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仮面ライダー THE NEXTのオープニング


夜。

とある家庭の台所。
女性がやつれた様子で盆に食事を用意し、「お夕食です」と紙を添える。

2階の部屋。
ドアの前には「昼食です」と紙の添えられた盆に、食事を終えた食器類がある。

薄暗い室内。
引きこもりの眼鏡青年がヘッドホンを耳にし、パソコン画面に映る動画に魅入って薄笑いを浮かべている。
動画で流れているのは、国民的人気アイドル歌手・Chiharuのプロモーションビデオ。
室内は至るところ、Chiharuのポスターやグッズで埋め尽くされている。

ふと、ヘッドホンの音声に不調を感じ、ジャックを抜き取る。
スピーカーから漏れるChiharuの歌声に、ノイズが混ざる。
次第に画面に移るChiharuの動画も、揺らぎ始める。

ビリッ、という音。
壁に貼られた無数のポスターが、Chiharuの目の箇所からひとりでに破れ始める。

「何だよ……これ?」

乱れた画面に微かに映る、奇妙な映像。
顔中を包帯で覆った女。

「え……ちょ……おい!?」


昼食の盆を持って階段を降りる母親。
突如、部屋から大音量の歌声が流れ出し、盆を取り落とす。

息子の部屋のドアへ駆け寄る母親。

「輝夫さん、輝夫さん! ちょっと小さくして下さい! 音を小さく!」

ドアをドンドンと叩いた拍子に、ドアが開いて母は室内に踊りこむ。

「輝夫さん、入りますよ!」

床の血だまりが母の足を濡らす。

「ひっ……!?」

ようやく窓際のパソコンのもとに辿り着き、スピーカーの音量を下げる。
息子の姿はない。
足もとに血だまりがあり、その中に壊れた眼鏡がある。

母親が眼鏡を拾い上げたとき、背後で物音。
振り向くと、後ろの戸棚が開き、中から息子が転げ落ちる。

「輝夫さん……?」

顔をズタズタに切り裂かれた息子が、ふらふらと歩き……倒れ、事切れる。

「輝夫、輝夫!? 輝夫、輝夫ぉ!? 輝夫ぉ──っ!?」


テレビ局。

仕事を終えたChiharuが、マネージャーと一緒に帰途につく。

テレビ局員「お疲れ様でした〜」
Chiharu「お疲れ様」

2人が出口から出ると、待ち構えていたファンたちが、警備員に制止されつつ声援を飛ばす。

ファンたち「Chiharuちゃーん!」「Chiharuちゃーん!」
マネージャー「写真はやめてください! 写真はやめてください!」

無数にフラッシュがたかれる。
プレゼントや花束を差し出すファンたち。
Chiharuは差し出された色紙に、笑顔でサインをしたためる。


MASKED RIDER
仮 面 ラ イ ダ ー
THE NEXT


街中を埋め尽くすChiharuのポスター、宣伝グッズ。
あちこちで新曲『Platinum Smile』が流れている。
しかしその一方では、都市伝説のごとく不気味な噂が流れ始めている。


「ねぇ、知ってる? アイドルのChiharuの……」

「Chiharuの歌『Platinum Smile』、あれを聞くと殺されるんだって」
「マジかよ……!?」

「呪いの歌って、Chiharuの歌だろ? 死ぬんだぜ」
「『Platinum Smile』、恐ろしい〜……」


どこかの住宅街。
赤色灯を照らして救急車が駆けつける。

顔を毛布で覆った女性が担架で搬送されてゆく。


「『Platinum Smile』の曲の中には、呪いの声が混じっているんだ……」


本郷猛と一文字隼人が
秘密結社ショッカーを
裏切ってから2年──
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