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模型戦士ガンプラビルダーズ ビギニングG(ジー)の第1話


それは、運命の出逢いだった…… 父さんに連れて行ってもらったお台場。そこで僕は、僕は……


2009年、東京・お台場の夜。
主人公のイレイ・ハル少年が、父のイレイ・ヒノデ、友人のサカザキ・ケンタとともに、潮風公園の群集の中を駆ける。

夜空の下にライトアップされた、実物大ガンダム立像。


これが僕とガンダムの、初めての出逢い。そして、この日から僕は、模型戦士ガンプラビルダーになったんだ!


パーツA
「ビギニングガンダム」



公園の出店に並べられたガンプラ。

ハル「す、すごい! これ、みんなガンダムなんだ」
ケンタ「黒いのは、エコブラっていうんだぜ」
ヒノデ「なぁ。ハルは、どのガンダムがいい?」

ハルが実物大ガンダム像を見上げる。

ハル「あのガンダムのプラモ、あるかな?」
ヒノデ「えぇっと、ガンダム、ガンダム……」
ケンタ「あぁ、ガンダムならあそこだよ、ハル」
ハル「あっ、本当だ!」

商品棚の隅の箱にハルが手を伸ばすが、一足早く他の客がそれを取る。
勢い余ってハルが棚にぶつかり、その拍子に棚の上から箱が落ち、ハルの頭に衝突。

ハル「痛ぇっ! あ……?」

箱には「ビギニングガンダム」とロゴがあり、未知のガンダムのイラストが描かれている。

ハル「ビギニングガンダム……?」
ケンタ「あれ? 見たことないな」
ヒノデ「そのガンダム、ハルに作ってもらいたいんじゃないかな?」
ハル「僕が作る? このガンダムを? ……うん、これにする。これが僕のガンダムだ!」


あくる日。ハルはケンタとともに、父ヒノデに過去のガンダムのDVDを見せてもらう。

ハル「わぁっ! これがガンダムのアニメ!?」
ヒノデ「懐かしいなぁ。お父さんも子供の頃、よくガンプラを作ったもんだ」
ハル「お父さんも?」
ヒノデ「あぁ。しかし、技術の進歩は凄いな。接着剤は要らないし、色を塗らないでも普通に組み立てるだけで、ちゃんと色分けもされてる」
ケンタ「早速、作ってみようぜ!」
ハル「うん!」
ヒノデ「その前に、お父さんからプレゼントだ!」

ヒノデからのプレゼントは、ニッパー。

ハル「何、これ?」
ケンタ「プラモ用のニッパーだよ。パーツを切り取るのに使うんだ」
ヒノデ「説明書をよく読んで、気をつけて作るんだぞ」
ケンタ「わかんないところがあれば、俺が教えてやっから!」
ハル「ありがとう、ケンタ! (僕が作るんだ…… ガンダムを!)」

製作開始からしばらくして、友人の少女、ノヤマ・リナが訪ねて来る。

リナ「ハルくん、こんにちは!」
ハル「うん……」
リナ「ん? どうしたの、ハルくん?」
ケンタ「今、話しかけてもムダだって。入り込んじゃってるから」
リナ「何に?」
ケンタ「ガンプラ」
リナ「ふ〜ん。プラモデルね?」

ハル (ガンダムが、出来上がっていく……! 僕の、ビギニングガンダムが!)

完成を待つケンタとリナ。やがて、ついに完成する。

ハル「出来た……! ビギニングガンダム! 僕のガンプラだ!」
リナ「凄ぉい!」
ケンタ「初めてにしては、なかなかじゃん! で、どうだった? ハル」
ハル「うん。少しずつ出来上がっていくのが嬉しくて、楽しかったよ!」
ケンタ「じゃあ、次はもっと凄いこと、やろうぜ!」
ハル「……凄いこと?」
ケンタ「ガンプラバトルさ!」

完成したばかりのビギニングガンダムを携え、ハルたちが家を飛び出す。

ケンタ「模型屋さんにガンプラを持って行けば、他のガンプラと対戦ができるんだ!」
ハル「自分たちが作ったガンプラでバトルするの?」
ケンタ「そうそう!」
リナ「ねぇねぇ! それって、私もできるの!?」
ケンタ「ガンプラを作った者だけが戦うんだよ」
リナ「えぇ〜っ!?」

模型屋へやって来た3人。店長が迎える。

店長「よぉ、ケンタくん! ガンプラバトルかい?」
ケンタ「出るのは、こいつ。今日、初めてガンプラを作ったんだ」
ハル「イレイ・ハルです」

3人がガンプラバトルの施設へやって来る。カプセル状のコクピットがいくつも並べられている。

ハル「わぁ〜!」
店長「ここが、バトル会場だよ」
リナ「繭みたい……」
店長「じゃあ、まず着替えて、マニュアルを読んでね」
ハル「はい!」

ハルが『機動戦士ガンダム』作中の地球連邦軍さながらのユニフォームに着替え、ケンタがヘルメットを手渡す。

ハル「ありがとう! 凄いな……!」
リナ「ハルくん、カッコいい!」
ハル「へへ……」

声「キャ──っ!」「キャ──っ!」

ケンタ「なんだ?」

声「ごめんね、ハニーたち。サインは、帰るときにするから」

人気アイドルのコウジ・マツモトが、取り巻きの女性2人とマネージャーを引き連れ、ファンの少女たちの黄色い声援を浴びながら現れる。

ケンタ「あっ! コウジ・マツモトだ!」
リナ「凄ぉい。初めて見た……」
ハル「誰?」
ケンタ「人気アイドル。SGOC(スゴック)のリーダーだよ」
ハル「そういうの、疎くて……」
コウジ「君!」
ハル「はい!?」

コウジが、ハルの持っているビギニングガンダムに目をつける。

コウジ「これは!? 日本でも有数のコレクターである僕が知らないガンプラがあるなんて…… ジャーマネ、どういうことだ!?」
マネージャー「さて、私に言われましても……」
コウジ「君、その恰好、ガンプラバトルに出るつもりだね?」
ハル「えぇ」
コウジ「なら、僕と勝負だ!」

コウジが鞄から、愛機のHi-ν(ハイニュー)ガンダムを出す。

ファンたち「キャ──っ! Hi-νガンダムのカスタムカラーよ!」「コウジ専用キットって感じがクールね!」」
コウジ「僕に買ったら、この店にある好きなガンプラをプレゼントしよう。ただし僕が勝ったら、君のガンプラをもらう」
ハル「えっ! そんなぁ……!?」
リナ「いいわ! 受けて立つわよ!」
ハル「え!?」
リナ「ハルくんのガンプラが、負けるわけないもの」
ハル「ちょっと……」
リナ「ハルくん、私のために戦って!」
ハル「そんなシチュエーションじゃ……」
コウジ「男に二言はないね?」
ハル「言ったのは女の子です!」
コウジ「今日は楽しいバトルになりそうだ」
ハル「えぇ〜っ!?」
ケンタ「チャレンジ、チャレンジ!」
リナ「チャレンジ!」

コウジ「僕だけのガンダム〜♪」
取り巻きたち「キャ〜、アカペラ!」「がんばります!」
コウジ「ハニーたち、今日もよろしく!」
取り巻きたち「はい!」

リナ「やるしかないわ!」
ハル「でも、僕は初心者で……」
ケンタ「ハル、これだけは言っておく。作ったときの楽しい気持ち。完成したときの嬉しい気持ち…… その想いは、ガンプラに宿る! それはプラモの出来栄え以上に、バトルの行方を左右する。作品に魂を込める、それがガンプラビルダーだ!」

コウジ「あのガンプラは素組みだった。つまり、僕の知らないガンダム…… 絶対に手に入れてみせる!」

ケンタとコウジがそれぞれコクピットに乗り込む。
外のケンタたちのもとでは、スクリーンに各ガンプラの素材剛性、関節可動性、関節保持力が表示される。
ガンプラ自体の性能に加えて、工作精度、表面処理精度、塗装・印字精度などの完成度も表示されている。

リナ「ハルくんのだけ、他のより評価が低いよ!」
ケンタ「初めて作ったんだから、評価も低いさ。でもガンプラバトルは、それだけじゃない」
ハル「やってみるよ!」

ハルと他の参加者青年2人と3人チームを組み、コウジと取り巻き女性2人の3人チームとの対戦となる。

青年たち「ハルくん、一緒に頑張ろう!」「よろしくな!」
ハル「はい!」

『ゲーム・スタート』

ハルの周囲が仮想空間の格納庫内の映像となり、前方のハッチが開く。

ハル「あっ、開いた!」
ケンタ「出撃だよ!」
ハル「そうか! イレイ・ハル、ビギニングガンダム。行きま──す!!」

カタパルトから、ハルを乗せたビギニングガンダムが飛び立つ。ガンダムを取り巻く大空の風景が、周囲に広がる。

ハル「わぁ…… 凄いなぁ!」

警報音。どこからかビームが閃き、ビギニングガンダムはとっさに避ける。

ケンタ「ハル! 撃て、撃て!」
ハル「えっ!? どこを!?」
ケンタ「山だ、山! 日本平!」

眼下の日本平の山の上。コウジの取り巻き女性の操縦するザクが、ビギニングガンダムを狙う。
ビギニングは攻撃をかわしつつ、突進。

取り巻きA「あのガンプラ、早い!」

ビギニングの銃撃がザクの脚に決まり、ザクが擱座。
勢い余ってビギニングがザクの脳天を蹴り、そのまま飛び去る。

ハル「ふ、踏んじゃった!」

地上には、ハルの仲間の乗るドムがいる。

「ハルくん!」

そこへ、コウジのもう1人の取り巻きの乗る機体が飛来。
モビルスーツ・バウの上半身の変形した、バウ・アタッカーである。
ドムが反撃するが、バウの下半身の変形したバウ・ナッターが別の方向から飛来、ドムを倒す。

「なんだよ!? そんなのズルいよ!」
「だったら可変機を作ればいいでしょ? ガンダムは?」

ハル「……よし。少しずつ、わかってきた」

コウジのHi-νガンダムの銃撃が轟き、ハルのビギニングがそれをかわす。

コウジ「さすがは未知のガンダム! 動きが速い。しかし色も塗らず、素組みしただけのガンプラでは、僕には勝てない!」
ハル「そんなぁ!?」
コウジ「どうだい、僕のガンプラは? インターネットでのレビューも高評価。ディテール、可動範囲ともに良しだよ!」
ケンタ「人の評価はどうでもいいだろ? 好きなものを好きなように作るのがガンプラだ!」
リナ「でも、強い……」

Hi-νガンダムの背から、遠隔攻撃端末・ファンネルユニットが分離。

ハル「えっ!?」
ケンタ「ハル、ファンネルだ!」

6基のファンネルが自在に宙を舞い、ビギニング目がけてビームを撃ちだす。

ハル「わぁっ!?」
コウジ「ハハッ! Hi-νを3個買いして、フィン・ファンネルを全部可動できるようにしたのさ! アイドルをしていて良かったぁ〜!」

ファンネルの銃撃を浴び、ビギニングガンダムの左腕が外れる。

コウジ「パチリというまでハメないからぁ!」
ハル「わぁっ!」

Hi-νガンダムが突進し、キックを浴びせる。
ビギニングガンダムが墜落。眼下の建物を砕き、もうもうと煙が上がる。
眼の光が消え、ハルのコクピット内の光も消える。

リナ「やられちゃった!」
ケンタ「いや、大丈夫だ」
青年A「撃破されてない。今はチャージ中なんだよ」
リナ「どこに入ったの?」
ケンタ「バンダイ・ホビーセンター。ガンプラを作っている工場だよ」
リナ「じゃ、修理できるんだ!」
ケンタ「いや、そうじゃない……」

ハルのもう1人の仲間の青年の乗るアッシマーもまた、Hi-νガンダムのファンネルの餌食となり、撃破される。

コウジ「終わりかな」

そのとき、建物の屋根を突き破り、ガンダムの腕が飛び出す。

取り巻きB「あっ、ガンダム!?」

瓦礫をまき散らしつつ、ビギニングガンダムが力強く立ち上がる。
バウが銃撃。ビギニングガンダムもバルカンで応戦。
ビームサーベルを抜くバウ。ビギニングが背の3本のサーベルを、片手で同時に抜く。

ハル「やるぞ!」

ビギニングガンダムがサーベルを振り下ろす。
1本目がバウのサーベルを受け止め、2本目がバウの腕を裂き、3本目がバウのコクピットを裂く。

取り巻きB「あぁっ!?」

バウが大爆発。

コウジ「あいつ…… まだ動けたのか!?」

Hi-νガンダムもサーベルを抜き、鍔迫り合いとなる。
斬り合いの末に、Hi-νガンダムがそばの建物の上に転倒。建物に張られていたネットが手足に絡まり、動きが取れない。

コウジ「くそっ! ファンネル!」

ファンネルユニットもネットに絡まり、射出できない。
懸命にHi-νガンダムが力を込め、力んだあまり脚の関節が外れる。

コウジ「ポリキャップが切れてる!? どういうこと、ジャーマネ!?」
マネージャー「申し訳ございません。自分、不器用ですから」
コウジ「カッコつけて謝るなぁ!」
ハル「自分で作ってないんですか!?」
コウジ「う……!」
ハル「ガンプラは、ガンプラは、自分で作ってこそ楽しいんじゃないんですか!?」
コウジ「カラーリングは僕のアイディアだ!」
ハル「自分で作って戦うのが、ガンプラビルダーじゃないんですか!?」
ケンタ「その通りだぜ!」
リナ「やっちゃえぇ!」
ケンタ「いっけぇ! ハル!」
ハル「いくぞ! ビギニングガンダム!!」
コウジ「くっ……!」

Hi-νがバルカンで反撃するが、ビギニングガンダムはそれをものともせずに突進。

ハル「おおぉぉ──っっ!!」

気合とともに突き出された3本のサーベルが、見事にHi-νの胴を貫く。

コウジ「僕の…… ガンプラが……!?」

スクリーンに「ビギニングガンダムに撃墜されました」の文字が灯る。

ケンタ「ハハッ! やったぁ!」
リナ「ハルくんが勝ったぁ!」

取り巻きたち「ごめんなさぁい!」「私がもっとうまく戦えばぁ!」

戦場の映像が解除される。コウジがヘルメットを脱ぎ、すがすがしい笑顔を見せる。

コウジ「いいんだ、ハニーたち。今日は僕の負けだよ。今度は、自分で作ったガンプラで勝負しよう。ガンプラビルダーとして!」
ハル「……はい!」
店長「自分で作ったガンプラで戦う。それが、ガンプラビルダーだよ」
ハル「ありがとう…… ビギニング!」

その陰で、コクピットの一つで1人の男性が、ガンプラバトルの準備をしていた。

「あのガンダム…… 伝説の、いや、始まりの機体、ビギニング! よもや、あんな少年が手にしていたとは……!」

突如ハルの周囲が、再び仮想空間の戦場となり、目の前に未知のガンダムが姿を現す。

ハル「えっ!? 何!?」

スクリーン上に、サングラスをかけたパイロットの男性の姿が表示される。

「私はボリス・シャウアー。プラモ道を究めたガンプラマイスター」。

ハル「マイスター……?」

シャウアー「ガンプラビルダーとしての実力、そしてビギニングの能力、見せてもらおう。相対するは私のガンプラ、『フォーエバーガンダム』!」


(続く)
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