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?(風・・・・・・雲を吹きはらう風・・・野原を押しわたる風・・・風・・・風・・・風・・・)
 (あんな風になれたら・・・そしたら・・・)

  (どこかの丘で寝転がって物思いにふける少年)
  グゥゥゥゥ〜(空腹らしく大きく腹が鳴った)

少年「・・・そしたら今すぐうまい物のあるところへ飛んで行って・・・好きなだけ喰い逃げしてやるのによっ!」
?「キュイ!」

  ボス!(と、寝転がった少年の顔を踏んでいく不思議な生き物)

少年「なにすんだよキュイ!」
キュイ「キュイ! キュイ!」
少年「なんだよ後ろ・・・?」
  「・・・!」

  (なにやら少年の後方に足を伸ばすキュイ。少年が後ろを振り返ると、何かが空を飛んでいる)

少年「ドラゴンに・・・人が乗ってる!!」

  (それは槍を持ち、竜に乗って空を飛ぶ騎士だった)





●第1幕 出会いの街






少年「ド 竜騎士(ドラゴンナイト)だ!」「すげーや! 竜騎士って本当にいたんだ!」
  「行くぞキュイ! こいつは何がなんでも弟子にしてもらわなきゃ!」
キュイ「キュ!」

  (キュイをつれて走り出す少年)

少年「竜騎士になれれば・・・竜騎士になってあんなふうに大空を飛べたら」
  「風になれる!!」

  (希望に眼を輝かせる少年)



  (一方、当の竜騎士は森に降り立っていた)

竜騎士「人目につかんように低空で侵入したつもりだったが・・・」「妙なガキに見られたな」

  (被っていた兜を脱ぐ竜騎士)

竜騎士「フォベトール! 念のため お前はここを動くな! 街で情報を集めてくる」

  (ドラゴンに声をかけ支度を整える竜騎士)



  (ここはタルチネア王国領カンビアール。市が立っているようだ)

商人「らっしゃいらっしゃい」「月に一度の定期市だー! 買ってかないと損するぜぇ!!」


  (人々が行き交う中、物陰に隠れながら進むのは先ほどの少年)

少年(あいつだ!! あの黒マント さっきの竜騎士だ!)


  (黒マントを着た竜騎士は、市の老人に話しかけている)

竜騎士「ちょっとものを尋ねたいんだが・・・」
老人「へい?」
竜騎士「この辺りで飛竜(ドラゴン)に乗った男のうわさを聞いたことないか?」
老人「飛竜に? そりゃ竜騎士のことかね? 竜騎士ならとうの昔に滅びたぞ 知らんのかねお客さん?」
  「知らんのなら語ってしんぜよう 今をさること十年前・・・」
竜騎士「え? いや オレの聞きたいのは・・・」
老人「大陸の北の果て 竜騎士の国ウインディアは突如隣国のニヴラス帝国に攻めこまれた!」

  (困惑する騎士をおいて盛り上がる老人)

男「あんちゃん あんちゃん このじーさんに昔話させとくと日が暮れるまでおわんねーよ」

  (竜騎士の様子を見かねたのか忠告してくれる男)

老人「時の国王ストルム三世は 自ら飛竜にまたがって雲霞のごとく押し寄せる帝国軍の本陣へわずか数十騎で斬り込んだ!」

  (講談調に盛り上がる老人。それを尻目にこそこそと逃げ出す竜騎士)

?「待て」
少年「!?」

  (その場を去ろうとした竜騎士に声をかけたのは兵士だった)

兵士「竜騎士を捜しているとは怪しい奴・・・」「さてはきさまウインディアの残党か?」
竜騎士「・・・・・・・・・だったらどうした?」

  (兵士の言葉に振り向かず返事をする竜騎士)

?「既に滅びた騎士団の残りカスを集めてどうしようと言うのかね?」
 「よもや我がニヴラス帝国に勝てるとでも思っているのではなかろうね?」

  (そう語りながら、兵士を率いる隊長らしき男が現れる)

少年(ニヴラス帝国・・・!)
隊長「愚かだよ君それは・・・我々は君のような愚かな男を始末するための残党狩り部隊でね」
  「諸君 この男の手足をチョン切って連行したまえ」「このエキルが直々に尋問してさしあげよう」

  ザザッ(隊長であるエキルの命令で、剣を抜いた兵士たちが竜騎士を取り囲む)

エキル「そうだな 一応名前くらいは聞いとこうか」
竜騎士「オレか・・・?」
   「オレはマズル=ハリアー」
少年「マズル・・・ハリアー・・・!」

  (マントを翻す竜騎士マズル)

マズル「覚えておくといい お前たちにとって一生忘れられない名前になるだろうぜ」
エキル「かかれぃ!!」

  (背中に差した剣を抜く構えを取るマズルに対し、一斉に襲い掛かる兵士)

  ブ ン(剣を豪快に振り下ろすマズル。それを受けた兵士は頭から真っ二つに)

兵士「ぎゃっ!!」
  「な 何!?」

  (さらに剣を振るい兵士を一刀両断にしていくマズル)

兵士「ぐぅ!」
  「ふが!」

  (あるものは胴切りにされ、あるものは首をはねられる。その姿に恐れをなす兵士たち)

兵士「つっ強い!」
  「こいつムチャクチャ強いぞ!!」

少年(ほんとに強いや! こりゃすごいアニキに会っちゃった!)

エキル「おみごと!」

  パチパチ(部下たちを倒されながらなぜか拍手をするエキル)

エキル「その重そうな両手剣を軽々とふりまわす腕力 鮮やかな剣さばき・・・わたしの部下が何人束になっても歯が立ちそうもない」
   「剣では・・・ね」

  ニヤッ(口元に笑みを浮かべるエキル)

  (見ると、周囲の建物の上に弓を構えた兵士たちが)

少年「きたねえ!飛び道具なんて!!」
エキル「勝負あったな」「剣を捨てれば命だけは助けてやってもいいがね」
マズル「・・・・・・・・・」

  (弓で狙われているマズル)
  ブン!!(と、何かが飛んできて矢を落とした)
  (突然のことに驚くマズルとエキル)

少年「アニキ! 今のうちだ!!」

  (見ると少年がブーメランを持って叫んでいる)

マズル(・・・あの小僧は!)

  ビュッ!(ブーメランを投げる少年)

弓兵「わ!」

  (次々と兵士が構えた弓の弦を切っていく)
  (すかさずその場から逃走を図るマズル)

兵士「うわっわっ」

  (浮き足立った兵士のすき間をぬって逃げるマズル)

エキル「おっ追え!! ガキの方もつかまえろ!! 断じて逃がすな!!」



  (路地裏に逃げ込んだマズル。息を切らしている)

マズル「ハアハア ふっ・・・どこのガキだか知らんが助かった」
?「いえいえどういたしまして」
マズル「!」
少年「よ!」

  (突然の声に驚くマズル。見ると壁の上から少年が現れて降りてくる)

少年「お互い逃げきれたみたいだね」
マズル「おまえ・・・さっき丘の上でねっころがってた・・・」
少年「あ 気づいてたの? あれからアニキを追っかけて来たんだ」「オレ ゼファ!」「オレを弟子にしてくれよアニキ!!」

  (眼を輝かせて言う少年ゼファ)

マズル「はあ?」
ゼファ「竜騎士になりたいんだ!」
マズル「竜騎士に・・・? 今時何故・・・?」
ゼファ「風になるんだ!!」「風みたいにどこまでも空を飛びたいんだ!!」
マズル「・・・風?・・・・・・・・・それだけか」
ゼファ「うん!」
マズル「ゼファっていったな・・・聞けよ」「竜騎士なんてのはな・・・・・・」
   「おまえの憧れているその”空”に血生臭い戦いを持ち込んだ張本人なんだぞ」
   「しかも今じゃ竜騎士はニヴラス帝国のおたずね者だ・・・風になりたい なんてのんきな理由でなるもんじゃない」
   「・・・わかったら家へ帰れ」
ゼファ「・・・・・・・・・」

  (その場から去ろうとするマズルに不満そうなゼファ)

ゼファ「帰る家なんかあるもんか! こちらとら一匹狼流れ者の盗賊(シーフ)”つむじ風のゼファ”様だい!!」
   「追われる生活ならあんたなんかより慣れっこだぜ!!」
マズル「・・・・・・・・・待て! 帝国兵だ」

  (見るとニヴラス帝国の兵士が多数詰め寄せている)

ゼファ「こっちも!」
マズル「むこうもだ」「くそっ かこまれた・・・つけられたな」

  (既に周囲には無数の兵士が集まってマズルとゼファを取り囲んでいる)

マズル「しかたねえな」
ゼファ「だめだよアニキ 弓隊がかけつけて来たら終わりだよ」

  (剣を構えようとするマズルを止めるゼファ)

ゼファ「オレにまかしといて!」
マズル「おい! どうする気だ!?」

  (近くの扉に近づき、鍵をいじるゼファ)

マズル「これは街の外壁に入る扉じゃないか袋小路だぞ」
ゼファ「だまってて!」「開いた!」

  カチャ!(扉に掛かっていた鍵が開いた)

兵士「奴等外壁にもぐりこむ気だ!」
  「追うぞ急げ!!」


  カンカンカン!(外壁に入ったゼファとマズル。螺旋階段を登っている)

マズル「どこへ行く気だ!?」
ゼファ「便所!!」
マズル「べ 便所ぉ!? 何言ってんだこの非常時に」
ゼファ「こういう城壁の便所は たいていどこか外に出られるものなんだ」
マズル「どこかってどこに!?」
ゼファ「そいつは行ってみてのお楽しみっ!」
マズル「おわっ」「ワーーーーーーーーーーーーーーーーーっ」

 ヒュウウウウウウ (ゼファに便所に突き落とされたマズル)

  (と、兵士たちが追いついてくる)

兵士「いたぞあの小僧だ」
ゼファ「わっ もう来た!」
   (ちっ ここで飛び込むのを見られたらアニキまでつかまっちまう・・・)
   「へへーん ここまでおいでっ」

  (あえて脱出の道を取らず、逃げ回って兵士をひきつけようとするゼファ。だが・・・)

  ブン!(大剣が顔すれすれに振り下ろされる)

ゼファ「!!」
兵士「そこまでだ小僧」
ゼファ「・・・はい」

  (隻眼でスキンヘッドの屈強な兵士に凄まれ動けないゼファ)



  (一方、便所に突き落とされたマズルは・・・)

マズル「あの小僧〜〜〜〜〜〜〜〜〜もうちょっとマシな抜け道は思いつかなかったのか!」

  (ずぶ濡れで堀から出てくるマズル。臭うのか蝿がたかっている)

マズル「・・・それにしても奴め 遅いな」

  (自分が出てきた排水溝を見るマズル。ゼファはいまだ降りてこない)

キュイ「キュイ!」

  (そこへキュイが飛んでくる)

マズル「おまえ・・・あいつにくっついてた・・・」
キュイ「キュイ キュイ」
マズル「・・・・・・! まさか」



  バキッ(ニヴラス兵に捕まったゼファ。屈強な兵士に殴られている)

兵士「吐けい!! 竜騎士のアジトはどこにある!?」
ゼファ「へへへ・・・だから知らねーっつの」

  (顔面を無残に腫上がらせながらもひるまないゼファ)

兵士「知らんはずがあるか!! きさま竜騎士の仲間だろうが!」

  ドガッ!(ゼファを地面に叩きつける兵士)

ゼファ「そうとも・・・オレは竜騎士マズル=ハリアーの一の子分・・・人呼んで”つむじ風のゼファ”様よ!」
兵士「だったら知ってるはずだろうが!! 吐け! 吐かんか!!」

  バキボクバキ(さらにゼファを殴りまくる兵士)

  (そのようすを別の兵士とエキルが見ている)

兵士「しぶといガキですね」
エキル「まあいい 吐いても吐かなくてもこのガキには使い道がある・・・」
   「明朝公開処刑にかけるのだ コイツをエサにマズル=ハリアーをおびき出す!」
兵士「・・・しかし たった一匹の竜騎士にそこまで手のこんだことをしなくても・・・」
エキル「フッ・・・おまえは竜騎士を知らん」「いい機会だ話してやろう 十年前のウインディア攻略の顛末を・・・」


「・・・それは竜騎士団(ドラゴンナイツ)を以って近隣諸国に強い指導力を有したウインディア王国を陥とし」
「大陸制覇への第一歩を踏み出す・・・時の皇帝ハーコン七世御自らが指揮をとった一大作戦だった」

「数に勝る我が軍は瞬く間に王国の大半を占拠した」
「だがウインディア側は竜騎士団の機動力にものを言わせ 皇帝陛下の本陣へ最後の突撃をかけてきたのだ」


兵士「最前線を飛び越えて直接皇帝陛下を!?」
エキル「竜騎士のほとんどは陛下に近づく前に倒された」「だが とうとう一騎が皇帝と刃を交えるにいたったのだ」
   「その一騎こそ他ならぬウインディア国王ストルム三世その人だった」
   「両者は互いに一歩もゆずらず壮絶な相討ちで果てたという・・・」

  (お互いに剣が交差し相討ちとなったストルム三世とハーコン七世)

エキル「戦には勝ったものの帝を失った我が軍は それ以来内乱続きで大陸制覇どころではなくなってしまった・・・」
   「あれから十年近くたった今でも 帝国の版図がさして拡がっていないのはそのせいだ!!」
   「奴等だけは油断がならん!「大胆にして狡猾 信じ難い機動力と戦闘力を兼ね備えた恐るべき戦士だ!」
   「竜騎士だけは一匹たりとも生かしておくわけにはいかんのだ!!」




  (何事か書かれた立て札。それを見ている人々)

人々「『竜騎士一味つむじ風のゼファ 右の者明朝処刑 ニヴラス帝国軍団長エキル・・・』ニヴラス帝国だって!?」
  「なんでよその国の軍隊が公開処刑なんか・・・?」
  「竜騎士一味ってなんのことだぁ?」
  「竜騎士というからには滅亡したウインディアの生き残りだろ」
  「そんなもんがまだ残ってたのか?」
  「処刑されるのはまだほんの子供だそうな かわいそうにのう」
  「むごいことする奴らだな帝国軍でのは」

  (喋りながら去っていく人々。その様子を後ろから見ているマズル)

マズル「やっぱりつかまっちまったのかあの小僧・・・」

  (隠れ家の森の中へ入っていくマズル)

マズル「公開処刑か・・・オレをおびき出すためのワナだな」「バカな連中だ あいつを本当にオレの仲間だと思っているとは」
   「なあ フォベトール」

  (森でマズルを待っていたフォベトール)

マズル「いくらなんでも今日会ったばかりの盗人を命がけで助けに行くわきゃねえだろうによ」
フォベトール「ギギ・・・」
キュイ「キュウ〜〜〜〜〜」

  (何か言いたげに顔を近づけるフォベトール。キュイも悲しそうな声を出す)

「風になるんだ!!」

マズル「風・・・か」

  (ゼファの言葉を思いだしたマズル。夜は更けていく)


  (翌朝、立て札の通り広場でゼファの処刑が行われようとしている。固唾を呑んで見守る人々)

人々「どうしたんだ・・・? もう一刻近くこのままだぞ」
  「・・・待ってるのさ」「あのテントの下の弓兵隊を見な あいつら仲間の竜騎士が現れるのを待ちぶせて殺すつもりなんだ」
  「子供の命をえさにしてか? なんて汚ねえ連中だ!!」
  「しいっ! 動き出したみたいだぜ」

  (斬頭台に乗せられたゼファに近づくエキル)

エキル「・・・どうやら見捨てられたようだな小僧? マズルめ・・・臆病風に吹かれたか!?」
ゼファ「へっ アニキはバカじゃねえ こんな見え見えのワナにわざわざ飛びこんだりするもんか!」
エキル「かつての竜騎士は仲間を見捨てたりはしなかった!」
   「奴は竜騎士の皮をかぶった腰ぬけだ!! やはり残りカスは残りカスだったようだな!」
ゼファ「てめーのワナのお粗末さ加減をアニキのせいにするなっ!」

  ガッ!(タンカを斬るゼファだが、エキルに顔を踏みつけられる)

エキル「見捨てられた分際ででかい口をたたくな! きさまには既に人質としての価値すらないのだ!!」
   「くそ いまいましい! もういい! とっとと首を斬れ!」

  (斬頭台を去り処刑命令を出すエキル)

ゼファ(ちくしょう・・・アニキはカスじゃない! 今に必ずおまえらの帝国をひっくりかえす竜騎士だ!!)
   (オレ・・・死ぬのやだけど・・・でも竜騎士が射落とされるのなんて見たくない・・・!)
   (ただ・・・一度でいいから・・・アニキみたいに飛竜に乗ってみたかったな・・・)

人々「ああ とうとう・・・」
  「チッ 結局竜騎士なんて言ってもただの臆病者か!」

  (覚悟を決めたゼファ。その様子を見て竜騎士に失望していく人々)

エキル(ククク・・・マズルを殺せないのは残念だが これで竜騎士の評判は地におちた・・・十分な成果だ)

  (失望した人々の様子にほくそえむエキル)

  (そして、いよいよ斬頭斧が高々と持ち上げられた)

ゼファ(アニキーーーーーーーーーーー!)

  (最後の時を覚悟するゼファ)

  (と、太陽の向こうから何かが近づいてくる・・・・)


エキル、兵士「「「「「!!」」」」」

  (飛竜に乗って現れたのは竜騎士マズル=ハリアー!!)

処刑人「ほげ!!」

  (斧を振り下ろそうとしていた処刑人を槍で貫くマズル)

ゼファ「!」
エキル「でたぞヤツだ! 竜騎士だっ!!」
兵士「弓隊かまえーっ!!」

  (飛竜を打ち落とさんと弓を構える兵士たちだが・・)

  ボオオオオオオオオ!!(飛竜の口から火炎が放たれ弓隊を黒コゲにする)

エキル「弓兵隊が・・・!!」
兵士「速すぎる! 弓で狙ってる暇がない!!」
エキル「見張り! 何を見てた!!」

  (見張りやぐらの兵士を怒鳴りつけるエキル)

見張り「申しわけありませんっ!! でも奴め朝日に隠れて来て・・・」
   「敵は低空を旋回中!! 再びこっちに・・・」
   「ぶぎゅ!!」

  ドシッ!!(見張りの兵士がマズルの槍で貫かれる)

エキル「あっちか! 弓隊! 生き残ってる者は見張りやぐらを狙え!」

  チャッ(弓隊の生き残りが弓を構える)

エキル「斬頭台の周りをかためろ! 奴は必ず小僧を助けに舞い降りる!!」
兵士「はっ!」
弓兵「エキル隊長・・・! 奴が現れません・・・」
エキル「!」

  ボオッ!(その時、当然現れた飛竜が炎を吐いて攻撃する)

エキル「よっ横から・・・」
兵士「わあああああああああああっ」

  (炎に巻かれてもだえる兵士たち)

エキル「しまった! 裏をかかれたか・・・」
兵士「う!?」
  「なんだ?」
  「飛竜が何か落とした・・・」

  (飛竜が飛び降りたもの・・・・それはマントを広げて滑空する竜騎士・・・)

兵士「マズルだっ!!」

  (迎え撃とうとする兵士たち)

  ズバドバ(着地と同時に剣を振り下ろすマズル。ニヴラス兵が血祭りに挙げられていく)

兵士「ぐあ」
  「うげ!!」

  (兵士を片付け斬頭台のほうへ走っていくマズル)

ゼファ(・・・アニキ!)
   「チェッ・・・・・・なんで来ちまったんだよ!」

  (言いながらも顔はうれしそうなゼファ)

キュイ「キュイ」
マズル「こいつがあんまりうらめしそうな顔するからよ」

  (背中に乗ったキュイを横目で見るマズル)
  
  (マズルにより斬頭台から助け出されたゼファ。そんな二人に近づく者が・・)

ゼファ「アニキ・・・後ろ!」

  (それはゼファを拷問した隻眼でスキンヘッドの兵士だった)

兵士「見せてもらったぜ竜騎士の腕前・・・だが飛竜から降りちまえばただの騎士(ナイト)!」
  「オレの剣の冴えにはかなうまい!!」
マズル「さて・・・どうかな?」

  (襲い掛かる兵士に対し、振り向きもせず応えるマズル。そして・・・)

  ザン!!(振り向き様に剣を振るうマズル。兵士は胴を両断されて息絶えた)

マズル「ゼファ つかまれ! 長居は無用だ行くぞ!」
ゼファ「あ・・・うん!」

  (ヨロヨロと歩くゼファ)

  (空にロープを投げたマズル。フォベトールに引っ掛け、ゼファを抱えて飛び上がる)
  (そのまま空の彼方へ消えていくフォベトール)

人々「うおおおっ! いいぞ竜騎士!!」
  「ニヴラス帝国なんかメじゃねえぜ!!」
  「ザマーみろ帝国野郎」
  「てめーらの思いどおりばかりはいかねーんだよ」

  (痛快なマズルの活躍を見て湧き上がる人々)

エキル(これで終わったと思うなマズル=ハリアー!! きさまの息の根この手で必ず止めてくれる!!)

  (怒り狂った形相のエキル)


  (一方、フォベトールに乗ったマズルとゼファは大空の上にあった)

ゼファ「さっすが飛竜!! もう街があんなに小さくなった!!」
   「アニキ! 次はどの街へ行くんだい? どこへでもつきあうぜ! なんたって一番弟子だもんね」
マズル「なんだと!? いつオレがおまえを弟子にした!?」
ゼファ「えーっ 助けてくれたってことは 弟子にしてくれるってことだろーーっ?」
マズル「バカ言ってんな! だいたいおまえあんな目にあってもまだこりないのか!?」
ゼファ「こりてたまるかい! オレもアニキみたいに強くなるんだい!!」
マズル「かーっ 底なしバカ!」



  (竜騎士と盗賊を乗せた飛竜は大空を変わらず飛び続ける・・・・・)







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