああ……」

竜「くそっ! どーなってんだこりゃ!?」

依頼人「大丈夫、痛くはありませんよ。一瞬で楽になります」

竜「ま、まさか……茂木や槍田が姿を消したのも!」

竜「さようなら、竜探偵……」

竜「お、おい……待て! くそっ!!」

タイマーが0になり、画面がノイズに変わる。

依頼人「コンポジション4……つまり、プラスチック爆弾が組み込まれていたんです。竜探偵がつけていたミラクルランドのIDにね」

小五郎「おい、さっき竜が行ってた茂木や槍田って!」

依頼人「ええ、世間では名探偵と持てはやされていたお2人です。彼らも私の貴重な時間を浪費した愚か者でした……あなたたちに与えられた時間は今夜10時。それまでにある事件の真相を掴んでください……もし、時間までに解決できなければ、あなたたちのIDも爆発して竜探偵の後を追うことになる」

小五郎「何!?」

小五郎はIDを無理矢理取ろうとする。

依頼人「やめた方がいい。ちょっとやそっとのことではそのIDは外れやしませんし、仮に私が解除しないうちに外してしまえば、すぐさま爆発してしまいます……」

小五郎「貴様ぁ……」

コナン「蘭!」

小五郎「そうだ! 蘭たちは……あいつらがつけたIDは!?」

依頼人「子供たちのIDもあなたたちの物とほぼ同じ物です」

小五郎「何だと!?」

コナン(ほぼ!?)

依頼人「彼らのIDには1つ追加されてましてねぇ……」

画面がミラクルランドの見取り図に変わる。

依頼人「これは、ミラクルランドの見取り図です。ミラクルランド縁取りをいくつかのセンサーが設置されています。彼らのIDがミラクルランドに入るとセンサーが感知して起爆装置がオンになり、ミラクルランドを出ようと再びセンサーが間を通ると同時に爆発する。彼らの分までいちいち追跡するのは面倒なんでね、そうさせてもらったんですよ」

コナンが机を飛び越え、ベランダに出て下を見る。

コナン「蘭! 灰原、聞こえるか!? 灰原! くそっ……灰原、灰原!!」

哀「何!?」

コナン「灰原、中に入るな!!」

哀「どうしたの!?」

コナン「いいから皆と出てくれ! 中に入るな!!」

哀「そんなこと行っても……」

哀はもうすでにゲートを越えてしまっていた。

哀「もう入ってるけど……」

蘭もIDを通して中に入る。

係員「VIPなんですね!?」

蘭「え?」

係員「そのIDは特別な方にしかお渡ししていませんから」

蘭「そうなんですか……」

係員「ゆっくり、楽しんでください」

蘭「ありがとうございます」

哀「何かあったの!?」

コナン「また連絡する……」

通信を切って中に戻るコナン。

小五郎「蘭は!?」

コナンが首を横に振る。

小五郎「くそっ!」

依頼人「今夜10時までに事件を解決し、真犯人を探し出してくれれば好きなだけ探偵料を差し上げましょう。しかし、時間内に解決できなければそのIDを爆発させる……」

小五郎が高田の胸倉を掴む。

小五郎「あの男の所へ連れて行け! 今すぐだ!!」

高田「無理ですよ。私もどこいにいるのか知らないんですから……」

小五郎「何だと!?」

依頼人「毛利さん、あなたたちの動きはすべてモニターされています。IDにGPSが組み込まれていてね……警察に駆け込んでも無駄ですよ」

小五郎「爆破スイッチを押すってことか!? 貴様!!」

依頼人「長話は時間がなくなるだけだ。第一のヒント……一度しか言わないからよく聞いてくれ。『TAKA3-8』……」

小五郎「何のこった!? もう一度行ってくれ!!」

依頼人「一度だけと言ったはずだ。タイムリミットまであと12時間……」

時計の時刻が10時になる。

依頼人「さあ、謎を解決してもらおうか。私のため……そして、子供たちのためにね……」」

モニターの電源が切れる。

小五郎「くそっ!」

高田「毛利さん、これをどうぞ。依頼人とのホットラインです……といっても、あなたたちから依頼人に掛けることはできません。依頼人からの指示を受けるだけです。事件が解決できましたら、この携帯に入っている私の番号へ掛けた後、こちらへお戻りください。じっくりその真相をお聞きしましょう……」

小五郎は携帯を取ってコナンと事件解決に向かう。
 
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