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無敵鋼人(こうじん)ダイターン3(スリー)の第1話


出ました!  破嵐万丈


路上を走る1台の高級車が、派手な音を立ててエンストし、停車する。
中からドレス姿の女性、ビューティフル・タチバナが現れる。

ビューティ「あ〜ぁ、ポンコツが。急いでんだからぁ!」

ドレスとヒールを脱ぎ捨て、身軽な水着姿となって走り出すビューティ。

港。出港間際の豪華客船のもとに、ビューティが駆けてくる。

ビューティ「お願い、待ってぇ〜! ねぇおじさん、サンドレイク卿の屋敷で、ミス・インタービュティがあるって聞いて来たんだけど」


大勢の美女たちを乗せた船が出港。やがて洋上の孤島に到着する。
島に築かれた城での美女コンテスト。主催者は貴族男性、サンドレイク。

司会者「ミス・インタービューティ第1位発表! ではサンドレイク卿、どうぞ」
サンドレイク「発表いたします。ミス・インタービュティ第1位は、ミス・ビューティフル・タチバナ!」
ビューティ「わぁ、やったぁ!」

その様子を影から伺っている、インターポールの三条レイカと土田。

レイカ「何かが起こるとすれば、この後でしょ?」
土田「あぁ、了解している」

突如、窓を突き破って黒いツナギ姿の男性が飛び込んでくる。女性たちの悲鳴が上がる。

サンドレイク「むっ! 何者だ!? 礼儀知らずが!」

男がツナギを脱ぎ捨てると、その下はタキシード。主人公の青年、破嵐万丈である。

万丈「礼儀は心得ているつもりだ! 初めてお目にかかる。メガノイドのコマンダー・サンドレイク卿!」
サンドレイク「メガノイド!? この私を、メガノイドと見破るとは!?」
万丈「そのためにそこの美少女、ビューティフル・タチバナを潜入させた。ご苦労さん、ビューティ」
ビューティ「フフッ。どういたしまして、万丈」
サンドレイク「万丈!? とすると…… お前があの噂の、破嵐万丈!?」
万丈「そう!」

レイカ「あの噂の破嵐万丈!?」
土田「あんなに若いヤツが!?」

万丈「会場の皆さん、すぐにここから逃げてください! サンドレイク卿はサイボーグの集まりである、メガノイドのコマンダーです。何が起こるかわかりません!」
サンドレイク「万丈くん、私は会場のかたには何もせんよ。ドン・ザウサーのお望みでな。メガノイドのしもべにするために、こちらの美少女たちが欲しいだけなのだ」
万丈「この万丈の名にかけて、美少女たちは渡しはせん!」
サンドレイク「私の名前にかけて、手に入れてみせる!」
万丈「何!?」

銃を構えた男たちが一斉に遅いかかるが、万丈は銃撃でたちまち彼らを仕留める。
しかし床に落とし穴が開き、万丈は床下へ落とされる。
眼下には無数のトゲ。間一髪のところで、万丈が串刺しの危機をかわす。

パニックに陥っている会場。動こうとするレイカを、土田が制止する。

土田「やめろ、レイカ。インターポールに知らせるのが先だ」
レイカ「でも……」

ビューティ「イヤよ! 私たちは機械仕掛けのロボットなんかになりませんよ!」
サンドレイク「フフフ。メガノイドになれば百年でも二百年でも、その美しさでいられるのだよ」

ビューティがカプセルを投げると、煙幕があがる。

サンドレイク「うわっ! な、何だ、これは!?」
ビューティ「さぁ! みなさん、この間に!」
サンドレイクの部下「サ、サンドレイク様!?」
ビューティ「急いで!」
サンドレイク「……逃がしはせん!」

天井から壁が降り、たちまち美女たちは閉じ込められる。やがて、煙幕もやむ。

ビューティ「参ったわ…… 万丈」
サンドレイク「フフフ。この煙幕は確かに、我々メガノイドに効くようだな」
ビューティ「ちょっと長持ちしなかったのが残念だけどね」
サンドレイク「さて。私どもの基地に、ご婦人方をご招待しましょうかな!」

一方で万丈は地下通路を、兵士たちを倒しつつ突き進む。
やがて外へ出る万丈。彼の愛車、マッハパトロールが向かってくる。

万丈「隠しておいたマッハパトロールが!? ま、待て! メガノイドのソルジャーか!?」

慌ててその屋根にしがみつく万丈。
前方は石段。そのままマッハパトロールが階段を駆け降りる。

声「きゃあぁ──っ!」
万丈「女の叫び!?」

万丈が車内を覗き込むと、運転しているのはレイカ。

レイカ「あ、あなたの車らしいわね。お借りしてます……」
万丈「君か。インターポールの見習いさん。しっかり、運転しててよ! マッハパトロールでなけりゃ、階段のところでメチャメチャになってたんだぜ」

万丈が窓を開けて車内に入り、運転を替わる。

万丈「君は綺麗だけど、それは助手席のほうがずっと引き立つ」

レイカの通信機から、土田の声。

土田『美女たちの大型トラックは、島を抜けて港へ向かっている』
万丈「相棒のカメラマンくんかい?」
レイカ「知っていたのね?」
万丈「君がインターポール・アカデミー、すなわち国際警察機構の生徒さんだってこともね」


どこかへ向かう大型トラック。コンテナの中には、ビューティや美女たちが閉じ込められている。
下からコツ、コツと叩く音。

ビューティ「モールス信号! 万丈かしら? ……下の人が、必ず助けるって!」
美女たち「わぁ!」「良かったぁ!」

コンテナの下にしがみついている土田。マッハパトロールが追いついて来る。

土田「おっ、やっとレイカが来てくれた! 助かった!」

しかし、2台の戦車が追いすがってくる。

レイカ「万丈、大丈夫!?」
万丈「そんなの、切り抜けてみなけりゃわかりませんね! マッハピック!」

マッハパトロールの後部からマキビシが放たれる。
キャタピラでそれを踏んだ1台の戦車が、制御を失って路肩に衝突。
しかし、もう1台の戦車はマキビシをかわし、依然として追って来る。

レイカ「万丈! こんなことでは誰1人助けられませんよ!」
万丈「あぁ、その意見に賛成だ」

さらにもう1台の戦車が現れ、マッハパトロールを挟み撃ちにかかる。

万丈「チェンジ・アタッカー!」

マッハパトロールが、飛行形態のマッハアタッカーに変形し、飛び上がる。
挟み撃ちにかかろうとしていた2台の戦車は、互いに衝突して大爆発。

レイカ「これ、飛べるんですか!?」
万丈「急ぎたいんでね」

港。美女たちを乗せたトラックが、大型船に積み込まれる。
土田は必死にトラックの下につかまっていたが、銃撃で撃ち落とされる。

レイカ「土田さんが……!」
万丈「女の子の見るシーンじゃなかったね。しっかり掴まってなさい」

船から砲撃。マッハアタッカーも銃撃で反撃する。

レイカ「万丈、トレーラーの中には女の子たちがいるのよ!」
万丈「わかっている! ──うわぁ!」

砲撃が受けたマッハアタッカーが、海中へ。


万丈「レイカさん…… 三条さん……」
レイカ「あ…… ここは?」
万丈「海の中さ」
レイカ「弾が当たったんでしょ?」
万丈「爆風でよろけただけさ。よくあること」
レイカ「改めて感心するわ。シン・ザ・シティの噂の万丈に。一体あなた、何者なの?」
万丈「世間の人より少しだけ、メガノイドの恐ろしさを知っている人間さ」
レイカ「ふぅん…… で? サンドレイク卿は、なんとかなりそう?」
万丈「あぁ」

車内のレーダーに、光が灯る。

万丈「ビューティの指輪のコールサインだ。──あの島?」

レーダーの光が消える。

万丈「むっ? ビューティが…… 消えた!?」

マッハアタッカーが水上に飛び出す。そばには岩山のような小島。

レイカ「こんな島に船が隠れるんですか?」
万丈「メガノイドのことだ。それくらいのことは、やれるね」

突然、小島から網が飛び出してマッハアタッカーを捕える。

万丈「あぁっ!?」

そのまま、マッハアタッカーが小島の中へ引き込まれる。
中はサンドレイクの秘密基地。壁面のドアがひとりでに開く。

万丈「フッ、ご招待ってわけか」

万丈が基地内に降り、レイカも続く。

レイカ「え?」
万丈「へぇ〜。レイカくん、君はいいプロポーションをしているね」
レイカ「……わかったわ、万丈。私も、覚悟を決められそうよ」
万丈「結構」

2人がドアの中へ身を躍らせ、やがてサンドレイクの待ち受ける広間に運ばれる。

サンドレイク「よく来てくれた、万丈くん」

突然、天井から檻が降りてくる。
逃げようとするレイカ。だが万丈がレイカを止め、2人は檻に閉じ込められる。

レイカ「なぜ止めたの!?」
万丈「君の身のこなしでは、この檻に潰されるだけだったんだよ」
サンドレイク「ハハハ。さすが万丈くん、とっさに良い判断をするな。その素質をもとに、万丈くんがメガノイドになれば、すぐにコマンダーの位に就ける。なんなら、レイカくんを君に就けてやってもいいよ」
レイカ「この美貌が百年も二百年も続くなら、メガノイドもいいわね」
万丈「冗談でもそんなことを言うな! メガノイドはロボット以下! 人間にとっては悪魔だ!」
レイカ「万丈……!? ごめんなさい……」
サンドレイク「メガノイドは、人間を超えるスーパー人間なのだ!」
万丈「人間を改造しなければ仲間を増やせないクセに、何を言う!?」
声「きゃあっ!」

天井からビューティが吊り下げられる。

ビューティ「万丈〜!」
サンドレイク「今の言葉を取り消せ!」

そのままビューティが外へと運ばれる。
眼下は海。トゲのように鋭い岩が突き立ち、サメが泳ぎ回っている。

ビューティ「メガノイドが、どうしようっていうの!?」
サンドレイク「万丈! メガノイドがスーパー人間だということを、認めるか!?」
万丈「黙れ! そんなことを認めることは、できない!」

万丈が鉄格子に手をかけ、力をこめる。

サンドレイク「人間の力では、その程度の鉄格子さえ壊せまい。それだけ人間というものは……」
ビューティ「私だって、そんな肌のカサカサしたメガノイドになるくらいなら、死んだほうがマシよ!」
サンドレイク「死んだら作り直しも効かんクセに!」
万丈「言葉は…… 取り消さん! ビューティを、僕の手に…… 取り戻してみせるっ!」

次第にゆがんでいく鉄格子。

サンドレイク「万丈、見ろ!」

ビューティが落とされる。

ビューティ「きゃあぁ──っっ!」
万丈「だぁぁ──っ!」

檻から抜け出した万丈が、ワイヤーを放ち、ビューティがそれに掴まる。
万丈がビューティを支えつつ、その勢いでサンドレイクを海へと突き落とす。

万丈「ビューティ、急げ!」
レイカ「だって、サンドレイク卿はやっつけたのに?」
万丈「いや、メガノイドはサメに食われたりしない。ヤツはコマンダーだ。コマンダーはメガボーグになる特権を持っている」
レイカ「メガボーグ?」
万丈「ロボットとサイボーグの合いの子さ。メガノイドの戦闘ロボットだ」

どうにかビューティを引き上げた万丈。

万丈「美女たちを助け出してくれ! 僕はメガボーグを!」
ビューティ「万丈! その子、誰?」
万丈「三条レイカさん!」

万丈が兵士たちを倒し、ビューティが美女たちを助け出す。

ビューティ「早くここから逃げないと、メガボーグにやられるわ」
レイカ「あなた、あれの使い方、ご存知?」

そう言ってレイカが指したのは、1人用の脱出用ジェットパック。ビューティは肩をすくめる。

レイカ「メカは私のほうが強そうね」
ビューティ「べ──!」

マッハアタッカーで飛び立つ万丈。海中から、巨大ロボットと化したサンドレイクが現れる。

万丈「来たな、サンドレイクのメガボーグめ!」
サンドレイク「破嵐万丈! メガボーグとなった私の戦闘力に歯向かえるか!? 私の計画の邪魔をする貴様を、許してはくれん!」
万丈「ダイタ──ン・カムヒヤァッ!!」

巨大戦闘機、ダイファイターが飛来する。

万丈「よし、ダイターン・ロック!」「ロック完了! 急速ドッキング!」

マッハアタッカーがダイファイターに収容され、コクピットとなる。

万丈「チェンーンジ・ダイタ──ン!」

ダイファイターが変形。巨大ロボット、ダイターン3となる。

万丈「ダイタ──ン3──!!」

サンドレイク「むぅっ、それが噂のダイターン3か!?」
万丈「そう! 世のため人のため、メガノイドの野望を打ち砕くダイターン3! この日輪の輝きを恐れぬのならば、かかって来ぉい!」
サンドレイク「ほざけほざけ! このコマンダー・サンドレイクに、そんな脅し文句は通じん!」
万丈「どうかな!?」
サンドレイク「ダイターンめぇ!」

サンドレイクの放つ鉄球を、ダイターンは扇子型武器・ダイターンファンで受け止める。

万丈「自分たちの野望のために人間を改造使用とするメガノイドめ! 許しはしないぞ!」
サンドレイク「それは人間の僻みよ。コマンダーともなればこのような巨大戦士メガボーグになれるメガノイドへのヤキモチよ!」

サンドレイクが光線を放つが、ダイターンはこれもダイターンファンで受け止め、さらにファンで反撃を加える。

万丈「とどめ!」

さらに攻撃を続けようとするダイターンだが、サンドレイクはそれをかわし、ミサイルの雨を浴びせる。

万丈「サンドレイクめ、ダイターンスナッパーの威力を見せてやる!」

サンドレイクがダイターンを捕え、その豪腕で締め上げる。

サンドレイク「メガボーグの力はこの程度のロボットなんぞ、バラバラにしてくれるわ!」

何とか脱出したダイターンだが、サンドレイクに鞭で締め上げられ、岩山に叩きつけられる。
戦闘の煽りで、ビューティや美女たちのいる室内にもうもうと煙が上がる。

ビューティ「万丈、万丈、島から離れて! みんなを逃がしたいの!」
万丈「了解、ビューティ。ダイターンスナッパーだ!」

鞭型武器のダイターンスナッパーがサンドレイクを捕えるが、サンドレイクはミサイルで反撃。

万丈「ダイターンジャベリン! 伸びろぉ!」

槍型武器のダイターンジャベリンが炸裂。その隙にビューティたちは脱出する。

サンドレイク「あぁっ! せっかく集めた美女たちが!?」
万丈「美女たちは渡せん! ダイターン3の名のもとに返してもらう!」

サンドレイクの鞭がダイターンを捕えるが、ダイターンの両手に握られた剣で、鞭は残らず切り裂かれる。

サンドレイク「わ、わしの鞭が!?」
万丈「フフフ。ダイターンザンバー、3段斬り!」


一方で、次々に脱出していく美女たち。

ビューティ「これでみんなね。──いっけない!」

基地内にビューティが引き返し、毛皮のコートを見つける。

ビューティ「あった、あった。コンテスト1位の賞品だもん」

サンドレイク「ダイターン! その頭、叩き潰してくれるわぁ!」

ダイターンに猛攻を加えようとするサンドレイクの正面を、ビューティが飛んで行く。

サンドレイク「お!?」
万丈「今だ!」

ビューティに気を取られた隙に、ダイターンが脚の裏のキャノン砲でサンドレイクを吹き飛ばす。

サンドレイク「うぉぉ!?」
万丈「行くぞ! 日輪の力を借りて、今、必殺の…… サン・アタ──ック!!」

額から放った超高熱光線が、サンドレイクを直撃。

万丈「ダイタ──ン・クラ──ッシュ!!」

ダイターン3の必殺のとび蹴りが、サンアタックを受けたサンドレイクに炸裂し、そのまま体を貫通してぶち破る。
サンドレイクが大爆発。

こうして、美女たちを奪い去ろうとするサンドレイクの野望は潰えた。


レイカ「ねぇ。あなた、万丈のなんなの?」
ビューティ「私は、万丈のアシスタント。悪い?」
レイカ「うぅん。でも、1人じゃちょっと、頼りないと思うわ」
ビューティ「えっ?」
レイカ「あなた、可愛いわよ」

レイカがダイターン3の左肩に腰かける。

ビューティ「まぁ……」

負けじとビューティも、ダイターン3の右肩に腰かける。

レイカ「ハァイ、万丈♪」
ビューティ「ハァイ、万丈♪」

万丈「ハァイ♪ ハァイ♪ はぁ……」

手を振る美女2人に笑顔で挨拶しつつ、ため息をつく万丈。

勝利をおさめたダイターン3が、美女たちの輪に囲まれて帰って行く。


(続く)
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