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ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣
MAP0:敗走
 
かつてこのアカネイア大陸は
大陸制覇の野望を抱く竜人族(マムクート)の王
「暗黒竜メディウス」の手に陥ちんとしていた
大陸全土を治めていたアカネイア王国も
メディウス率いるドルーア軍によって壊滅的な打撃を被った
王国が滅びんとするまさにその時
突如暗黒の帳を引き裂いた者がいた
彼の名はアンリ
アリティアの地で生を受け
苦難の旅のすえ神剣ファルシオンを手にした若き勇者
メディウスを打ち倒し大陸に再び平和をもたらした英雄アンリは
故郷アリティアに国を興し その初代国王に任じられる
そして神剣ファルシオンも城の一室で深い眠りについた
そして100年後
アカネイア大陸に再び動乱の時代が訪れようとしていた
 
先の動乱の後 各国の監視下にあったはずのドルーア国は
闇の司祭ガーネフと手を結び 突如各国への侵攻を開始した
グルニア王国とマケドニア王国を併合し強大な軍事帝国となった新生ドルーアは
ついに聖都アカネイアを陥落せしめた
そして その魔の手がアリティア王国までのびた時
現アリティア国王コーネリアスは出陣を決意した――――
(神剣ファルシオンを決意と共に見つめるコーネリアス)
 
アリティア城
 城の中庭で主人公・マルスが小鳥に餌をあげている。
??「マルス…やはりここでしたね」
 マルスの姉・エリスが現れる。
マルス「姉上!」
エリス「使者を迎えて出陣前の軍議が始まっているわ。早く城にお戻りなさい」
マルス「はい…、でももう少し…、戦に出るとしばらく面倒も見られなくなるから…」
エリス「そうね…」
マルス「姉上…、私はここ数日…胸騒ぎがして仕方がないのです」
エリス「初陣というのは皆不安なものですよ」
マルス「いいえ、そうではなくて…ご覧下さい、この鳥は本来アカネイア地方にのみ生息する鳥です。それがアカネイア王国がドルーア軍の手に陥ちてから、群れをなしてこのアリティアに渡ってきたのです。他にもずい分いろんな鳥や動物が、アカネイアから逃げるようにやって来ています。私にはこの戦いに只ならぬ邪悪な気配が感じられてなりません」
エリス「いかなる理由があるにせよ、王太子であるあなたがそのような不安な顔をしていては、兵の士気にかかわります。苦しい時こそ逆に力強く兵たちを導いてあげる…それがあなたの役目よ」
 
 アリティア城内・軍議の間。コ−ネリアスを始めとしたアリティア軍の重鎮が戦略会議を始めている。
コーネリアス「同盟国グラからの情報によると――ドルーア軍は既にその一部を我が国との国境へ向けている。その数は少ないが、戦力的には侮れないものがある。よって明日は計画通り、グラ国のジオル将軍と合流した後ドルーアを迎え撃つ!合流地点にはこの者――グラ国の使者が案内してくれる」
 この会議に参列していたグラの使者に視点は移る。
コーネリアス「作戦の指揮は私がとる。兵達には明日に備え、充分な休養をとるよう申し伝えよ」
 扉が開き、マルスが入ってくる。しかしコーネリアスの射抜くような目線にたじろぎ、
コーネリアス「マルス、今まで何をしておった」
マルス「き…気分がすぐれなくて…」
コーネリアス「明日はお前の初陣だ…王太子たるお前には付き従う兵たちもいる、お前の気のゆるみで多くの兵たちが命を落とすこともある。なのに重要な戦略会議に遅れるとは何事か!!」
 アリティア宮廷騎士団の隊長・ジェイガンがコーネリアスを諌める。
ジェイガン「陛下…マルス様も何分はじめてのことですから、もうそのくらいで…」
コーネリアス「……わかった、席につくがよい…」
 
 軍議の後、コーネリアスの部屋にてコーネリアスとジェイガンが話している。
コーネリアス「ジェイガン…マルスをどう思うか。あやつは姉のエリスと違い魔法も使えず、剣術も進んで学ぼうとせん。やがてこの国を継ぐ者にしてはあまりに覇気がない」
ジェイガン「しかしながら陛下、マルス様には人をひきつける魅力のようなものがございます。私ども宮廷騎士団(テンプルナイツ)の中でもマルス様のお優しい人柄に打たれているものは多うございます。それは人を統べる上で得がたい才能かと存じますが…」
コーネリアス「わかっている…あやつは幼い頃から自分より人を思いやる、優しい子であった…平穏な時代であれは良き王となったであろう…だが今は違う!!この乱世に生きるには誰よりも強く…強くなければならぬ!!」
陛下…
コーネリアス「今度の戦いは今までとは違う気がするのだ。ドルーアの兵達は命乞いをする者までかまわず斬殺すると聞いている。私はその背後に100年前の動乱と同じ悪しき力が感じられる。それもより一層邪悪なものとして!!」
ジェイガン「陛下…」
コーネリアス「ジェイガン…いろいろとマルスを助けてやってくれぬか?」
ジェイガン「はい…!」
 
出発の朝
 アリティア宮廷騎士団が集結している。
??「マルス様!」
マルス「カイン、それにアベル!」
 アリティア宮廷騎士団の若き騎士、カインとアベルがそこにいた。
アベル「王子、この度の道中我らがお供いたします」
カイン「ジェイガン様に申しつかりまして」
マルス「ありがとう、二人がいてくれればとても心強いよ」
アベル「心配いりません、王子。いざとなったらこのカインをエサにして私が王子をお守りいたします!!」
カイン「ア、アベル!お前!!」
 そんな出陣の様子を見送るエリスに、
マルス(姉上…行ってまいります!)
 挙手で応えるマルス。
ジェイガン「陛下、準備が整いました」
コーネリアス「うむ」
 皆の顔に緊張が走る。
コーネリアス「全軍出発!!」
 たちまちあがる鬨の声。そしてアリティア軍は進撃していく。
女官「エリス様、風が強くなってまいりました。どうぞお部屋の中に」
エリス「いえ…もう少し…」
 
グラ国―――
 グラの王・ジオルとグルニアの名将・カミュが話し合っている。
カミュ「嫌な天気になりましたね。アリティア軍は予定通りグラとの国境に向けて出発させたそうです。使者に道案内させてね。おわかりですね、ジオル将軍。手筈通り、アリティアには滅んでいただきましょう。我らが偉大なる“王”のために――」
 
一方進撃を続けるアリティア軍。
突如として強風が吹き始め、天候も悪くなってきた。
アベル「わっ!すごい風だな!吹き飛んでしまいそうだ」
カイン「マルス様、ひと雨きそうですね。たいしたことなければいいのですが……」
マルス「あの雲はいつもこの時期アリテイアに大雨をもたらす雲だよ。もうすぐ雷を伴った強い雨が降るんじゃないかな」
カイン「マルス様は城の風水士より天候にお強いですからね」
マルス「そんなことはないけど…」
それより…
マルス「こんな場所で奇襲されたらひとたまりもないな」
カイン「心配いりませんよ。グラの使者によればドルーア軍はまだ国境を越えたわけではないそうだすし、第一最も安全なルートを選んでる筈ですから」
アベル「でも、何かおれはあの使者の眼が信用できないな」
カイン「アベルはだいたいうたぐり深すぎなんだよ!」
 マルス、何かに気づいたらしく、
マルス「ん?今何か、岩の上で光った…」
 カインとアベルも上を見るが、
アベル「まさか……?」
マルス「……」
 
 そして最前列のコーネリアスとジェイガン。
コーネリアス「ジェイガン…あれは大丈夫だろうか」
ジェイガン「マルス様ですか。カインとアベルの二人が護衛いたしております。どちらも若いながら腕はなかなかのもの、心配ないかと思いますが」
コーネリアス「……そうか」
 ふと気づくと、先導していた使者が突然立ち止まった。
コーネリアス「どうしたのだ使者どの…?」
使者「残念ながらここでお別れです、コーネリアス王」
コーネリアス王「どういうことだ!?」
 使者は合図として手を上げ、氷の視線を向ける。
使者「アリティアに、死を」
コーネリアス王「何ッ!?」
 ふと気づくと、谷間の頭上を兵たちが包囲していた。
マルス「あ…あれは…古の暗黒竜をたたえるあの旗は…ドルーア軍だ!!」
 ドルーア兵たちは頭上から真下のアリティア軍へと矢の雨を浴びせる。
兵士「うわっ!!」
 頭上からの攻撃に成す術なく倒されていくアリティア兵たち。
コーネリアス「ぜ、全軍頭上よりの攻撃に備えよ!!」
 混乱の中、マルス達も、
マルス「あっ!」
カイン「マルス様、私の馬へ」
アベル「急げ、カイン!!」
 その時炸裂音が聞こえてきた!それと共に現れるシューター(木製戦車)達。
アベル「シューターだ!!」
カイン「火器や投石器を搭載した強力な戦闘兵器です」
 その旗印に気づいたアベル、
アベル「冗談じゃない…あのシューターの旗はグラのものだぜ…」
マルス「!」
 一方前線のコーネリアスたち、
兵士「陛下!後方より奇襲、退路が断たれました!!」
コーネリアス「馬鹿な!ドルーアに後ろを取られたというのかッ!?」
兵士「い…いえ、それが…」
コーネリアス「グラ国…だと?ジオルめ、我身可愛さに裏切ったのか!!おのれ!!全軍前進!!谷を抜けて両軍を迎え撃つ!!」
 コーネリアスの命令に従い前進して突破しようとするアリティア軍。
 しかし、彼らを嘲笑うように前衛の兵が倒されていく。
アベル「!!なっ…馬鹿なッ!!こんなところにドルーアの主力部隊が…!!!」
 驚愕するコーネリアス。
 
一方的な戦いが始まった―――…
ドルーア軍の奇襲と同盟国グラの裏切りにより
アリティア軍は態勢を立て直せないまま
きびしい戦局にのみ込まれていった
ドルーアの兵士達は何かに憑かれたかの如く攻め寄せ続け
その死を恐れぬ不気味な戦いぶりは
アリティアの兵を その誇りを ことごとく踏み潰していった
アリテイアの精鋭部隊はその輝かしい戦跡においてはじめて敗北の恐怖を知り
なす術もないまま次々と倒れていった―――…
 
戦いの血を洗い流すかのように雨が降り始めてくる。
そして崖の上からアリティア軍の壊滅を見届けるカミュ達。
グルニア兵「カミュ様の策が見事功を奏しましたね!まさかアリティアの奴らも、グラ国が裏切るとは考えなかったでしょう。これでアリティアも滅びます!」
カミュ「……帰るぞ」
 そしてカミュは背を向け、引き上げていく。
グルニア兵「えっ…あの」
 
コーネリアスが気づくと、アリティア軍の大半は壊滅していた。
コーネリアス「馬鹿な!こんなことが…」
ジェイガン「陛下!!」
 ジェイガンがコーネリアスの元に駆け寄ってくる。
ジェイガン「我軍はほぼ壊滅状態です!…ひとまず城に退却いたしましょう」
コーネリアス「何を言うか!!ここでおめおめと引き下がっては、死んでいった兵達に申し訳が立たぬわ!!」
ジェイガン「…ですが陛下、死んだ兵達のことを思うならなおさら!退却して体勢をたて直し、再起を期するべきです!!」
 瞑目するコーネリアス。
コーネリアス「マルスは…マルスは無事か」
ジェイガン「申し訳ありません…混乱の中で見失いました…何分この雨と霧ですので…」
コーネリアス「わかった――残りの兵達に伝えよ、防戦しつつすみやかに退却せよ…と」
ジェイガン「はっ!」
 去っていくジェイガン。
 
 一方マルス、カイン、アベルの3人は何とか乱戦を切り抜けていた。
カイン「マルス様、おケガはありませんか」
マルス「ありがとう、大丈夫だよ。それよりカインの方が」
カイン「あはは、こんなのケガの内に入りませんよ。アベルの力まかせの下手っぴな剣の練習に付き合って慣れてますし」
 カインの軽口にアベルが怒り、じゃれあいの喧嘩が始まる。しかしマルスは不穏な気配を感じ取り、
マルス「なんだろ…?この気配は…!?」
アベル「!」
??「ククク…勇者アンリの子孫にしてコーネリアスの子…アリティアのマルス王子よ」
アベル「誰だ!!」
カインとアベルも喧嘩をやめ、それぞれの得物を手に警戒する。
ガーネフ「お初にお目にかかる。わしはガーネフ」
 霧の中から現れたのは悪の司祭ガーネフその人であった。
マルス「ガーネフ!!」
ガーネフ「ククク…コーネリアスを探しておったのだがまあ、そなたが先でも構わん…わしらの大陸制覇の野望を遂げるためにはアンリの血筋は少々邪魔なのでな…そなた個人に恨みはないが…死んでもらわねばならん」
カイン「!」
アベル「王子…ここは私とカインが引き受けます。早く国王陛下の下へ!」
 カインとアベルはガーネフの前に立ちふさがる。
マルス「アベル!」
ガーネフ「クク…ザコに用はない」
アベル「何っ!?」
 ガーネフの目が見開かれ、衝撃波が放たれる。一瞬で倒されるカインとアベル。
マルス「アベル!!カイン!!」
 ガーネフを懸命に睨みつけ、剣を取るマルス。
ガーネフ「ほう…剣を取るか、王子よ…」
カイン「マルス様!!」
 マルスの手は震えている。
ガーネフ「剣を持つ手が震えておるが…ククク…」
 その隙を逃さずガーネフの衝撃波がマルスを襲う!
マルス「がはっ!!」
 膝をつくマルス。さらに追い討ちをかけるように衝撃波がマルスを襲い、マルスは倒される。
ガーネフ「力がないということは、ククク…哀しいことだな、アリティアの王子…」
マルス「ぐっ…」
ガーネフ「先ほどの戦いぶりといい…かつては勇名を馳せたアリティア軍も、長い平和になれすっかり腰抜けになったと見える。アンリもこの惨状を見たら、大いになげいたことじゃろうて」
 立ち上がろうとするマルス、懸命にガーネフを睨みつける。
ガーネフ(こやつ…アンリと同じ眼を…!!)
 しかしガーネフは魔力を集中し始め、
ガーネフ「…死ね!アリティアの王子よ!!そなたの血をメディウスの復活に捧げてくれる!!」
マルス(復活!?)
ガーネフ「クククク…」
マルス(メディウスが復活した!?)
 マルスに魔法が唱えられようとする刹那、雷光一閃、剣の軌跡がガーネフの左腕を斬り飛ばす。
ガーネフ「ククク…きさまか…コーネリアス」
 神剣ファルシオンを構えたコーネリアスがそこに立っていた。
コーネリアス「ジェイガン、マルスを頼む!」
マルス「父上!」
ジェイガン「マルス様、お早く!」
コーネリアス「行け!!早くしろ!!」
 ジェイガンたちはマルスを引っ張り、戦場から離脱していく。
ガーネフ「ククク…」
コーネリアス「やはりメディウスが復活したか…!!だが私もアリティア王家の血を引く者…この剣と我が命にかえても、おぬしらの野望を打ち砕く!!」
ガーネフ「ククク…こざかしい!それが神剣…ファルシオン…100年前にはその剣が“力”を持ったようだが、今回はそういう訳にはまいらぬぞ」
 ガーネフの衝撃波がコーネリアスを襲う!
コーネリアス「くっ」
 神剣ファルシオンの力に守られるコーネリアス。
ガーネフ「ククク…」
 再び放たれるガーネフの衝撃波。
コーネリアス「むん!」
 剣を振るい、衝撃波を斬るコーネリアス。
 そして睨み合う2人。
 
 一方マルス達は馬に乗り、戦場から離脱しようとしていた。マルスはジェイガンの馬に乗せられている。しかし、
ジェイガン「! マルス様!!」
 マルスは馬から飛び降り、崖の上からコーネリアスの戦いを見届けようと走り出した。
 
 再び相対するコーネリアスに視点は移る。
ガーネフ「ククク…どうした?これで終わりか」
 さらに強力な衝撃波にファルシオンは弾き飛ばされる。
ガーネフ「きさまにその剣は使いこなせん。見せてやろう、これがわしの――最高位黒魔法!マフー!!」
 無数の悪霊がコーネリアスを襲う!
コーネリアス「ぐああ!!」
コーネリアス(か…体が…!!)
 マルスたちは崖の上からまだ見届けていたが、
ジェイガン「マルス様!」
マルス(父上の様子がおかしい…)
 勇敢な戦士のはずのコーネリアスが成す術もなく、やられるがままになっているのに気づく。
無数の悪霊に襲われ、全身から血を流し始めるコーネリアス。
コーネリアス(マルス…)
 そして、全身から血を噴き出し、コーネリアスは絶命した!!
マルス「父上――!!」
 呆然とするマルス。
ジェイガン「マルス様…」
カイン「追っ手が来ます!」
 コーネリアスの亡骸を冷酷に見下ろすガーネフ。
ガーネフ「ククク…」
 神剣ファルシオンを奪い取るガーネフ。マルスはその光景を忘れまいとばかりに、懸命にガーネフを睨みつける。
 ガーネフは自分の用事は済んだとばかりに霧の中へ消えていく。カインたちはマルスを励まし、ジェイガンは決意を込めている。
陛下……
 
 そしてアリティア城。1人の傷ついた兵士が扉を開け入ってきた。
兵士A「申し上げます!ドルーア軍がもう階下にまで!エリス様、マルス様、どうかお逃げ下さい!!」
 その報告を聞き呆然とするマルス。
この城が… 陥ちる…
兵士B「おいっ、しっかり」
兵士C「エリス様…」
エリス「この国のためによく戦ってくれました。さ、体の力を抜いて…」
 エリス、兵士に手をかざし、
エリス「慈悲深き神々よ…」
 エリスの回復の力で兵士の傷が癒える。
エリス「マルス…私は城に残ります。ここで敵をひきつけている間に早くお逃げなさい」
マルス「!」
エリス「城内にはこの国のために戦ってくれた多くの負傷兵が残っています。私は僧侶として、彼らを放っておく訳にはいきません」
マルス「しかし…」
エリス「マルス。父上亡き後この国の…いえ、このアカネイアの人々はますます苦しい思いをするでしょう。メディウスを倒し再び平和な時を取り戻すために、あなたは生き延びねばならないのです。ジェイガン、マルスを頼みます」
ジェイガン「はっ」
 うつむくマルスに、
エリス「しっかりしなさい。あなたは勇者アンリの血を引くアリティアの王子なのですから。…大丈夫、あなたならできる。マルス…強くおなりなさい」
 炎上するアリティア城。
エリス(愛する者を、大切な者を守れるくらい強く…)
ドルーア兵「王女エリスだ!つかまえろ!!」
エリス(強く!強くおなりなさい!!)
 
 そしてマルスはわずかばかりの騎士団に守られ、アリティア城を脱出する。
 炎上する城を遠目に見て。
カイン「城が…!」
エリス(強くおなりなさい…)
マルス(…その通りだ!私に力があれば皆を守ることができたかもしれないんだ!!)
ジェイガン(マルス様)
アベル「はっ!」
 先陣を進んでいたアベルが何かに気づく。敗残兵狩りのならず者たちに遭遇したようだ!
ならず者「へへへ…こりゃ驚いた、アリティアの王子ご一行様だぜ!ようやくオレにも運が回ってきたな」
 マルスを庇うように陣を組むアリティア騎士団。
ならず者「やっちまえ!!」
 ボスらしい男の合図と共にならず者たちが一斉に襲いかかってくる。
ジェイガン「応戦しろ!マルス様をお守りするんだ!!」
ならず者「そうはいかねェ!!王子さん!!」
兵士A「うわっ!!」
 ならず者の武器を喰らい倒れる兵士。カイン、アベルたちも奮戦するが、
兵士B「うっ」
 兵士がまた一人倒されていく。
兵士C「しっかりしろ!!」
ジェイガン(いかん…連日の戦で兵が疲れている―――)
 ふと気づくと、ならず者のボスがマルスの目前に来ていた。
ジェイガン(しまった!!)
 すぐに駆け出すジェイガン。
ならず者「まあ、そう怖い顔するなって。オレだって鬼じゃねェんだ…すぐ楽にしてやるさ…」
 ならず者が武器を構え、マルスも剣を握り締める。
エリス(強くおなりなさい…愛する者を、大切な者を守れるくらいに…!!)
 ならず者は武器を振り上げ、
ならず者「オラオラ、その首…もらった――っ!!」
ジェイガン「マルス様!!」
 しかし、マルスはならず者を一刀のもとに斬り捨てた!!
ならず者「そ…そんな馬鹿な…」
 ならず者のボスは絶命する。これには味方も驚くが、
マルス「ジェイガン、援護を頼む!!騎士団(ナイツ)は左右から敵を叩け!逃げる者は追わなくてよい」
 マルスの姿は、今までの気弱な姿ではなく決意を込めた勇者のような姿に映った。
 ならず者もボスがやられたことで算を乱し、浮き足立っているのだから決着が付くのは時間の問題だろう。
マルス(強くなりたい!!愛する者を守れるくらいに!もう誰も失いたくないから!!もう迷わない!!私は…戦う!!)
 ならず者が一掃され、危機が去ったことを確認するとマルスたちは先を急ぐ。
 
父上…姉上…きっと戻ってきます…
この仲間たちと共にもう一度、緑ゆたかなこの祖国アリティアへ…
 
かくしてアリティア城を逃げのびたマルス一行は
友好国であった島国タリスに身を寄せる…
この後ドルーアの暗黒竜メディウスは
完全なる復活をとげ 諸国を征圧していった
そして二年後―― マルスの戦いがはじまる…
 
(MAP:0 Fin)
 
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