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恐 怖 新 聞

第1話 序章


真夜中に 奇妙な新聞が来た

<<白の頁 霊の世界>>



〜 私たちの住んでいる この地球上には
科学では説明できない
不思議なこと 恐ろしい出来事が 
たくさん起きています
恐ろしい話 不思議な話
そして
不思議な力を持った人たちがたくさんいるのです
私たちの住んでいる この日本にも
もちろん 今 君たちが住んでいるこの町にも… 〜


私立 石堂中学校

1年生のとある教室で、『怖い話』をしている女子たち。
「その時、私の前の方に、黒い影がスーっと…」
「キャァ!怖い!イヤッ!」
耳をふさぐ女子。
そこへやってきたのは、同じクラスの鬼形 礼(きがた れい)。
この物語の主人公の少年だ…。
「やめろ、やめろ!ケッ!バカバカしい。
何が幽霊だい!そんなものあってたまるかよっ!
今は、原子力船が走り、宇宙ロケットが月へ行く時代だぞ。
幽霊なんかでるはずがねーじゃねぇか!!」
「でもね、鬼形君…、幽霊は本当にいるのよ。
科学の進歩とは関係ないのよ。
私は見ているし、他にも見た人はたくさんいるのよ!」
「ウソ言え!そんなこと、ウソっぱちに決まってら!」
「どうしてウソだって言えるのよ…?
自分が見たことないから?
自分が見たことのないものはウソだ!
信じないっていうのはおかしいわ。」
「ヘッ!なんてったって俺は信じないね。
俺は、自分が見てないものは、信じない!!」
あくまで耳を貸さない礼。
「…バカにしてるといいわ。
そのうち、自分の間違いに気がつくでしょ…!」
♪キーンコーンカーンコーン…♪


〜 霊が現れる時というのは 
別に 特別生臭い風が吹くとか
怖い感じのする夜とかは関係ない
むしろ 穏やかな日が多いようです

あの夜も…
ごく普通の 月の明るい夜でした… 〜


自分の部屋で寝ている礼。
しかし、最近なぜかよく眠れない。
「なんとなく眠れないなあ…
ここいく晩か、ヘンに寝つきが悪い。」
すると…
パタ、パタ、パタ、パタ…
外を誰かが走るような音が聞こえてきた。
「ん?人の走る足音だ!
こんな真夜中に、なんだろう?」
その足音は、だんだん大きくなってくる。
「近づいてくるぞ、こっちへ…!!」
その足音は、礼の部屋の窓のところで止まったかと思うと、
バサッ!と紙の束を投げるような音とともに、
不気味な声が聞こえてきた。

『しんぶ〜ん…』

パタ、パタ、パタ、パタ…
「足音が遠のいて行く…!?
新聞?…新聞って言ったな…今たしか。
おかしいじゃないか!こんな真夜中に。
今は夜中の十二時…
朝刊が届くはずもない。気のせいか?」
礼が、それを確かめようと窓を開けると…!!!!!
バサバサバサ…!
「うわぁ〜〜っ!」
突然、外からモヤモヤとした霧のような空気と共に、
何枚もの新聞紙が、礼の部屋に入り込んできたではないか!!
「うわ…わわ…ああ…」
びっくりしてシリモチをついた礼の目の前で、
そのバラバラだった新聞紙が、1枚、また1枚と重なっていく!
「し、し、新聞が!まるで生きてるみたいにっ!!」
やがて、きちんと1部の新聞になった新聞紙…。
礼は、恐る恐るその新聞を見た。
「き…『恐怖新聞』??!!
いったい、これはっ…?
『霊魂は実在する』?」
記事を読む礼。
「『霊があることを信じない君のために、これから毎夜、
真夜中にこの新聞を配達する。
君は必ず霊の存在を認めざろう得なくなり、
その恐怖に脅かされるだろう』…??」
礼は真っ青になり、汗びっしょり。
「悪質ないたずらだ!!」
…と、ある一つの記事が礼の目に飛び込んだ。
「??『中学教師 交通事故で即死』…!
こんなっ…そんなバカなことっ…!
だいいち、この記事はなんだ?
四日といえば、明日のことだ。
明日…東尾先生が事故で死んで…!?
僕が、その目撃者になった…と書いてある。
…いくらなんでもそんなっ!
信じられるもんかっ!!」

次の朝、学校へ向かう礼。
そこへ、東尾先生(女)が歩いてきて声をかけた。
「おはよう!鬼形君。」
ちょっと驚く礼。
「あっ、東尾先生っ!
先生!昨日、夜中家へヘンな新聞が来たんだ。
それに、先生が今朝、学校の前で死ぬって…」
「いやよ、鬼形君!悪い冗談は言わないでっ!
怒るわよっ!」
「ウソじゃないんだ!俺、ちゃんとその新聞持ってきた。
見てよ、先生!」
カバンから、新聞を取り出し、先生に渡す礼。
しかし…
「何よ、これ、普通の新聞じゃないの!」
「そんな…そんなはずはっ!」
礼がその新聞を見てみると、
『恐怖新聞 』と書かれていたはずのところには、
『朝田新聞』の活字が入っている!!
「『朝田新聞』…!?おかしい!
俺は確かに…
確実にあの『恐怖新聞』をカバンに入れたんだ!
他の新聞を間違えて突っ込んだんじゃない…!
だいいち、家ではこの『朝田新聞』はとっていないんだから!」
「ヘンな子!きっと夢でも見たんでしょ?
先生は行きますからねっ!」
あきれたようにそう言って歩き出した先生。
するとそこへ、一台の車が猛スピードで…!!!

ビビーーーーッ!!キィィィィィッ!!!

「キャーーーーーッ!!」

ガッシャーーーン!

「あーーーーーっ!!!!!」
なんと、先生は、礼の目の前で車にはねられてしまった…!
血だらけの先生を残し、走り去る車。
「あっ!!せ、先生っ!!!」


〜 そうです
恐怖新聞に書かれた記事は
必ず 実際に起こるのです
そして それから真夜中になると
鬼形少年のもとに
恐怖新聞が届けられるようになったのです 〜


夜中、礼が寝ていると、
パタ、パタ、パタ、パタ…
また、あの足音が!
「来たっ、やっぱり…。
ど、どうしよう…?
見るべきか…それとも、見るのをよそうか?」
その時、足音が窓のところでピタッと止まり、
バサバサバサ…
『しんぶ〜ん…』
同じように、紙の音と不気味な声が…。
思わず目を閉じる礼。
「だ、だめだっ!よそう。
見れば…命が百日ちぢむ…!!
そうだ、窓を開けなければいいんだ!
そうすれば、新聞は入ってこずに…。
明日の朝になれば、普通の新聞に戻ってしまう。」
礼は、そう考えた…が!
パタ!パタ!パタ!
バサーーーッ!!
ギシギシギシ…
礼が、その音に震えていると、
ガッシャーーーーーン!!
窓ガラスを突き破り、飛び散るガラスの破片と共に、
新聞が飛び込んできたっ!!
「わあああああああ…」
愕然とする礼。
「し、新聞が、雨戸とガラスを突き破って!!
か、考えられないっ…」
部屋の中を、ふわりふわりと舞う新聞。
その中の1枚から、ふ〜っと白い煙のようなものが立ち昇り、
どこからともなく、こんな声が聞こえてきた。
『フフフフ…どうだね?恐ろしいかね…?
ヘッヘッヘッヘ…』
すると、その煙の中に、
恐ろしい男の顔が浮かび上がった!
『声も出せないようだな…
へへへへ…』
「し、死神っ??」
『違うね…、死神がやってくるのは、
人間が死ぬ瞬間さ…
俺は人間だった時、新聞配達夫だったのさ…
俺には毎日、
新聞を配達しなければならない使命があるんだ。
それを邪魔しようとするヤツは許さない!!
お前は、恐怖新聞を読むんだ…
読み続けるんだ…
ハハハハハ…
それがお前の運命だ。
俺の恐ろしさを侮るなよ…
新聞配達の邪魔をするヤツは、
こういうめにあわせることもできる!』
突然、机の上のナイフが、
ひとりでに礼に向かって飛んできた!
それは、礼の顔のすぐ横の壁に突き刺さった!
グサッ!!
「うわっ!!ナ、ナイフがっ!!!」


「…恐ろしいことです。
僕にとり憑いた憑依霊は、
僕の命を百日ずつ減らしながら、
無理やり『恐怖新聞』を読ませるつもりなのです。
僕はやがて死ぬでしょう…

せめて…

これから、『恐怖新聞』にどんなことが書いてあるのかを、
続けてお見せしていきたいと思うのです…」


― 終 ―

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