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機動刑事ジバンの第1話
これは 人を愛し 正義を守る
若者と少女の 心のドラマである──
東都工科大学。
1台の車が到着。
中から1人の男が降り、大学内へ向かう。
静まり返った校舎の廊下を歩く男。警備員が呼び止める。
警備員「理事長、どちらに?」
理事長と呼ばれた男が警備員に何かをすると、たちまち警備員が倒れてしまう。
ところ変わって、ここはどこかの秘密ガレージ。
『レゾン、発進!』
特殊装備を施したパトカー、レゾンが発車する。
車内でハンドルを握るのは、銀色の装甲に包まれた何者かの腕。
『敵は既に本社に侵入。計算では、あと10秒で研究室に辿り着きます。急いで下さい!』
僕のかわゆい少女ボス
東都工科大学の超電導研究室。
研究室前を警備していた警備員が、先の警備員同様に倒れる。
理事長が研究室のドアノブに手をかけ、力任せにねじ切る。
室内に侵入。傍らのロッカーに手を当てると、たちまち扉が溶け落ちる。
理事長が中から箱を取り出し、その名から1枚のフロッピーディスクを手にする。
悠々と大学を後にする理事長の車。
だがそこへ、レゾンが到着。
理事長の車が踵を返して逃走、レゾンが追う。
どこからか2台のジープが理事長の車に合流。
ジープ上で黒ずくめの男たちが、レゾン目掛けて銃を放つ。
何発もの銃弾がレゾンに命中するが、その装甲の前には銃弾も歯が立たない。
レゾンがレーザーを発射。それを浴びたジープが爆発炎上する。
理事長を追い、レゾンは廃工場へ到着する。
車から降りて立ち尽くしている理事長。
レゾンを運転していた者も、車内から降りる。
銀色の装甲に身を包んだ戦士──彼こそ“機動刑事ジバン”である。
理事長の車に同乗していた男たちが、ジバンを狙撃。
ジバンは右腰から、万能武器・マクシミリアンTYPE-3を取り出す。
男たちの銃弾をかわしつつ、ジバンがマクシミリアンを拳銃型に変形させ、男たちを狙撃する。
突如、壁をぶち破ってブルドーザーが出現。
ジバンに向かって突進するブルドーザーを、ジバンが必死に押さえる。
ブルドーザー上の男たちが、ジバン目掛けて爆弾を投げる。
爆発。瓦礫の山が築かれる。
倒したかと思われたが──瓦礫の中からジバンが立ち上がり、マクシミリアンでブルドーザー上の男たちを倒す。
理事長の姿が消えている。
ジバンの目が光る。
壁を透視し、トランクケースを手に逃走する理事長の姿が見える。
すかさずジバンが、常人を遥かに上回るスピードで突進。壁をぶち破り、理事長の前に先回りする。
理事長「貴様、誰だ!?」
ジバン「警視庁秘密捜査官警視正、機動刑事ジバン!」
ジバンの腹部から電子手帳が現れ、ジバンが理事長にそれを突きつける。
ジバン「対バイオロン法第1条。機動刑事ジバンは、いかなる場合にも令状なしに、犯人を逮捕することができる。第2条。機動刑事ジバンは、相手がバイオロンと認めた場合、自らの判断で犯人を処罰することができる」
条例を読み上げつつ、次第にジバンが理事長に迫る。
ジバン「第2条補則。場合によっては抹殺することも許される!」
理事長が逃げ出そうとする。
ジバンがマクシミリアンで理事長の腕を撃つ。
理事長の手にしていたトランクケースが床に転がる。
怒りの形相を露にする理事長──その姿が怪人体・カメレノイドに変身する。
ジバンとカメレノイドの戦いが始まる。
逃げようとして姿を消したカメレノイドを、ジバンが追う。
しかしカメレノイドは、いつの間にかジバンの頭上に回り込んでおり、飛び降りて攻撃を加える。
カメレノイドの攻撃がジバンの右肩に炸裂。
ジバンはマクシミリアンでカメレノイドに狙いを定めようとするが、攻撃を受けた右肩から煙が吹き出す。
右胸のスクリーンに「EMERGENCY」の文字が浮かぶ。
ジバン「非常事態発生! 非常事態発生!」
そこへ、女性の怪人2人が加勢。
怪人たちの攻撃でジバン、外へ吹き飛ばされる。
さらにカメレノイドの攻撃。
ジバンは避けたものの、攻撃で近くの煙突が倒れ、ジバンが下敷きになってしまう。
砕けた煙突の中からかろうじてジバンが立ち上がったものの、既に怪人たちの姿はない……
ところ変わって、ここは悪の秘密組織バイオロンの秘密基地。
先の女性型怪人2人が帰還し、美女の姿へと変身する。
バイオロンの秘書、マーシャとカーシャ。
そして彼を迎えたのは、バイオロンのボス、ドクター・ギバである。
2人がギバの掛けるデスクに手を触れると、デスク上のスクリーンに先ほどまでのジバンの姿が映し出される。
ギバ「機動刑事ジバンと名乗ったのだな?」
マーシャ「この男のおかげで、折角盗み出したディスクフロッピーも、消失しました……」
カーシャ「新しく開発された超電導の技術、あれさえあればバイオロンの力ももっと凄くなって、地球征服も簡単だったのに!」
ギバ「心配するな。チャンスはいくらでもある……我がバイオロンで誕生した怪物たちも、着々と人間社会に潜り込みつつある。手荒い真似などせずとも、必ずこの地球は我が手中に転がり転がり込んで来る……」
カーシャ「素敵ぃ! そのときはギバ様、私にアメリカを頂戴! いいでしょ?」
マーシャ「私はヨーロッパ! パリコレを全部着ちゃうんだぁ〜!」
カーシャ「あら、ティファニーの宝──石!」
マーシャ「わかってないわねぇ、ファッションはやっぱり、パリよ」
カーシャ「うぅん、宝石」
マーシャ「パリコレよ!」
カーシャ「宝石!」
マーシャ「パリコレ!」
カーシャ「宝石!」
そこへバイオロンの怪物、ブビが現れる。いかにも口煩い老人といった風情の顔つきだ。
ブビ「えぇい、うるさいうるさい! 黙れぇ! パリコレだのコレコレだの宝石だの、いつまでも本っ当に……何だ!」
ギバ「もう良い!!」
一同「……」
ギバ「愚かな人間どもめ! 何を造ろうと、我がバイオロンに勝てる筈がないのだ。それに奴もコンピューターマシンなら、バイオウィルスを餌にするのもいいかもしれん。街中を混乱に陥れるのだ! 見ているがいい……ジバン!」
住宅街。ランドセルを背負って下校路を走る少女、五十嵐まゆみ。
帰り着いたのは自宅、五十嵐医院である。
庭で花壇の手入れをしている母、ゴルフの練習をしている父が娘を迎える。
まゆみ「ただいまぁ!」
父「あ、お帰り」
母「お帰り。直人さんが待ってるわよ」
父「あまり、直人さんの邪魔しちゃ駄目だぞ」
まゆみ「うん。はい、ママ」
ランドセルを母に預けると、まゆみは地下室への入口から階段を駆け下りて行く。
地下室。
そこは先ほどまでのアットホームな雰囲気とは一転、最先端科学の装置で囲まれた秘密基地である。
ジバンは治療台の上に乗っている。
まゆみ「お兄ちゃん、大丈夫!?」
ジバン「大丈夫」
まゆみの顔を長いレンズが覗き込む。この基地のメインコンピューター“ボーイ”である。
冒頭でジバンに指示を下していた声で、ボーイが答える。
ボーイ「まゆみちゃん、お帰りなさい。まゆみちゃん、修理を手伝って下さい」
まゆみ「うん、わかったわ」
まゆみが機器の操作にかかる。
まゆみ「バイオロンと戦ったのね? この体に慣れてないんだもん、仕方ないわ。で、どんな相手と戦ったの?」
ジバンが自分の体から伸びたコードを、機器に繋ぐ。
機器のスクリーンに、カメレノイドの姿が映し出される。
まゆみ「わぁ〜気持ち悪ぅい! 何あれ?」
ボーイ「分析の結果、主成分は爬虫類のカメレオンの細胞と判明」
まゆみ「カメレオン!?」
ボーイ「他に、有機物が9種類、金属部分25%。バイオテクノロジーで造られた生命体に間違いありません」
突如、警報が鳴り響く。
ボーイ「非常事態発生! 非常事態発生! コンピューターウィルスが出現! ウィルスは電話回線から侵入。現在、増殖しながら都心に向かって侵食中。あと1時間で、東京のコンピューターはすべて破壊されます!」
スクリーンに、街中で次々に災害の起こる様子が映し出される。
ボーイ「子供たちが行方不明になる事件も続発しています! 交差点の信号もおかしくなって、事故があちこちで起きています!」
まゆみ「お兄ちゃん!?」
ジバン「ボーイ、ウィルスの防御方法は?」
ボーイ「防御不能……ウィルスの正体は有機物質です」
まゆみ「バイオロンの仕業に間違いないわ!」
セントラルシティ警察署。
「ただちに捜査開始!」「出動!」「はっ!」
刑事たちが捜査に出動する。
その中に、女刑事・片桐洋子もいる。
洋子「もう……直人ったら、どこ行っちゃったのかしら? こう忙しい時に限って姿を消しちゃうんだから!」
まゆみ「警察も行方不明の子供たちを捜すために動き出したみたいよ!」
洋子のパトカーが街を行く。
突然、前方に何者かが飛び出す。
慌てて洋子が急ブレーキ。
黒づくめの者たちが車内に押し入り、洋子の首を締め上げる。
洋子「きゃあっ!」
一方でジバンもレゾンに乗り込み、出動する。
ボーイ『発生位置まであと6km。到着まであと1分40秒』
やがて、レゾンが荒野に到着する。
ボーイ『ウィルスの発生源はこの近くです』
レゾンを停め、ジバンが降りる。
地面に警察手帳が落ちている。それを拾い上げるジバン。
ジバン「洋子先輩のだ……」
前方にそびえる、生体状の奇怪な巨大ドーム。
ジバンがその中の空洞へと進み行く。
突如、あちこちからカニのような生物が飛び出し、ジバンの体に貼り付く。
ジバン「ぐっ……うぅっ! マクシミリアンガン!」
ジバンがそれを引き剥がしてマクシミリアンガンで撃つと、たちまち液状となって消滅する。
今度は地面から何本もの巨大な触手が伸び、ジバンを叩きのめす。
ジバン「なんだ!? ぐっ!」
触手を牽制しつつ、ジバンが奥へ進む。
洋子「きゃあっ! 助けてぇ!」
洋子が触手に縛り上げられ、空中に宙吊りになっている。
さらに、何人もの子供たちが触手で縛り上げられている。
洋子「助けてぇっ!」
ジバン「洋子先輩……!」
子供たち「助けてぇ! 助けてぇ! 助けてぇ!」
助けに向かおうとするジバン。しかしそこへさらに触手が伸び、ジバンも縛り上げられる。
どこからか、ドクターギバの声が響く。
ギバ「ハハハハ……来たな、ジバン。バイオロンに楯突くとは見上げた根性だ、ジバン。どうせ貴様もそこにいる連中も、ここで命を落とすのだ!」
洋子「助けてぇ!」
子供たち「助けてぇ!」
ギバ「やれ! カメレノイド!」
カメレノイドが出現。
下半身は地面から生えた奇怪な樹木と一体化し、その木の根が長く伸び、触手となって洋子たちを縛り上げている。
カメレノイドが剣を抜き、身動きできないジバンを斬りつける。
ジバンは右腕からせり出す武器・マルチワーカーで触手を切断する。
ジバン「マクシミリアンソード!」
ジバンがマクシミリアンを剣型に変形させ、カメレノイドと応戦。
さらに洋子を縛り上げている触手を叩き斬る。
洋子「きゃあ!」
落ちてくる洋子をジバンが受け止める。
子供たち「助けてぇ! 助けてぇ!」
ジバンが子供たちの触手も切断する。
しかし今度は、ジバンより数倍もの体躯に巨大化したブビが現れる。
洋子「きゃあっ!」
ブビの口の中に潜んでいるカメレノイド。下を長く伸ばし、ジバンのマクシミリアンを弾き飛ばす。
さらに舌を伸ばしてジバンを捕え、ブビの口の中に引き込む。
ブビが洋子たちにも迫る。
洋子「きゃあっ!」
ブビの体内でジバンが電子手帳を操作する。
ジバン「レゾン!」
荒野に停まっているレゾンが、無人のまま遠隔操作で出動する。
洋子「助けてぇ!」
子供たち「助けてぇ!」
そこへレゾンが突入してくる。
ジバンが再び電子手帳を操作するや、ジバンがレーザー砲でブビを攻撃する。
たまらずにブビがジバンとカメレノイドを吐き出し、退散してゆく。
洋子「ありがとう! あなたは……?」
ジバン「さぁ、早く逃げるんだ!」
洋子「……えぇ、さぁ、早く!」
子供たち「はい!」
ジバン「マクシミリアンガン!」
ジバンがマクシミリアンガンで、カメレノイドの融合していた樹木を狙撃。爆風が上がる。
ジバン「あの木からウィルスが発生してたのか……!」
ドームもあちこちで誘爆がおきる。
ジバンがレゾンに乗り込み、脱出。
カメレノイドがそれに追いすがり、レゾンのフロントガラスに貼りつく。
レゾンがカメレノイドを乗せたまま走行し、急ブレーキ。
反動でカメレノイドが振り落とされる。
ジバンがレゾンから降りる。
カメレノイドが光線で攻撃。爆風が上がる中、ジバンは微動だにしない。
空中を奇怪に舞うカメレノイドの動作を、ジバンの視線が捉える。
ジバン「ラストシューティング!」
マクシミリアンガンが炸裂。カメレノイドが地面に叩き付けられる。
ジバン「マクシミリアンソード!」
マクシミリアンが剣型に変形。剣身にエネルギーが漲る。
ジバン「ジバンエンド!!」
ジバンが突進し、カメレノイドを一刀両断のもとに斬り捨てる。
大爆発──
勝利を収め、爆風の中から悠々と現れるジバン。その姿が次第に、人間の青年の姿に変わる。
田村直人。この物語の主人公である。
岩陰に隠れて様子を伺っている洋子たち。そこへ直人が駆けて来る。
直人「洋子先輩──! 洋子先輩──!」
洋子「直人ぉ! 直人、恐かったわ! いきなり怪物に捕まったと思ったら、ここへ連れて来られちゃったの」
直人「もう大丈夫ですよ! 悪い奴らは全滅しましたから。君たちも大丈夫かい?」
子供たち「うん!」「大丈夫!」
直人「良かったね!」
洋子「直人……? どうして、全滅したなんて知ってるの?」
直人「いや、それはそのぉ……」
洋子「ねぇ、どうして私たちがここにいることを知ってるの?」
直人「で、ですからそれは……」
洋子「ねぇ、それに私たちを助けてくれたロボットみたいな人、あれは一体誰なの?」
直人「そんなの知りませんよぉ! 夢でも見たんじゃないんですか?」
洋子「夢なんかじゃない、絶対に変よ! ねぇ、どうして? どうしてなの!?」
そこへ何台ものパトカーが駆けつけて来る。
直人「もう、そんなことどうでもいいじゃないですか。仲間も迎えに来ましたし。さぁ署に帰りましょう、先輩!」
公園。
直人とまゆみがソフトクリームで乾杯する。
2人「乾杯!!」
直人「さぁどうぞ!」
まゆみ「おいしいね」
直人「ははっ!」
楽しく語り合いつつ、直人がまゆみに手を差し伸べる。
直人「さぁお嬢様、お手を」
まゆみ「はい!」
燦燦と降り注ぐ太陽を浴びながら、直人とまゆみが楽しげに駆け出す。
謎の組織バイオロンに
1人 敢然と立ち向かった男
機動刑事ジバン
彼は一体どこから来たのか
そしてバイオロンのドクター・ギバの正体は
日本は 新たな恐怖に包まれ始めた……
頑張れ 田村直人!
戦え 機動刑事ジバン!!
つづく