戻る TOPへ

1985年版第1話


 (大都会。ビルが立ち並び、大量の車が行き来する)
 (その一角で工事中、クレーン車やブルドーザーが動き、大勢の人たちが働いている)

 ピシャーッ!ゴロゴロ!(にわかに雷鳴がとどろき、作業員たちが首を傾げたその時!)

作業員「ん? うわーーーーーー!」

 (なんと、ブルドーザーやらクレーンやらが勝手に動き出した。逃げ惑う作業員)

作業員「ど・どうしたんだ!? 勝手に動く!」

 ドガアアアン!! (ブルドーザーやダンプカーが衝突して大破)





ゲゲゲの鬼太郎・第一話 謎の妖怪城出現!




 (場面変わってどこかの公園。ドラマの撮影が行われている)

監督「ヨーイ・・スタート!」
ピエロ「この哀れなピエロに、ほんの少しの愛をかけて下さい・・・・」
少女「あなたのような馬鹿たれピエロには愛なんかあげられないわ! さっさと消えておしまい!」

 (その時、一陣の風がふく!)

スタッフ「うわああああああ!」
少女「きゃあああああ!」

 (風が吹き終わると少女の姿が無い)

ピエロ「・・・・消えちゃった?!」



 (また場面が変わってゲームセンター。少年たちがプレイしている)
 (そこに入ってくる黒い紐のようなもの。少年の一人に絡みつく!)

少年「ううううっ!うわあああああああ!」

 (紐に絡まれた少年は窓の外へ。そこには黒い影が)

少年「うああああああああああああああああ!」

 (その様子を見て騒ぐ野次馬たち。その中にいるのは・・・・)

ねずみ男「どけどけどけどけどけ!」

 (野次馬を書き分けて現れたのは不潔なねずみ男。その悪臭に耐えかねた野次馬が離れてく)

ねすみ男「ん!あれは!?」
?「ハハハハハハハハハハハハハハハハ!」

 (甲高い笑い声を上げつつ、少年を確保した黒い影はいずこかへと去った)



 (さらに別の場面。塾通いの少年が家路に着く)

少年「ふんふんふんふん♪」
?「グッフッフッフッ」

 (鼻歌交じりで走っていく彼の前に現れたのは、巨大な顔だけの化け物!)

?「グフフフフフフフ」

 (化け物は得体の知れない粘液を飛ばして少年を固め、そのまま連れ去ってしまう)




(こちらはゲゲゲの森にある鬼太郎の家。テレビではニュースをやっている)

アナウンサー「今日各地で、原因不明のまことにもって不思議な誘拐事件が続出、人々を不安に陥れております」
「被害届けを受けた警察などが、科学調査班などを編成して目下調べておりますが、今のところなーーんにもわかっておりません」

 (茶碗風呂に入る目玉の親父。お湯を足している鬼太郎)

鬼太郎「誘拐? 父さん、ひょっとしてこの仕業は?」
目玉「ふーーん 子供を攫ったあの手口はどーも人間とは思えんなあ」

 (二人が話している間も、アナウンサーの台詞は続く)

アナウンサー「ところが、この一連の事件は妖怪の仕業だと断定する方が現れました」

 (なぜか言葉を切り、ガスマスクをつけるアナウンサー)

アナウンサー「ご紹介しましょう」
鬼太郎「!?」
目玉「ひゃああっ!」

 (映像を見て驚いた鬼太郎、急須の蓋を落す。それをかぶって茶碗に沈む目玉の親父)

アナウンサー「妖怪研究の第一人者・ねずみ男さんです」
目玉「あいつめ!」
アナウンサー「先生、本当に妖怪の仕業だと?」
ねずみ男「信じないんですか!?」
アナウンサー「いやしかし、この科学の世の中に妖怪だなんて・・・・・・」
鬼太郎「父さん、まさかねずみ男が妖怪の手引きを・・・・・・」
目玉「きたろう!きたろう!」

 (妙に苦しそうな目玉。見てみると入れすぎた茶で溺れている)

鬼太郎「父さん! 大丈夫ですか・・・?」
目玉「へへへへへ・・・いやはや・・・・」「鬼太郎こうしちゃいられん すぐに出発じゃ!」
鬼太郎「はい!」

 コトコトコト (どこからかやつてきたリモコン下駄を履き、鬼太郎が動き出した)
 カランコロン (下駄の音を響かせながら歩いていく鬼太郎)

 (一方、テレビでは相変わらずねずみ男が得意顔)

ねずみ男「視聴者のみなさんご安心を! このお守りさえあれば妖怪に取り付かれることは絶対にありませんぞ!」

 (怪しげなお守りをみせるねずみ男)

ねずみ男「カメラさんズームイン!ズームイン!」「本日の限り千円の所を、特別に半額五百円でお分けいたします!」
アナウンサー「・・・あ、あの、ところで先生それはそれとして、万一誘拐の犯人が妖怪だとしたら、私たちはどんなことに
気をつければいいのでしょうか?」
ねずみ男「フフフフフフフ、簡単です!」

 (いいながら板を取り出す。それには『妖怪なんでも相談所』の文字が)

ねずみ男「少しでも不安のある方は、ここへ相談に来てください! 相談料はたったの一万円!」
「私に任せれば大丈夫。妖怪はみんな私の言うことなら何でもききますから・・ウフフフフフフ・・・ウへっ!」

 (突然テレビに異変が。ねずみ男が黒い紐に縛られる)

ねずみ男「ひ・・・苦しい!!」
アナウンサー「うわあああああ!」
?「ハハハハハハハハハハハハ!」
ねずみ男「助けてーーーーーーーーーー!!」

 (高笑いする黒い影がねずみ男をどこかへ連れ去った)



 (さてこちらは鬼太郎。現場に到着し、さっそく妖怪アンテナの髪の毛を立てる)

鬼太郎「・・・・・・・」
目玉「こんなところに妖怪が・・・・?」
鬼太郎「かなり強く感じるんです」


 (雷鳴がとどろいて雷が落ち、地面に埋まっていた祠のようなものが現れる)

目玉「き・・鬼太郎ありゃ!」
鬼太郎「!?」

 ズゴゴゴゴゴゴ!!!(凄まじい地鳴りと共に、地面から巨大な建物・妖怪城が姿を現した!)

鬼太郎「父さん、あれは?!」
目玉「ふむ、妖怪城じゃ!」

 ピーポーピーポー(異変に気づいたパトカーが群れを成してやってくる。その様子を見ているのは・・)

二口女「ハハハハハハハハハハ!!」
目玉「ムッ!あれは二口女じゃ!」
二口女「アッハハハハハハハハハハハハハハハ!!」

 (甲高い笑い声をあげる二口女。蛇のような髪の毛を伸ばしてパトカーを持ち上げる)

警官「うわああああ!!」

 ズガガガアン!(放り投げられたパトカーが別の機体とぶつかって爆発!)

 (さらに上空から、風に身を包んだ妖怪が現れる)

目玉「かまいたちもいるぞ!」
二口女「ハハハハハハハハハハハ!!」

 (妖怪城のてっぺんで何かが光っている)

鬼太郎「あの一番上で、青く光ってる目は何だろう?」
目玉「ふーーーーんーーもしかしたらあれは・・・・これはえらいことになったぞ!」
鬼太郎「僕が調べてきます!」

 (言いながらかけだす鬼太郎)

目玉「こら、まて鬼太郎! お前一人で太刀打ちできる相手じゃないぞ!」

 (目玉の声に反応せず、ひたすら妖怪城まで走る鬼太郎)
 (その城付近では、警官隊が包囲していた)

警官「お前たちは包囲されている!そこから出てきなさい!」

 (近づく鬼太郎だが警官に止められる)

警官「これこれ、子供は危険だから近寄っちゃいかんよ!」
鬼太郎「相手はたちの悪い妖怪です! 妖怪のことは僕に任せてください!」
警官「何ーー? 馬鹿なそんなものがいるわけないだろう」
目玉「そんなことを言ってる場合じゃない。この子の言うとおり、早く道をあけなさい」
警官「はーーーーっ なんとうまくできた目玉のロボット・・・」
鬼太郎「だめだこりゃ・・・・・・・」




 (鬼太郎と警官が押し問答を続けていた頃、妖怪に攫われたねずみ男は・・・)

ねずみ男「いいいえええ、滅相も無い!うわあ!」
二口女「こらねずみ、言いたいことをいっとったな!」
ねずみ男「そそそそんなこと・・・・」
かまいたち「俺様たちがお前の言うことを何でも聞くだと?」
ねずみ男「あ、あれはほんの営業上の言葉でして、へへへへ! どうかに気になさらないで・・」
?「ねずみ男よ!」
ねずみ男「へーっ!」

 (声の主は、巨大な顔だけの妖怪たんたん坊)

たんたん坊「これからわしの言うことをよーーく聞け」
ねずみ男「はいーーーー! 先生のおっしゃる事でしたらなんでも!」
たんたん坊「手当たり次第、子供を攫ってここへつれて来い」
ねずみ男「へへへ、お安い御用で。でも・・またどうして?」
かまいたち「攫った人間をみんな妖怪にしてしまうのさ、ヒヒヒヒヒヒヒ!」
子供たち「しくしくしくしく・・・・・・・」

 (攫われた子供たちが牢屋で泣いている・・・・)

子供たち「・・・・・・・」(ニヤ)

 (と、思いきやちゃっかり脱出を図っている)

二口女「ここを拠点に仲間を増やし、我々が人間に取って代わりこの世を治めるのさ!」
ねずみ男「はーーーーまことに結構なご計画で! え、あのもうひとつお聞かせください」
たんたん坊「なんだ?」
ねずみ男「どうして子供ばかりを?」
たんたん坊「妖怪にするには人間として未熟な奴が一番だからな」
子供たち「・・・・・・・」 (牢屋の天井から脱出しようとしている)
たんたん坊「特におちこぼれが一番いい」
子供たち「・・・・・・・・!」 (バランスを崩してひっくりかえる・・・と思ったら)


カランコロンカランコロン

かまいたち「・・・・?」
二口女「・・・・あの音は!」
ねずみ男「・・・! き、鬼太郎の!」

 (下駄の音を響かせながら鬼太郎登場。妖怪城を探索する)

鬼太郎「・・・・・・・・・・」
目玉「鬼太郎、気をつけろ!」

 (目玉の警告通り、目の前にはたんたん坊が)

たんたん坊「ぐっへへへへへへへ!」
目玉「そいつは恐るべき妖怪・たんたん坊じゃ!」
たんたん坊「よく来たな鬼太郎・・・」
目玉「鬼太郎! 奴の目を見るな!」
たんたん坊「ハハハハハグッハハハ!」

 (怪しく笑いながら眼を光らせるたんたん坊)

鬼太郎「くそう・・・!」

 ブボ!(口から何かを吐き出すたんたん坊。それはトリモチのように粘ついている)

鬼太郎「・・・・くっ!」

 (連続で繰り出されるトリモチをよける鬼太郎)
 (トリモチのみならず、体当たりでも攻撃するたんたん坊)

鬼太郎「うわあああ!」

 (たまらず城の外へ逃げる鬼太郎)

ねずみ男「ああっ! 逃げたぞ!」

 (逃げる鬼太郎にトリモチを吐きかけるたんたん坊)

鬼太郎「・・・・・・・うわああっ!」

 (トリモチは鬼太郎を包み、石のように固まってしまった!)
 (そこに近づくねずみ男)

ねずみ男「この馬鹿たれ! 余計な所へしゃしゃり出て来るからだ!」

 (その様子を確認したたんたん坊、姿を消す)

ねずみ男「へへっ!たんたん坊先生のトリモチ唾液はな、ニカワのように体に張り付き、あらゆるものを固めてしまうのさ!」

 (得意げに説明するねずみ男だったが、地面からでてきた手に足を掴まれる)

ねずみ男「うおああれーーーー!」

 (地面から出てきたのは鬼太郎だった。ひっくりかえったねずみ男は、そのままのしかかられる)

ねずみ男「き、鬼太郎、お前!」
鬼太郎「そう簡単にやられてたまるか!」

 (いいながらねずみ男のヒゲを引っ張る鬼太郎)

ねずみ男「いてーーーーーー!」
鬼太郎「攫った子供たちは何処だ!? 知らないとはいわせないぞ!」
ねずみ男「・・・・・・このう!」
鬼太郎「うわーーーー!」

 (ねずみ男に足をとられてひっくりかえった鬼太郎)

ねずみ男「へへへへへ! 俺は力のある者に仕えるのが生きがいなんだ!」
鬼太郎「お前のような、人間と妖怪との間に生まれたハンパ妖怪なんかにもう用は無い!」バシュ!
ねずみ男「痛えーーー!!」

 (リモコン下駄を飛ばしてねずみ男をダウンさせる鬼太郎)

鬼太郎「子供たちは俺が捜す!」

 (駆け出してゆく鬼太郎だが・・・その様子を見ていた二口女が動き出した)
 (蛇のような髪の毛が鬼太郎を縛り上げる!)

二口女「キャハハハハハハハ!」
目玉「鬼太郎!」
鬼太郎「うわあっ」

 (縛られた鬼太郎。そのまま二口女の所にまで運ばれる)

二口女「アハハハハハハ・・・グァワワワワ!!」

 (振り向いて後頭部を見せる二口女。そこには大きな口が!)

二口女「グアアアア!」
鬼太郎「くそう! 二口女め!」
二口女「グアアアアアアアア!」
鬼太郎「・・・・・!」

 (追い詰められた鬼太郎。おもむろにオカリナを吹き始める)

鬼太郎「♪♪〜♪〜♪〜」



 (その頃、子供たちは脱出を頑張っていた、が・・・)

子供「もうちょっと・・・・・」

 ガタン!(倒れた物音が響く)

かまいたち「?! くそう・・・・このやろう・・・!?」

 (子供たちが逃げようとしたことに気づいたかまいたち)

かまいたち「静かにしろい!」

 (子供たちをたんたん坊の前に放り出すかまいたち)

かまいたち「どうするよ? たんたん坊?」
たんたん坊「そうさな・・・・・」

 ビカーーーー!(眼から光線を放つたんたん坊。それを浴びた子供たちは石に!)




 (その頃の鬼太郎。二口女に締め上げられている)

二口女「アハハハハハハハハ!」
鬼太郎「ぐうううう!」
目玉「鬼太郎!」




 (そしてねずみ男。たんたん坊の所に急いでいる)

ねずみ男「たんたん坊さまーーーーー! 鬼太郎の奴が・・・・・!」

 ズゴ!(石になった子供たちにひっかかって転んだねずみ男)

ねずみ男「おおおおおいてええ! うん? ありゃああなるほど!」

 (石になった子供たちを見て感心しきりのねずみ男)

たんたん坊「鬼太郎がどうしたんだ?」
ねずみ男「へ? あ、あああそうだ! 鬼太郎の奴が愚かにもこの城に乗り込んできたんで!」
かまいたち「だから、どうした?」
ねずみ男「え、どうしたってあの・・・・・・そ・・そうですよね! 先生たちが鬼太郎ごとき小童に!」
たんたん坊「鬼太郎は今頃、二口女に食われているわ!」
かまいたち「ちょっくら様子を見てくらあ」
ねずみ男(鬼太郎が・・・・?)




 (当の鬼太郎。二口女との戦闘は続いている)

鬼太郎「えい!」
二口女「あああああああ!」

 (髪の毛針で二口女をひるませるも、すぐに持ち直す)

鬼太郎「うわああああ!」
目玉「鬼太郎!」
鬼太郎「父さん、もうだめだー!」

 (鬼太郎・絶体絶命。その時・・・!)

二口女「うわあ! 眼が!」

 (どこからか飛んできた砂が二口女の顔に命中)

鬼太郎「!」
砂かけ婆「鬼太郎! 遅くなってすまんかったのう!」
鬼太郎「砂かけ婆!」
二口女「ああああああああああああ!」
鬼太郎「危ない!」
二口女「うあああああああああああああああああ!!!」

 (砂で視力を失った二口女。妖怪城から落下していく)
 (そこに現れたかまいたち)

かまいたち「よくも、二口をーーーーーーー!! てりゃあ!」

 (風を纏い、自らが刃と化したかまいたちが鬼太郎と砂かけに襲い掛かる)

かまいたち「ひひゃひゃひゃひゃひゃ!!」
鬼太郎「うわああ!」
砂かけ「ひええええ!」

 (城の柱をぶった切りながら襲い来るかまいたちになす術のない二人)




 (その頃のねずみ男。石像となった子供たちを運んでいる)

ねずみ男「ふえええ!重かった!」「・・・こうして見るとなかなかいい置物ですねたんたん坊先生?」
たんたん坊「ねずみ男、もっと幼くてピチピチした子供を攫って来い!」
ねずみ男「はい、わかりましたあ!」

 (ねずみ男がやる気を見せた時、妙な声が聞こえきた)

?「オギャア!オギャア!」
たんたん坊「なんだあの声は?」
ねずみ男「は、あ?はあ?」
たんたん坊「赤ん坊まで攫ってきたのか?」
ねずみ男「いいいいいえええそ、そんな!? ちょっと見てきます」

 (赤ん坊の泣き声の元を見に行くねずみ男)

ねずみ男「そ、そ、そこにいるのは・・・・誰だい!?」

 (商事の向こう側に居た声の主は・・・・)
 
児泣き爺「えっへっへっへっへっ・・・」
ねずみ男「ひっ!こ、ここここ児泣き爺!! ひえ〜〜〜〜〜!」

 (あわてて逃げようとするねずみ男だが。児泣きにしがみつかれる)

児泣き「久しぶりじゃのうねずみ男」
ねずみ男「うわ〜〜〜重いい〜〜!」
児泣き「わしの重さに耐えられるかな?」

 (石となった児泣き爺に押しつぶされるねずみ男)

児泣き「さあ!鬼太郎はどこじゃ!? 攫った子はどこじゃ!?」
ねずみ男「うおああ・・・・・・」

 (重みに耐えかねたねずみ男が床に沈む)




 (一方、鬼太郎と砂かけは・・・・)

砂かけ「鬼太郎、はやく逃げろ!」
鬼太郎「うん!」
砂かけ「ぬ〜〜〜うわあ!」

 (鬼太郎を逃がしかまいたちを迎え撃とうとする砂かけだが、あっさり突破される)

かまいたち「いっひひひひひひひ!」

 (再び逃げる二人。だが・・・・)

砂かけ「ありゃあ、行き止まりじゃ!」
鬼太郎「この穴へ!」

 (だが逃げようとした穴からかまいたちがあらわれる)

かまいたち「いっひひひひひひひひひ! さあ、もうこれまでだな・・・?」
?「そうはいかんばい!」

 (声と同時に現れたのは・・一反もめん!)
 
かまいたち「うわあああ!」

 (かまいたちにまとわり着いて縛り上げる一反もめん)

鬼太郎「一反もめんも来てくれたのか!」
一反もめん「鬼太郎ここはわしが引き受けた、はやく子供たちを!」
鬼太郎「うん! じゃ、頼んだよ!」

 (そういって駆け出す鬼太郎)

かまいたち「く、苦しい〜」
砂かけ「かまいたち、この城を元の地中に戻すにはどうすればいいんじゃ?」
かまいたち「そんなことは知らん!」
一反もめん「白状しろって!」




 (砂かけたちと別れてひとり城内を探索する鬼太郎)

鬼太郎「・・・・すごい妖気だ!」
目玉「気をつけろ!鬼太郎!」
鬼太郎「たんたん坊!! 出て来い!!」
たんたん坊「俺ならここだ鬼太郎・・・・・」
鬼太郎「たんたん坊! 子供たちを何処へ隠した!」
たんたん坊「お前の知ったことか! 俺の仕事の邪魔をするな!!」
鬼太郎「!?」

 (畳が飛んでくるが、身をかわす鬼太郎)

鬼太郎「なぜ人間にこんな仕打ちをするんだ!?」
たんたん坊「お前も妖怪ならわかるはず・・・・昔の人間は我々とお互いにうまくやってきた・・・・・それが今ではどうだ!」
「人間どもはこの世に住んでいるのは自分たちだけだと思っていやがる! その思い上がりが許せんのだ!!」
鬼太郎「だからといって罪も無い子供たちを攫うなんて! おっとっっ!」

 ゴゴゴゴゴゴ!!(地鳴りと共にたんたん坊が姿を現す)

たんたん坊「お前こそそんな馬鹿な人間どもに味方などせず、俺のために働かんか?」
鬼太郎「誰がお前なんかと!!」
たんたん坊「何〜〜〜〜!」ブシュッ!

 (得意のトリモチ唾液を放つたんたん坊。畳返しで避ける鬼太郎)
 (それと見たたんたん坊は、巨体で鬼太郎を押しつぶす!)

鬼太郎「うわあああっ! く、苦しい〜〜〜!」
目玉「鬼太郎!しっかりしろ!」
たんたん坊「・・・どわっ!」

 (攻撃を続けていたたんたん坊だが、突然苦しむ。助っ人に来た砂かけ婆の砂を右眼に受けたのだ)

砂かけ「鬼太郎!逃げろ!」
鬼太郎「ああ!」

 (たんたん坊の下から這い出す鬼太郎)

たんたん坊「おのれ〜〜!」ブヒュッ!

 (唾液を飛ばすも、突然現れた壁に防がれる)

鬼太郎「ぬりかべ!」
ぬりかべ「ぬりかべ〜〜〜〜〜」
たんたん坊「き、きさまあ〜〜!」

 (唾液を飛ばすが全てぬりかべに防がれるたんたん坊)

砂かけ「鬼太郎、今じゃ!」
鬼太郎「食らえ!」

 (チャンチャンコを投げつける鬼太郎。それはたんたん坊の左眼に命中した!)

たんたん坊「うわああ〜〜〜眼が〜〜〜〜〜見えない!?」

 (視力を失いもだえるたんたん坊。ついには、穴から落ちていく)

たんたん坊「うわああああああああ〜〜〜〜〜〜〜!!!」


 (その頃、ねずみ男と児泣き爺は、石になった子供たちを見つけていた)

ねずみ男「これでやんす」
児泣き「よし! 鬼太郎!! 子供たちはここじゃ!!」
鬼太郎「あの声は!」

 (声のするほうに走る鬼太郎と砂かけ婆。児泣き爺と合流する)

鬼太郎「児泣き爺!」
児泣き「鬼太郎!」
ねずみ男「〜〜〜〜〜重い〜〜〜はああ〜」

 (石を持っていたねずみ男。重さに耐えかねて地面に下ろす)

鬼太郎「あれ? 石になっちゃってる?」
ねずみ男「さ〜て、これをどうやって戻すかそれが問題だ」
鬼太郎「とぼけるんじゃない! お前知ってるんだろう!」
ねずみ男「そればっかりは知らんもんなあーー」
児泣き「鬼太郎、こいつに聞いても無理じゃ。のう、砂かけ婆?」
砂かけ「ああ、それなら今頃、一反もめんがかまいたちから聞き出しているころじゃろう」
鬼太郎「かまいたちに!?」
目玉「おい、鬼太郎!」
鬼太郎「うん!」

 (走っていく鬼太郎)

児泣き「さ、城の外へ運び出すんじゃ!」
ねずみ男「へいへいへいへい、トホホホホホホ〜〜 と、ん?」
児泣き「?」
鬼太郎「!?」

 (いっせいに異常を感じる面々)



一反もめん「城が沈むぞ〜〜〜〜〜!!!」




 (城全体が揺れ始めたのだ。脱出を図る妖怪たち。ねずみ男は石像を運んでいる)

鬼太郎「石になった子供たちはどうしたのかな!?」

 (と、ねずみ男の運ぶ石像に異変が。だんだん大きくなって・・・・)

ねずみ男「あありゃななんだ?! や、やけに重くなってきた・・・だめえだめえ〜!」
子供たち「元に戻ってる!」「助かったぞ〜〜〜!」

 (石像から元に戻った子供たち。ねずみ男をふんずけて外へ飛び出す)

児泣き「こうらっ!ねずみ男、のびてる場合じゃないぞ!」
砂かけ「お前も城と一緒に沈みたいか!」
ねずみ男「どわああ〜〜〜〜〜!!」


 (みるみるうちに妖怪城が沈んでいく・・・・・・・・)



 (平和を取り戻した町の公園。鬼太郎たちが集まっている)

鬼太郎「この石塚を元通りにしたら、城が沈み始めたんだね」
一反もめん「かまいたちのやつ、ぶつぶつ文句ば言って地中に戻ってったぞ」
砂かけ「ねずみ男がおらんのう?」

 (なぜか大勢の人だかりの前で演説しているねずみ男)

ねずみ男「かくして、私ねずみ男が命をかけて敵の妖怪に立ち向かい、あっ!バッタバッタとなぎ倒し、首根っこをつかまえて
あっ!ギュウギュウと、もうこの世に出てきては相成らんと・・・・・・・!!!!」
鬼太郎「相変わらず調子のいいやつだなあ・・・・」
児泣き「人間どもに気づかれんうちに俺たちは引き上げようぜ」
鬼太郎「みんな、どうもありがとう!」
妖怪たち「「じゃあなあ!」」



 (鬼太郎以外の妖怪たちは、いずこかへと姿を消した・・・・・・・・)

inserted by FC2 system