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コードギアス反逆のルルーシュ 第一話


二人の少年が野山を駆け回っていた。夏を象徴するひまわり、音を支配する蝉の声、崖を上る。
富士山の頂上域を見上げる二人。おびただしい数の戦闘機。


皇暦2010年8月10日、神聖ブリタニア帝国は、日本に宣戦布告した。極東で中立を謳う島国と、世界唯一の超大国ブリタニア。
両者の間には、日本の地下資源を巡る、根深い外交上の対立があった。本土決戦においてブリタニア軍は、人型自在戦闘装甲騎「KMF(ナイトメアフレーム) 」を実戦で初めて投入。
その威力は予想を遥かに超え、日本側の本土防衛戦は、ナイトメアによって、尽く突破されていった。日本は帝国の属領となり、自由と、権利と、そして、名前を奪われた。
エリア11――その数字が、敗戦国日本の新しい名前だった。

廃墟に佇む二人の少年

ルルーシュ「僕は……スザク、僕は……ブリタニアをぶっ壊す!!!」


【OP】

STAGE 1
魔人が 生まれた 日



終戦7年後  2017 a.t.b.
ブリタニア人居住区 トウキョウ租界


逃走するトレーラーを追う警察のVTOL機。

警察A「こちら、『Alpha3』。ターゲットは『Delta-12』より、『Delta-14』にはいった。時速80キロで移動中」「『CCT』より各移動。
『フロア5』より『フロア2』に、『Code3』。各員移動キャストは、2886。ターゲットを確保せよ」


洋風の大きな部屋でチェスを打つ二人の男。

ニュースキャスター『先日大阪で起きた爆弾テロの影響でブリタニア人8名その他51名の死傷者をだしたこの惨事は…』

テレビが消え、チェスの待ち時間を知らせるアラームが鳴る。

審判「持ち時間が切れました。これからは、一手20秒以内でお願いします」

貴族「だ、そうだ」

マスター「あっ、あぁっ・・・」

後方のドアが開き部屋に入る二つの影。

貴族「代理人のご到着かな?」

立ち上がりドアに向かうマスター。

マスター「いや、助かったよ!ハハハハハッ!学校のほうはいいのか?」

貴族「なんだ、学生か?」

ルルーシュ「ふん…なんだ、貴族か」

貴族「若者はいいな。時間がたっぷりある、後悔する時間が…名は?」

ルルーシュ「ルルーシュ……ランペルージ」

リヴァルが盤上をのぞく。

リヴァル「おいおい、いっくらなんでもこれは勝てないって、なぁ?」

ルルーシュ「リヴァル、次の授業に間に合うには何分後にここを出ればいい?」

リヴァル「あぁ…飛ばせば20分程で…」

ルルーシュ「なら、帰りは安全運転で頼む」

リヴァル「はぁ?」

椅子に座るルルーシュ。

ルルーシュ「9分で済む。マスター、この間の件」

マスター「わかったよ。話しはつけとく」

貴族「9分?一手20秒だぞ」

ルルーシュ「充分」

黒のキングを動かすルルーシュ。

貴族「ん?キングから?フハハハハハハハ」



アッシュフォード学園

ミレイ「ルルーシュは?」

シャーリー「リヴァルがつれてっちゃって…」

ミレイ「また代打ち、ポーカーかな〜それとも…」

シャーリー「二人とも生徒会の自覚がないんだから…お金かけてんですよ!頭いいのにルルは使い方おかしいんです。ちゃんと勉強すれば成績だって、ねえ」

ミレイ「うちのルルちゃんは、本当は真面目な子なのに…かわいいね〜」

シャーリー「ちょっと会長…」


高速道路を猛スピードで走るトレーラー

永田「クソッ!やっと盗み出せたってのに…玉城の奴が、ナオトの作戦通りに動かないから…!!」


エントランス

玄関に向かうルルーシュとリヴァル。

リヴァル「貴族サイコーっ!プライドあるから支払いも確実だしねぇ!その上、8分32秒の新記録!」

ルルーシュ「相手の持ち時間も少なかったしな。それに温いんだよ、貴族って。特権に寄生しているだけだから」

リヴァル「じゃあイレヴンとやってみるか?俺らブリタニア人と違って…ん?」

外に出た二人の目にビルの上に設置されたスクリーンが写る。

アナウンサー『お待たせしました。ブリタニア帝国第3皇子、クロヴィス殿下、会見の時間です』

クロヴィス『帝国臣民の皆さん。そしてもちろん、協力して頂いている大多数のイレブンの方々…』


カレン「イレヴンじゃない!日本人だ!!」

トレーラーの小さなテレビを見ていた女性が吐き捨てる。


クロヴィス『わかりますか?私の心は今2つに引き裂かれています。悲しみと怒りの心にです。しかし、このエリア11を預かる私がテロに屈するわけにはいきません。
何故ならこれが正義の戦いだからです。全ての幸せを守る正義の!さぁ皆さん、正義に準じた8名に哀悼の意を共に捧げようではありませんか』

アナウンサー『黙祷』

構わずサイドカーを留めているコインパーキングの料金を払うルルーシュ。

リヴァル「あれ、やんないの?」

ルルーシュ「リヴァルは?」

リヴァル「恥ずかしいでしょ〜」

ルルーシュ「そうだな。それに俺達が泣いたって死んだ人間は生き返らない」

リヴァル「うわ、刹那的」

ルルーシュ「所詮自己満足。どれだけ背伸びしたって………どうせ世界は変わらない…」



パーティー会場

婦人A「素敵でしたわ、殿下」

婦人B「先ほどまでパーティーを楽しんでいた方だとはおもえません」

クロヴィス「総督はエリア11の看板役者ですからね。このくらいの変わり身は…」

婦人A「まあ、自信がおありですこと」

クロヴィス「心構えですよ。自信などメディアの方々が喜ぶだけです」

メイディアの男「いえいえ、私どもはクロヴィス殿下の治世に、少しでも助けになればと…」

ディートハルト「張りぼての治世か…」

離れた場所で資料に目を通している男がどこか見下したような表情ではき捨てる。

その男の前を血相変えた軍人が通過する。

バトレー「殿下!」

ディートハルト「軍人?」

クロヴィス「何だ、無粋な」

バトレー「申し訳ありません、しかし」

ディートハルト「また特番かな、せめて素材が…」

クロヴィス「愚か者!!」

バトレー「けっ、警察にはただの医療機器としか、全軍を動かすときは…」

クロヴィス「直属を出せ!ナイトメアもだ!」



高速道路

サイドカーで学園に戻る途中のルルーシュとリヴァル。

リヴァル「最初の手さぁ、なんでキングから動かしたの?」

ルルーシュ「王様から動かないと部下が付いて来ないだろ?」

視線を手に持った本から動かさずに答えるルルーシュ。

リヴァル「あのさぁ…」

ルルーシュ「何?」

リヴァル「ルルーシュって社長にでもなりたいわけ?」

ルルーシュ「まさか、変な夢は身の破滅…」

後方からのクラクションにルルーシュ達が振り向くと、トレーラーが猛スピードで迫っていた。

リヴァル「うわっ!なんですか!」

永田「呑気に走りやがって!」

トレーラーの運転手が慌ててハンドルを切る。

カレン「やめろ!そっちは!」

高速を外れたトレーラーは通行禁止の柵を打ち破ると、工事中のまま放置されたビルへと突っ込んでいく

リヴァル「あの…俺たちのせい?」

ルルーシュ「まさか」

警察A「本庁へターゲットは開発途中で放棄されたVOビルの…」

警察B「待て、本件は軍に移ったバトレー将軍だ」

警察A「将軍!?」


バトレー(回収せねば…なんとしても、あれは…)


トレーラーから淡い光りが見える。

ルルーシュ「なんだ?」

リヴァル「おい、ルルーシュ、エナジーの線が切れたみたいなんだけど…」

ルルーシュ「ああ…なあ、あれって」

野次馬A「おいこっちこっち」

野次馬B「うひゃぁ〜」

野次馬C「悲惨」

野次馬D「なになに?事故ぉ?」

野次馬E「酔っ払ってんじゃないの」

野次馬F「馬鹿なヤツ}

野次馬G「おい、誰か助けにいってやれよ」

通報もせずに呑気に携帯のカメラで撮影する野次馬たち

ルルーシュ「ふんっ…どいつもこいつも...」

リヴァル「おい、ちょっと!」

トレーラーの元へ救助に向かうルルーシュ。

カレン「うっ…」

助手席の女が目を覚ます。

野次馬H「おっ、学生救助隊登場」

野次馬J「だれか、警察ぐらい呼んであげたら?」

ルルーシュ「おい、大丈夫か?」

ルルーシュはトレーラーの中に入ろうとするが運転席は資材がふさいで近づけない。

リヴァル「あのさぁ、やってることは正しいんだけど、やめて欲しいんだよねぇ無意味なプライド発揮するの…授業遅れちゃうって」

カレン「永田、永田!」

梯子でトレーラーの上に上るルルーシュ。

ルルーシュ「おい、聞こえるか!」

C.C(見つけた…私の…)

ルルーシュ「えっ?」

声の主を探し、周りを見回すルルーシュ。

ルルーシュ「どこだ?」

目を覚ました永田がバックギアを入れてアクセルを踏み込む。

荷台を覗き込むルルーシュ。

ルルーシュ「そこに居るのか!?」

永田はトレーラーを動かし、急発進の勢いでルルーシュはで荷台の中に振り落とされる。

ルルーシュ「おわっ…おい、止まれ!った」

リヴァル「ああいうのも、当て逃げって言うのかな?」

ルルーシュが落ちたことに気づかず、走り出したトレーラーを呆れた顔で見るリヴァル。

ルルーシュ「内側にも梯子つけておけよ…」

トレーラーの上空に数機の軍用VTOL機が飛んでいる。

軍人A「警告する!今なら弁護人をつけることが可能である 直ちに停車せよ!」

VTOL機から機関銃が乱射される。

軍人A「次は当てる直ちに停車せよ」

永田「軍まで出てきたっ、どうする!」

カレン「そのために私がいるんでしょっ!」

ルルーシュ「出るのは危ないな。なんかやばそうだし、携帯で…」

ドアが開き荷台のほうに移る女性。それに気づき身を隠すルルーシュ。

カレン「アザブ・ルートから地下鉄に入れる」

永田「カレン!ここで、あれを使ってしまおう!」

カレン「それじゃ虐殺よ!!」

永田「うっ…そうだな…」

ルルーシュ(あの女…)


リヴァル「どこだよ、ルルーシュ?学校行かないと!」


軍人B「ターゲットは租界からゲットーに向います」

軍人A「よし、追い込め!」

軍人B「イエス!」

トレーラのハッチが開ききる前に、鍵爪の付いたケーブルがVTOL機を2機打ち落とす。

軍人C「スラッシュハーケン!?」

トレーラーからKMF(ナイトメアフレーム)グラスゴーが現れる。

軍人C「ナイトメアっ!」

ルルーシュ「クソッ!本物のテロリストじゃないか!!」

カレン「こいつの威力はお前たちが良く知ってるだろうっ!」

車外に飛び出し、スラッシュハーケンでVTOL機を打ち落とすグラスゴー。

ジェレミア「お前たちは下がれ。私が相手をする」

空輸機に運ばれKMF(ナイトメアフレーム)サザーランドが現れる。

ジェレミア「どこから流れたのかは知らぬが、旧型のグラスゴーでは…」

空輸機から離れ地上に降りるサザーランド。

グラスゴーはスラッシュハーケンを放つが、サザーランドのスラッシュハーケンで弾かれる。

ジェレミア「このサザーランドは止められぬ!」

サザーランドが地面に着地する。

ジェレミア「ましてや、皇帝陛下の情愛を理解できぬイレブンふぜいにはな!」

サザーランドのアサルトライフルから銃弾が放たれ、グラスゴーの左腕を破壊する。

カレン「うっ!」

永田『カレン!別行動だ、共倒れはまずい!お前は逃げろ!』

カレン「でもっ!」

別のサザーランドが脚部のランドスピナーを利用してビルとビルの間をよじ登り、トレーラーの目の前に降り立つ。

永田「うっ!」

サザーランドの銃弾を受けてトレーラーは脇道にそれていく。

ヴィレッタ「ふっ、単純なやつだ」

カレンはスラッシュハーケンを発射しようとするが、ハーケンは打ち出されない。

カレン「なんで!?ええい!!」

ジェレミア「中古品がっ!」

近接戦用のスタントンファーを振りかぶり突進するサザーランド。

左手を強制パージし、サザーランドにぶつけ煙に紛れ逃げるグラスゴー。

ジェレミア「ほう、思い切りがいいな。しかし…」

ルルーシュ「ち、携帯は圏外か…この暗さと路面状況、かつての地下鉄路線を走っているな。行き先はどこかのゲットー…出るのは危険…
でも、よし見えた、条件はクリア。軍の保護は癪だがテロリストの通信機を土産に…あ…忘れてた」

リヴァル「あいつ…俺を置き去りにして!」

一人サイドカーを押すリヴァル。


指揮用陸戦艇G-1ベース付近

ロイド「あはっ♪」

バトレー「な、何故それを…」

ロイド「あっ、当たっちゃいました?」

バトレー「貴様っ」

ロイド「やりすぎですって。将軍とクロヴィス殿下が内緒にしていた何かをテロリストに奪われた。取り戻すのは簡単だけど、仲間もまとめて掃除をしたい。
テロリストを泳がせればアジトがわかる。おめでとー♪キミの推理、大当たりだ」

セシル「あっ、いえ、私はただおかしいと…」

バトレー「もういい!で、特派としてはどうしたい?」

ロイド「だから、掃除を手伝いたいんですよ」

バトレー「手伝い?」

ロイド「えぇ、データが欲しいんです」

セシル「それで、何ですか、奪われたものって?」

バトレー「化学兵器。つまりは…毒ガスだ」


親衛隊長『テロリストは地下鉄構内に潜伏している。貴様たちの目的はテロリストが奪った兵器を見つけることにある。
イレブンの居住地シンジュク・ゲットー旧地下鉄構内を探索せよ。発見し次第、コールをよこせ。ターゲットの回収は、わが親衛隊が執り行う。
貴様たちは名誉ブリタニア人とはいえ、元はイレブンだ。同じ猿のにおいをかぎわけろ。銃火器の携行を許可される身分になるため、功績を挙げろ。
今こそブリタニアに忠誠を見せるチャンスである』

ブリタニア兵「「イエス、マイ・ロード」」


地下

トレーラーの運転士永田は、先ほどの攻撃で左の肩辺りから腕まで真っ赤に染まっている。

永田「くっ…」

地面が陥没してできた穴にトレーラーがはまる。

ルルーシュ「うっ、事故か!?それとも…」

轟音に近くにいたブリタニア兵が気づく。

永田はタイヤを回しトレーラを引き抜こうとするがビクともしない。

永田「だ、だめか…頼む、扇…見つけて…」

スイッチを入れトレーラーの扉を開く永田。

開いた扉をスコープで拡大し、視認するブリタニア兵、カプセル発見を知らせる。

親衛隊員「404がターゲットを発見しました」

親衛隊長「よし、回収準備!」

カプセルの傍らに人がいるのに気づいたブリタニア兵。

「あっ」

トレーラーに向かって駆け出すブリタニア兵。

ルルーシュ「今のうちに、上からよじ登れば…」

脱出を図るルルーシュに空中回し蹴りを放つブリタニア兵。
瞬間に反応し、両腕でガードするものの勢いを殺しきれず、後ろに倒れるルルーシュ。

ルルーシュ「ぐっ…ブリタニアのっ…」

ルルーシュの首を左手で押さえ込むブリタニア兵。

「殺すな、これ以上!」

ルルーシュ「待てっ、俺は…」

「しかも、毒ガスなんて!」

ルルーシュ「っ…」

「とぼけようとしても!」

ルルーシュ「っ、だからっ」

ブリタニア兵に蹴りを放つがルルーシュから離れよけられる。

ルルーシュ「どうせその毒ガスだってブリタニアが作ったんだろ?」

「お前…」

ルルーシュ「殺すな?…だったらブリタニアをぶっ壊せ!!」

「ルルーシュ…?」

ルルーシュ「!?」

マスクを外すブリタニア兵。

スザク「僕だよ、スザクだ」

ルルーシュ「っ!……お前、ブリタニアの軍人になったのか?」

スザク「君は?…まさかコレ…」

ルルーシュ「何言ってんだ!」

カプセルが唐突に光を放ち開く。

咄嗟にスザクはルルーシュにマスクを被せ押し倒す。

しかし、カプセルの中から出てきたのは拘束具に包まれた少女だった。

スザク「毒ガスじゃ…ない……?」


カレン「ごめん、あわてて上着ごと…」

扇『いいさ、グラスゴーの回線が使える。それより、やはり…』

カレン「ああ、情報どうり毒ガスだと思う」

扇『永田は?』

カレン「分からない、地下だとは思うけど…」


少女の拘束を解くルルーシュとスザク。

ルルーシュ「答えろよスザク、毒ガスか?この子が」

スザク「しかし、ブリーフィングでは確かに…」

親衛隊が駆けつける。

親衛隊長「このサルがっ!名誉ブリタニア人にはそこまでの権利は与えてはいない!」

スザク「しかしこれは、毒ガスと聞いていたのですが…」

親衛隊長「抗弁の権利はない」

ルルーシュ(まずい…確かに毒だ。外に漏れればスザクの主人達が危うくなる程の猛毒)

親衛隊長「だが、その功績を評価し慈悲を与えよう。柩木一等兵、これでテロリストを射殺しろ」

銃をスザクに渡そうとする親衛隊長。

スザク「えっ…彼は違います!ただの民間人で巻き込まれただけです」

親衛隊長「貴様、これは命令だ。お前はブリタニアに忠誠を誓ったんだろう?」

スザク「それは……でも出来ません」

親衛隊長「なにぃ?」

スザク「自分はやりません。民間人を…彼を撃つようなことは」

親衛隊長「では、死ね」

スザクに向けて発砲、撃たれたスザクは声もなくその場に崩れ落ちていく。

ルルーシュ「スザクーーーっ!!」

親衛隊長「見たところ、ブリタニアの学生らしいが不運だったな。女を捕獲した後、学生を殺せ」

親衛隊員「イエス、マイ・ロード」

永田「ブリタニアのクソども…」

死んだ妻と娘が写った写真に目をやる永田。

永田「日本、万歳!」

血まみれの身体で力を振り絞り、スイッチを押す永田、爆発するトレーラー。


G1ベース

バトレー「逃げられただと!?それでも親衛隊か!!」

親衛隊長『も、申し訳ありません。爆風はほぼ上方に拡散したのですが岩盤が…』

バトレー「なにゆえ、お前たちだけに教えたと思っている!!」

親衛隊長『た、探索を続行します』

通信が切れる。

クロヴィス「作戦は次の段階だな」

バトレー「し、しかし殿下…」

クロヴィス「あれが外に知られたら、私は廃嫡だよ。本国には、演習をかねた区画整理と伝えよう」

立ち上がるクロヴィス。

クロヴィス「第三皇子クロヴィスとして命じる!シンジュク・ゲットーを壊滅せよっ!」

G1ベースから次々とナイトメアが発進する。

逃げ惑う人々をサザーランドが射殺する。

老人「どうしてブリタニアが…」

老婆「おじいさん…」

射殺される老夫婦。

ブリタニア兵「よし、次は上のフロアだ」

指揮官「相手は名誉ブリタニア人にすらなれない屑どもだ。一匹残らず抹消せよ」

ジェレミア「当然」

通信兵『ジェレミア管理官、バトレー将軍が、第二方面軍の指揮を採ってほしいと…』

ジェレミア「参謀がいるだろう。せっかくの前線、楽しませてくれよ」

追い詰められていくゲットーの戦略地図を見ながら笑うクロヴィス。


爆発の隙を見て窮地を脱したルルーシュは少女を連れて地下を歩いていた。

ルルーシュ「何なんだよ、お前は!?お前のせいなんだろ、この騒ぎは…なあ!
しかもブリタニアは………ブリタニアがスザクまでも…!」


G1ベース付近

ロイド「いないって?」

セシル「前線に投入されたようです」

ロイド「ランスロットを連れてきたのに?」

セシル「どうしますか?」

ロイド「ゴリ押ししても、デヴァイサーがいないんじゃなぁ…」

羽をかたどったKMFのキーを左手で持ち、不満そうに見るロイド


地下

ルルーシュ「いいか、そこで待ってろ」

匍匐前進してルルーシュは階段から地上の様子を見た。

銃声が鳴り、顔を引っ込めるルルーシュ。

撃たれた男性が倒れる。

親衛隊長「どうだ?」

親衛隊員「イレブンしかいないようです」

親衛隊長「むう、このあたりなんだな。出口の一つは」

親衛隊員「はい、旧市街との地図は照合済みです」

子ども「ワアァァ!ワァァァァ!」

廃墟の中で子どもが泣き声をあげる。

銃声が鳴り響き、ルルーシュは思わず目を背ける。

携帯の呼び出し音が鳴る。音に気づく親衛隊、ルルーシュは、あわてて携帯の音を止める。


シャーリー「あ…切っちゃたよ!ルルのやつ!」


ルルーシュ「ぐっ…!」

壁へと突き飛ばされるルルーシュ。

少女が近寄ろうとするが、邪魔をされて近づくことができない。

親衛隊長「テロリストの最後にふさわしいロケーションだな」

ルルーシュ「お前らッ…!」

親衛隊長「まぁ、学生にしてはよく頑張った、さすがはブリタニア人だ。しかし、お前の未来は…今、終わった」

銃を構える親衛隊長。

C.C「殺すなーー!」

少女が拘束を振り切り、ルルーシュの前に立つ。

放たれた銃弾が額に当たり倒れる少女。

ルルーシュ「おい!」

すぐさまルルーシュが駆け寄る、しかし少女は硬く目を閉じ、真っ赤な血を流していた。

親衛隊長「ふんっ、できれば生かしておきたかったが、上にはこう報告しよう。われわれ親衛隊は、テロリストのアジトを見つけこれを殲滅。
しかし人質は、既に殴り殺しにあっていた。どうかね、学生君?」

ルルーシュ(何だこれは……スザクも、この子も……そして終わるのか、俺も…何一つ出来ないまま、あっさりと……ナナリー!!)

突如死んだはずの少女がルルーシュの手をつかむ。

視界が暗転する。

C.C(終わりたくないのだな、お前は)

ルルーシュ(何だ…?)

C.C(お前には生きるための理由があるらしい)

ルルーシュ(さっきの女か?まさか…)

C.C(力があれば生きられるか?これは契約。力をあげる代わりに私の願いを一つだけ叶えてもらう。契約すればお前は人の世に生きながら、人とは違う理で生きることになる。
異なる摂理、異なる時間、異なる命…王の力はお前を孤独にする。その覚悟があるのなら…)


ブリタニア皇帝「ラグナレクの接続…神話の再びの始まりか!」


ルルーシュ(いいだろう、結ぶぞ!その契約っ!)

左目を抑えながら立ち上がるルルーシュ。

親衛隊長「ん?」

ルルーシュ「なぁ…ブリタニアを憎むブリタニア人はどう生きれば良い?」

親衛隊長「貴様、主義者か!…ん?」

ルルーシュ「どうした、撃たないのか?相手は学生だぞ。それとも気づいたか?撃っていいのは撃たれる覚悟があるヤツだけだと…」

左目が赤く染まり紋章が浮かぶ。

親衛隊長「なっ、何だ!?」

ルルーシュ「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる。貴様達は……死ね」

ギアスが発動し、親衛隊はギアスにかかる。

親衛隊長「んふふふふっ…イエス・ユア・ハイネスっ!!」

自分の持っていた銃を首にあて自らを撃つ親衛隊。

真っ赤な血が地面を濡らし、ルルーシュの頬にも一滴の血がつく。

ルルーシュ(あの日から、俺はずっと嘘を付いていた。生きているって嘘を…名前も嘘、経歴も嘘……嘘ばっかりだ。
まったく変わらない世界に飽き飽きして、でも嘘って絶望で諦めることもできなくて……だけど手に入れた?力を………)

ルルーシュ「だから……」

不安げな表情から、不敵な笑みに変わるルルーシュ。


【ED】

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