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赤い光弾ジリオンの第1回


赤い光弾
ジリオン


西暦2387年
人類は銀河系宇宙開拓時代に入った

中でも 多くの人類が平和に暮す惑星マリスは
第2の地球と呼ばれていた

だが 凶悪な宇宙の侵略者 ノーザ星人は
人類を排除し 銀河帝国を打ち立てるべく
攻撃を開始 人類は危機に陥った

このとき どこからともなく人類にもたらされた
3丁の銃があった
正義のパワーを持つ不思議な銃は
神の贈り物として 「ジリオン」と名付けられた


コードネームはJJ


巨大な衛星が空に浮かぶ、惑星マリスの荒野。
もうもうと砂煙を上げつつ、大荷物を抱えた1台の自転車が疾走する。
自転車を駆る青年の汗が飛び散り、燦々と照らしつける日光のもとに輝く。
この物語の主人公、JJである。

JJ「寝る子は育つっつうけど、ちょっと寝すぎたなぁ……ったく情けねぇ。防衛軍本部までは、まだまだか」

彼の目前に迫る地面の裂け目。JJは難なく自転車をジャンプさせ、裂け目を飛び越える。

JJ「あらよっと!」


マリス首都ホープシティの防衛軍本部。

1人の女性がバイクを駆ってビル街を突き進み、あちこちに潜む敵を次々に銃で射抜いて行く。
敵を一掃し終え、銃をしまう。
ビル街を形作っていたホログラムが消え、周囲の風景が本来のシミュレータールームの室内となる。

彼女の名はアップル。
シミュレーションの様子をメカマンのデイブが監視し、傍らではチームメイトの青年チャンプがソファに寝転がっている。

デイブ「凄いぞ……弾丸命中率98.7だ!」
チャンプ「しかしさ、スペシャルチームしちゃ、ちとセコいんじゃないの? シミュレーションだけで、実射訓練できないなんてさ」
デイブ「しょうがないさ。エネルギーが限られてるんだから」
チャンプ「おまけにチームメイトがサイコー。1人は未だに来ねぇし、もう1人は女……参ったね、まったくぅ」
アップル「ホールドアップ!」
チャンプ「うっ!?」

アップルが指で銃を真似、チャンプの頭に突きつけている。

アップル「バーン!」


相変わらず自転車を飛ばしているJJ。

JJ「おわぁっ!?」

突如、自転車が急ブレーキ。勢い余ってJJが砂地に投げ出され、自転車に積まれていた荷物がこぼれる。
自転車の寸前、ウサギに似た小動物がキョトンと顔を覗かせている。

JJ「こらぁ、危ねぇだろうがぁっ! ……おぉ?」

小動物はちゃっかりと、こぼれた荷物の中の食料を齧り始めている。

JJ「けっ、可愛くねぇの!」

呆れたように仰向けに地面に寝転がるJJ。その視線の先に建造物が映る。

JJ「ん? ラニア宇宙基地か……」


ラニア宇宙基地。

アナウンス「9、8、7、6、5、4、3、2、1……ファイヤー!」

カウントダウンと共に、ロケット発射台から偵察用シャトルが打ち上げられる。

JJ「頑張れよぉ、マリス軍! うぅ〜っ、俺も頑張るぞ! 見てろ、ノーザ星人!」

彼の背後から、轟音が迫る。

JJ「えっ……わぁっ!?」

JJの頭上をかすめ、彼方から無数のミサイルが宇宙基地目掛けて飛来する。

アナウンス「ミサイル多数接近! 防御システム2-8に移行せよ! 至急2-8に移行せよ!」

防御体制をとる宇宙基地。しかし防御体制への移行が完了するのを待たず、ミサイルが命中。爆炎が上がる。
さらに今しがた離陸したばかりのシャトルにも、ミサイルが命中。シャトルが墜ちてゆく。

JJ「やべぇっ!」

JJが地面に散らばった荷物のことも忘れ、自転車に飛び乗って宇宙基地目掛けて走り出す。
宇宙基地周辺の人々も、ノーザの侵攻による戦火に見舞われている。

人々「きゃあっ!」「ノーザ軍の攻撃だぁ!」「助けてくれぇ!」

その様子を呆然と見つめる少女、アディ。


再び、首都ホープシティ。
先のチャンプとアップルの上官にあたるゴード長官のもとに、マリスの司令官からの電話が届く。

ゴード「こちら、ゴードです」
司令官「ゴード、緊急事態が起こった。至急ホワイトナッツを出動させてくれ」
ゴード「お言葉ですが司令官、ホワイトナッツは今日結成されたばかりです」
司令官「機密ランクZのデータチップを積載した偵察シャトルが撃墜されたんだ!」
ゴード「何ですって!? ……はっ、わかりました。では、失礼します」

電話を切るゴード。傍らに佇む彼の秘書、エイミ・ハリソン。

エイミ「どうかしたんですか? Mr.ゴード」
ゴード「あぁ……至急チームの2人を呼んでくれ」
エイミ「でも、もう1人がまだ……」
ゴード「至急2人を呼んでくれと言ってるんだ、エイミ」
エイミ「……はぁい」


宇宙基地に次々に爆炎が上がる。
多くのノーザ兵や戦闘機械が闊歩している。

シャトルから放り出された乗員に、アディが寄り添う。

アディ「ねぇおじさん、しっかりしてよ!」
乗員「ぜ、絶対に……ノーザの……手には……わ、渡す……な……あ……」
アディ「何? これ……」

乗員がアディにデータチップを手渡す。
それを見届けて力尽きたかのように、乗員の体ががっくりと沈む。

アディ「あ!? おじさん、しっかり!」

そのとき、2人を見下ろすノーザ兵の姿。思わずアディが息を呑む。

アディ「……」
乗員「ノーザ兵……め……」

力を振り絞って銃を構える乗員を、ノーザ兵が砲撃でとどめを刺す。
そしてノーザ兵の砲がアディを捉える。

アディ「だぁ──っ!」

やけくそでアディが兵に飛び掛かろうとしたとき。一足早く、JJが自転車で体当たりを見舞う。

JJ「大丈夫かぁ?」
アディ「うん……」
JJ「お前、無茶苦茶するなぁ……」
アディ「えへへ!」

しかし、体当たりを受けてもなお2人を狙うノーザ兵。
すかさずJJが、自転車の荷物の中から銃を取り出す。

JJ「これでもかぁっ!」

銃弾が兵に命中するが、なおも兵がJJに襲いかかる。

JJ「えぇっ……!?」

ノーザ兵がJJを捕らえ、投げ飛ばす。さらに手刀でとどめを刺しにかかる。

JJ「うわぁっ!?」

思わず目をつぶるJJ──目を開けたとき、アディが力任せに振り回したロケットの破片が、ノーザ兵に叩きつけられていた。

アディ「へへっ、これでおあいこ。あたいアディっていうの。よろしく!」
JJ「あ? あぁ……俺、JJ。女の子か……参ったな、こりゃ」

彼方で爆煙が上がる。

アディ「あっ! ノーザ兵だわ、きっと」
JJ「くそぉ……!」

自転車に飛び乗って駆け出すJJ。ちゃっかりとアディが後ろの荷台に便乗する。

JJ「お? 危ねぇから子供は帰ってな!」
アディ「危なかったのはそっちでしょ、JJ?」
JJ「さっきはさっき!」
アディ「いいからいいから」
JJ「ったくもう……」


一方、ゴードのもとにはチャンプとアップルの2人が集合している。

ゴード「ラニア宇宙基地の偵察シャトルが、ノーザ軍に撃墜された。敵の狙いは、シャトルに積載されていた極秘データチップに違いない。チャンプ、アップル。君たちホワイトナッツの任務は、データチップをノーザ軍より先に回収することにある」
2人「了解」

エイミがワゴンを運んでくる。その上に乗せられているのは、ホワイトナッツ専用特殊光線銃・ジリオン。

チャンプ「これが……ジリオン」
ゴード「ホワイトナッツのメンバーだけが所持することを許された、謎の光線銃ジリオン。既に君たち2人は、シミュレーションでジリオンの操作を習得したと思う。エイミ?」
エイミ「……まだ連絡がとれません。JJとは」
チャンプ「そのJJって奴、大したタマだぜ。敵前逃亡たぁな」
アップル「まさかっ! ホワイトナッツのメンバーなのよ!」
チャンプ「おぉ〜、怖……」
エイミ「コヨタベースから向かっているので、もしかしたら……」
ゴード「ラニア基地の戦闘に巻き込まれたか?」
エイミ「ピンポーン♪」
ゴード「ゴホン……チャンプ、アップル。ひとつだけ特に注意しておく。万が一君たちが倒されることがあっても、ジリオンだけは絶対に敵の手に渡してはならない。生き残った者が必ず持ち帰るか、それが不可能な場合は、その場で破壊せよ。ホワイトナッツの初出動、成功を祈る!」
2人「ラジャー!」


ラニア宇宙基地周辺の居住地の人々も、ノーザの侵略に晒されている。
応戦しようとする人々もノーザの前には歯が立たず、退散しようとする人々もまたノーザの攻撃を浴びる。

人々「政府軍はまだか!?」「ラニアベースがノーザの手に落ちたらしい……」「まさか政府軍は、この街を見捨てる気なんじゃ?」「もしもし、ラニアベース? ……きゃあっ!」

居住区を我が物顔で闊歩するノーザ兵たち、巨大戦車。

JJ「うおおぉぉ──っっ!!」

戦車目掛け、JJが自転車で体当たり。だが自転車程度では到底、歯が立たない。
ノーザ兵たちにJJが銃を向ける──はずが、その手に銃はない。

JJ「お!? あら、あら、ない、ない、どこ!?」

JJに迫るノーザ兵に、銃弾が命中。JJの取り落とした銃を、アディが拾って手にしていた。
アディがJJに銃を投げ渡す。

アディ「ほい!」
JJ「あぁ〜俺のハニーちゃん……」

群がる兵たちをJJが銃で狙撃するが、やはり銃弾程度ではノーザ兵に通用しない。

JJ「アディ!」
アディ「うん!」

JJがアディを連れて逃げ出す。

2人を探し回る兵たち。JJたちはソーラーシステムを支える支柱によじ登り、難を逃れている。

アディ「やったじゃん、JJ」
JJ「シッ!」

後続する兵士軍のセンサーが、JJたちを捉える。

JJ「しまった……アディ、登れ!」
アディ「えっ!? もうだめ、だめだよぉ!」
JJ「グズグズ言わずに登れぇ!」
アディ「だってぇ!」

JJがアディをせかしつつ、どうにかソーラーシステムの上まで登りきる。

JJ「まったく……しつこい奴らだぜ」
アディ「わぁっ! どんどん来るよ、JJ!」
JJ「そんなに騒ぐなって。このソーラーシステムは、滅多なことじゃ壊れないように出来てんだからさ」

そう言っているそばから、ノーザの砲撃がソーラーシステムを貫き、ぽっかりと大穴があく。

JJ「あり?」
アディ「嘘つきぃ〜っ!」
JJ「お前なぁ!」

次第に周囲が暗くなり始める。空に浮かぶ太陽に、衛星が重なろうとしている。

JJ「日食だ……ノーザ兵がセンサーを切り替える瞬間に、何とか……やるっきゃないだろ」
アディ「えっ?」

衛星が完全に太陽を隠し、周囲が闇に閉ざされる。

JJ「今だっ!」

ソーラーシステムの上を滑り台代わりに、JJとアディが一気に滑り落ちる。
アディを抱いたJJが、地面の上に飛び降りる。

JJ「痛〜っ!」

日食がやみ、再び陽の光が降り注ぐ。JJとアディは、近くに停められていたトラックの車内に身を隠している。
大勢のノーザ兵がJJたちを探し続ける。

JJ「くそっ、しつこい奴らだ……」
アディ「はっ……もしかして」
JJ「ん?」
アディ「あいつら、これを欲しがってるんじゃ?」

そう言ってアディが取り出したのは、シャトルの乗員に託されたあのチップ。

JJ「げっ、マリス軍のデータチップ!?」


戦場を目指して空を行く、ホワイトナッツの大型輸送機ビッグポーター。

デイブ「ノーザ軍とのコンバットエリアに入った! チャンプ、アップル、後は頼んだぜ」
アップル「了解」
チャンプ「いいよなぁ、デイブは……コーヒー飲みながら俺たちの帰りを待ってりゃいいんだから」
デイブ「へへっ。あんたが無事に帰還すりゃ、コーヒーもうまいよ」
チャンプ「へぇ〜っ! ただのメカマンにしちゃ、言うじゃない?」
アップル「チャンプ、急がないとデータチップがノーザの手に!」
チャンプ「OK、任せろって!」
アップル「デイブ、避難した街の人たちはよろしくね」
デイブ「了解っ!」

ビッグポーターに接続された大型装甲車ランドキャリッドに、チャンプとアップルが乗り込む。

デイブ「キャリッドマシン・スタンバイ!」
チャンプ「やってくれ!」
デイブ「ランドキャリッド・ジョイント・オーフ!」

ランドキャリッドがビッグポーターから切り離され、地面に着地。

チャンプ「行くぜっ!」


一方のJJたち。

JJ「シャトルが積んでたデータチップか……」
アディ「JJ!」

いつの間にかノーザ兵たちがトラックを取り囲んでいる。

JJ「おわぁっ!? こんにゃろぉ!」

トラックを発車させるJJ。しかし何人ものノーザ兵がトラックに取り付く。

JJ「こいつら……」

窓ガラスを突き破り、ノーザ兵の腕がJJを締め上げる。

JJ「うわぁ!」
アディ「JJ!?」
JJ「それぇ!」

JJがトラックを旋回させ、兵たちを振り落とす。
荷台に乗せられた多数のボンベのひとつがこぼれ、ノーザ兵の銃撃を浴び、大爆発を起こす。

JJ・アディ「あぁ……!?」


アップル「街外れに放熱反応。爆発よ!」
チャンプ「爆発あるとこ、ノーザがいるってわけだ!」

チャンプとアップルが専用サイドカー・ライディングセプターを駆り、砂塵を撒き散らしつつ戦場を目指す。


アディ「これエネルギーボンベだよ! JJ、これが爆発したら吹っ飛んじゃうよぉ!」
JJ「お婆ちゃんがよく言ってたぜ。『人間、できないことはない』ってなぁっ!!」

トラックの行き先を阻む兵士群、ノーザの巨大戦車。

アディ「JJ!?」
JJ「飛べ、アディ!」

トラックを乗り捨て、JJがアディを抱えて飛び降りる。
戦車目掛けて突進するトラック。JJが銃を構え、荷台のボンベに狙いを定める。

JJ「アディ、伏せろ! ……今だ!」

カチッ。

JJ「お!?」

JJが何度も引金を引くが、既に弾切れ。ボンベを銃で爆発させようとする作戦は失敗のようだ。

アディ「JJ……?」
JJ「くそぉ……」

武器を失った2人を、ノーザ兵たちが取り囲む。

JJ「お婆ちゃんはこうも言ってたっけ……『人間は神様じゃない』って」

ノーザ兵たちの砲が一斉に火を吹く。
巨大な爆炎が上がる──

爆風の中から飛び出す2台のライディングセプター。チャンプがJJを、アップルがアディを救い出している。

JJ「ヒュゥ〜♪ 危機一髪、助かったぜ!」
チャンプ「グダグダ言ってないで、素人は身を屈めてな!」
JJ「何ぃ!? 俺は素人じゃない……わぁっ!?」

チャンプがハンドルを急旋回し、ノーザの砲撃をかわす。

チャンプ「しっかりつかまってろっ! ノーザ兵め……ジリオンのパワーを思い知らせてやる!」

ジリオンの収まっているホルスターにチャンプが手を伸ばす──が、当のジリオンがない。

チャンプ「お……あれ?」
JJ「ちょい、借りるぜ」
チャンプ「え!?」

いつの間にかJJがチャンプのジリオンをくすねている。

チャンプ「バカッ! やめろっ! アマには無理だ!!」
JJ「俺はアマチュアじゃない!」
チャンプ「これはなぁ、ただの銃じゃないんだ! ガキッ!」
JJ「ガキじゃねぇ! 俺はホワイトナッ……おわぁ!?」

ノーザの放つ砲撃を、2人が慌てて頭を屈めてよける。
JJがサイドカーの上に立ってジリオンを握り、ノーザの戦闘機械に狙いを定める。

独特の小気味良い音と共に、赤い光弾が放たれる。

戦闘機械に光弾が命中。分子組成がたちまち崩壊。
爆発も炎も上げることなく、戦闘機械が跡形もなく消滅する。

バランスを失ってサイドカーから転げ落ちたJJ、痛みも忘れてジリオンの威力に見惚れる。

JJ「すげぇ……!」
チャンプ「……やるじゃん」
アップル「チャンプッ!」

アップルがもう1丁のジリオンをチャンプに放る。

チャンプ「サンキュッ!」

群がるノーザ兵目掛け、チャンプがジリオンを構える。

チャンプ「シュート!」

冷静に放たれたジリオンの光弾が、ノーザ兵たちを射抜く。
アップルも自分のジリオンを構え、兵たちを次々に倒す。
JJは体術で兵たちを牽制しつつ、兵たちを撃ち抜く。
3人の連携、そしてジリオンの脅威のパワーで、兵たちが一掃されてゆく。

巨大な砲撃が響く。ノーザの巨大戦車がJJたちに迫る。
JJがジリオンを構えたまま、無謀にも単身、戦車目掛けて突っ走る。

アップル「あぁっ!?」
チャンプ「チッ……!」

JJを狙う兵たちを、チャンプとアップルが射抜く。
先のトラックにJJが乗り込み、戦車目掛けて突進。
戦車の寸前でトラックが急旋回。荷台からエネルギーボンベが撒き散らされ、戦車の下に転がり込む。
トラックから飛び降りたJJが、ジリオンでボンベに狙いを定める。

赤い光弾が放たれる。

エネルギーボンベが引火、次々に誘爆。
作戦成功とばかりに笑顔を浮かべるJJ。


だが次の瞬間、戦車が大爆発──JJが爆風に吹き飛ばされる。


どこかの暗い空間。
スクリーンに映し出された戦闘の光景が消え、画面が砂嵐となる。
その画面を、士官らしきノーザ星人が静かに見つめている……


爆風がやみ、ノーザ兵が一掃された跡。地面に倒れているJJ、ピクリとも動かない。

チャンプ「大丈夫かぁっ!?」

チャンプたちがJJに駆け寄り、アップルがJJを抱き起こす。

アップル「しっかりして!」
アディ「死んじゃだめ、JJ!」
アップル「えっ!?」
チャンプ「えっ……JJ!?」
アップル「それじゃあ……?」
アディ「JJ……JJ!」
チャンプ「何てこったい……やっと3人目が揃ったってのに……」
アップル「JJ……」

悲痛な表情で、アップルがJJを抱きしめる。

アップル「あ?」

いつの間に意識を取り戻したか、JJがアップルの胸に顔を埋め、スケベ心丸出しで笑顔を浮かべている。
呆れたアップルが、JJを地面に投げ捨てる。

JJ「あ、ありゃ!?」
アップル「さ、チャンプ! 早くデータチップを捜しましょ!」

立ち上がるアップルの足を、JJが掴む。

JJ「今夜7時、本部のカフェでね。お嬢さん?」

ウインクと共にJJが放ったデータチップが、燦々と降り注ぐ陽の光を浴び、キラキラと輝く。
JJに抱きつくアディ。


マリス軍特殊部隊ホワイトナッツ結成初日──そしてホワイトナッツの初勝利の日であった。


(続く)
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