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仮面ライダー(スカイライダー)の第1話


仮面ライダー


改造人間かいぞうにんげん
 大空おおぞら


山々と湖を見下ろす美しい大空。
主人公・筑波洋がハンググライダーで空を舞っている。

無線で、地上の仲間達の声が届く。

仲間達「おぉい、洋さ──ん!」「すぐに降りて来いよ!」
洋「まだまだ! 今日は滞空時間の新記録を作るからな!」

地上では仲間達の5人の男女がテントを張り、食事の支度をしている。

仲間達「おぉい、洋!」「洋君、早く降りて来ないとみんな冷めちゃうわよ!」
洋「仕方がない、降りるとするか」

そのとき、洋の目に地上の道路の風景が映る。
1台の黒い車が、派手なクラクションを上げる4台のバイクに囲まれている。

洋「暴走族に絡まれているのか? よぉし!」

巧みにハングを操り、洋が車へと近づいてゆく。


一方道路では、バイクらが車を囲み、強引に停車させる。
バイクから全身黒ずくめに黒いフルフェイス・ヘルメットの謎の男達が降り、車から白衣姿の男を強引に降りさせる。

白衣「私のことは、絶対に断る!」

黒い男達が白衣の男を車の後部座席に押し込む。そのまま車でどこかへ連れ去ろうというのだ。
そこへ洋がハングで着地。
車のもとへ駆けつけると、黒い男達を蹴散らす。

洋「やめろ! 人に無理強いは反対だな。なんだ? 貴様たちは」
白衣「君! この連中は……」

黒い男達が一斉にヘルメットを脱ぎ捨てる。
その下から覗いたのは、黒い顔に両目と一対の角だけが付いた、異形の素顔である。

白衣「君、勝ち目はない。逃げ給え!」
洋「僕はあなたを助けに来たんだ。あなたこそ逃げて下さい!」

白衣の男を連れ去ろうとする黒い男達に、洋が必死にもみ合う。
男の1人がバイクで洋たちを襲おうとしたが、混乱の中で木にぶつかり、気を失ってしまう。

洋「早く!」

洋が白衣の男を連れて逃げ出す。
逃走の末、岩陰に身を潜める。

黒い男達「向こうを探せ!」

男達が近づいてくる。洋は手近にあった大き目の岩を拾うと、近くの川へ投げ込む。
ドボンという音を男達が聞きつける。

黒い男達「水へ飛び込んだぞ。行け!」

男達は川の方へ行ってしまう。これでどうやら、追っ手からは逃れられた。
洋と白衣の男が、先の揉み合いの場に戻り、気を失っているバイクの男のもとへ駆け寄る。

洋「こいつの正体を確かめてやる。おい、起きろ!」

突然、男の体が何かの化学反応のように煙をあげたかと思うと、跡形もなく肉体が消滅してしまう。
後に残されたのは白煙のみ……

洋「消えた……!?」
白衣「……」
洋「これは一体どういうことなんですか!?」
白衣「……何も知らない方が……君の身のためだ」
洋「僕の身のため……?」
白衣「今ここで起こったことは、夢だと思うことだ……絶対人に言ってはいけない!」
洋「……奴らが来るといけない。早く逃げましょう」

洋が男のバイクを起こし、跨る。

洋「さぁ、早く」
白衣「助けてくれてありがとう。しかし、私のことは忘れてくれたまえ」

白衣の男は自分の車に乗ると、どこかへと走り去ってしまう……


一方で洋の仲間達は、食事の準備を進めている。

仲間「洋の奴、遅いなぁ」

別の仲間が無線機を手にする。

仲間「筑波? ……おい、筑波!? 応答しろ!」

応答はない。仲間達の間に不安の色が広がる。

仲間達「まさか……事故に遭ったんじゃないかしら」「奴に限って、そんな……」

不安げに上空を見上げる仲間達。
そのとき、真昼間だというのに、突如として彼らの周辺が夜のように暗闇に包まれる。
奇妙な気配を感じた1人の女性が、周囲を見回す。
辺りを囲む木々の内、1本の木に、眼が浮かび上がる──

女性「きゃあっ!?」
仲間「ど、どうした!?」
女性「あれ、あれ!」

女性が指す木。眼に続いて牙の生えた口が現れ、爬虫類を思わせる怪人の顔となる。

仲間達「わぁっ!?」
怪人「お前たちの仲間が我々の邪魔をし、部下の1人を殺してしまった……お前達が、償いをするのだ!」

突然、地面から手が飛び出したかと思うと、仲間達を地中へと引きずりこんでゆく。

仲間達「わぁ!?」「何だ!?」「助けてくれぇ!!」「きゃあ!」「やめてぇ、嫌ぁっ!」

後に残されたのは、無人と化したキャンプ地のみ──


やがて暗闇が晴れ、洋がバイクで到着する。

洋「遅くなって済まん!」

しかし周囲には誰もいない。 テントの中を覗きこんでも、誰もいない。

洋「遠藤! 静恵君!」

そのとき洋が見たのは──地面から突き出ている、人間の腕。
まさかと思い、洋が無我夢中で地面を掘り始める。
やがて、人間の顔が現れる。

洋「遠藤……!?」


やがて、周囲の地中から仲間達5人を掘り出し終えた洋。
5人とも既に息絶えている。

洋「誰が……一体誰が、みんなをこんな目に……!?」

悔しさのあまり洋の顔から汗が滴り落ち、握り締められた拳がわなわなと震える。
そのとき、洋の目の前で、5人の遺体が跡形もなく消え去ってしまう。


呆然と周囲を見渡す洋。
そのとき、木々の陰から洋の方を見ていたらしき、黒服の1人の女性が、洋に背を向ける。

ゆっくりと立ち去ろうとする女性に、洋が追いすがる。
洋が女性の顔を覗き込むが、女性は無言のままである。

洋「何をしていた?」
女性「志度博士に言われて来ました」
洋「志度博士?」
女性「あなたが助けた……」
洋「……何を言われた?」
女性「あなたの身に、何か起こらないかと心配していました……でも、遅すぎました……」
洋「なぜあの時言ってくれなかった……なぜ!?」

問い詰める洋に対し、女性は目を逸らす。

洋「君、博士のところへ案内してくれ」
女性「できません。博士は誰とも会いません」
洋「……僕には会う権利があると思うがね?」

女性が洋を見る。真剣な眼差しに、女性の心も動かされる。

洋「頼む……!」

女性が無言のまま、頷く。


やがて女性が洋を連れてやってきたのは、林に囲まれた古びた神社。
2人が中へ入ると、女性が床を開く。地下室への秘密通路らしく、梯子が伸びている。

女性「どうぞ」

洋が梯子を降りてゆく。

地下室。カーテンを開き、洋が助けたあの白衣の男が姿を現す。
彼こそが志度啓太郎博士。そしてここまで案内してきたあの女性は、博士の助手の叶みどりであった。

しかし、彼らが志度博士の隠れ家へやって来たことを、木陰から謎の怪人が見ていたことに、洋たちは気づいていなかった……


みどりも地下室へ降りて来、カーテンの裏へと消える。

志度「筑波君、済まん! すべて私のせいだ……」
洋「志度博士、教えて下さい! 仲間は何も知らずに殺されたのです。それでは浮かばれません。せめて、僕がそのわけを知りたいのです!」
志度「それは言えない。君が深入りすれば……今度は君のご家族が狙われるだろう」
洋「ご心配なく。3年前に事故で、両親と妹を一遍に亡くしました」
志度「私の話を聞くのは……命懸けになるが、それでもいいのかね?」
洋「構いません! 命懸けでお聞きしましょう!」

みどりはカーテンの向こうでコーヒーを入れている。
突然、頭上の電灯が消え、また点き、奇妙な明滅を繰り返す。

志度「君の仲間を襲い、私を狙った相手は……ネオショッカーという影の組織なんだ」
洋「ネオショッカー!? そんな影の組織があるなんて、とても信じられません……」
志度「これは事実だ。君も耳にしていると思うが、全国で起きている謎の蒸発事件、ビルの爆破事件、政治家の暗殺」
洋「知っています……あれは全部、影の組織の仕業だと言うんですか!?」
志度「そうだ……!」

カーテンの向こう。
不安にかられているみどりが、周囲を見渡す。
壁に、怪人の顔が浮かび上がる。

みどり「きゃああ──っっ!!」

悲鳴に驚いた洋たちがカーテンを開けると、みどりが倒れている。

洋「しっかりしろ!」
志度「みどり君!?」

みどりがうっすらと目を開ける。

みどり「そこに……恐ろしい顔が……」
志度「ここまでやって来たか……!」

洋が外に出ると、木々の間で、何者かが背を向けている。
洋がいきなり、その尻を蹴り付ける。
驚いた男が振り向く。一般人風のその男の胸倉を、洋が掴む。

男「うわぁ!? 痛痛痛痛! なんやぁ!?」
洋「何をしている!?」
男「あああ、怪しい者やない! ちょっと離してぇな」

洋が胸倉を離す。

男「名ルポライター、飛田今太様や!」
洋「ルポライター?」
飛田「イェース! 特ダネを追跡中!」


一方、神社の地下室では志度博士がみどりを介抱している。

志度「大丈夫だ、きっと何かの見間違いだ。ここがわかるもんか……わかるはずがない」

そのとき、またもや電灯が消える。
そして洋の仲間達の前に現れた、あの怪人の声がどこからか響く。

怪人「志度博士……お迎えに参上した」
志度「だ……誰だ? どこにいる!?」
怪人「お前の腕の中だ……」

志度が抱いていたみどりの姿が、一瞬にして怪人の姿へと変わる。

志度「わぁっ!? お前は!?」
怪人「ネオショッカーのガメレオジンが、直々に迎えに来た!」


洋が梯子を降りて地下室へやって来る。

洋「博士! みどり君!」

しかしそこには、みどりが倒れているだけで、志度博士の姿はない。

洋「みどり君!?」


飛田「うわああぁぁ──っっ!?」

神社の外で飛田の悲鳴があがったのを聞きつけ、洋が再び外へ。

洋「どうした!?」
飛田「バババ、化け物……!」

驚きの余り気を失う飛田を尻目に、洋が博士と怪人達を追う。


4台のバイクに護衛され、ジープが道路を走る。
洋のバイクがそれを追う。

ジープの中には怪人ガメレオジン、志度博士。
バイクを駆るのは、志度博士を誘拐しようとした黒い男たち──ネオショッカーの戦闘員だ。

ガメレオジン「来たな……命知らずめが!」

ガメレオジンの合図で、戦闘員のバイクたちが洋に襲い掛かる。
洋がバイクでそのバイクらを跳ね飛ばすと、ジープを追い続け、その横に並ぶ。

洋「止まれ!」

窓からガメレオジンが顔を出す。初めて見る異形の姿に驚く洋。

ガメレオジン「仲間のところへ行ってしまえ!」

ガメレオジンの口から長い舌が飛び出し、洋を突き飛ばす。
その衝撃でバイクは転倒。洋は道路に叩きつけられ、血を流して気を失ってしまう。

ジープが停車し、志度博士が洋に駆け寄る。

志度「あぁっ……筑波君! 筑波君!?」
ガメレオジン「死は時間の問題だな」
志度「私は……私は今日、5人の若者を死なせ……今またこの青年を死なせようとしている……」

志度が洋の手をとる。

志度「……まだチャンスはあるぞ! ガメレオジン!」
ガメレオジン「何だ?」
志度「私の頼みを聞いてくれ!」
ガメレオジン「頼みだとぉ?」
志度「私はこの青年を死なせたくない……この青年の、改造手術をさせてくれ!」
ガメレオン「……俺の一存では決められん」

「ガメレオジン……!」

一同が振り向くと、軍服姿の男が立っている。ネオショッカーの大幹部、ゼネラルモンスターである。
たちまちひれ伏すガメレオジンと戦闘員たち。

ガメレオジン「ははっ、ゼネラルモンスター!」
ゼネラル「許可しよう、志度博士。但し……こちらの要求も聞け」


ネオショッカー基地の改造手術室。
手術台に寝かされている洋を、数人の手術スタッフ、そして志度博士が取り囲む。

ゼネラル「始めたまえ、志度博士」

志度の手により、レーザーメスが洋の肉体に当てられる。

ゼネラル「我々がなぜその青年・筑波洋に改造手術の許可を与えたか、わかるかね? 志度博士」

志度は答えずに手術を続ける。

ゼネラル「我々は筑波洋に興味を持った。我々のコンピューターは、筑波洋を有能と答を出した。つまり、ネオショッカーにとって、必要とする人間である!」


やがて、洋が目覚める。
手術台に横たわっている自分。周囲には誰も居ない。

洋 (僕は……僕は生きているのか……?)

手術台から起き上がる洋。手術室の端に昇り階段がある。

洋 (ここはどこだ? 志度博士は……?)

階段を昇りきると、やがて風の吹きすさぶ荒野へと出る。今までの場所は地下施設だっだのだろう。

突如、奇声と共に数人の戦闘員が現れ、洋を取り囲む。
戦闘員達が洋を羽交い絞めにし、パンチを繰り出す。
洋が戦闘員をふりほどき、蹴り飛ばす。

そのとき、洋は気づく。以前に自分が志度博士を戦闘員から助け出したときは、防戦と逃亡が精一杯だった。
なのに現在は、自分は易々と戦闘員を倒している──いつの間にか自分の力が、常人を遥かに上回っているのだ。

洋「どうしたというんだ……俺の体は一体!?」

その様子を丘の上から、ガメレオジン、そして戦闘員に連行された志度博士が見つめている。

洋「博士!?」

なおも戦闘員が洋に襲い掛かる。

洋「博士!」
ガメレオジン「お前も今では俺の仲間となった身だ!」
洋「俺がお前の仲間だって!? 冗談を言うな!」
ガメレオジン「博士、説明してやれ」
志度「……」
洋「博士!?」
ガメレオジン「俺が言ってやろう。今のお前の姿は、本当のお前の姿ではない」
洋「……本当の姿はどうなんだ!?」
ガメレオジン「俺とご同様の改造人間だ」
洋「改造人間……?」
ガメレオジン「博士……どうやれば本当の姿になるか、たっぷり教えてやれ」
志度「……私にはできない」
ガメレオジン「裏切るつもりか!?」

ガメレオジンが志度博士を突き飛ばし、長い舌を伸ばす。
志度博士の傍らにあった大岩が真っ二つに砕ける。

すかさず洋がガメレオジンに体当たり。
追いすがる戦闘員を、洋が蹴散らす。
そして手刀を戦闘員に見舞ったとき、左拳が左腰に位置し、右腕が左斜めに伸びたポーズとなる。

志度「それだ!!」

偶然にもその構えこそ、洋の改造人間としての変身ポーズだったのだ。
洋の腹部に変身ベルト・トルネードが出現、光を放つ。
本能的に洋が大ジャンプ。一瞬にしてその姿が消える。

ガメレオジン「消えた……?」

川の中の中石へ飛び降りる洋。
水面に自身の姿が映る。その姿は、イナゴをモチーフとした改造人間となっている。

洋「これは……この顔は……これが俺の姿か……!?」

手近にあった小石を拾い上げ、力をこめる。
小石はあっさりと砕け、バラバラの粉末となる。


ガメレオジン「探せ!」

ガメレオジンの指示により、戦闘員たちが周囲の捜索を始める。

ガメレオジン「博士、奴はどうなったのだ!?」
洋「私はここだ!!」

一同が声の方を振り向くと、そこには変身した洋の雄姿が。

ガメレオジン「それがお前の、本当の姿か!」
洋「そうだ!」


一方、ネオショッカー基地。
ゼネラルモンスターのもとへ、部下の1人がやって来る。

部下「改造手術の分析が終わりました」

どこからか、威厳に満ちた声が響く。ネオショッカーの支配者、“大首領”である。

大首領「ゼネラルモンスター!!」
ゼネラル「大首領……」
大首領「改造手術は失敗だ」
ゼネラル「!?」
大首領「ネオショッカーにとって、危険人物になる恐れがある。ただちに処分するのだ!」
ゼネラル「ははっ……奴め、小細工をしおったな!」


ガメレオジン「話し合いは終わりだ。これからは……」
洋「これからは?」
ガメレオジン「殺し合いだ!」

ガメレオジンの舌が長く伸び、洋の首を締め上げる。

ガメレオジン「貴様を始末せよとの命令だ」
洋「……簡単にはやられない!」

自由を奪われた洋に、戦闘員たちが容赦なく蹴りを見舞う。

ガメレオジン「そんな姿でどう生きていく……? 死んだ方が身のためだ!」

なおも戦闘員たちが襲い掛かるが、洋は舌の拘束を振りほどき、戦闘員を吹き飛ばす。

洋「その心配は無用だぁ!」

ガメレオジン目掛け、洋が蹴りを繰り出す。
木陰でカメラを構えていた飛田のもとへ、ガメレオジンが転がってくる。

飛田「なんやなんや!? 誰や、邪魔すんのは……ギャアアァァ──ッ!!」

ガメレオジンの奇怪な顔を目にした途端、飛田がまたもや気を失う……


ガメレオジンが付近の樹木に体を重ねると、まさしくカメレオンの保護色の如く、その姿が木と一体となって姿が消える。

そこへガメレオジンを追ってきた洋。
周囲の木々を見回すと、1本の木に、微かに体液が滲んでいるのに気づく。
洋がその木に目掛けて強烈なパンチ。
ガメレオジンが正体を現す。

再び戦闘が再開される。
戦闘員たちも加勢するが、洋は難なく戦闘員たちを一掃する。
残るはガメレオジンただ1人だ。
激闘の末、洋がガメレオジンを投げ飛ばす。
そして洋の体が宙に舞う。

洋「スカイ・キ──ック!!」

渾身の力を込めた博のキックが、ガメレオジン目掛けて炸裂する。

ガメレオジン「俺の負けだ……しかし、お前も負けたな……!」
洋「私も?」
ガメレオジン「ここは……ネオショッカーの処刑場だ……生きて戻れん!」

捨て台詞を履くと、ガメレオジンが消滅。残されたのは白煙のみ……

洋「ネオショッカーの処刑場だと!?」

突然、方々で爆発が起きる。

洋「しまった!」

周囲の土や岩が爆発で崩れ始める。このままでは生き埋めだ。
逃げ惑う洋。偶然にもその左手が、左腰のレバーに触れる。
次の瞬間、左腰の装置──重力低減装置が作動。洋の体が大空に舞う。

洋「空を……? 俺は空を飛んでいる……!? 空を飛べるんだ!!」


爆発がやみ、すっかり崩れてしまった大地に立ち尽くす志度博士。

志度「下敷きになってしまったのか……私は……何のためにあの青年を甦らせたのか!?」

「志度博士」

振り向くと、そこに変身したままの洋の姿。

洋「悪と戦えとの、願いからではありませんか?」
志度「無事だったのか……!?」
洋「死ぬのは……一度で沢山です」
志度「……済まん。君には詫びる言葉もない。私は、元通りの君で生き返らせたかった……そんな姿にしてしまって……私を憎んでくれ!」
洋「博士、元気を出して下さい! 私は、少しも博士を怨んだり、憎んだりしません。逆に……今は感謝する気持ちです!」
志度「感謝……?」
洋「ネオショッカーの悪を知った今、それと戦える力を与えてくれたことに、感謝します!」
志度「筑波君……!」
洋「私は悪を憎みます。ネオショッカーと戦います! 博士……元気を出して、一緒に戦いましょう!!」

洋が差し出す手を、志度博士が握り返す。

志度「本心からそう思ってくれるのか!?」
洋「前の私には無かった力が、今はあります……それも、素晴しい力が!」
志度「素晴しい力……?」
洋「いいですか、博士……? 私は大空を飛べるのです。見て下さい!」

洋が腰の重力低減装置を作動させる。

洋「セイリング・ジャ──ンプ!!」

洋の体が、鳥の如く宙に舞う。

山々、森、湖を見下ろす大空を、洋が悠々と飛び続ける。
その雄姿を見上げる志度博士。


志度「筑波君……君こそ……君こそ“仮面ライダー”だ!!」


大空を舞う仮面ライダー
その心には
ネオショッカーに対する怒りが
炎のように燃えていた


つづく
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