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●BLACK!! 変身

  (人々の行き交う大都会)
  (白いローブで全身を包んだ3人の怪人物が現れる)

  (人ごみ中を必死で逃げ回る1人の青年。彼は怪人物たちから追われていた)

  (白面と青面、女性で構成される3人の怪人物は青年を探し回る)

  (車の陰に隠れてやり過ごし、道路に逃げる青年)

青年「ウワーー!」

  (前方から走ってくる車を飛び避けた青年)

  (フラフラと歩く青年の前に怪人物のひとりが現れる)
  
  (目から光弾を発する怪人物。これを避けて逃げる青年)

  (ビルを昇り必死で逃げるがついに追い詰められる)

白面「逃げても無駄だ南光太郎。お前は改造手術を完了しゴルゴムの世紀王ブラックサンになるのだ」
光太郎「やめろーー!!」
白面「もう遅い」
青面「お前の体はすでに人間ではない」
白面「その証拠をお見せしよう」
光太郎「やめろーー!!!」

  (逃げようとする光太郎だが、白面の念動力で捕えられ、ネオンの看板に叩きつけられる)

  バチバチ!!(激しい電流を浴びる光太郎)

光太郎「うわああああああああああああ!!!!」





  (それは走馬灯か。どこかの一室で服を脱がされ横たわる光太郎。向こうにはもうひとり青年がいる)

白面「後は人間としての記憶を消し去ることだ。それで改造手術は完了する」

  (そこに現れたのはスーツ姿の男)

男「待ってくれ! 約束が違う! 記憶を無くすのだけはやめてくれ! 二人とも私の息子だ!」
白面「光太郎と信彦はもはやあなたの息子ではない。世紀王ブラックサンなのだ」

  (白面は爪を伸ばし、先端から光を発して光太郎に浴びせる)

光太郎「うわあああ!!」

  (苦しむ光太郎。隣の青年に手を伸ばす)

光太郎「信彦!!」
信彦「こっ、光太郎!!」
秋月「やめてくれ!!」

  (耐えられなくなり乱入した秋月。白面の光が手術台のパイプを切っていく)

  (光太郎と信彦は苦しみ、秋月は白面に投げ飛ばされる)
  (爆発が起こり、信彦はエネルギーにまかれてさらに激しく苦しむ)

光太郎「信彦ーーー!!」
秋月「信彦ーーー!!」

  (青面が指先から光線を放つと秋月に浴びせる)

光太郎「父さーーーーーん!!」
秋月「私にかまうな! 逃げろ、逃げろーーーー!!!」




  (再び夜の街。電流を浴びて苦しむ光太郎)

白面「お前はあれだけの高電圧に耐えることが出来た。普通の人間ならとても生きてはいない」
光太郎「お前ら何をした!?」
青面「お前はやがて改造人間の王として君臨する栄光の男なのだ」
光太郎「お前たちの操り人形になってたまるかーーー!!!」
女「駄々をこねてはいけませんブラックサン」

  (光太郎を囲んだ3人は彼を持ち上げ空を飛ぶ)

光太郎「は、離せ!」

  (上空より落とされ、どこかの倉庫に落下する光太郎)




  (逃げ出そうとする光太郎だが、3人はすぐさま追ってきた)

  (投げ出され、念動力で荷物や壁にたたきつけられる光太郎)

  ガシャーン!!(派手に壁を破って吹き飛ばされた光太郎)

  (倒れた光太郎に近づこうとする3人)


  (起き上がる光太郎。だがそのシルエットは人間のものではない)

  (バッタを擬人化したような怪人となった光太郎)
  (やがてその姿も変わり、そこにいたのは黒いプロテクターのような皮膚に赤い目を持つ超人!)

白面「おお! ブラックサン!」

  (これこそがゴルゴムの世紀王ブラックサンの姿なのか)

ブラックサン「トォッ!」

  (3人に飛び掛るブラックサン。光弾や念動力などで応戦する3人)
  (鉄骨が落ちてきても平然と受け止めるブラックサン。逆に鉄骨を3人に向けて投げつける)

  (ジャンプして飛び掛り、パンチ攻撃を放つブラックサン。バリアを張ってこれを防ぐ青面)

  (ついに3人は夜空へ撤退した)


  ピピピピ!ブルンブルン! (佇むブラックサンの背後で不思議な音とエンジン音がする)

  (ブラックサンが振り向くとそこにはバッタのフォルムを持つバイクが)

ブラックサン「バトルホッパー・・・・」

  (バトルホッパーに跨って走り去るブラックサン)





  (コウモリの怪人が蠢く不気味な場所。暗黒結社ゴルゴムの本拠地だ)
  (ローブ姿の3人。すなわち白面は大神官ダロム。青面は大神官バラオム。女は大神官ビシュム)
  (ゴルゴムを取り仕切る三神官である)

  (3人は球体を囲んでいる)

ダロム「秋月信彦・・・シャドームーンよ」

  (球体の中には光太郎と同じくバッタの怪人となった信彦がいる)

ダロム「もうすぐ会えるぞブラックサンに」
バラオム「それまで安らかな眠りにつくのだ」




  (バイクで走る光太郎。AKIZUKIと書かれた家の前で降りる)
  (正面から入ろうとするが思い直し、裏から家に入る光太郎)

  (警戒しながら家の中に入る光太郎。一室で父や信彦の姿を思い出す)

秋月「逃げろ! 逃げろー!! 私にかまわず逃げろ! 逃げろー!!」
信彦「うわああああああ!!!」

光太郎(父さんはなぜあの場所に・・・・?)

  (ふとベッド見る光太郎。そこには父のメモが残っていた)

秋月「光太郎、この家は危険だお前にぜひ話したいことがある。キャンプディアブロの跡地まで来てくれ。必ず1人で・・・待ってる」

光太郎(生きてたのか!!)


  (その時、家の前に車が止まる。出てきたのは征服姿の少女と女性)
  (信彦の妹・秋月杏子と恋人の紀田克美である)

杏子「ああ! 兄貴たち帰ってる!」

  (光太郎のバイクを見て喜ぶ杏子)

杏子「光太郎さん!」

  (家の中で光太郎を捜す2人)

杏子「2階探してくるね!」
克美「うん」
杏子「光太郎さん!」

  (2回に上がる杏子。残った克美の前に光太郎が現れる)

光太郎「よっ」
克美「びっくりした。おどかさないでよ光太郎さん。ねえ信彦さんは?」
光太郎「・・・・・・・」
克美「いっしょだったんでしょ?」
光太郎「ああ・・・・途中ではぐれた・・・・」
克美「やっぱりツーリングだったんだ」

  (杏子が2階から降りてくる)

杏子「なんだお兄ちゃんここにいたの。返事くらいすればいいのにさ!」
光太郎「杏子ちゃん。父さんは?」
杏子「研究所のほうじゃない? 1ヶ月でも帰ってこない人だから夢中になると」
光太郎「そう・・・・」
杏子「まったく勝手なんだから、3日も4日も留守にして。はいっ」

  (冷蔵庫から取り出したジュースを克美に渡す杏子)

杏子「電話ぐらいくれればいいのにさ」

  (光太郎にジュースの瓶を投げる杏子)

  ガシャーン!(瓶を受け止めた光太郎だが、砕け散ってしまう)

杏子「ああ!」
克美「!」
杏子「大丈夫! ゴメンね!」

  (タオルでジュースを拭く杏子)

光太郎「・・・・・いいよ!!」

  (強引に杏子を引き離し、バイクで走り去る光太郎)

  (残された杏子と克美は、瓶の破片に混じって例のメモを見つけていた)

杏子「何これ?」
克美「?」




  (バイクで走る光太郎。キャンプディアブロの跡地へたどり着く)
  
  (警戒しながら中へ入る光太郎を秋月が待っていた)

光太郎「父さん・・・」
秋月「光太郎・・・・・心配したぞ」
光太郎「ゴルゴムって何です? どういう関係なんです?」
秋月「・・・・」
光太郎「父さん・・まさか・・・!」
秋月「光太郎、私はお前が思っておるとおりゴルゴムのメンバーだ」「私はあの日から死んだも同然の人間になってしまった・・・・」
光太郎「・・・・・・」
秋月「これから話すことは本当のことだ。落ち着いてよく聞いてくれ」「そう今から19年前のことだ。日食の闇が街を覆っていた」
  「その日食の闇の中で信彦は生まれた」

  (とこかの病院で看護士に抱かれる赤ん坊)

秋月「同じ頃、親友の南にも息子が生まれた。それが光太郎、お前だ」

  (幸せそうな夫婦に抱かれる赤ん坊)

秋月「お前が3歳の時、事故で両親が亡くなられ、私はお前を引き取り、私としてはお前を信彦とは兄弟として分け隔てなく育ててきたつ   もりだ」

  (サッカーの練習に励み、いっしょにシャワーを浴びる仲の良い光太郎と信彦)

秋月「お前たちが生まれた頃、お前のお父さんと私は古代遺跡の発掘に夢中になっておった・・・」

  (ふと窓を見る秋月。クモが糸をたらしている)

秋月「ところがその遺跡に発掘には思ってもみなかったほどの大変なお金がかかってしまって、そのうえ資金の調達もなかなかうまくいか   ない。もう四苦八苦でお手上げ寸前というちょうどその時に、ゴルゴムから資金援助の申し入れがあった」
  「私はこれこそ天の助けだと思った。しかしそれには条件がついておった。ゴルゴムのメンバーになるということだ」
  「私は色々と考えあぐねた。しかし、背に腹は変えられん。私はその援助を受けることにした」
  「しかしお前のお父さんはそのメンバーになることだけは嫌だと言って、きっぱりと断ってしまった」
光太郎「あの事故は!?」
秋月「・・・・・」

  (光太郎の言葉にうなずく秋月)

光太郎「殺されたんだ! 父さんたちはゴルゴムに!」「なぜゴルゴムのメンバーなんかになったんです?!」
秋月「ゴルゴムに一度目をつけられたら逃げることなどできはしない! ゴルゴムは悪魔の集団だ!!」
光太郎「その悪魔の集団に、あなたは俺たちを売ったんだ!!」


  (山から、海から、空から、おぞましいゴルゴムの怪人たちが姿を見せる)


秋月「生き延びるためにはゴルゴムに従うしかないのだよ光太郎!」
光太郎「俺は嫌だ・・従うもんか・・俺のこの体を見てよ父さん・・・」

  (パイプを掴む光太郎。動かすとあっさりねじ切れてしまう)

光太郎「改造されて・・・・・もう普通の人間じゃないんだ。こんなことが許されていいのか!?」
秋月「これからの世界はゴルゴムによって選ばれた人間だけしか生きられない! 人類は淘汰されてしまうのだ!」
光太郎「なんてこと言うんだ父さん・・そんなこと聞きたくない!!」
秋月「光太郎!! お前と信彦だけはゴルゴムの世紀王となって生き抜いてくれ!」
光太郎「冗談じゃないよ父さん! 奴ら人間の自由を奪おうとしているんだ! 父さんだって戦わなければこの廃墟と同じじゃないか!」
   「そんな父さん見たかないよ!!」
秋月「光太郎!!」

  (秋月に背を向けて走っていく光太郎)

  (曲がったところで異様な量のクモの巣を見つける光太郎。秋月のところへ引き返す)

光太郎「父さん!」
秋月「光太郎!」
光太郎「父さんここは危ない! 逃げるんだ!」

  (怪しい気配が天井やドアの影などから蠢き、光太郎と秋月を包囲している)

  (やがて窓を破って何かが入ってきた。二足歩行するクモのような怪物・・・ゴルゴムのクモ怪人である)

光太郎「逃げろ父さん!!」

  (一匹のクモ怪人にのしかかられ動けない光太郎)

光太郎「父さん!!」

  (秋月を襲おうとしたクモ怪人に飛び掛るも、腹に爪を喰らって吹き飛ばされる)

  (秋月は巨大な糸で縛られてしまう)

光太郎「父さん!」
秋月「光太郎ーーーーーーー!!!」

  (糸で縛られ外に引きずり出される秋月)

光太郎「父さーーーーーーーーーーーーん!!!」

  (外に出る光太郎。クモ怪人に捕まった秋月が鉄塔の上で宙吊りにされている)

秋月「光太郎ーー!」
光太郎「父さーーん!」

  (クモ怪人が手を離すと秋月は成すすべなく落下していく)

秋月「うわああああああ!!!」
光太郎「父さーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!!!」

  (クモ怪人の妨害を乗り越え必死で追いすがる光太郎)

光太郎「父さん!」

  ガシッ!!(地面に叩きつけられる秋月)

光太郎「父さん! 父さん!!」
秋月「杏子を・・・・・・信彦を・・・・・頼んだぞ・・・・・・」
光太郎「父さーーーーーーーーーん!!!」

  (光太郎の腕の中で力尽きる秋月)
  (力なく垂れ下がったその腕には1986の数字が。ゴルゴムメンバーとしての証か)

光太郎「父さーーーーん!!! うわあああああ!!!」

  (秋月の亡骸を抱き悲しみにくれる光太郎)
  (彼の背後にクモ怪人が集まる)

  (立ち上がる光太郎。独特の構えを取る)

光太郎「変ーーーー身!!!」

  (光太郎の腰にベルトが現れて光に包まれ、その姿はブラックサンと化すが・・・・)

光太郎「仮面ライダーBLACK!!」

  (光太郎はゴルゴムの世紀王ブラックサンではなく、仮面ライダーBLACKを名乗った!!)

  (襲い掛かるクモ怪人の集団。仮面ライダーBLACK対五匹のクモ怪人の戦いが始まる)

  (身軽に飛び回るクモ怪人をパンチやキックで応戦するBLACK)

  (クモ怪人たちが糸を吐き、BLACKを縛り上げる)
  (五匹のクモ怪人がBLACKの両手足と首を縛り動きを封じた)

BLACK「バトルホッパー!!」

  (BLACKの声に呼ばれ、猛スピードで走ってくるバトルホッパー)

  (クモ怪人の糸を千切ったバトルホッパー。BLACKを乗せて走り回る)

  (たまらず逃げるクモ怪人たち。建物の中に入っていく)



  (バトルホッパーを走らせ追撃するBLACK)

  (一匹のクモ怪人に体当たりを食らわせようとするBLACK。壁に張り付いてこれをかわすクモ怪人)

  (逆に糸で首を絞められ、さらに屋外へ放り出されてしまうBLACK)

  (さらに糸で縛られるBLACK。またしても建物の中へ引きずられていく)

  (ジャンプして糸をはずしたBLACKに、ターザンのごとく糸にぶら下がって遅いかかかるクモ怪人)


  (BLACKが構えを取るとベルトが光を発する。そのままジャンプするBLACK)

BLACK「ライダーパンチ!!」

  バシッ!(拳を赤く光らせながらのパンチ攻撃! 一匹のクモ怪人を吹っ飛ばした)
  (続けて3匹のクモ怪人にパンチを浴びせる)

BLACK「ライダーキック!!」

  バシッ!!(今度は足を赤く光らせたキック攻撃! 五匹目のクモ怪人を直撃する)

  (五匹のクモ怪人は同時に光となって消滅した)


  (激しい戦いの後、到着した車。杏子と克美が降りてくる)
  (秋月の亡骸を見る二人)

克美「!!おじさま!?」
杏子「!!!・・・お父様!? お父様!?」

  (秋月の亡骸にすがり涙に暮れる杏子。それを見ているしかできない克美)



  (向こうから歩いてくる仮面ライダーBLACK。その姿が南光太郎に戻る)


「南光太郎は暗黒結社ゴルゴムによって改造人間にされたが、悲しみを乗り越え、
 人間の自由のために人類の敵ゴルゴムに立ち向かう自由の戦士・仮面ライダーBLACKとなった!」



  つ づ く


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