戻る TOPへ

仮面ライダー龍騎の第1回


夕暮れ、とあるビル街。
会社員たちがぞろぞろと帰途についている。

その中の1人のOLが、目を擦りつつ壁面のガラスに顔を映す。
目にゴミでも入っていたか、鏡面の中の自分の瞳を覗き込み、やがて立ち去る。
彼女が去った後、その鏡面に巨大な蜘蛛が姿を現していたことに、彼女は気づかない……


夜。先の女性が自宅マンションの部屋で、鏡台に向かう。
鏡に映る自分の姿。首に、白い糸のようなものがまとわりついている。

「え……?」

自分の首を触ってみるが、実際には何も付いていない。
そのとき、鏡面が歪んだかのように、鏡に映っている映像が歪み始める。
不思議に思った彼女が、鏡面に指を触れる。
指を離すと──指に白い糸が付いている。
まるで、鏡の中から糸が出てきたかのように、するすると糸が伸びる。

「何これ……?」

再び鏡に目をやったとき──
鏡に映った彼女の背後に、あの蜘蛛が現れ、口から吐いた糸を彼女の首に巻きつけている。

「キャッ!?」

慌てて後ろを振り向くが、そこには何もいない。
そんな彼女の後ろ頭に、巨大な爪が触れる。
鏡の中の蜘蛛の伸ばした爪が鏡面から飛び出し、彼女を捕らえている。

「キャァ──ッ!! 嫌ぁぁ──っっ!!」


マンションの外。

悲鳴を聞きつけた1組の男女。
青年が黒いコートをマントのように翻しつつ、近くの建物の窓ガラス目掛けて駆けつける。
少女も後を追うが、既に青年の姿はない。

コウモリのように翼をはためかせた何者かの影──


仮面ライダー龍騎
MASKED RIDER RYUKI


第 1 話 第 1 話


朝。
駅のホームで通勤電車を待つ会社員、携帯にメールが届く。
差出人名は「OREジャーナル」。
文中にあるURLに接続する。


2月5日号NEW!
○警察腐敗列島-3-マ
スコミの報道しない事
実とは?
 警視庁岩島署で、警
察の内部情報を漏洩し
ていた疑いが発覚した
。同署では先月30日、


出勤途中のOLが携帯を見ていると、同僚らしきOLが声をかける。

「おはようございます」
「おはよう」
「何ですか、それ?」
「ニュース」

 警察内部の腐敗と堕落
───彼らが手錠をかけ
るべき相手は隣にいる同
僚かもしれないというの
は皮肉である。


とあるビルの1室。
ここはインターネットでニュースを配信するベンチャー企業「OREジャーナル」。
満足げに記事を眺めている編集長の大久保と、社員の島田奈々子。

大久保「警察内部の腐敗と堕落、彼らが手錠をかけるべき相手は隣にいる同僚かもしれないというのは皮肉である、か……フフン、いいねいいねぇ! これ、うちで流した記事の中じゃ過去最高なんじゃねぇか?」
奈々子「ホームページのアクセス数も、今朝から伸びてますよぉ〜」
大久保「当然だろぉ。どれどれ?」

大久保が机上のパソコンで、OREジャーナルのホームページを眺める。
「スタッフ紹介」のページ、大久保の写真は、上半身裸でビールジョッキ片手にピースサインをしている。

大久保「おい! ここのスタッフ紹介ページの俺の写真、差し替えとけよぉ? なんで俺だけ宴会ん時の写真なんだよぉ」
奈々子「はぁ……」

電話が鳴り、大久保が書類をかき分けて電話を取る。

大久保「はいOREジャーナル! お、令子か。今朝の記事な、俺的に大オッケー!」


街角で取材活動中の、OREジャーナル記者・桃井令子。いかにも若手敏腕記者といった風貌の女性である。

令子「どうも。それより編集長、また行方不明事件です」
大久保「何ぃ?」
令子「まだ、一連の事件と同一のものかどうか解りませんけど、これから行方不明者の自宅に行ってみます。住所は……」
大久保「……2、0、3と。わーった。それから真司の奴、手伝いに行かせっから」
令子「えーっ……城戸君ですか? 邪魔になるだけなんですけど」
大久保「いやいや、まぁそう言わずに仕込んでやってくれって。まだ見習いなんだし、俺の後輩なんだからさ」


国会議事堂前。
主人公の青年・城戸真司が、中年男性に殴り飛ばされる。

真司「痛っ! ちょとぉ、殴ることないでしょぉ!?」
男「うっせぇ! 俺はきちっと後方確認したんだよぉ!」
真司「わっかんない人だなぁ〜してないって!」
男「ん何を〜っ! 俺はしたんだよぉ! 俺がしたったらしたんだ、この野郎!」
真司「してないって! 絶対してないっ!!」
男「しつけぇ野郎だなぁ〜この野郎!」

男がまた拳を振り上げたとき、携帯の着信音。

真司「……ちょっと待って」

真司が取り出した携帯の画面には「着信 大久保編集長」の表示。

真司「やばっ……すいません、おはようございます、大久保先輩」
大久保「編・集・長!」
真司「あ、そうか! おはようございます、編集長」
大久保「何やってんだよぉ、お前……まだ寝てんのかぁ?」
真司「いや、それが……バイクがトラックに引っ掛けられちゃって」
大久保「何だってぇ!? お前、大丈夫かよ!? 怪我は!?」
真司「あ、事故ったのは俺じゃない……それで今、後方確認したかどうかで、俺と運転手がもめてるんスけどね」
大久保「ちょっと待て、事故ったのはお前じゃないんだよな?」
真司「はい」
大久保「じゃ、なんでお前が運転手ともめてんだよ?」
真司「ん、まぁ、取材っていうか……でも、見た感じ、やっぱトラックが」
大久保「真司……」
真司「はい?」
大久保「バカ」
真司「え?」
大久保「もういいから、今から俺が言う住所へ行け! 令子の手伝いだ」
真司「ちょ、ちょっと待って下さい」

自転車でやってきた巡査が、先の中年男と、もう1人バイクの運転手に話を聞き始める。

巡査「免許証出して……」

真司「はい……はい、わかりました。すぐ行きます!」

巡査と中年男の間を真司が通り抜け、はずみで男が警官に差し出した免許証が地面に落ちる。

真司「ちょっとごめんなさい!」
男「おい、ちょっと落っこっちゃったじゃねぇかよぉ!」

男「だからねぇ、あの悪路が……」
真司「すいませ──ん!!」
男「おわぁ、何だぁ!?」

再び巡査と男の間を、真司が今度はスクーターで駆け抜けてゆく。


大久保「はぁ……ああいうのは、あれだよ。祭りの取材行って、いつの間にか神輿担いじゃってるタイプだな!」


冒頭で女性が襲われたマンションの部屋。
警察による現場検証が行なわれている。

「どうだ?」
「いや、これといった物証はありません。財布の中や所持品もそのままですね」
「何もないか……」

鏡台の鏡面から女性の髪止めがポトリと落ちたことに、誰も気づいていない……


その外の廊下で令子が、現場の隣室の住人に聞き込みをしている。
階下から、真司が大声を張り上げながら階段を昇ってくる。

真司「令子さぁん! 大事件ですかぁ!! 場所どこです!?」
令子「……バカ」
真司「あ、令子さん!」
令子「あのねぇ……」

真司の声に気付いたか、現場の部屋から刑事や警察官たちが現れる。

刑事「またあんたんとこかぁ……こんな事件にまでついて来てぇ! また俺たちの揚げ足取るつもりか!?」
令子「あいにく、いつまでも警察追いかけてるほど暇じゃないんです。行くよ……ありがとうございました」

令子が真司を引っ張るように、聞き込み相手に礼を言いつつマンションを去る。

真司「なんか……警察の人、令子さんに冷たいっスよね」
令子「私が警察に冷たいの! それより、現場で大声出すなって言ったの、もう忘れたの?」
真司「あっ……! すいません」
令子「あんたの今回の仕事は一つ! この間みたいに、私の取材の邪魔をしないこと」
真司「わかりました。俺、令子さんみたいなジャーナリストになりたいんで、勉強させてもらいます!」


現場の部屋の中。
警察の現場検証が続いているが、鏡台の鏡面が奇妙に歪んでいることに、一向に誰も気付かない。

刑事「無駄足……か」


マンションの外、冒頭で登場した男女が現場の部屋を睨みつける。
秋山 蓮と神崎優衣である。

蓮「まだあの部屋にいるな……!」
優衣「うん。でも今はまずい……出直そう」

マンションから出てくる令子、彼女を追う真司。

真司「令子さん……ちょっと、聞いてます? 待って下さいよぉ、令子さん」

真司が蓮とすれ違う。
未だ、互いの運命を知る由もない……


OREジャーナル。

令子「今回行方不明になったのは23歳のOL、飯田 恵さんです」
大久保「で、これまでの事件との共通点は?」
令子「原因が全く見当たらないこと。目撃者がいないこと。何人かがそうだったように、部屋が密室だったこと」
真司「誘拐とか、家出とは違うんですか?」
大久保「あぁ、まさに神隠しだ……令子の調べじゃ、ここ半年くらい前から徐々に増えてるらしいんだが、今のところ行方不明者に共通点はなし。事件性もなし、と来た」
奈々子「ベタな見出しだと……謎の連続行方不明事件、ってとこか」
真司「いいじゃないですか、それぇ! 解明しましょうよ〜真実を突き止めるのがジャーナリストの醍醐味ですよね! もし犯人なんか見つけたら、俺がとっ捕まえてぇ〜!」

1人で意気込む真司に、大久保と令子は呆れ顔。

大久保「おい、真司」
真司「はい!」
大久保「バカ」
奈々子「プッ……」
真司「え?」
大久保「お前なぁ、俺たちは警察じゃないんだよ。な?」
真司「そっか……じゃ、取材を」
令子「城戸君、あんたに取材は早過ぎるわ。まず、このパソコンに入ってる行方不明者のリストに、目を通すことから始めなさい」
真司「それだけっスか……?」
令子「それだけ。編集長、私、飯田恵の家族に許可を貰って、実際に現場を見てきます。あまり時間の経たない内に見ておきたいんで」

令子が出かけた後、真司はしぶしぶパソコンに向かい、行方不明者リストを眺め始める。
そのうちの1人の自宅住所に目が止まる。

真司「あれ? この人のアパート、近いじゃん……」

ちらりと周りを見ると、大久保や奈々子が、真司が突飛な行動をとらないかと目を光らせている。

真司「あ──っ、あっれ──? シャーペンの芯なかったっけ……コンビニ行ってこよーっと」


先の行方不明現場のマンションの部屋。
令子が室内を調査する。また、鏡台の鏡面が歪む……


一方、真司。まんまと大久保たちの目を盗み、ある行方不明者の自宅アパートへやってきた。
管理人に部屋を案内してもらう。

真司「いなくなったのが、2ヶ月前ですか?」
管理人「いやぁもう参ったよ……家賃は入らないし、警察は当てにならないしでさぁ……」
真司「任せて下さい、必ず真実を突き止めてみせますから!」
管理人「頼むよ。部屋を片付けようにも、気味が悪くてさ……」

1人、部屋に入る真司。
管理人が気味悪がったのはこのことだろうか。窓、鏡、テレビやパソコンの画面、キャビネットのガラス戸……と、ありとあらゆる鏡面やガラスが新聞紙で覆われている。

真司「なんでこんなことしたんだろ……?」

室内を歩く真司の爪先に、何かが当たる。
手のひらほどの大きさの、黒くて平べったいケース。
拾い上げてみると、何枚かのカードが入っている。まるで、何かのカードゲームのデッキのようだ。
その内の1枚を何気なく、ケースから引き抜く。カードには「SEAL」の文字。

そのとき──
窓のブラインドが破れているのに気付き、外を覗く。
向かいのビルのガラス窓に、なんと巨大な赤い龍の姿が渦巻いている。
驚いて窓を開けてベランダに出る真司。
龍がビルの窓から飛び出し、こちらに襲ってくる。

真司「わぁぁっ!?」

反射的に真司が、カードをかざす。
龍が見えない力に阻まれたかのようにどこかへ飛び去り、真司もその衝撃で、部屋のガラス窓を突き破って室内に吹っ飛ばされてしまう。


一方の令子、手がかりなしと見てマンションから出、車に乗ったところで携帯が鳴る。

令子「城戸君? 何?」
真司「あの……ちょっと来てもらえませんか?」
令子「え? どこへ? ……うん……うん……わかった」

車を出す令子。バックミラーに映る彼女の首に、白い糸がまとわり付いている……。


真司のもとへやってきた令子、真司に代って管理人に頭を下げる。

令子「はい、請求書を送って頂ければ、すぐ弁償致しますので」
管理人「頼みますよ」
令子「申し訳ありま……」

きょろきょろと周りを見ている真司を令子がこづき、頭を下げさせる。

令子「申し訳ありませんでした!」
真司「すいませんでした!」
管理人「ったく……泣きっ面に蜂っつぅのはこのことだよ……」

管理人が去る。令子がジロリと真司を睨む。

真司「すいません、俺……で、でも! 変な怪物みたいのが出てきた……」

令子の視線が険しくなったのに気付き、慌てて真司は口をつぐむ。

真司「……ような気が、しない、かも……?」
令子「帰っていいわよ」
真司「え、あの……!」

令子が真司を置いて立ち去る。

真司「そうだ、これ……」

先ほどのカードデッキをポケットから取り出す真司。
途端、耳鳴りとも何かの電子音ともつかない奇妙な“音”が真司の頭に響く。
見ると、道路のカーブミラーに映る令子の首に、白い糸が巻き付いている。

真司の脳裏に、先ほどの龍の姿が浮かぶ。

真司「やっぱり何か変だ……」


令子が駐車場に停めてある車に乗り込む。
エンジンキーを回すが、一向にエンジンがかからない。
隣の車のピカピカのボディが鏡面となり、周囲の風景が映っている……その鏡像の中では、令子の車が白い糸でがんじ絡めに縛り上げられている。

駐車場のバイクに跨っている蓮と優衣が、その様子を見ている。

優衣「来てる……!」
蓮「あぁ」

蓮がポケットに手を忍ばせる。そこには真司が手にしたものと同じ、カードデッキが。

そこへ駆けつけた真司。
再び、あの“音”が響く。

真司「何だよ? これ……何かいるのがわかる……」

それを見ていた優衣、真司が“音”に反応しているのに気付く。

優衣「モンスターが見えてるの? どうして……まさか!?」
蓮「構うな」

周囲の車のボディに映っている鏡像の中で、巨大な蜘蛛が蠢いている。
現実には存在しない何かが、鏡の中にだけは見えるらしい。
真司が無我夢中で蜘蛛を追って走る。その彼に、優衣が走り寄る。

優衣「あなた……“仮面ライダー”、なの?」
真司「え……?」

鏡像の中、蜘蛛が今にも、令子の車に襲いかかろうとしている。

真司「令子さん! 逃げてぇ!!」

咄嗟に令子の車に走り寄る真司。
そのとき──真司の手にしたカードデッキが光を放ったかと思うと、車のボディの鏡面に吸い込まれるように、真司の体が消滅してしまう。

真司「うわああぁぁ──っっ!?」

それと同時に、令子の車のエンジンがかかる。

令子「バカ」

ハンドルをこづき、令子が車を出す。


真司が絶叫と共に、一面が鏡のような奇妙な空間を通り抜け、再び車のボディから飛び出す。
いつの間にか真司の姿は、変身を遂げている。顔を覆う仮面、全身を包む騎士を思わせる鎧──“仮面ライダー龍騎”である。

龍騎「え……? え……? 嘘だろぉ……!?」

周囲の風景は元の世界──いや、まるで鏡像のように、建築物の装飾、模様、看板の字など、ありとあらゆるものが左右逆になっている。
ここは鏡の中の異世界“ミラーワールド”なのだ。
おまけに人が1人もいない。動くものが何ひとつ無い──と思いきや、あの蜘蛛のモンスターが龍騎に近づいてくる。

龍騎「何なんだよ、これぇ……!?」


ミラーワールドの外の現実世界。
蓮が近くのビルに駆け寄り、窓ガラスに向かってカードデッキを突きつける。
鏡面に映った蓮の鏡像から変身ベルト“Vバックル”が出現、蓮の胴に装着される。

蓮「変身っ!!」

カードデッキをVバックルに装填。
蓮の体が、龍騎と同じような騎士状の姿──“仮面ライダーナイト”へ変身を遂げると、自ら鏡面に突入。
ミラーワールドの中、バイク型の次元移送機・ライドシューターにナイトが乗り込む。

ナイト「来い、ダークウイング!!」

コウモリ型モンスター・ダークウイングが飛来、ナイトと共にミラーワールドを突き進む。


ミラーワールドでモンスターに翻弄される龍騎。
そこへ駆けつけたナイトのライドシューターが、モンスターをはね飛ばす。

龍騎「今度は何だぁ……!?」

ライドシューターの中からナイトが姿を現す。

ナイト「驚いたな……まだモンスターと契約していないのか」
龍騎「え……?」

ライドシューターから降りたナイト、バックルのカードデッキからカードを1枚引き抜くと、手にしたレイピア状の武器・ダークバイザーに装填する。

『SWORDVENT』

合成音声らしき声が応答し、空を舞うダークウイングから槍状武器・ウイングランサーが投下される。
ウイングランサーを手に、ナイトがモンスターと戦いを繰り広げる。
呆然と戦いを見つめる龍騎。ふと、自分もナイト同様のVバックルを装着していることに気付く。

龍騎「これか……!?」

恐る恐る、バックルからカードを引き抜く。
すると、それに連動して右腕の手甲が展開し、カードの挿入口が現れる。ここにカードを装填する仕組みらしい。
見よう見真似で、その召喚機・ライドバイザーにカードを装填する。

『SWORDVENT』

空から剣が現れ、地面に突き刺さる。

龍騎「え……? よぉし……何だかわかんないけど、俺も!」

その剣“ライドセイバー”を手に、龍騎がモンスターに突進。
ライドセイバーを振り下ろすが、モンスターの前に剣身があっけなく折れてしまう。

龍騎「折れたぁ!?」
ナイト「邪魔をするな!」

再びナイトがカードをダークバイザーに装填。

『ADVENT』

ダークウイングが飛来、ナイトの意思に応じてモンスターを攻撃し始める。

『FINALVENT』

ナイトの背にダークウイングが合体、その翼がマントと化す。
さらにナイトが空高く飛び上がったかと思うと、マントがドリル状に変化。
空から地面目掛けて振り下ろされる巨大ドリルの如く、ウイングランサーがモンスターに突き立てられる。
ナイトの最強技“飛翔斬”が炸裂。


大爆発──


龍騎「やったのか……?」

燃え盛る炎の中からナイトが立ち上がる。
龍騎を一瞥して立ち去ろうとするナイト。慌てて龍騎が駆け寄る。

龍騎「あ──っ、ちょっとちょっと、ね、あんたも俺と同じでしょ? 人間なんだよね? ね、これ、どうなってるわけ!?」
ナイト「はしゃぐな」
龍騎「はぁ? 誰がはしゃいで……」

不意に、ナイトが龍騎を突き飛ばす。
どこからともなく飛来した火炎弾が、地面に命中。

龍騎「おわぁ!?」
ナイト「来たか……!」

龍騎が空を見上げると、真司が遭遇した赤い龍──ドラグレッダーが空を舞っている。

龍騎「龍……!?」

いつの間にか、ナイトが消えている。

龍騎「あ、ちょっと! ちょっと待てって! ね、待てよぉ!」

ナイトを追いつつ、龍から逃げ惑う龍騎。
ドラグレッダーの口から放たれる火炎弾が地面に炸裂し、周囲が次々に炎上する。


龍騎「嘘だろぉ──っ!? おわぁ──っ!?」


(続く)
inserted by FC2 system