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魔法陣グルグル2の第1話


「勇者」ニケと「魔法使い」ククリによる あの伝説の「魔王ギリとの戦い」から…

2週間!!

世界は再び魔王の力に屈しようとしていた!!


平和を謳歌していた人々の前が、巨大で邪悪な何者かの影に逃げ惑う。

人々「世界よえ〜」


第1章「ジミナ村」


どこからともなく こえがきこえる… わたしは ククリ しょくぎょうは…


「……ん」

ククリさん!
はいっ

ククリ がくせい

ここは学校。前作のヒロイン、ククリは生徒の1人として在学している。

先生「授業中 いねむりとは何事じゃ!」
ククリ「ハイ すいません」
他の生徒「ククリさん また怒られてるわ」

前作の主人公・ニケが、きらびやかな衣装でエールを送る。

ニケ「ククリ ドンマイ!!
ニケ「ありがとう 勇者様」

ニケ がくせい

先生「こらっ!! なんですか ドンマイとは! ククリさんも応えない!」
ニケ「す すみません」
他の生徒「さすが勇者さんは服装違反もハンパないわ」
先生「ちょっと魔王を倒して世界を救ったようじゃが そんなことで驚くほどわしは甘くないぞ!」
他の生徒「あの先生 どうやったら驚くんだ…」「すげぇな…」


ククリ (そう 魔王… あたしと勇者様は『魔王ギリ』を封印したあと 天界(アナスタシア)へ行って パパとママとも会えたのですが… すぐ天界の平和な毎日に飽きちゃって ジミナ村に戻ったら ものすごい大歓迎で)

(村民たち『次期女王 次期国王も夢ではないぞ』『14歳じゃケッコンも早いし とりあえず学校行けば?』)

ククリ (というわけで王様ご自慢の超エリート学校に入れられたのでした)


先生「それと…クラスメートは本名+くんで呼ぶものじゃ 『勇者様』はやめなさい 『ニケ君』ですよ」
ククリ「あっ はい…」
先生「では正しく 『ニケ君』」
ククリ「二… ニ… ニ……」
先生「どうしました? 『ニケ君』です!」
ククリ「ニ… ニ…… 乳者(にゅうしゃ)
先生「誰ですか その方は〜っ!!


その日から ニケのあだ名が「乳者様」になった


授業を終えて。

他の生徒「バイバーイ 乳者様」

ククリ「ごめんね 勇者様〜」
ニケ「ハァ まあ いいってことよ じゃここで」
ククリ「えっ いっしょに帰らないの」
ニケ「男子は武術の授業あるんだ」
ククリ「あ そっか… ……」


ククリ (いまだに『ニケ君』と呼べないのは 告白したのに何も変わらないからです むしろ学校に通うようになって会う時間も減ったし 勉強も全然わかんないし あたしはグルグルももう使えないし ふつうのアホな子になっちゃった)


ククリは女子の授業を終えて1人で帰宅。ニケは男子の武術授業。
頑健な男生徒たちが、凄まじい勢いの模擬試合を繰り広げており、ニケは青ざめる。

いけーっ よしっ それまでっ

ニケ「うわ〜っ ものすごいガチな試合…」

「次の試合… ゴルデス対ニケ!!」
「出た! 大ボス」「やっちゃえ!」
ニケは? どこへ行った ニケ!!
お待たせしました ニケです

ニケの扮装をした、ゴツい男が現れる。

うそつけ〜っ!! 誰だ オマエは!!」「替え玉か!!」
「2000R(リン)ももらったっス」
「買収か! なんてやつだ!!」「王様にいっぱい金もらってるからな あいつ」


ジミナ村。ニケの自宅の母レナのもとへ、学校の先生が訪ねて来る。

レナ「えっ ニケが!?」
先生「勇者とはいえ 学校ではマジメにやってほしいのです きつくお願いしますよ」
レナ「本当にもうしわけございません 本人にはきつくパーマをかけときましたから」
先生「きつくパーマをかけてどうするんですか!!

その夜。ニケは父バドとレナの説教に遭う。

バド「ニケッ! なんたることだ 学校では勉強をしっかりやらねばいかん!」
レナ「そうよ 元勇者」
ニケ「元王者みたいに言うなよ! もう勉強とかいいじゃない? 一生分くらいのお金を王様にもらったし この家だって建てかえようよ どうして旅立ったときのままなの」
バド「ニケッ それは違うぞ!! 父さんはな… 王様にもらったお金は1Rも使っとらん!」
ニケ「えっ なぜ…」
バド「次の魔王が出た時 おまえが勇者として旅立つための資金だ──っ!!
ニケ「え〜っ!!
バド「ニケッ わしがもう満足したとでも思っているのかッ 『おいしい物にはII(ツー)がある』 勇者は『II』が真骨頂なのだ!!

ニケ「まったく なんてオヤジだ 次の魔王とかあるわけないっての!」


しかし、次の日。 コーダイ国王からのお触れの看板に、村民たちが騒然となる。

『急告 現在、魔物(モンスター)の出没と思われる事態を確認中。腕におぼえのある者は用意して待機せよ! ガセネタだったら許してコーダイ コーダイ国王』

ま 魔物だってぇ!?」「ギリは封印されたはずじゃ
「いや まぁ まだわかったわけではないべ」

看板に目を奪われる人々の中に、バドの姿もある。

「はっ」「バ… バドさん!!」

バドは看板を引き抜くや、自宅へ一目散。

「出た!! カンバンダッシュ」「伝説の再来だ」

自宅へ駆け込むバド。

バド「ニケ〜ッ!! ニケはいるかぁ〜っ!!

「オレ やだからね」

前作第1話同様、やる気のなさそうにふんぞり返っているニケ──の姿をした別の男。

バド「だれだ お前は〜っ!!
男「5000Rもらって…」
バド「また替え玉か あいつ!!」

ニケは家から逃げ出そうとしているところを、バドにつかまる。

バド「ニケ〜ッ!!
ニケ「うわぁ〜っ!! オレは行かないよ じつはすごい力を秘めてるけど 面倒はゴメンだし 一市民としてひっそりやりすごしたいんだ」
バド「あいかわらずライトノベルのようなことを!! しばらくここに入っとれ!!」

バドがニケを、お仕置き部屋に閉じ込める。

ニケ「うわ〜っ なんだ この部屋は!? まっくらじゃん ひで〜!! おっ 穴開いてる! ?」

壁に開いているの穴から、ニケが外へ顔を出す。
壁の壁面には勇者の姿が描かれており、勇者の頭部にニケの顔がはまり、周囲にセリフが描かれている。

『オレが勇者ニケだ! オレはやるぜ!! ぜったい まおうを倒す! おうえんしてくれよな!』

村民たち「おおっ」
ニケ「うわっ なんじゃこりゃ!!」
村民たち「さすがは勇者!! がんばるんじゃぞ!!」


そして、また学校。

ニケ「まだ魔物ってわかったわけでもないのにさ もーまいっちゃうよ うちのオヤジには もう うなるほど金があるから 魔王なんかどうでもいいのに」
ククリ「それはちょっと…」

ククリ (はっ もし本当に今 魔王が現れたら? あたしはもうグルグルが使えないし 今度は勇者様といっしょに旅立てない)

ニケ「どうしたんだ ククリ 顔色悪いぞ」
ククリ「う…ううん なんでもないよ! はっ コーダイ城の兵士」

コーダイ城の兵士たちがやって来る。

兵士「ニケ殿ですね 王様がじきじきにご指名です 魔物退治に協力していただきたいと ご同行ください」

バ〜ンと衝撃を受けるニケ、ククリ。

ニケ「断ったら… どうなるの?」
兵士「それは非常にマズイことに!」
ニケ「まいったな でもオレは…」
ククリ「ゆ 勇者様! や…やったね 勇者様! また勇者様のカッコイイ所 見せられるよ!! それにホラ 今日のテストさぼれるよ」
ニケ「行きます

ニケ「だいじょうぶ たぶんなんかの間違いだよ」
ククリ「気をつけてね ゆ…じゃなかった ニ…ケ君」
ニケ「じゃ いってくる!」


ニケ ゆうしゃ


ニケと別れ、ククリは1人で学校へ。授業も上の空で、初めてニケと一緒に旅に出たときの光景が脳裏をよぎる。

(『はじめまして』)

(『なぁ 魔法陣ってどうやるんだ?』)

ククリ「わかりません」

先生「えっ わからなくてもテストは最後まで終えてくださいね」
ククリ「いえ ちがうんです すいません!」
他の生徒「クスクス」

仕方なくククリが、鉛筆をカリカリ動かし始める。

ククリ (勇者様と旅に出たい… 置いて行かれる… 勉強なんかだいキライ 勇者様と旅を… 旅を……!!)

そのとき突然、ククリの机が強烈な光を放つ。

他の生徒「キャ〜っ!!」「なんだ この光っ!?」
先生「み…みなさん 落ち着いて!!」

ニケと兵士たちも、学校の異変に気づく。

兵士「ん? 学院のほうからなにやら光が…」

ニケ「あ あれは… まさか ククリなのか!? 『グルグル』なのか!?

学校の屋根を突き破り、巨大な何かが出現する。
勇者のように鎧に身を包み、肩に牛乳タンクを担ぎ、顔はウシ──

ニケ『乳者(にゅうしゃ)様』だァ──ッ!!

新生グルグル 「乳者様」
「勇者様」と「ニケ君」の間でゆれる心を表現したグルグル。


ククリのもとへ、ニケが駆け込んで来る。

ニケ「お〜い ククリ!!」
ククリ「あっ 勇者様!!」
ニケ「やったじゃん 『グルグル』使えたんだ!!
ククリ「えっ グルグル!? これ… グルグルなの?」
ニケ「だってこれ『乳者様』だろ? ククリにしかできない発想だ」
ククリ「(ニケ君と勇者様で乳者様か… そ…そうなの?) で でも魔法陣は? 魔法陣がないと『グルグル』は発動しないはず」
ニケ「ククリ これ!!」

ククリの机の上はビッシリと落書きだらけ。ククリがニケとともに冒険の旅をしている光景が描かれている。

ククリ「! なっ 何これっ 机の上がラクガキだらけっ
ニケ「何これって… 自分でかいたんだろ?」
ククリ「そうでした あまりにも授業がつまんなくて…」
ニケ「これが魔法陣なんだ!! ククリは…あまりにも勉強がイヤすぎて グルグルのパワーを発動させちゃったんだ!!

ククリ (そ… そんな!! 勉強がイヤすぎてグルグルをひねり出したって そんな魔法使い恥かしー!!)

そこへ兵士たちも駆けて来る。

兵士「ククリ殿!」
ククリ「わあっ ごめんなさい
兵士「王様がニケ殿と一緒にお城に来られよと!!」
ニケ「ククリ!」

ククリが一瞬呆気にとられ、そして大泣きし始める。

ククリ「やった〜っ これで勇者様と旅に出られる〜っ!!
ニケ「おっおい ククリ!!」

先生 (……あの子には十分気をつけていたつもりが なんとまぁ さすがククリ殿 こんな形で目覚めるとは… たしかに大人になっても子どもとして何かを成す人間はいないでもないが そっちはそっちで道はきびしいぞ! 勉強よりもよっぽどな)


ニケとククリは兵士たちと共に、コーダイ城を目指す。

ニケ「コーダイ城 見えてきた! 魔物が出たってホントなのかな」
ククリ「ホントだといいね!」
兵士「おいおい!」

ニケ「でもさぁ ククリ あれが『グルグル』なら 効果はなんだったんだ?」
ククリ「あ そうか それは…」

空を仰ぐククリ。


ククリ「『勇者様と旅に出られる』


ククリ まほうつかい


次回に続く
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