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バタフライ
銀次……
銀次:
消えろ…
銀…
銀次:
消えろって!!
俺には何も見えねーよ!!
―――――――――――
銀次:
(幽霊なんかこの世にいない…!!)
女生徒A:
ねえねえ こないだの心霊写真すごくなかった?
女生徒B:
あー あれは本物よね。間違いないわ!
女生徒A:
実はさー 私も時々 撮っちゃうんだよねー。
女生徒B:
マジで!? 霊感強すぎーー!
銀次:
(いっぺんカメラと眼鏡 買い換えろ!!)
女生徒C:
昨日のさー 「超霊体験ワンダホー」見た?
女生徒D:
見たよ。霊能者の古敷先生が―――
銀次:
(バラエティ番組かぶりつきで見てんじゃねえ!!)
女生徒E:
今日 運勢悪くて〜。怖いからラッキーカラーの小物つけて来た〜。
女生徒F:
でもさ〜 風水的に言うと…
銀次:
(占いに踊らされてる方が怖えーんだよ!!)
山口:
石川君〜〜。
銀次:
や…山口!
山口:
すっごくいい相性占いのサイト見つけたんだ。
そしたらね うちら最高のカップ
銀次:
相性最低みたいだな俺達。
―――――――――――
畑山:
山口にフラれた?
だってお前…付き合って何日よ?
銀次:
2日。
畑山:
最短記録じゃねーの それ?
銀次:
お前が ろくでもねー女ばっか連れて来るからだろ!!
ホラー映画好きとか!
転生信じてたりとか!
守護霊 居るとか!
ミサンガつけてるとか!
部屋に塩盛ってる奴とか!
畑山:
お前のオカルトアレルギーはわかるけどさー。
占いとかぐらい許せねー?
だいたい女の子はそういうの好きなわけだし…
銀次:
許せねーものは許せねーの!
畑山:
じゃ もう誰とも付き合うな。
少なくとも女はあきらめろ。
銀次:
畑山〜〜。
畑山:
………
あと一人…
ラスト一人 紹介してやる。
それでうまく行かなかったら あきらめろ。
銀次:
ありがとう畑山!!
―――――――――――
高松:
えと…高松奈知です。
銀次:
(い……いいかも…)
高松:
うわ…遊園地って小学生以来…
銀次:
(もっと気の利いた所 選べねーのかよ!)
明石:
今日のデートも石川のお守りか。
でも何かうまくいきそうじゃん。あの二人。
畑山:
まあ…今まで引き合わせた女とちょっと事情が違うし……
明石:
どういうこと?
畑山:
あの高松って子。向こうから石川を紹介してくれって言って来たんだよ。
俺と同じなんだ。石川銀次に負い目がある…
明石:
ちょっと! 負い目って何?
それで一生懸命あいつに女 紹介してた訳!?
畑山:
幸せになってもらわないと困るんだよ。
石川銀次には。
―――――――――――
明石:
そういや昔入ったことあったかも。
高松:
なつかしい〜。
銀次:
(お化け屋敷かよ………
この世で一番 興味ねー)
高松:
入ってみたいかも……
銀次:
高松さんて こういうの好きな方?
高松:
ううん別に。
でもなんか子供の頃とか思い出しちゃって。
明石:
いいかもよホラ 暗闇って男女の仲深まるし。
畑山:
じゃー 俺達 先入るぞー。
銀次:
なんだよお前らまで。
畑山:
石川ぁ 実はお化け怖いとか言うなよ!
銀次:
何をぉぅ!?
銀次:
(あんなん言われたら入らねー訳にいかないだろーが)
高松:
ごめん石川くん。もしかして こういうの嫌いだった?
銀次:
別に。
(こーいうのを好きな女が嫌い。
お化けとかって人間の妄想の中でも最も下らねー)
高松:
あーもうっ。お化けより暗い所に人が潜んでんのがビックリするよ。
銀次:
(まー 小学生とかには いいデートコースかもしんねー)
高松:
…あの……実はここ入ったのは…
石川くんと二人っきりで話したいが事が……
明石:
バカ畑山!! 急に触ってこないでよッ。ビックリするでしょうが!!
畑山:
ゴメン。
銀次:
(下らねー!! あいつらが一番下らねー!!)
高松:
覚えてる? 石川君。
銀次:
何…?
高松:
私は覚えてる。
私達が小学生の頃。
女の子が一人 駅のホームから転落して死んだ…
お化け:
呪い殺すゥ〜。
呪い殺すゥゥゥ。
高松:
キャアアァァッ。
畑山:
おー 派手に楽しんでるな あいつら。
明石:
結構怖がりだったんだね。あの高松ってコ。
高松:
やめて石川君!!
畑山:
どした? 何かあった…!?
石川!!
右の拳から血を流す銀次。
その足元には、お化け役の男性が気絶していた。
畑山の声に気付くと、銀次はその場を走り去ってしまう。
―――――――――――
畑山:
はー 何で俺が頭下げなきゃなんねーの。
まー 警察沙汰にならなかっただけマシか……
明石:
えー? なるでしょ普通。
畑山:
事情はちゃんと説明したから。
家と学校にはさすがに連絡するつもりらしいが…
あと金払えって。
明石:
人殴って逃げて許される事情って何?
畑山:
怖い顔すんなよ。別に許されてねーよ。
高松:
「呪い殺す」って。
あのお化け役の人 言ったんだ。
明石:
ん? だって あれって ただのセリフでしょ?
言われて私なんか思わず笑っちゃったけど……
畑山:
明石。お前 小中学校は別の学区だっけ?
石川に兄貴 居た事知ってる?
明石:
亡くなったっていうのは聞いたけど…
ずいぶん昔の話でしょ…?
高松:
……これは噂なんだけどね……
石川君のお兄さんて悪霊に呪い殺されたんだって………
―――――――――――
銀次:
痛て…
相手の歯に当たりまくったからな右手……
………
俺ってムチャクチャ…
こんなんじゃ彼女なんか出来る訳ねーよ………
側に誰か居てくれたらフツーでマトモな人生 送れるかもしんねーと思ってたのに…
腰を下ろして独り言をつぶやく銀次。
その目の前に、一人の少女がやってくると
不意に銀次の口元に自らの唇を重ねてきた。
少女:
側に居てあげようか?
二人で
殺しに行こう。
この世の亡霊全て。
TO BE CONTINUED