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ハヤテのごとく!の第1話
 

少年「ねえサンタさん、どうして僕にはプレゼント持ってきてくれないの!?」

サンタ「うん。それはな、お前の家は貧乏だからだよ」

少年「え―――っ!? で、でも、それじゃ僕はどうすればいいのさ?」

サンタ「働け少年! 『働かざるもの食うべからず』。ほしい物があるなら自分の力で何とかするのだ……」

少年「で、でも……」

サンタ「だが信じろ。最後に笑うのは下向きでまじめな奴だから……」

少年「サンタさん……」

サンタ「ま、それでもお前にプレゼントはやらんけどな……」

サンタが飛び去る。

少年「え? それってどういうこと!?」

サンタ「ハハハハ……」

少年「ちょっと、待ってよ。お―――い!!」

少年「(ナレーション)最後のセリフが気になったが、それでも僕は、そのサンタの言葉を信じて生きることにした。今日までは……」
 

A.D.200X Decenber
 

出版社前

編集長「どうするんだ? 後5分、後5分で原稿が届かないと……」

編集員A「ああ―――っ……今週号はおしまいだ―――っ!!」

編集員B「安心してください。もうすぐ境界最速の自転車便が来ますから!」

編集長「最速!?」

少年が自転車で走ってくる。

編集員A「来ました。あれです!」

少年「おまたせしました!!」

すると自転車が石に躓く。

少年は自転車から降りてヘルメットを取る。

少年の名は綾崎ハヤテである。

ハヤテ「自転車便の綾崎ハヤテです。サインを……」
 

運命は、
英語で言うとデスティニー
 

編集員B「ありがとう。境界線最速活、人間離れした、とてつもなく頑丈な体を持つ自転車便屋さん!!」

編集長「しかし君、本当に大丈夫なのかね!?」

ハヤテ「ご心配なく。鍛えてますから……」

編集長のが赤面になる。

ハヤテ「じゃあ、またのご利用をお待ちしてます」

編集長「ああ。ちょっと、君……」

ハヤテ「僕のことなら大丈夫です。本当に……」

編集長「違う。前、前を!!」

前からボールが飛んで来てハヤテの顔面に直撃。

ハヤテ「ああ―――っ!!」

ハヤテは自転車もろとも地下鉄に落ちてしまう。

野球少年「すいません。大丈夫ですか!?」

編集長「不憫な。あんなに健気なのに……」

編集員A「ええ。あの少年、恐ろしく運が悪い……」

それから……。

ハヤテ「あいててて……全く。せっかくのイヴだというのに」

天の声「そう。そのころの少年はまだ、ごーく平凡な公立高校に通う、ごく普通の高校生であった……」

ハヤテの友人「おお、ハヤテじゃん」

ハヤテ「ん? やあこれは。ごく普通の公立高校に通う、ごく普通のクラスメイトたち……」

ハヤテの友人「悪かったな。平凡で……」

ハヤテ「ははは。で、どうしたの!? 皆揃って。あ、もしかしてクリスマスパーティー?」

ハヤテの友人「おお。暇なら行くか!? たった3千円で、飲み放題食べ放題だぞ」

ハヤテ「でも、お金ないし……まだバイトも」

ハヤテの友人「相変わらず付き合い悪いな」「ハヤテ君、運動神経いいんだからさ。部活とかやればいいのに……」

ハヤテ「でも、バイトの時間、減っちゃうし……」

ハヤテの友人「ええい! バイトバイトって、お前は金の亡者か!?」「友情はお金では買えないわ!!」「大体なんでそんなに金が要るんだよ!?」

ハヤテ「俺は、ええっと……うちの親、無職だから……」

この一言に一同が静まる。

ハヤテの友人「ご、ごめん。なんか俺たち、はしゃぎすぎてたよ。じゃあな……」

友人たちが去っていく。

ハヤテ「はぁ……」

天の声「そう。たとえば、無職の理由が不況のリストラとかであれば、同情の余地があるだろう。しかし、ハヤテの父は……」

(ハヤテの父『イエーイ! 自分探しって知ってるかい!? 父さんには、きっと自分にもっと相応しい仕事があると思うんだ!』)

天の声「夢見がちなこと言っちゃってまあ、ニート暴走……」

(ハヤテの母『母さんはね、お金を吸ってるわけじゃないの。夢に投資してるのよ! ほほほほ……』)

天の声「そして母もまた、家事をボイコットしちゃって、放蕩三昧……」

ハヤテ(『働かざるもの食うべからず』……けど、僕は信じている。最後に笑うのはきっと、きっと来た向きでまじめな奴なのだと!!)

会社

社長「綾崎君、君はクビだ……」

ハヤテ「へ?」

社長「君は年齢を偽っているな!? まだ高校生だそうじゃないか……」

ハヤテ「な、なぜそれを!?」

社長「先ほど君の両親がいらっしゃってそう告げられた……」

ハヤテ「え?」

社長「まじめで優秀な若者と思っていたのに、裏切られたよ。とりあえず今月のバイト第17万円は両親に……」

ハヤテ「わ、渡したんですか!? あの親にそんなお金を渡したら、夢投資で全部すっちゃうに決まってるじゃないですか!」

社長「バカな。そんな親がどこに……」

ハヤテ「いるから年齢を偽って僕がバイトしてるんですよ!」

ハヤテは会社を出て、急いで家に戻る。

ハヤテ「なんてことを……(あれが大事に塚沸きゃいけないお金ことだってぐらい)父さん、母さん!! 僕の給料は?」

ハヤテが自宅のアパートに入ると、ちゃぶ台に給料袋がおいてあった。

ハヤテ「よかった。まだ使ってないんだね!?」

袋から紙が落ちる。

ハヤテの母(手紙)「ごめーん。夢投資してみたんだけど、失敗しちゃった。てへ……ママ」

袋も中身は12円だけ。

ハヤテがひざまづく。

ハヤテ「こ、これでどうやって年を越すんだよ!? うちにはもう、貯金だってないのに……ん?」

窓に張り紙が張ってあった。

ハヤテ「『ハヤテ君へ。クリスマスプレゼントだよ』!?」

張り紙の下の封筒をあけると、また1枚の紙が張ってあった。

ハヤテ「何これ? 1、10、100、1000、万、10万、100万、1000万、1億……1億5千680万4000円の借用書!?」

ハヤテの両親「(手紙)とても親切な人たちにお金借りちゃった。てなわけで、返済よろしく!」

ハヤテ「アホ―――!!」

ハヤテの母「(手紙)でも、出来ちゃったものはしょうがないし……」

ハヤテ「開き直るな……」

ハヤテの父「(手紙)けど、働いて返すのはだるいし、家にはもうお金がありません……」

ハヤテの母「(手紙)ママはあれこれ考えた結果、ふと名案を思いつきました」

ハヤテ「名案!?」

ハヤテの両親「(手紙)そうだ! お詫びにハヤテ君をプレゼントしよう。クリスマスだし!」

ハヤテ「と、父さん母さん……」

すると誰かがドアを叩く。

男「オラ! 綾崎さんいらっしゃいますか!? 坊ちゃん譲り受けに来ました」

ドアが破れる。現れたのは取り立て屋の3人組だった。

ハヤテ「あなた方がまさか、とっても親切な人たち……ですか!?」

兄貴「おうよ。お前の両親に貸した、とても親切なたちたちよ」

ハヤテ「やだなあ……とても親切な人たちさん、借金した僕の親はもうここにはいませんよ!? それに1億5千680万4000円なんて、返せるわけ……」

舎弟「心配あらへんがな。こっちもプロやから、一緒に来てくれたら……たとえば、南国のパラダイスで無償のボランティアに勤しんでもらうとか、あるいは世界をまたに駆けた宅配サービスに就職してもらうとか、まあ、交通道徳の尊さを教えるコンサルトになるのもいいし……まあ、得られる力にはなったるさかい」

するとハヤテが窓を破って逃げ出す。

兄貴「コラー、待たんかい坊ちゃん!!」

夜中の公園

そこでハヤテはポツンとベンチに座っていた。

ハヤテ「何とか逃げてきたけど、ここまでやるとは。全く、なんて親だ……ん?」

空から雪が降る。

ハヤテ「何度見てもやっぱり1億5千680万4千円か。捨てられちゃったんだな、本当に……」

ハヤテの脳裏にサンタの言葉が甦る。

(サンタ『だが信じろ。最後に笑うのはきっと、下向きでまじめな……』)

ハヤテが回想のサンタにパンチする。

ハヤテ「ちがーう!! 結局世の中、ずるい奴が勝つんだよ。まじめに頑張ったって、手に入るものなんか何もないんだ! 『フランダースの犬』のネロだって、いい人を貫いたら死んだじゃないか!!」

「何だこの機械は!?」

ハヤテ「ん?」

「カードは使えんのか、カードは!?」

自販機の目で騒いでいたのは三千院家の令嬢・三千院ナギだった。

天の声「少年と少女、運命の出会いであった……」

ハヤテのアパート前

舎弟「見失いました」「すばしっこいボンや……」

兄貴「草の根を分けてでも探し出せ。お前らも、こんだけじゃ全然足りねぇぞ……明日までに全額持って来ないとわかってんだろうな!?」

男2人「は、はい……」

公園

ハヤテ(あのタイプの借金取りは、何があろうと絶対僕を見逃すわけがない……)
 
悪魔ハヤテ「その通りだぜ。貴様はもう終わりだ……おとなしくさっきの連中に」

天使ハヤテ「ハヤテよ、決してあきらめてはなりません。人として生まれた以上、最後まで努力し続けなくては……」

悪魔ハヤテ「けっ! 今更何が出来るってんだ!?」

天使ハヤテ「あの少女を誘拐いたしましょう……」

悪魔ハヤテ「あっ!?」

天使ハヤテ「あの子を誘拐して、1億5千万の身代金をありがたく頂戴するのです」

ハヤテ「なるほど……」

悪魔ハヤテ「お、おい……いくらなんでもそれ、ちっとまずくねぇか!?」

ハヤテ「けど、こっちはあんな親のおかげで命まで危なくなってんだ!」

天使ハヤテ「そうです、多少の悪事は許されて当然。いや、許されるべき……」

悪魔ハヤテ「やめとけって!」

天使ハヤテ「ネロやパトラッシュだってきっと天国で行ってます。敵を討てと……」

ハヤテ「そうだ。もし捕まったって、務所に暖かい食事と布団が……」

ナギ「あっ、触るな」

ハヤテ「ん?」

男2人がナギをナンパしていた。

男「ねえねえ、君、かわいいねぇ」「せっかくのクリスマスイヴに1人なんてさあ、俺たちとどっか楽しいところに……」

男が手を引っ張る。

ナギ「ああ……」

するとハヤテが男の顔面に1発パンチをかます。

ハヤテ「ネロの命日にナンパなんかするな! ルーベンスの絵でも見ながらご立腹しなさい。若者め!!」

男「おい……」「親父にもぶたれたことないのに……」

ハヤテが睨む。

男2人「すいませんでした―――!!」

男2人は逃げていく。

ハヤテ(あっ! し、しまった。思わず反射的に飛び出して……)

ナギ「ありがとう……」

ハヤテがナギの方に振り向く。

ナギ「なんか知らんが、助かった。ところでお前、これがわかるか!? この「あたたか〜い」というのが欲しいのだが、ボタンを押してもでてこない」

ハヤテ「そりゃ100円玉とか入れないと……」

ナギ「この「あたたか〜い」がないと寒くて私が死んでしまう。へっくしょん!」

ハヤテはポケットを確認すると、先ほどの12円しかなかった。

さらには上着を脱いでナギに被せる。

ハヤテ「女の子が体を冷やすのはよくないから、着てなさい……」

ナギ「安っぽいコートだな……作りは荒いし、生地は重い。おまけにサイズはぶかぶかだ……でも暖かい。気に入った! そうだな。この暖かいのお礼、何かしてやろう」

ハヤテ「え?」

ナギ「何でもいいぞ。言ってみろ!」

ハヤテ「(何でも!?)本当に……!?」

ナギ「うん!」

ハヤテ(あ、そうだ。もうこうなったらやるしかない!)

天の声「その時、少年は決意した。助けたお礼に身代金を要求するための、人質になってもらおうと……」

ハヤテ「じゃあ、単刀直入に言うよ!?」

ナギ「うんうん!」

ハヤテ「僕と付き合ってくれないか!?」

ナギ「え?」

ハヤテ「僕は君が欲しいんだ!!」

天の声「その微妙な言い回しは、2人の関係を徹底的にややこしくして……」

ナギ「イヴの夜だからって、いきなりそんな告白……じ、自分が何を言ってるか、貴様、わかっているのか!?」

ハヤテが自販機に手をぶつける。

ハヤテ「こんなこと冗談じゃいえない……命がけさ。一目見た瞬間から君を、君をさらうと決めていた……」

天の声「本気の思いは伝わる。が、それが正しく伝わるかどうかは、絶妙だ……」

ナギ「わ、わかった。その代わり……浮気とかは絶対ダメだからな!!」

ハヤテ「へ? あ……うん! (浮気……!?)まあいいや。じゃあ、保護者の方の番号を教えてくれない!?」

ナギ「うん……」

ハヤテ「じゃあ、ここでちょっと待ってて」

ハヤテが去り、ナギは手を振る。

ナギ「(まだどきどきが納まんないや……でもあの男、強くて優しくてとにかくかっこいい!)ん?」

ナギはハヤテのコートから封筒を取り出す。

ナギ「ハヤテ……これがあいつの名前なのか!? ハヤ……」

ナギの目に男2人が立ちふさがる。

一方、ハヤテはナギの家に電話をかけようとしていた。

ハヤテ「さーて、それでは匿名で身代金の要求をするか。もう僕を誰も止められないぜ!」

電話の声「はい、もしもし……」

ハヤテ「あ、もしもし!? 綾崎ですけど……」

天の声「誘拐犯が名乗ってどうする!?」

ハヤテが電話を切る。

ハヤテ「終わった。僕の完璧な計画が……まだ始まってすらいないのに」

するとハヤテが転んでしまい、1円玉2枚をどぶに落としてしまう。

ハヤテ「ああ―――っ!!」

それをどけようとするが、うまくいかない。

少年「パパママ、どうしてこんな寒いのにコート着てないの!?」

少年の母「しっ!」

ハヤテ(くそー。結局こんなもんなんだよ、僕は……まじめに働いても、悪事を働こうとしても、うまくいきっこない。なんかもう疲れちゃったなぁ……)

上から雪がハヤテに落ちる。

ハヤテ(このまま寝たら死んじゃうのかなぁ!? でもいいや。どうせ生きてたって、苦しいことばかりだし。別に死んだって、誰も僕のことなんか……)

「大丈夫ですか!?」

ハヤテに声をかけたのは三千院家のメイド・マリアだった。

マリアは走ってハヤテの手に触れる。

マリア「大変。こんなに冷たくなって……」

ハヤテが目を覚ます。

ハヤテ「ん……んん……えっ、え〜〜っ!?」

ハヤテが起き上がる。

マリアもハヤテの首にマフラーを巻く。

マリア「こんなところで寝ては、風邪を引いてしまいますよ!?」

天の声「不意打ちであった。その優しい笑顔は、人生のどん底で息づいていた少年の心には……かなり聞いたという……」

ハヤテの目から涙が溢れる。

マリア「え?」

ハヤテ「うわああ―――ん!!」

マリア「あの……ちょっと!?」

ハヤテ(パトラッシュ……僕、間違ってたよ。世の中にこんなに優しい人が……なのに僕は誘拐だなんて、バカなことを……)

「何をするのだ!?」「騒ぐんじゃない!!」

ハヤテ「そうだ、僕は何を!?」

ハヤテが立ち上がって振り向くと、ナギが男に車に乗せられていた。

ナギ「ちょ……」

男「さっさと乗れ!」

車が走り出す。

ハヤテ「え?」

マリア「あの子ったら大変。また誘拐なんかされて……」

ハヤテ「お知り合いなんですか!?」

マリア「ええ。どうしましょう!? 姫神君もいないのに……」

ハヤテ「ちょっとお借りします!」

マリア「え?」

ハヤテがマリアの自転車にまたがる。

ハヤテ「あなた警察に連絡を……あの子は僕が助けて見せます!!」

マリア「助けるって……相手は車ですよ!?」

ハヤテが猛スピードで走り出す。

街中

天の声「そう。このアニメは決して、非道な犯罪を許しません。誘拐以下クール!」

男「おっしゃ! 誘拐成功!!」「これでたんまり身代金せしめて、借金を返せるぜ!!」

ナギ「おい、そこのバカ2人」

弟分「ああっ!?」

ナギ「空気が汚れるから呼吸をやめてくれんか!? 環境破壊だぞ。大切にしろよ、地球は……」

男「こ、このガキ……」「俺たちを怒らせ……」

ナギ「だから呼吸をするなと言ったろう、このハゲ!!」

確かに、運転する男の帽子がめくれると頭がハゲていた。

弟分「あんまりハゲのぶち切りだと、本当に痛い目にあうぞ……」

ナギのキックが男Bの顔面に炸裂する。

ナギ「近づくな変態! それ以上近づいたら人を呼ぶぞバカ者!」

弟分「バカはお前だ小娘。このスピードでぶっ飛ばす車に追いつける奴がいると……」

ナギ「いるさ、命がけで私をさらうと言った。だから呼べばくるさ!」

弟分「だったら今すぐ呼んで見やがれ……」

男Bの手がナギに迫る。

ナギ「ハヤテ―――!!」

上からハヤテが自転車で参上する。

男2人「何!?」

ナギ「ハヤテ……」

自転車が着陸。

ハヤテ「悪党ども、大人しくその子を返せ……」

すると車がハヤテをそのまま跳ねてしまう。

男「兄貴!」「うっせぇ! いきなり前に出てくるやつが……」

ナギ「お前たち、よくも……」

ボンネットの上にハヤテが降り立つ。

ハヤテの形相はとてつもなく怖かった。

ハヤテ「その子を僕に返してくれる!?」

男2人「は、はい……」

ナギ「ハヤテ……」

数分後、警察が到着する。

ナギ「おい、お前体は!?」

ハヤテ「ご心配なく。鍛えてますから……君が無事で、本当によかった」

ナギ「また、お礼しなきゃな……」

ハヤテ「お礼なんて、僕はもう少しで……」

ナギ「ん、何だ!? 遠慮は要らんぞ。何でも言ってみろ!」

ハヤテ「だったら、今度は僕の……新しい仕事でも見つけて……」

ハヤテが倒れる。

ナギ「お、おい……ほ、本当に大丈夫なのか!? お前、何か赤い液体が出てるぞ!」

ハヤテ「こんなただの、ちょっと電波に乗せられない程度の頭部、及びかすり傷ぐらいは……」

ナギ「ハヤテ……おい、ハヤテ!」

マリア「ナギ!」

ナギ「おー、マリア……いいところに来た。早く手当てを……」

マリア「一応クラウスさんに迎えに来る様、伝えてますけど……これは、そのみすぼらしいコートは一体!?」

ナギ「いあっ! こ、これは哀れなほど安っぽい作りのコートだが……せっかく命の恩人がくれたコートなんだ。大事に着てやらねば三千院家の名が泣くだろ!?」

マリア「命の……恩人!?」

ナギ「そういえば、姫神の公認がまだだったな。こいつにしよう!」

マリア「はい!?」

警官「そのケガ人は、こっちの複数車両に……」

ナギ「心配ない。もう間に合っておる」

警官「え?」

突風が吹き荒れる。

ナギ「新しい仕事を見つけてやると約束した、礼もある。だから、こいつをこの三千院ナギの新しい執事にする!」

天の声「そう。それはまさしく、運命の出会いであった。この世を境に、少年の運命は大きく変わり始めるのだが……詳しくはまた。次回も放送報道と戦いまーす」
 

(続く)
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